飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり

飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり（いいじまぼんげんじものがたり）は、源氏物語げんじものがたりの写本しゃほんである。

概要がいよう

54帖じょうの揃ぞろい本ほんである。そのうち25帖じょうほどの本文ほんぶんが別べつ本ほんであるとされ、その他たに青あお表紙ひょうし本ほんや河内かわうち本ほんの本文ほんぶんを持もつとされる帖じょうがある取とり合あわせ本ほんである。概おおむね室町むろまち時代ときよの書写しょしゃと見みられる。古筆こひつ鑑定かんていでは冷泉れいせん為ため和わの書写しょしゃとされている。

大正たいしょう・昭和しょうわ・平成へいせい期きに書家しょか・古筆こひつ研究けんきゅう家かとして活動かつどうした飯島いいじま春敬はるよし（1906年ねん（明治めいじ39年ねん） - 1996年ねん（平成へいせい8年ねん））が、時期じきは不明ふめいであるが入手にゅうしゅし、当時とうじ源氏物語げんじものがたりの学術がくじゅつ的てきな校本こうほんを作成さくせいしていた池田いけだ亀鑑きかんに提供ていきょうしたことにより写本しゃほん記号きごう「飯めし」、「飯島いいじま春敬はるよし氏し蔵本ぞうほん」として校異こうい源氏物語げんじものがたり（源氏物語げんじものがたり大成たいせい校異こうい編へん）にいくつかの巻まきが対たい校本こうほんに採用さいようされており、同書どうしょの研究けんきゅう編へんの重要じゅうよう諸しょ本ほんの解説かいせつ及およびこれを受うけ継ついだ大津おおつ有一ゆういちによる源氏物語げんじものがたり事典じてんの「諸しょ本ほん解題かいだい」には空蝉うつせみ巻まきのみが取とり上あげられている。その後ご長ながく詳細しょうさいな調査ちょうさをされることもなく東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんに寄託きたくされていた。

2005年ねん（平成へいせい17年ねん）に池田いけだ和臣かずおみが飯島いいじま春敬はるよしが設立せつりつした社団しゃだん法人ほうじん書しょ芸げい文化ぶんか院いん主催しゅさいの平安へいあん書道しょどう研究けんきゅう会かいの講師こうしを務つとめる事ことになった際さい、飯島いいじま春敬はるよしの跡あとを継ついで書しょ芸げい文化ぶんか院いんの理事りじ長ちょうとなった飯島いいじま春敬はるよしの長女ちょうじょ飯島いいじま春美はるみとの会話かいわの中なかで「飯島いいじま家かが所蔵しょぞうする源氏物語げんじものがたりの写本しゃほんは54帖じょうが揃そろった1組くみのみであり、それは東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんに預あづけたままになっていて、全体ぜんたいを詳くわしく調査ちょうさしたことはない。」というこれまで知しられていた源氏物語げんじものがたり大成たいせいなどから得えられる内容ないようとは大おおきく異ことなる情報じょうほうを得えたため、改あらためて調査ちょうさすることになった。2008年ねん（平成へいせい20年ねん）7月がつ源氏物語げんじものがたり千年紀せんねんきの中なかでその存在そんざいが公開こうかいされ、前後ぜんごしてその存在そんざいが明あきらかになった大沢おおさわ本ほんなどとともにマスコミに取とり上あげられて話題わだいになった。現在げんざいは書しょ芸げい文化ぶんか院いんが管理かんりする春敬はるよし記念きねん書道しょどう文庫ぶんこで保管ほかんされている。

本文ほんぶん

25帖じょうほどの本文ほんぶんが別べつ本ほんであるとされ、その他たに青あお表紙ひょうし本ほんや河内かわうち本ほんの本文ほんぶんを持もつとされる帖じょうがある取とり合あわせ本ほんである。校異こうい源氏物語げんじものがたり（源氏物語げんじものがたり大成たいせい校異こうい編へん）では青あお表紙ひょうし本ほんとして須磨すま1帖じょうが、河内かわうち本ほんとして初音はつね1帖じょうが、別べつ本ほんとして空蝉うつせみ、横笛よこぶえ、幻まぼろし、匂におい宮みや、紅梅こうばいの5帖じょうがそれぞれ対たい校本こうほんに採用さいようされている。源氏物語げんじものがたり大成たいせい研究けんきゅう編へんの重要じゅうよう諸しょ本ほんの解説かいせつ及およびこれを受うけ継ついだ大津おおつ有一ゆういちによる源氏物語げんじものがたり事典じてんの「諸しょ本ほん解題かいだい」では空蝉うつせみ1帖じょうのみが「飯島いいじま春敬はるよし氏し蔵本ぞうほん空蝉うつせみ巻まき」として取とり上あげられている。2008年ねん12月から2009年ねん11月にかけて笠間かさま書院しょいんから池田いけだ和臣かずおみの編へん・解説かいせつによる影印本えいいんぼんが出版しゅっぱんされた。

影印本えいいんぼん

• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 1 桐きり壺つぼ、帚木、空蝉うつせみ、夕顔ゆうがお、若紫わかむらさき』笠間かさま書院しょいん 2008年ねん（平成へいせい20年ねん）12月 ISBN 978-4-305-60061-5
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 2 末摘花すえつむはな、紅葉こうよう賀が、花はな宴えん、葵あおい、賢けん木き、花はな散ち里さと』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）1月がつ ISBN 978-4-305-60062-2
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 3 須磨すま、明石あかし、澪標みおつくし、蓬生よもぎう、関屋せきや、絵合えあわせ、松風まつかぜ』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）2月がつ ISBN 978-4-305-60063-9
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 4 薄うす雲くも、朝顔あさがお、少女しょうじょ、玉鬘たまかずら、初音はつね、胡蝶こちょう、蛍ぼたる』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）3月がつ ISBN 978-4-305-60064-6
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 5 常夏とこなつ、篝火かがりび、野分のわけ、行幸ぎょうこう、藤袴ふじばかま、真木まき柱はしら、梅枝ばいし、藤ふじ裏うら葉は』 笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）5月がつ ISBN 978-4-305-60065-3
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 6 若菜わかな上下じょうげ』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）6月がつ ISBN 978-4-305-60066-0
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 7 柏木かしわぎ、横笛よこぶえ、鈴虫すずむし、夕ゆう霧きり、御法みのり、幻まぼろし』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）7月がつ ISBN 978-4-305-60067-7
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 8 匂におい宮みや、紅梅こうばい、竹たけ河かわ、橋はし姫ひめ、椎本しいのもと、総角あげまき』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）9月がつ ISBN 978-4-305-60068-4
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 9 早蕨さわらび、宿木やどりぎ、東屋あずまや』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）10月がつ ISBN 978-4-305-60069-1
• 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり 10 浮舟うきふね、蜻蛉とんぼ、手て習、夢ゆめ浮橋うきはし』笠間かさま書院しょいん 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）11月 ISBN 978-4-305-60070-7

参考さんこう文献ぶんけん

• 池田いけだ和臣かずおみ「飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたりの本文ほんぶん-帚木・空蝉うつせみ・夕顔ゆうがお」中央大学ちゅうおうだいがく文学部ぶんがくぶ 編へん『中央大学ちゅうおうだいがく文学部ぶんがくぶ紀要きよう』第だい219号ごう、2008年ねん（平成へいせい20年ねん）2月がつ、pp.. 1-40。
• 池田いけだ和臣かずおみ「桐きり壺つぼ巻まき「未央柳びようやなぎ」に見みせ消けちのある写本しゃほん　春敬はるよし記念きねん文庫ぶんこ蔵ぞう源氏物語げんじものがたり桐きり壺つぼ巻まきについて」古代こだい中世ちゅうせい文学ぶんがく論考ろんこう刊行かんこう会かい編へん『古代こだい中世ちゅうせい文学ぶんがく論考ろんこう 第だい21集しゅう』新しん典てん社しゃ、2008年ねん（平成へいせい20年ねん）5月がつ、pp.. 137-203。 ISBN 978-4-7879-3521-2

外部がいぶリンク

• 笠間かさま書院しょいん 『飯島いいじま本ほん源氏物語げんじものがたり　全ぜん10巻かん』パンフレット