素す源氏げんじ

素す源氏げんじ（すげんじ）とは、源氏物語げんじものがたりの版本はんぽんのうち、注釈ちゅうしゃくや挿絵さしえを含ふくまず源氏物語げんじものがたりの本文ほんぶんだけを内容ないようとするものをいう。

概要がいよう

平安へいあん時代じだい中期ちゅうきに成立せいりつした源氏物語げんじものがたりは、長ながく写本しゃほんのみによって人々ひとびとに伝つたえられてきたが、江戸えど時代じだいに入はいってから版本はんぽんによる源氏物語げんじものがたりの出版しゅっぱんが始はじまり、それによってそれまでとは比くらべものにならない数量すうりょうの「源氏物語げんじものがたりの本ほん」が裕福ゆうふくな庶民しょみんにまで普及ふきゅうすることになった。

このような源氏物語げんじものがたりの版本はんぽんは、初期しょきには源氏物語げんじものがたりの本文ほんぶんのみを内容ないようとしていたが、次第しだいに「絵え入にゅう源氏物語げんじものがたり」、「首くび書しょ源氏物語げんじものがたり」、「源氏物語げんじものがたり湖みずうみ月がつ抄しょう」といった本文ほんぶんだけでなく注釈ちゅうしゃくや挿絵さしえ、さらには源氏物語げんじものがたりの補作ほさくである山路やまじの露ろや雲くも隠かくれ六ろく帖じょうといったものを含ふくむものが現あらわれてそちらが主流しゅりゅうになっていった。その後ごさかのぼって挿絵さしえや注釈ちゅうしゃくを持もたない初期しょきの版本はんぽんを「素もと源氏げんじ」と呼よぶようになった。これらは「注釈ちゅうしゃくを持もたない」という意味いみで「無む注ちゅう本ほん（源氏物語げんじものがたり）」とも呼よばれることもある。

主おもな素す源氏げんじ

• 古こ活字かつじ本ほん（代表だいひょう的てきなもの。整せい版本はんぽんは同おなじ版木はんぎを使つかう限かぎり同おなじ物ぶつが印刷いんさつされるのに対たいして古こ活字かつじ版ばんは印刷いんさつのたび活字かつじを組くみ直なおすため印刷いんさつの結果けっかが少すこしずつ異ことなることになるために、刊かん記きが存在そんざいしないとどのような版はんが存在そんざいするのか明あきらかにならず現在げんざいでも不明ふめいな点てんが多おおい。）
  • 「伝でん嵯峨さが本ほん源氏物語げんじものがたり」
  • 「元もと和本わほん源氏物語げんじものがたり」1623年ねん（元和がんわ9年ねん）刊行かんこう
• 整せい版本はんぽん
  • 「無む跋ばつ無む刊かん記き整せい版本はんぽん源氏物語げんじものがたり」（寛永かんえい年間ねんかん）

翻刻ほんこく本ほん

寛永かんえい年間ねんかんの刊行かんこうと見みられる無む跋ばつ無む刊かん記き整せい版本はんぽんの翻刻ほんこく。

• 齋木さいき泰孝やすたか編へん『安田女子大学やすだじょしだいがく言語げんご文化ぶんか研究けんきゅう叢書そうしょ 3 安田女子大学やすだじょしだいがく蔵ぞう無む刊かん記き本ほん源氏物語げんじものがたり書しょ入いれ注ちゅう 上うえ 』安田女子大学やすだじょしだいがく言語げんご文化ぶんか研究所けんきゅうじょ、1998年ねん3月がつ
• 齋木さいき泰孝やすたか編へん『安田女子大学やすだじょしだいがく言語げんご文化ぶんか研究けんきゅう叢書そうしょ 日本にっぽん・東洋とうよう研究けんきゅう部門ぶもん 9 安田女子大学やすだじょしだいがく蔵ぞう無む刊かん記き本ほん源氏物語げんじものがたり書しょ入にゅう注ちゅう 中ちゅう 』安田女子大学やすだじょしだいがく言語げんご文化ぶんか研究所けんきゅうじょ、2004年ねん3月がつ

参考さんこう文献ぶんけん

• 清水しみず婦ふ久子ひさこ『源氏物語げんじものがたり版本はんぽんの研究けんきゅう』研究けんきゅう叢書そうしょ292 、和泉いずみ書院しょいん、2003年ねん3月がつ1日にち。 ISBN 978-4-7576-0201-4

関連かんれん項目こうもく

• 無印むじるし源氏げんじ

外部がいぶリンク

• 国文学研究資料館こくぶんがくけんきゅうしりょうかん 第だい七なな十じゅう五ご回かい通常つうじょう展示てんじ 『源氏物語げんじものがたり』とその前後ぜんご