孟はじめ津つ抄しょう

『孟はじめ津つ抄しょう』（もうしんしょう）は、戦国せんごく・安土あづち桃山ももやま時代じだいの関白かんぱく・九条くじょう稙通が著あらわした『源氏物語げんじものがたり』の注釈ちゅうしゃく書しょ。

概要がいよう

1575年ねん（天正てんしょう3年ねん）成立せいりつ、原本げんぽんは全ぜん20巻かんであるが、現存げんそん本ほんには15冊さつ・21冊さつ・54冊さつ本ほんなどもある。「孟はじめ津つ」とは中国ちゅうごく黄河こうが上流じょうりゅうの地名ちめいであり、古ふるくは天あまの川がわの入いり口くちになると信しんじられていた。自身じしんの著書ちょしょを「孟はじめ津つ」と名付なづけたことは、「自身じしんの学問がくもんがまだ入いり口くちに過すぎない」という謙遜けんそんの意味いみを込こめたものとみられる。後世こうせいにおいては異名いみょうの「九きゅう条じょう禅ぜん閤ごう」にちなんで九きゅう禅ぜん抄しょうとも呼よばれた。

叔父おじ三条西さんじょうにし公こう条じょうから伝授でんじゅされた。三条西さんじょうにし家かの源氏げんじ学がくに『河かわ海うみ抄しょう』・『花鳥かちょう余情よじょう』・『弄花ろうか抄しょう』などの先学せんがくの説せつ、更さらに自説じせつを加くわえて各巻かくかんごとに注釈ちゅうしゃくを入いれている。草くさ稿本こうほんと清書せいしょ本ほんが存在そんざいするが、伝つて本ほんは少すくないとされている。

本文ほんぶん

• 『源氏物語げんじものがたり古ふる注ちゅう集成しゅうせい 4 孟はじめ津つ抄しょう 上巻じょうかん』おうふう、1993年ねん11月 ISBN 978-4-2730-0129-2
• 『源氏物語げんじものがたり古ふる注ちゅう集成しゅうせい 5 孟はじめ津つ抄しょう 中ちゅう巻まき』おうふう、1981年ねん12月 ISBN 978-4-2730-0130-8
• 『源氏物語げんじものがたり古ふる注ちゅう集成しゅうせい 6 孟はじめ津つ抄しょう 下巻げかん』おうふう、1984年ねん01月がつ ISBN 978-4-2730-0131-5

参考さんこう文献ぶんけん

• 「孟はじめ津つ抄しょう」伊井いい春樹はるき編へん『源氏物語げんじものがたり　注釈ちゅうしゃく書しょ・享受きょうじゅ史し事典じてん』東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、2001年ねん（平成へいせい13年ねん）9月がつ15日にち、pp.. 467-469。 ISBN 4-490-10591-6