無印むじるし源氏げんじ

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無印むじるし源氏げんじ（むじるしげんじ）とは、源氏物語げんじものがたりの版本はんぽんのうち、単たんに「源氏物語げんじものがたり」とだけ題だいしている固有こゆうの表題ひょうだいを持もたないものをいう。

概要がいよう[編集へんしゅう]

江戸えど時代じだいに入はいってから始はじまった版本はんぽんによる源氏物語げんじものがたりの出版しゅっぱんにより、それまでとは比くらべものにならない数量すうりょうの「源氏物語げんじものがたりの本ほん」が裕福ゆうふくな庶民しょみんにまで普及ふきゅうすることになった。当初とうしょこれらの版本はんぽんは源氏物語げんじものがたりの本文ほんぶんのみを内容ないようとしていたが、次第しだいに注釈ちゅうしゃくや挿絵さしえ、全体ぜんたいのあらすじを簡単かんたんに示しめした梗概こうがい、源氏物語げんじものがたりの年とし立りつ、系図けいず、さらには源氏物語げんじものがたりの補作ほさくである山路やまじの露ろや雲くも隠かくれ六ろく帖じょうといったものまでを含ふくむものが現あらわれ、読よみやすさ、わかりやすさや内容ないようの豊ゆたかさを競きそい合あうようになっていった。それとともに、他たの刊本かんぽんと区別くべつするために表題ひょうだいも「絵え入にゅう源氏物語げんじものがたり」、「首くび書しょ源氏物語げんじものがたり」、「源氏物語げんじものがたり湖みずうみ月がつ抄しょう」といった固有こゆうの表題ひょうだいを持もつものになっていった。このような固有こゆうの表題ひょうだいを持もつ刊本かんぽんが主流しゅりゅうになって以後いごそれ以前いぜんに刊行かんこうされた「伝でん嵯峨さが本ほん源氏物語げんじものがたり」や「元もと和本わほん源氏物語げんじものがたり」のような単たんに「源氏物語げんじものがたり」とのみ題だいしてある版本はんぽんを「無印むじるし源氏げんじ」と呼よぶようになった。

古こ活字かつじ本ほんや整せい版本はんぽんで数種類すうしゅるいの「無印むじるし源氏げんじ」の存在そんざいが確認かくにんされている。無印むじるし源げん氏しには、跋文ばつぶんも無ない（「無む跋ばつ」）あるいは刊かん記きも無ない（「無む刊かん記き」）ことが多おおいため、特とくに印刷いんさつのたび活字かつじを組くみ直なおすため印刷いんさつ結果けっかが異ことなってしまう古こ活字かつじ版ばんについてはどれだけの版はんが存在そんざいするのか不明ふめいな点てんも多おおい。また源氏物語げんじものがたりのような複数ふくすう冊さつからなる作品さくひんの場合ばあいにはひと組くみの刊本かんぽんの中なかに本来ほんらい別べつの刊本かんぽんであったものの一部いちぶが混まじり込こんでしまっている場合ばあいもあり、問題もんだいをより複雑ふくざつにしている。