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硫化りゅうか亜鉛あえん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
硫化りゅうか亜鉛あえん
閃亜鉛鉱構造
ひだりは閃亜鉛あえんこう構造こうぞうみぎはウルツこう構造こうぞう
IUPACめい 硫化りゅうか亜鉛あえん
組成そせいしき ZnS
しきりょう 97.48 g/mol
形状けいじょう 白色はくしょくから黄色おうしょく結晶けっしょうまたは粉末ふんまつ
CAS登録とうろく番号ばんごう 1314-98-3
密度みつどそう 4.0 g/cm3, 固体こたい
融点ゆうてん 1718 °C (1991 K)
沸点ふってん 1180 °C(昇華しょうか
出典しゅってん ICSC

硫化りゅうか亜鉛あえん(りゅうかあえん、Zinc sulfide)は組成そせいしき ZnS であらわされる共有きょうゆう結合けつごうせい化合かごうぶつで、しろまたは黄色おうしょく粉末ふんまつまたは結晶けっしょうである。普通ふつうはより安定あんてい立方りっぽうあきらけいがたとして存在そんざいし、これは亜鉛あえんこうとして産出さんしゅつする。六方ろっぽうあきらけいがた合成ごうせいによってられるが、ウルツこうとしても天然てんねん存在そんざいする。閃亜鉛あえんこうとウルツこうはそれぞれ固有こゆうおおきなバンドギャップ半導体はんどうたいである。300 ケルビンにおけるバンドギャップのは、ウルツこうが3.91電子でんしボルト、閃亜鉛あえんこうが3.54電子でんしボルトである。

亜鉛あえんこうがたからウルツこうがたへの結晶けっしょう構造こうぞう転移てんいやく1293ケルビンでこる。閃亜鉛あえんこうがた ZnS の融点ゆうてんは1991ケルビンで、その298ケルビンにおける標準ひょうじゅん生成せいせいエンタルピーは −204.6 KJ/mol である。

製法せいほう

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硫黄いおう亜鉛あえん直接ちょくせつ化合かごう、または亜鉛あえんイオンをふく水溶液すいようえき硫化りゅうか水素すいそむことで生成せいせいする。

用途ようと

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初期しょき原子げんし物理ぶつりがくにおいてアーネスト・ラザフォードらはシンチレーターとして硫化りゅうか亜鉛あえんもちいた。これは硫化りゅうか亜鉛あえんアルファ線あるふぁせんやXせん電子でんしせんなどといった放射線ほうしゃせんによって励起れいきされたさい発光はっこうするという性質せいしつ利用りようしたもので、Xせんぞうかんざいや(陰極線いんきょくせん=電子でんしせんもちいる)ブラウン管ぶらうんかん材料ざいりょうとしても有用ゆうようであった。不純物ふじゅんぶつ存在そんざいすると燐光りんこうつようになり、青色あおいろこうまたは紫外線しがいせんはっする。

ラザフォードらはとくに硫化りゅうか亜鉛あえんアルファ線あるふぁせん測定そくていようのシンチレータとして利用りようした。もっとも、当時とうじ技術ぎじゅつでは自動じどう計測けいそくむずかしかったため硫化りゅうか亜鉛あえん粉末ふんまつもちい、暗室あんしつにて目測もくそく発光はっこうかぞアルファ線あるふぁせんかずかぞえていたが、測定そくていしゃ集中しゅうちゅうりょくなどの問題もんだいもありあまり活用かつようできなかった。しかしながらアルファ線あるふぁせん物質ぶっしつ照射しょうしゃするラザフォード散乱さんらん実験じっけん応用おうようし、原子核げんしかく存在そんざい証明しょうめいした[1]。なおアルファ線あるふぁせん検出けんしゅつよう素子そしとしてはいまだに有用ゆうようである。

かずppm程度ていど活性かっせいざい添加てんかして発光はっこうたいとしてもちいられ、ブラウン管ぶらうんかん、Xせんスクリーンやくらところひか部品ぶひん蓄光ざい)などおおくの用途ようとつ。ぎん活性かっせいざいとして使つかわれた場合ばあいはっするひかり最長さいちょう波長はちょう450ナノメートルのあかるいあおに、マンガン場合ばあい黄色おうしょくになる。どう場合ばあい発光はっこう時間じかんながい、蓄光ざいとしてられる緑色みどりいろっぽいいろになる。どうドーピングした硫化りゅうか亜鉛あえん (ZnS:Cu) はエレクトロルミネセンスパネルなどにももちいられる。ZnS半導体はんどうたい一時期いちじき青色あおいろ発光はっこうダイオード有力ゆうりょく候補こうほとなったときもあった。

あかがいこうよう光学こうがく素子そしとしても使つかわれ、可視かしこうから12マイクロメートル以上いじょう波長はちょう透過とうかする。平面へいめんじょう光学こうがくまどレンズかたち使用しようされる。商標しょうひょうめいとしてCleartranやIrtran-2などがある。

ドーピングによりNがた半導体はんどうたいPがた半導体はんどうたい両方りょうほうとして使用しようすることができるが、これはII-VIぞく半導体はんどうたいとしてはめずらしい性質せいしつである。

脚注きゃくちゅう出典しゅってん

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  1. ^ 三浦みうらいさおかん浩一こういち俣野またの恒夫つねお、『放射線ほうしゃせん計測けいそくがくだい4はん』、はなぼう、〈物理ぶつりがく選書せんしょ7〉、昭和しょうわ40ねん7がつ5にち、2ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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