宇治うじ十じゅう帖じょう

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帖じょう	名な	帖じょう	名な
源氏物語げんじものがたり五ご十じゅう四よん帖じょう
各かく帖じょうのあらすじ
1	桐きり壺つぼ	28	野分のわけ
2	帚木	29	行幸ぎょうこう
3	空蝉うつせみ	30	藤袴ふじばかま
4	夕顔ゆうがお	31	真木まき柱はしら
5	若紫わかむらさき	32	梅枝ばいし
6	末摘花すえつむはな	33	藤ふじ裏うら葉は
7	紅葉こうよう賀が	34	若菜わかな
8	花はな宴えん	35	柏木かしわぎ
9	葵あおい	36	横笛よこぶえ
10	賢けん木き	37	鈴虫すずむし
11	花はな散ち里さと	38	夕ゆう霧きり
12	須磨すま	39	御法みのり
13	明石あかし	40	幻まぼろし
14	澪標みおつくし	41	雲くも隠かくれ
15	蓬生よもぎう	42	匂におい宮みや
16	関屋せきや	43	紅梅こうばい
17	絵合えあわせ	44	竹たけ河かわ
18	松風まつかぜ	45	橋はし姫ひめ
19	薄うす雲くも	46	椎本しいのもと
20	朝顔あさがお	47	総角あげまき
21	少女しょうじょ	48	早蕨さわらび
22	玉鬘たまかずら	49	宿木やどりぎ
23	初音はつね	50	東屋あずまや
24	胡蝶こちょう	51	浮舟うきふね
25	蛍ぼたる	52	蜻蛉とんぼ
26	常夏とこなつ	53	手て習
27	篝火かがりび	54	夢ゆめ浮橋うきはし

宇治うじ十じゅう帖じょう（うじじゅうじょう）は、『源氏物語げんじものがたり』の最さい末尾まつびにあたる第だい3部ぶのうち後半こうはんの橋はし姫ひめから夢ゆめ浮橋うきはしまでの十じゅう帖じょうをいう。

概要がいよう

この部分ぶぶんは宇治うじを主要しゅような舞台ぶたいとしているなど、『源氏物語げんじものがたり』の他ほかの部分ぶぶんと異ことなる点てんが多おおいことから、他たの部分ぶぶんとは分わけて考かんがえられる事ことが多おおい。『白しろ造づくり紙し』、『紫むらさき明あきら抄しょう』あるいは『花鳥かちょう余情よじょう』といった古ふるい時代じだいの文献ぶんけんにも、この部分ぶぶんの巻数かんすうだけを「宇治うじ一いち」、「宇治うじ二に」というようにそれ以外いがいの巻まきとは別べつ立だてで数かぞえているものがある等とうの点てんから、この部分ぶぶんを分わけるやり方かたは古ふるくから存在そんざいしたと見みられる。また正せい嘉よしみ本ほん源氏物語げんじものがたり系図けいずや源氏げんじ一いち品ひん経けいのように、『源氏物語げんじものがたり』54帖じょうから並ならびの巻まきを除のぞいた37帖じょうのうち、宇治うじ十じゅう帖じょう全体ぜんたいを「宇治うじ」1帖じょうとして数かぞえ、『源氏物語げんじものがたり』全体ぜんたいを28帖じょうであるとしているものもある。

別べつ作者さくしゃ説せつ

この部分ぶぶんについては一条いちじょう兼良かねらの『花鳥かちょう余情よじょう』、一条いちじょう冬良ふゆらの『世よ諺ことわざ問答もんどう』などが、紫式部むらさきしきぶの娘むすめである大弐三位だいにのさんみが作者さくしゃであるとしているなど、古ふるくから紫式部むらさきしきぶが作者さくしゃではないとする見解けんかいも多おおい。計量けいりょう分析ぶんせきにおいても1957年ねん（昭和しょうわ32年ねん）の安本やすもと美よし典てんによる論文ろんぶんにおいて、各巻かくかんごとの本文ほんぶんの長ながさ、個々ここの文ぶんの長ながさのほか和歌わか、直喩ちょくゆ、声こえ喩たとえ、心理しんり描写びょうしゃ、色彩しきさい語ご、名詞めいし、用言ようげん、助詞じょし、助動詞じょどうしの出現しゅつげん頻度ひんど、品詞ひんしの長ながさの12項目こうもくについて調しらべた結果けっか、個々ここの文ぶんの長ながさと助動詞じょどうしの出現しゅつげん頻度ひんど以外いがいの10項目こうもくについて偶然ぐうぜんでは起おこりえない違ちがいが存在そんざいすることから紫式部むらさきしきぶが作者さくしゃである可能かのう性せいが低ひくいとされ^[1]、また他たの研究けんきゅう者しゃによる論文ろんぶん^[2]^[3]も発表はっぴょうされている。

これに対たいして、「源氏物語げんじものがたりとは異ことなる作者さくしゃによることが明あかであるが源氏物語げんじものがたりの多大ただいな影響えいきょうの元もとに成立せいりつしたと考かんがえられている狭せま衣ころも物語ものがたりや手枕たまくらといった作品さくひんと源氏物語げんじものがたりとを上記じょうきと同様どうようの計量けいりょう言語げんご学がく的てき手法しゅほうによって比較ひかくしたときに算出さんしゅつされる差異さい」は「源氏物語げんじものがたりを宇治うじ十じゅう帖じょうとその他たの部分ぶぶんに分わけたものに見みいだされる差異さい」より遙はるかに大おおきなものであり、このことから考かんがえると宇治うじ十じゅう帖じょう別べつ作者さくしゃ説せつは成なりたないとする見解けんかいも存在そんざいする^[4]。

宇治うじ十じゅう帖じょうの各かく帖じょう

大おおきく「橋はし姫ひめ」から「早蕨さわらび」までの「大君おおきみ・中なか君くん物語ものがたり」と「宿木やどりぎ」から「夢ゆめ浮橋うきはし」までの「浮舟うきふね物語ものがたり」とに分わけられることがある。

注ちゅう

^ 「宇治うじ十じゅう帖じょうの作者さくしゃ-文章ぶんしょう心理しんり学がくによる作者さくしゃ推定すいてい」『文学ぶんがく・語学ごがく』1957年ねん4月がつ号ごう。
「文体ぶんたい統計とうけいによる筆者ひっしゃ推定すいてい-源氏物語げんじものがたり・宇治うじ十じゅう帖じょうの作者さくしゃについて」『心理しんり学がく評論ひょうろん』Vol.2 No.1 心理しんり学がく評論ひょうろん刊行かんこう会かい 1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）
安本やすもと美よし典てん「文章ぶんしょう心理しんり学がくの新しん領域りょういき」『国語こくご学がく』、日本語にほんご学会がっかい、1961年ねん6月がつ、2010（平成へいせい22年ねん）-07-22閲覧えつらん。（改定かいてい版ばん　誠まこと信しん書房しょぼう 1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）
安本やすもと美よし典てん「文体ぶんたい統計とうけいによる作者さくしゃ推定すいていについて-源氏物語げんじものがたり・宇治うじ十じゅう帖じょうの作者さくしゃについて」『心理しんり学がく評論ひょうろん』第だい2巻かん第だい1号ごう、心理しんり学がく評論ひょうろん刊行かんこう会かい、1958年ねん、147-156ページ。
安本やすもと美よし典てん「宇治うじ十じゅう帖じょうの作者さくしゃ-文章ぶんしょう心理しんり学がくによる作者さくしゃ推定すいてい」『文学ぶんがく・語学ごがく』、朝倉書店あさくらしょてん、1983年ねん4月がつ、2010（平成へいせい22年ねん）-07-22閲覧えつらん。
^ 村上むらかみ征勝まさかつ『シェークスピアは誰だれですか? 計量けいりょう文献ぶんけん学がくの世界せかい』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2004年ねん（平成へいせい16年ねん）、125-153頁ぺーじ。ISBN 4-16-660406-6。
^ 西野にしの正ただし彬あきら『宇治うじ十じゅう帖じょうは紫式部むらさきしきぶが書かいていない』文芸ぶんげい社しゃ、2009年ねん2月がつ。 ISBN 978-4-286-06314-0
^ 新井あらい皓あきら士し「源氏物語げんじものがたり・宇治うじ十じゅう帖じょうの作者さくしゃ問題もんだい:一ひとつの計量けいりょう言語げんご学がく的てきアプローチ」（PDF）『一いち橋きょう論叢ろんそう　一橋大学ひとつばしだいがく一いち橋きょう学会がっかい一いち橋きょう論叢ろんそう編集へんしゅう』第だい117巻かん第だい3号ごう、日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、1997年ねん3月がつ1日にち、397-413頁ぺーじ、2010（平成へいせい22年ねん）-07-22閲覧えつらん。

概要がいよう

別べつ作者さくしゃ説せつ

宇治うじ十じゅう帖じょうの各かく帖じょう

注ちゅう

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