王おう志こころざし (明あきら)

王おう 志こころざし（おう し、生年せいねん不ふ詳しょう - 洪ひろし武たけ19年ねん8月がつ16日にち（1386年ねん9月9日にち））は、元もと末すえ明あきら初はつの軍人ぐんじん。本ほん貫ぬきは濠ほり州しゅう鍾離県けん。

生涯しょうがい

郷里きょうりの兵へいを率ひきいて濠ほり州しゅうで朱しゅ元もと璋あきらに帰順きじゅんし、滁州・和かず州しゅうを下くだした。朱しゅ元もと璋あきらに従したがって長江ながえを渡わたり、たびたび軍ぐんの先頭せんとうに立たって敵陣てきじんを攻略こうりゃくし、身みを矢や石せきにさらした。右みぎ副ふく元帥げんすいに任にんじられた。朱しゅ元もと璋あきらに従したがって常つね州しゅう・寧やすし国こく・江こう陰かげを奪取だっしゅした。宜興いいしんを奪回だっかいし、高こう郵を攻せめ、九きゅう江えを撃うった。黄梅おうばいを下くだし、鄱陽湖みずうみの戦たたかいで殲滅せんめつ戦せんをおこなった。武たけ昌あきらの平定へいていに従したがい、南京なんきんに帰かえると、廬いおり州しゅうを攻せめ落おとし、張ちょう士し誠まことの兵へいを破やぶって、40里りにわたって追撃ついげきした。親おや軍ぐん衛まもる指揮しき使しとして六ろく安やすを守まもった。

洪ひろし武たけ元年がんねん（1368年ねん）、洪ひろし武たけ帝みかど（朱しゅ元もと璋あきら）に従したがって汴梁に赴おもむいた。黄河こうがを渡わたり、懐ふところ慶けい・沢さわ州しゅう・潞州を奪取だっしゅし、平たいら陽ように留守るすした。大将軍だいしょうぐんの徐じょ達いたるが西にし征せいすると、王おう志こころざしは軍ぐんを合流ごうりゅうさせて興きょう元もとを攻せめ落おとした。洪ひろし武ぶ3年ねん（1370年ねん）、同どう知ち都と督とく府ふ事ごとに進すすみ、六ろく安やす侯こうに封ふうじられ、世よ券けんを与あたえられた。漢かん中ちゅうに移駐いちゅうし、兵へいを率ひきいてチャガン・ノール塞ふさがに進出しんしゅつし、帰還きかんして平ひら陽ひに駐屯ちゅうとんした。再ふたたび徐じょ達いたるに従したがってゴビ砂漠ごびさばくに北きた伐きした。その後ごは西南せいなんに転戦てんせんし、偏へん将軍しょうぐんとして従軍じゅうぐんした。目立めだった功績こうせきはなかったものの、慎重しんちょうに軍ぐんを行動こうどうさせて、敗戦はいせんすることはなかった。合ごう肥こえを攻せめるにあたって、楼ろう児じ張はりを破やぶり、呉ご副使ふくしを捕とらえ、その戦功せんこうは第だい一いちであった。山西さんせい都と司つかさ衛まもる所しょ軍務ぐんむをつとめ、洪ひろし武たけ帝みかどは王おう志しの処置しょちについて時宜じぎを得えたものと讃たたえた。洪ひろし武ぶ16年ねん（1383年ねん）、王おう志こころざしは兵へいを率ひきいて雲南うんなん品しな甸に赴おもむいた。城しろ池ちを修繕しゅうぜんし、屯たむろ堡を立たて、駅伝えきでんを置おき、現地げんちの民みんを安やす撫ぶした。

洪ひろし武ぶ19年ねん8月がつ己おのれ亥い（1386年ねん9月がつ9日にち）、死去しきょした。許もと国こく公おおやけに追つい封ふうされた。諡おくりなは襄じょう簡といった。後のちに胡えびす惟おもんみ庸いさおの党とうとされたが、すでに死去しきょしていたことから罪つみに問とわれなかった。

子女しじょ

• 王おう威たけし - 洪ひろし武ぶ22年ねん（1389年ねん）に六ろく安やす侯こうの爵位しゃくいを嗣ついだ。翌年よくねん、事件じけんに連座れんざして安やす南みなみ衛まもる指揮しき使しに左遷させんされ、死去しきょした。子こはなかった。
• 王おう琙 - 兄あにの後のちを嗣ついだ。清きよし平たいら衛まもる指揮しき使しに転てんじ、その地位ちいを世襲せしゅうした。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『明あかり史し』巻まき131 列伝れつでん第だい19