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おおやけじょうほん源氏物語げんじものがたり

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おおやけじょうほん源氏物語げんじものがたり(きんえだほんげんじものがたり)は、源氏物語げんじものがたり写本しゃほんひとつ。

概要がいよう[編集へんしゅう]

三条西さんじょうにしこうじょう1487ねん文明ぶんめい19ねん)から1563ねんえいろく6ねん))によるとされる源氏物語げんじものがたり写本しゃほんであるが、奥書おくがき識語しきごるいく、古筆こひつ鑑定かんていなどもいためいかなる理由りゆう三条西さんじょうにしこうじょうのものとされているのかは不明ふめいである。ほん写本しゃほんまきごとに、またきりつぼなど一部いちぶまきではまき途中とちゅうでも筆跡ひっせきわる寄合よりあいしょである。本書ほんしょ筆跡ひっせきおおむね4つにかれるが、そのいずれもが「やや稚拙ちせつ」とえるもので、三条西さんじょうにしこうじょうのような古典こてん書写しょしゃになれている人物じんぶつによるとはおもえないような稚拙ちせつ書体しょたいであり、三条西さんじょうにしこうじょう筆跡ひっせきとして確実かくじつであるとおもわれる日本にっぽん大学だいがく所蔵しょぞう三条さんじょう西家にしいえほん三条西さんじょうにしこうじょう筆跡ひっせきなどとは一致いっちしない。表紙ひょうしについては改装かいそうした痕跡こんせきみとめられ、反古ほご表紙ひょうしさい利用りようしているなどそれほど高級こうきゅうつくりではない。全体ぜんたいてき保存ほぞん状態じょうたいくなく、部分ぶぶんてきにかなりの虫食むしくいがある場所ばしょられる。

ほん写本しゃほんは、書誌しょしがくてき観点かんてんからの分析ぶんせきによれば江戸えど時代じだい後期こうきまた中期ちゅうきをそれほどさかのぼらない時代じだい書写しょしゃしたとられるもので、使用しようされているかみ加速器かそくき質量しつりょう分析ぶんせきほうによる<14>^C年代ねんだい測定そくていでもどう程度ていど時代じだい成立せいりつであるとの結果けっかられている[1][2]

伝来でんらい[編集へんしゅう]

本書ほんしょにいくつかされている蔵書ぞうしょしるしとうにより、ほん写本しゃほん過去かこには以下いかのような人物じんぶつ蔵書ぞうしょであったことが確認かくにん出来できる。

山岸やまぎし死去しきょ1987ねん昭和しょうわ62ねん)5がつ22にち)ののち同人どうじん蔵書ぞうしょ一括いっかつして山岸やまぎし文庫ぶんことして同人どうじん学長がくちょうつとめていた実践女子大学じっせんじょしだいがくのものとなったため、ほん写本しゃほん現在げんざい実践女子大学じっせんじょしだいがく図書館としょかん山岸やまぎし文庫ぶんこ所蔵しょぞうとなっている。

内容ないよう[編集へんしゅう]

分冊ぶんさつじょうきょう[編集へんしゅう]

本書ほんしょ以下いかのように25さつ54じょう構成こうせいされている。

本文ほんぶん[編集へんしゅう]

はなさとまきのみが河内かわうちほん系統けいとうである以外いがい全体ぜんたいてきにはあお表紙ひょうしほん系統けいとうぞくする本文ほんぶんであり、おおむねいわゆる三条さんじょう西家にしいえほん系統けいとうぞくするものであるということが出来できるが、一部いちぶ特徴とくちょうてき本文ほんぶんっている。「校異こうい源氏物語げんじものがたり」(「源氏物語げんじものがたり大成たいせい校異こういへん」)以後いごおおくの源氏物語げんじものがたり校本こうほんにおいて底本ていほんとして採用さいようされてきた大島本おおじまほんには、従来じゅうらいしばしばあお表紙ひょうしほんられない孤立こりつした本文ほんぶんられることが指摘してきされてきた。しかしそのような現象げんしょうは「校異こうい源氏物語げんじものがたり」(「源氏物語げんじものがたり大成たいせい校異こういへん」)に採用さいようされた写本しゃほんなかだけで場合ばあい現象げんしょうであり、どう校本こうほん採用さいようされていないほん写本しゃほんほん写本しゃほんおなじく実践女子大学じっせんじょしだいがく図書館としょかん山岸やまぎし文庫ぶんこ所蔵しょぞうであるあきらとおるほんには大島本おおじまほんだけの孤立こりつしているとられた本文ほんぶん存在そんざい確認かくにん出来できることが指摘してきされている[3]

ほん写本しゃほん影印本えいいんぼん翻刻ほんこくほん存在そんざいせず、また『校異こうい源氏物語げんじものがたり』や『源氏物語げんじものがたり大成たいせい校異こういへん』といった校本こうほんへの採用さいようい。

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

ほん写本しゃほん全体ぜんたいにわたってぼくひつ注記ちゅうき数多かずおおくあり、また朱筆しゅひつ合点がてん句点くてんぜんじょうにわたって存在そんざいする。注記ちゅうき出典しゅってん表記ひょうきとして以下いかのようなものがみとめられる。

影印えいいん翻刻ほんこく[編集へんしゅう]

影印えいいん

  • 横井よこいたかし調査ちょうさ報告ほうこく(じゅう) : 山岸やまぎし文庫ぶんこぞうおおやけじょう本源ほんげん物語ものがたり』-解題かいだいならびに「帚木・空蝉うつせみ影印えいいん-」実践女子大学じっせんじょしだいがく文芸ぶんげい資料しりょう研究所けんきゅうじょへん実践女子大学じっせんじょしだいがく文芸ぶんげい資料しりょう研究所けんきゅうじょ 年報ねんぽうだい18ごう、1998ねん平成へいせい10ねん)3がつ、pp. 35-92。

翻刻ほんこく

  • 横井よこいたかしへん実践女子大学じっせんじょしだいがく図書館としょかん山岸やまぎし文庫ぶんこぞう<おおやけじょうほん>源氏物語げんじものがたり(きりつぼ)翻刻ほんこく稿こう王朝おうちょう物語ものがたり研究けんきゅうかいへん論叢ろんそう源氏物語げんじものがたり 1 本文ほんぶん様相ようそうしんてんしゃ、1999ねん平成へいせい11ねん)6がつ、pp. 295-346。ISBN 4-7879-4916-0

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 同人どうじん所蔵しょぞうであった時期じき山岸やまぎし徳平とくひら編集へんしゅうにより1958ねん昭和しょうわ33ねん)から1963ねん昭和しょうわ38ねん)にかけて岩波書店いわなみしょてんから刊行かんこうされた日本にっぽん古典こてん文学ぶんがく大系たいけい源氏物語げんじものがたりぜん5さつ)において、写本しゃほん記号きごうやま」・「山岸やまぎし所蔵しょぞう 三条西公条筆尭空説書きほん」としてその校異こういられている。
  2. ^ たかしそらとは三条西さんじょうにしこうじょうちち三条西さんじょうにし実隆さねたか法名ほうみょうである。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 横井よこいたかし小田おだひろしたか野村のむら精一せいいち中村なかむら俊夫としお上野うえの英子えいこ丹生たんじょう越子えつこ山岸やまぎし文庫ぶんこぞうでんこうじょう本源ほんげん物語ものがたり』のAMS<14>^C年代ねんだい名古屋大学なごやだいがく年代ねんだい測定そくてい資料しりょう研究けんきゅうセンター天然てんねん放射ほうしゃせい元素げんそ測定そくていしょう委員いいんかい名古屋大学なごやだいがく加速器かそくき質量しつりょう分析計ぶんせきけい業績ぎょうせき報告ほうこくしょ』v.12、 2001ねん、pp. 80-88。
  2. ^ 小田おだひろしたか横井よこいたかし野村のむら精一せいいち上野うえの英子えいこ丹生たんじょう越子えつこ中村なかむら俊夫としお加速器かそくき質量しつりょう分析ぶんせきほうによる山岸やまぎし文庫ぶんこぞうでんこうじょう本源ほんげん物語ものがたり』の<14>^C年代ねんだい測定そくてい(調査ちょうさ報告ほうこくじゅう-) 」実践女子大学じっせんじょしだいがく文芸ぶんげい資料しりょう研究所けんきゅうじょへん実践女子大学じっせんじょしだいがく文芸ぶんげい資料しりょう研究所けんきゅうじょ 年報ねんぽうだい21ごう、2002ねん平成へいせい14ねん)3がつ20日はつか、pp. 1-15。
  3. ^ 横井よこいたかし池田いけだ和美かずみ源氏物語げんじものがたりあお表紙ひょうしほん本文ほんぶん管見かんけん--ウ音便うおんびんをめぐる基礎きそ作業さぎょうについての報告ほうこく静岡大学しずおかだいがく教育きょういく学部がくぶへん静岡大学しずおかだいがく教育きょういく学部がくぶ研究けんきゅう報告ほうこく 人文じんぶん社会しゃかい科学かがくへんだい48ごう静岡大学しずおかだいがく教育きょういく学部がくぶ、1997ねん平成へいせい9ねん)、pp. 1-20。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 横井よこいたかし調査ちょうさ報告ほうこく(じゅう) : 山岸やまぎし文庫ぶんこぞうおおやけじょう本源ほんげん物語ものがたり』-解題かいだいならびに「帚木・空蝉うつせみ影印えいいん-」実践女子大学じっせんじょしだいがく文芸ぶんげい資料しりょう研究所けんきゅうじょへん実践女子大学じっせんじょしだいがく文芸ぶんげい資料しりょう研究所けんきゅうじょ 年報ねんぽうだい18ごう、1998ねん平成へいせい10ねん)3がつ、pp. 35-92 。
  • 横井よこいたかし源氏物語げんじものがたり本文ほんぶん研究けんきゅうということと<おおやけじょうほん>の存在そんざいと」王朝おうちょう物語ものがたり研究けんきゅうかいへん論叢ろんそう源氏物語げんじものがたり 1 本文ほんぶん様相ようそうしんてんしゃ、1999ねん平成へいせい11ねん)6がつ、p233-260。ISBN 4-7879-4916-0