明石あかし尼に君くん

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明石あかし尼に君くん（あかしのあまきみ）は、『源氏物語げんじものがたり』に登場とうじょうする架空かくうの人物じんぶつ。

概要がいよう

明石あかし入道にゅうどうの妻つまであり、明石あかしの御方おかたの母ははである。祖父そふは中務なかつかさ宮みや。夫おっとの明石あかし入道にゅうどうが娘むすめと光源氏ひかるげんじが結むすばれるよう働はたらくのに対たいして、娘むすめの幸しあわせを第だい一いちに考かんがえてあまりにも身分みぶんの異ことなる光源こうげん氏しとの結婚けっこんには反対はんたいするが、夫おっとに押おし切きられる。その後ごは娘むすめと孫まご（明石あかしの姫君ひめぎみ＝後ごの明石あかしの中宮ちゅうぐう）の幸しあわせを考かんがえ、孫まごの明石あかしの姫君ひめぎみが母ははの元もとを離はなされて紫むらさきの上じょうの元もとで育そだてられることになったときは娘むすめに、孫まごの幸しあわせを第だい一いちに考かんがえて手放てばなすことを納得なっとくするように諭さとしている。このようにして子こや孫まごが栄達えいたつしたことによって、晩年ばんねんには人々ひとびとの羨望せんぼうの対象たいしょうとして見みられるようになっている。

登場とうじょうする巻まき

明石あかしの尼に君くんは直接ちょくせつには以下いかの巻まきで登場とうじょうし、本文ほんぶん中ちゅうではそれぞれ以下いかのように表記ひょうきされている。

• 第だい05帖じょう 若紫わかむらさき 母はは
• 第だい12帖じょう 須磨すま 母はは、母はは君くん
• 第だい13帖じょう 明石あかし 母はは君くん
• 第だい18帖じょう 松風まつかぜ 母はは君くん、尼に君くん
• 第だい19帖じょう 薄うす雲くも 尼に君くん
• 第だい33帖じょう 藤ふじ裏うら葉は 尼に君くん
• 第だい34帖じょう 若菜わかな上じょう 尼に君くん、大だい尼に君くん、古人こじん
• 第だい35帖じょう 若菜わかな下か 尼に君くん、明石あかしの尼に君くん

各巻かくかんでの活動かつどう

歴代れきだいの播磨はりま守まもるから求婚きゅうこんされる評判ひょうばんの明石あかしの方ほうの母ははとして語かたられる（第だい05帖じょう 若紫わかむらさき）

娘むすめ（明石あかしの方ほう）の養育よういくに心しんを砕くだいている。（第だい12帖じょう 須磨すま）

明石あかしの入道にゅうどうが娘むすめと光源氏ひかるげんじが結むすばれるよう働はたらくのに対たいして「身分みぶん違ちがいで結むすばれても幸しあわせにはならない」ことを理由りゆうに反対はんたいする。（第だい13帖じょう 明石あかし）

娘むすめが孫まご（後ごの明石あかしの中宮ちゅうぐう）を連つれて京きょうに上のぼる際さいには夫おっとと別わかれて娘むすめや孫まごと共ともに上京じょうきょうする。（第だい18帖じょう 松風まつかぜ）

孫まごの明石あかしの姫君ひめぎみが紫むらさきの上うえのもとで育そだてられることになったときは、「子供こどもの幸しあわせのためだ」と悲かなしむ明石あかしの方ほうに諭さとしている。（第だい19帖じょう 薄うす雲くも）

孫まごが中宮ちゅうぐうとなって皇子おうじを産うんだことで人々ひとびとの羨望せんぼうの対象たいしょうになっており、近江おうみの君きみなどは双六すごろくの場ばで呪文じゅもんのように「明石あかしの尼に君くん明石あかしの尼に君くん」と唱となえている。（第だい35帖じょう 若菜わかな上じょう）

参考さんこう文献ぶんけん

• 「明石あかしの尼に君くん」北山きたやま谿太編へん『源氏物語げんじものがたり辞典じてん』平凡社へいぼんしゃ、1957年ねん（昭和しょうわ32年ねん）、p. 5。
• 篠原しのはら昭二しょうじ「作中さくちゅう人物じんぶつ事典じてん 明石あかしの尼に君くん」『源氏物語げんじものがたり事典じてん』 秋山あきやま虔けん編へん、学がく燈とう社しゃ〈別冊べっさつ国文学こくぶんがく〉No.36、1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）5月がつ10日とおか、p. 268。
• 「明石あかしの尼に君くん」西沢にしざわ正史せいし編へん『源氏物語げんじものがたり作中さくちゅう人物じんぶつ事典じてん』東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、2007年ねん（平成へいせい19年ねん）1月がつ、p. 260。　ISBN 978-4-490-10707-4