十じゅう五ご銀行ぎんこう

三井みつい住友すみともフィナンシャルグループ > 三井住友銀行みついすみともぎんこう > さくら銀行ぎんこう > 三井みつい銀行ぎんこう > 帝国ていこく銀行ぎんこう > 十じゅう五ご銀行ぎんこう

みずほフィナンシャルグループ > みずほ銀行ぎんこう > 第一勧業銀行だいいちかんぎょうぎんこう > 第だい一いち銀行ぎんこう > 帝国ていこく銀行ぎんこう > 十じゅう五ご銀行ぎんこう

十じゅう五ご銀行ぎんこう

十じゅう五ご銀行ぎんこう（じゅうごぎんこう）は、かつて日本にっぽんに存在そんざいした銀行ぎんこうである。1944年ねん、帝国ていこく銀行ぎんこうに吸収きゅうしゅう合併がっぺいされた。

概要がいよう

十じゅう五ご銀行ぎんこう本店ほんてんは東京とうきょう都と京橋きょうばし区く木挽こびき町まち八はち丁目ちょうめ2番地ばんち（現在げんざいの中央ちゅうおう区く銀座ぎんざ八はち丁目ちょうめ）にあった。

1877年ねん（明治めいじ10年ねん）、岩倉いわくら具視ともみの呼よびかけにより、徳川とくがわ慶勝よしかつ・山内やまうち豊ゆたか範はん・黒田くろだ長ちょう知ち・池田いけだ章あきら政せい・藤堂とうどう高こう潔きよし・松平まつだいら茂昭しげあき・南部なんぶ利とし恭きょう・吉川よしかわ経けい健けんら華族かぞくが発起人ほっきにんとなり、秩禄処分しょぶんで得えた金きむ禄ろく公債こうさいを原資げんしに設立せつりつ。頭取とうどりに毛利もうり元もと徳とくが就任しゅうにん。有力ゆうりょく華族かぞくの出資しゅっしにより成立せいりつした銀行ぎんこうなので、世上せじょう「華族かぞく銀行ぎんこう」と呼よばれた。また、宮みや内省ないせい（現在げんざいの宮内庁くないちょう）本ほん金庫きんこ（御用ごよう銀行ぎんこう）でもあり、いずれにしても世間せけんの信用しんようは高たかかった。日本にっぽん経済けいざい振興しんこうのため、同行どうこう並ならびに出資しゅっし者しゃである多おおくの華族かぞくは鉄道てつどう事業じぎょうに着目ちゃくもく。日本にっぽん鉄道てつどう株式会社かぶしきがいしゃが同行どうこうをバックに設立せつりつされ、開業かいぎょうした。当時とうじ148あった国立こくりつ銀行ぎんこうの総そう資本しほん額がくの47.3%に相当そうとうする規模きぼであった。

1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）、昭和しょうわ金融きんゆう恐慌きょうこうの余波よはを受うけて取とり付つけ騒さわぎが発生はっせい。同年どうねん4月がつ21日にちから三さん週間しゅうかんの臨時りんじ休業きゅうぎょうを宣言せんげん。事実じじつ上じょう倒産とうさんした。この時点じてんの株主かぶぬしのうち華族かぞくは322人にん、宮みや内省ないせい、内蔵ないぞう頭あたまも多数たすうの株かぶを所有しょゆうしていた。宮みや内省ないせいの本ほん金庫きんこも銀行ぎんこう内ないにあったが、休業きゅうぎょうを受うけて宮内くない省内しょうないに移うつすことが決定けっていした。 武家ぶけ華族かぞくは旧きゅう家臣かしんたちの情報じょうほう網もうを使つかって倒産とうさん前まえに財産ざいさんを他たへ移うつしたが、公家くげ華族かぞくは倒産とうさんするまで何なにも知しらず大だい損害そんがいを受うけた。もっとも銀行ぎんこうの株式かぶしきに関かんしては、宮内くない省しょうから世襲せしゅう財産ざいさんとして指定していされており、容易よういに売却ばいきゃくできる性質せいしつではなかったことから、資産しさんを移うつした者ものの中なかにも少すくなからず損害そんがいを被こうむった者ものが出でた。

銀行ぎんこうの代表だいひょう者しゃであった松方まつかた巌いわお公爵こうしゃく（元もと首相しゅしょう松方まつかた正義まさよしの長男ちょうなん）は責任せきにんを取とり、三田みたの本邸ほんてい、那須なすの農場のうじょう、熱海あたみの別荘べっそう、多数たすうの骨董こっとうなど私財しざいの大半たいはんを放出ほうしゅつの上うえ、同年どうねん11月がつ29日にちに宮みや内省ないせいに対たいし爵位しゃくい返上へんじょうを申もうし入いれた。これを受うけて、取締役とりしまりやくであった浅野あさの長ちょう之の侯爵こうしゃくも滝野たきの川がわ中里なかさとの別邸べっていなどを銀行ぎんこう整理せいりのための資金しきんとして提供ていきょうした。

営業えいぎょう上じょうは帝国ていこく銀行ぎんこう木挽こびき町まち支店してん→三井みつい銀行ぎんこう木挽こびき町まち支店してんを経へて、銀座ぎんざ八はち丁目ちょうめの三井みつい銀行ぎんこう新橋しんばし支店してん（旧きゅう丁ちょう酉とり銀行ぎんこう本店ほんてん→十じゅう五ご銀行ぎんこう新橋しんばし支店してん→帝国ていこく銀行ぎんこう新橋しんばし支店してん）に吸収きゅうしゅうされた。店舗てんぽは1972年ねんに当初とうしょの十じゅう五ご銀行ぎんこう本店ほんてん跡地あとちに建設けんせつされた銀座ぎんざ三井みついビルディング（初代しょだい）に移転いてんとなり、丁ちょう酉とり銀行ぎんこう本店ほんてん建物たてものは取とり壊こわされた。跡地あとちには三井観光開発みついかんこうかいはつ（2007年ねんよりグランビスタホテル&リゾート）により、前身ぜんしんの建物たてものを模もしたデザインで「三井みついアーバンホテル銀座ぎんざ」が建設けんせつされ、1977年ねん12月に開業かいぎょう。「ホテルコムズ銀座ぎんざ」を経へて現在げんざいは「銀座ぎんざグランドホテル」となっている。

後身こうしんのさくら銀行ぎんこう新橋しんばし東ひがし支店してんは三井住友銀行みついすみともぎんこう発足ほっそくに先駆さきがけて、銀座ぎんざ六ろく丁目ちょうめの銀座ぎんざ支店してんと統合とうごうされた。なお、初代しょだい・銀座ぎんざ三井みついビルには銀座ぎんざ第一だいいちホテルが入居にゅうきょしていたが、閉鎖へいさ・建たて替かえを経へて、2005年ねんに竣工しゅんこうした2代目だいめには三井みついガーデンホテル銀座ぎんざプレミアが入居にゅうきょしている。このため、2つの帝銀ていぎん・三井みつい銀ぎんの店舗てんぽ跡地あとちに三井みつい系けい企業きぎょうによるホテルがそれぞれ建たてられた事ことになる。

沿革えんかく

• 1877年ねん（明治めいじ10年ねん）5月21日にち - 第だい十じゅう五ご国立こくりつ銀行ぎんこう開業かいぎょう。
• 1897年ねん（明治めいじ30年ねん）5月がつ21日にち - 国立こくりつ銀行ぎんこうとしての営業えいぎょう期間きかん満了まんりょうに伴ともない、普通ふつう銀行ぎんこうに転換てんかん。株式会社かぶしきがいしゃ十じゅう五ご銀行ぎんこうに改組かいそ。

浪速なにわ銀行ぎんこう

• 1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）8月がつ2日にち - 浪速なにわ銀行ぎんこう、神戸こうべ川崎かわさき銀行ぎんこうおよび丁ちょう酉とり銀行ぎんこうを合併がっぺい。
  • 浪速なにわ銀行ぎんこう　1878年ねん（明治めいじ11年ねん）2月がつ - 平瀬ひらせ亀ひさし之の輔が大阪おおさかで第だい三さん十じゅう二に国立こくりつ銀行ぎんこうを開業かいぎょう。1898年ねん浪速なにわ銀行ぎんこうに改称かいしょう。
  • 神戸こうべ川崎かわさき銀行ぎんこう　1903年ねん（明治めいじ36年ねん）11月21日にち - 川崎かわさき正蔵しょうぞうが神戸こうべにて開業かいぎょう。
  • 丁ちょう酉とり銀行ぎんこう　1897年ねん（明治めいじ30年ねん）9月15日にち - 十じゅう五ご銀行ぎんこう関係かんけい者しゃが開業かいぎょう。東京とうきょうの地方銀行ちほうぎんこう。本店ほんてんは新橋しんばしにあった。
    この合併がっぺいで十じゅう五ご銀行ぎんこうは大阪おおさかを中心ちゅうしんとする西日本にしにほんに店舗てんぽ網もうを展開てんかいする事こととなり、また神戸こうべ川崎かわさき財閥ざいばつとの関係かんけいが生うまれる一方いっぽう、傍系ぼうけい銀行ぎんこう・丁ちょう酉とり銀行ぎんこうの合同ごうどうで東京とうきょうの市中しちゅう金融きんゆうも強化きょうかした。
• 1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）4月がつ21日にち - 取とり付つけ騒さわぎが発生はっせいして休業きゅうぎょう。
• 1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん） - 金融きんゆう統制とうせい団体だんたい令れい施行しこうに際さいして、全国ぜんこく地方銀行ちほうぎんこう協会きょうかいを脱退だったいし普通ふつう銀行ぎんこう統制とうせい会かいに加入かにゅう。都市とし銀行ぎんこうとなる。
• 1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）8月がつ1日にち - 帝国ていこく銀行ぎんこうに吸収きゅうしゅう合併がっぺい。

戦時せんじ統合とうごう及および帝銀ていぎん分割ぶんかつ後ごの店舗てんぽの処遇しょぐう

当初とうしょ安田やすだ銀行ぎんこうを中心ちゅうしんとした合併がっぺいに参加さんかする予定よていであったが、1944年ねん8月がつ1日にちに安田やすだ銀行ぎんこうにより昭和しょうわ銀行ぎんこうが吸収きゅうしゅう合併がっぺいとなり、当行とうこうは同日どうじつに帝国ていこく銀行ぎんこうに吸収きゅうしゅうされると同時どうじに6店舗てんぽは近隣きんりん店てんに併合へいごうした。

その後ごに他た銀行ぎんこうも同様どうようであるが、戦災せんさい等とうにより廃止はいしとなった店舗てんぽもある。

帝銀ていぎん分割ぶんかつ時じ、近隣きんりん店てんにより併合へいごうされていない旧きゅう当行とうこう店舗てんぽは、三井みつい銀行ぎんこうと提携ていけいし（新しん）帝国ていこく銀行ぎんこう（後ごの三井みつい銀行ぎんこう）に継承けいしょうされた。また、近隣きんりんの店舗てんぽについては分割ぶんかつ時じに（新しん）第だい一いち銀行ぎんこうが継承けいしょうした。

※ただし、（新しん）帝国ていこく銀行ぎんこうが継承けいしょうした店舗てんぽの顧客こきゃくの中なかでも同行どうこうの三井みつい色しょくを嫌いやがり、第だい一いち銀行ぎんこうと取引とりひきする顧客こきゃくもいた。

その他た

行くだり章あきらは桜花おうか。「桜さくらの銀行ぎんこう」といえば十じゅう五ご銀行ぎんこうを意味いみした。この桜さくらは帝国ていこく銀行ぎんこうの「八重桜やえざくら」に引ひき継つがれ、後身こうしんの三井みつい銀行ぎんこうが1975年ねんまで使用しようした。1990年ねん、この三井みつい銀行ぎんこうが太陽たいよう神戸銀行こうべぎんこうと合併がっぺいし太陽たいよう神戸こうべ三井みつい銀行ぎんこうとなった際さい、意匠いしょうは異ことなるものの行くだり章しょうに再ふたたび桜花おうかが採用さいようされ、1992年ねん行ぎょう名めいもさくら銀行ぎんこうと改称かいしょう。2001年ねんの三井住友銀行みついすみともぎんこう発足ほっそくまで使用しようされた。

不動産ふどうさん賃貸ちんたい並ならびに那須なす地区ちくのレジャー施設しせつ運営うんえいと乳業にゅうぎょうを営いとなむ複ふく合あい企業きぎょう、ホウライは元々もともと十じゅう五ご銀行ぎんこうの子会社こがいしゃである蓬莱ほうらい殖産しょくさんの後身こうしんである。

詩人しじん・歌人かじんの黒田くろだ忠次郎ちゅうじろうが最初さいしょに勤つとめた銀行ぎんこうでもあった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 三井みつい銀行ぎんこう八はち十じゅう年ねん史し編纂へんさん委員いいん会かい『三井みつい銀行ぎんこう八はち十じゅう年ねん史し』三井みつい銀行ぎんこう、1957年ねん。 

関連かんれん項目こうもく

• 帝国ていこく銀行ぎんこう
• 三井みつい銀行ぎんこう
• 三井住友銀行みついすみともぎんこう
• 国立こくりつ銀行ぎんこう