ジョン・モンタギュー (第だい4代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃく)

グレートブリテン王国おうこくの政治せいじ家か 第だい4代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃく ジョン・モンタギュー John Montagu 4th Earl of Sandwich
ヨハン・ゾファニー画が
生年月日せいねんがっぴ	1718年ねん11月13日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(1792-04-30) 1792年ねん4月がつ30日にち（73歳さい没ぼつ）
死没しぼつ地ち	グレートブリテン王国おうこく・イングランド・チジック
出身しゅっしん校こう	ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくトリニティ・カレッジ
称号しょうごう	第だい4代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃく、第だい4代だいヒンチンブルック子爵ししゃく、セント・ニーアッツの第だい4代だいモンタギュー男爵だんしゃく、陸軍りくぐん大将たいしょう、枢密すうみつ顧問こもん官かん(PC)、王立おうりつ協会きょうかいフェロー(FRS)
北部ほくぶ担当たんとう国務大臣こくむだいじん
内閣ないかく	グレンヴィル内閣ないかく ノース卿きょう内閣ないかく
在任ざいにん期間きかん	1763年ねん9月9日にち - 1765年ねん7月がつ10日とおか 1770年ねん12月19日にち - 1771年ねん1月がつ12日にち
海軍かいぐん大臣だいじん
内閣ないかく	ペラム内閣ないかく ビュート伯爵はくしゃく内閣ないかく ノース卿きょう内閣ないかく
在任ざいにん期間きかん	1748年ねん - 1751年ねん 1763年ねん 1771年ねん - 1782年ねん
郵政ゆうせい長官ちょうかん
内閣ないかく	グラフトン公こう内閣ないかく - ノース卿きょう内閣ないかく
在任ざいにん期間きかん	1768年ねん - 1771年ねん
貴族きぞく院いん議員ぎいん
在任ざいにん期間きかん	1739年ねん - 1792年ねん4月がつ30日にち

第だい4代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃくジョン・モンタギュー（英えい: John Montagu, 4th Earl of Sandwich, PC, FRS, 1718年ねん11月13日にち - 1792年ねん4月がつ30日にち）は、イギリスの貴族きぞく・政治せいじ家か。海軍かいぐん大臣だいじんや北部ほくぶ担当たんとう国務大臣こくむだいじんなどの閣僚かくりょう職しょくを務つとめた一方いっぽうでジェームズ・クックの太平洋たいへいよう探検たんけん航海こうかいの有力ゆうりょくな支持しじ者しゃの1人ひとりとして活動かつどう、音楽家おんがくかのパトロンにもなった。料理りょうりの「サンドウィッチ」の由来ゆらいとされる人物じんぶつとして知しられる。

略歴りゃくれき

第だい4代だいサンドウィッチ伯はくジョン・モンタギュー（トマス・ゲインズバラ画が、1783年ねん）

1718年ねん11月13日にちにサンドウィッチ伯爵はくしゃくモンタギュー家かの法定ほうてい推定すいてい相続そうぞく人じんとしてヒッチンブルック子爵ししゃくの儀礼ぎれい称号しょうごうを有ゆうするエドワード・モンタギューとその妻つまエリザベス・モンタギュー（旧姓きゅうせいポパム、Elizabeth Popham）の間あいだの次男じなんとして生うまれる。兄あににエドワードがあったが、早世そうせいしている。

1722年ねん10月3日にちに父ちちエドワードが爵位しゃくいを相続そうぞくする前まえに急死きゅうししたため、代かわってサンドウィッチ伯爵はくしゃく家かの法定ほうてい推定すいてい相続そうぞく人じんとなり、ヒンチンブルック子爵ししゃくの儀礼ぎれい称号しょうごうを称しょうすることになった。そして1729年ねん10月がつ20日はつかに10歳さいで祖父そふの第だい3代だいサンドウィッチ伯はくエドワード・モンタギューから爵位しゃくいを継ついだ。イートン校こうを経へてケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくのトリニティ・カレッジで学まなんだ後のち、しばらく諸国しょこくを遊学ゆうがくした。1739年ねんに帰国きこく後ご、貴族きぞく院いん議員ぎいんとなり、第だい4代だいベッドフォード公爵こうしゃくジョン・ラッセルの支持しじ者しゃとなった。ほどなくして海軍かいぐん大臣だいじんとなった公爵こうしゃくの下したでアドミラルティ・ボード（Admiralty Board）のコミッショナーに就任しゅうにんし、陸軍りくぐん大佐たいさにも任にんぜられた。

1746年ねん、全権ぜんけん大使たいしとしてブレダ会議かいぎに派遣はけんされ、オーストリア継承けいしょう戦争せんそうの講和こうわ条約じょうやくであるアーヘンの和わ約やくの締結ていけつに至いたるまで和平わへい交渉こうしょうに参加さんかした。1748年ねん2月がつから海軍かいぐん大臣だいじんとなり、海軍かいぐんの弊風へいふうの改善かいぜんに努つとめたが、ベッドフォード公こうの支持しじ者しゃであったため、1751年ねん6月がつに首相しゅしょうのヘンリー・ペラムによって辞職じしょくさせられた。

1753年ねん8月がつに北部ほくぶ担当たんとう国務大臣こくむだいじんとなるが、在任ざいにん中ちゅうにウィルクス事件じけんが勃発ぼっぱつする。1763年ねん、急進きゅうしん的てきな煽動せんどう政治せいじ家かのホイッグ党とう員いんジョン・ウィルクスが、自みずから発行はっこうしたザ・ノース・ブリトン紙しの第だい45号ごうで、ジョージ3世せいを攻撃こうげきすると共ともに閣僚かくりょうの地獄じごくの火ひクラブスキャンダルを暴露ばくろした。ジョージ3世せいは激怒げきどし、地獄じごくの火ひクラブの中心ちゅうしん人物じんぶつの1人にんでもあったサンドウィッチ伯はくが陣頭じんとうに立たって、名誉めいよ毀損きそんその他た諸々もろもろの罪つみでウィルクスを告訴こくそ・逮捕たいほ投獄とうごくした。これに憤激ふんげきした民衆みんしゅうは「ウィルクスと自由じゆう」「45号ごう」を合あい言葉ことばに、ウィルクスの釈放しゃくほうを求もとめて大だい暴動ぼうどうを起おこした。コヴェント・ガーデン劇場げきじょうで騒動そうどう後ごまもなく上演じょうえんされた、ジョン・ゲイの記録きろく的てきロングラン作品さくひん『乞食こじきオペラ』で、サンドウィッチ伯はくは盗賊とうぞくマクヒースを陥おとしいれる登場とうじょう人物じんぶつの描写びょうしゃによって一連いちれんの行動こうどうを痛烈つうれつに皮肉ひにくられてしまい、おかげで有あり難がたくないイメージが長ながくつきまとうことになった。

事件じけん後ごも閣僚かくりょうの座ざに留とまり1763年ねんに再度さいど海軍かいぐん大臣だいじんに転任てんにんしたが、摂政せっしょう法案ほうあんをめぐってジョージ3世せいに虚偽きょぎの報告ほうこくを行おこなうなどしたことでジョージ3世せいの怒いかりを買かって罷免ひめんされた。

1768年ねんに首相しゅしょうとなった第だい3代だいグラフトン公こうオーガスタス・フィッツロイによって郵政ゆうせい長官ちょうかんに任にんじられた。さらに1770年ねんに北部ほくぶ担当たんとう国務大臣こくむだいじん、翌よく1771年ねんから1782年ねんに3度目どめの海軍かいぐん大臣だいじんを務つとめた。在任ざいにん中ちゅう、汚職おしょくや腐敗ふはい行為こういで海軍かいぐんを弱体じゃくたい化かさせ、アメリカ独立どくりつ戦争せんそう中なかの海軍かいぐん行政ぎょうせい責任せきにん者しゃだったにもかかわらず、1778年ねんにフランス参戦さんせんでフランスとの海上かいじょう戦争せんそうが始はじまった時とき、弾薬だんやく庫こや軍需ぐんじゅ倉庫そうこは空からっぽだったという。

1782年ねん3月がつに海軍かいぐん大臣だいじんを辞じして政界せいかい引退いんたいしたが、この時ときも市民しみんから不人気ふにんきのままで引退いんたいは大おおいに歓迎かんげいされた。

1792年ねん4月がつに死去しきょした。サンドウィッチ伯爵はくしゃく位いは長男ちょうなんのジョン・モンタギューが継承けいしょうした。

サンドイッチ

軽食けいしょくのサンドイッチは第だい4代だいサンドウィッチ伯はくの名なを取とって命名めいめいされたと言いわれる。彼かれが賭博とばく好すきだったことからカード賭博とばくを中断ちゅうだんすることなく続つづけられる食事しょくじとしてサンドイッチを考案こうあんしたという逸話いつわがある。

フランスの歴史れきし家か・旅行りょこう作家さっかピエール＝ジャン・グロレが紹介しょうかいしたことで有名ゆうめいになった逸話いつわであるが、サンドイッチは地獄じごくの火ひクラブを含ふくむ色いろんな場所ばしょで習慣しゅうかんとして食たべられていた。そのためサンドウィッチ伯はくの賭博とばくの話はなしは後世こうせいには創作そうさくではないかともいわれた。

伯爵はくしゃくの伝記でんき作家さっかニコラス・A・M・ロジャーは「海軍かいぐん、政治せいじ、芸術げいじゅつと大忙おおいそがしだったために、サンドイッチは賭博とばく台だいよりは執務しつむの最中さいちゅうに仕事しごと机つくえで食しょくされただろう」としている。

サンドウィッチ諸島しょとう

サンドウィッチ伯はくはジェームズ・クック（キャプテン・クック）の太平洋たいへいよう探検たんけんの有力ゆうりょくな支持しじ者しゃで、探検たんけん隊たいの帆船はんせん（エンデバー号ごう、レゾリューション号ごう、アドベンチャー号ごう、ディスカバリー号ごう）の購入こうにゅうと艤装ぎそう（ぎそう）には海軍かいぐん本部ほんぶの予算よさんが充あてられた。クックは伯爵はくしゃくにちなんで、1778年ねんに発見はっけんした今日きょうのハワイ諸島しょとうをサンドウィッチ諸島しょとうと命名めいめいした。サウスサンドウィッチ諸島しょとうとアラスカのモンタギュー島とうにも伯爵はくしゃくの名前なまえが残のこっている。

音楽おんがく

海軍かいぐんから引退いんたいした後のち、伯爵はくしゃくは音楽おんがくに精力せいりょくを傾かたむけ、「エンシェント音楽おんがく」（伯爵はくしゃくの定義ていぎによる20年ねん以上いじょう前まえの「古ふるい」音楽おんがく）の有力ゆうりょくな擁護ようご者しゃとなった。イタリアのバイオリン奏者そうしゃフェリーチェ・ジャルディーニのパトロンにもなり、「エンシェントな」および現代げんだい的てきなキャッチ（輪唱りんしょう）、グリー、マドリガルをプロの歌手かしゅが歌うたう「キャッチクラブ」を創設そうせつした。ヘンデルのオラトリオ、マスク（仮面かめん劇げき）、オードの演奏えんそう会かいを私邸していで催もよおし、カノン風ふうのエンシェントな曲目きょくもくの演奏えんそうを広ひろく紹介しょうかいするための、エンシェント音楽おんがくのコンサートの開催かいさいにも尽力じんりょくした。

栄典えいてん

爵位しゃくい

1729年ねん10月がつ20日はつかの祖父そふエドワード・モンタギューの死去しきょにより以下いかの爵位しゃくいを継承けいしょうした。

• 第だい4代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃく (4th Earl of Sandwich)

  (1660年ねん7月がつ12日にちの勅許ちょっきょ状じょうによるイングランド貴族きぞく爵位しゃくい)

• 第だい4代だいヒンチンブルック子爵ししゃく (4th Viscount Hinchingbrooke)

  (1660年ねん7月がつ12日にちの勅許ちょっきょ状じょうによるイングランド貴族きぞく爵位しゃくい)

• ハンティンドン州しゅうにおけるセント・ニーアッツの第だい4代だいモンタギュー男爵だんしゃく (4th Baron Montagu of St Neots in the County of Huntingdon)

  (1660年ねん7月がつ12日にちの勅許ちょっきょ状じょうによるイングランド貴族きぞく爵位しゃくい)

陸軍りくぐん階級かいきゅう

• 1745年ねん、陸軍りくぐん大佐たいさ(Colnel)
• 1755年ねん、陸軍りくぐん少将しょうしょう(Major general)
• 1759年ねん、陸軍りくぐん中将ちゅうじょう(Lieutenant general)
• 1772年ねん、陸軍りくぐん大将たいしょう(General)

その他た

• 1749年ねん2月がつ、枢密すうみつ顧問こもん官かん(Privy Counsellor (P.C.))

家族かぞく

1741年ねん3月がつ3日にち、初代しょだいフェイン子爵ししゃくチャールズ・フェインの娘むすめドロシー(1717-1797)と結婚けっこん。彼女かのじょとの間あいだに以下いかの三男さんなん一いち女じょを儲もうけた。

• ジョン・モンタギュー（1744年ねん1月がつ26日にち – 1814年ねん6月がつ6日にち） - 第だい5代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃく位いを継承けいしょう
• エドワード・モンタギュー（1744年ねん6月がつ30日にち – 1752年ねん） - 生涯しょうがい未婚みこん
• メアリー・モンタギュー（1747年ねん2月がつ23日にち – 1761年ねん） - 生涯しょうがい未婚みこん
• ウィリアム・オーガスタス・モンタギュー（1752年ねん2月がつ12日にち洗礼せんれい – 1776年ねん1月がつ14日にち） - 庶民しょみん院いん議員ぎいん、生涯しょうがい未婚みこん

しかしドロシーは健康けんこうを害がいし発狂はっきょうした。サンドウィッチ伯はくはオペラ歌手かしゅマーサ・レイ(1746-1779)と16年間ねんかんの幸福こうふくな愛人あいじん関係かんけいを過すごし、婚姻こんいん関係かんけいにない彼女かのじょとの間あいだに以下いかの非ひ嫡出ちゃくしゅつ子こを儲もうけた。彼女かのじょとの間あいの子こは非ひ嫡出ちゃくしゅつ子こなので男子だんしであっても爵位しゃくい継承けいしょう資格しかくはない。

• ロバート・モンタギュー（1830年ねん11月27日にち没ぼつ） - 海軍かいぐん大将たいしょう
• バジル・モンタギュー（1770年ねん4月がつ24日にち – 1851年ねん11月27日にち） - 法学ほうがく者しゃ・法廷ほうてい弁護士べんごし、作家さっか
• ジョン・モンタギュー（1773年ねん8月がつ28日にち – ?） - 海軍かいぐん軍人ぐんじん
• オーガスタ - 1789年ねん10月がつ24日にち、ヘンリー・スピード（1766年ねん7月がつ25日にち – 1820年ねん）と結婚けっこん、子供こどもあり

しかし1779年ねん4月がつにマーサ・レイは嫉妬しっとに狂くるった恋人こいびとジェームズ・ハックマンにコヴェント・ガーデン劇場げきじょうの階段かいだんで射殺しゃさつされてしまった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 松村まつむら赳たけし、富田とみた虎男とらお『英えい米べい史し辞典じてん』研究けんきゅう社しゃ、2000年ねん。ISBN 978-4767430478。 
• N. A. M. Rodger, The Insatiable Earl: A Life of John Montagu, Fourth Earl of Sandwich（London: Harper Collins, 1993）
•  この記事きじにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく内うちで著作ちょさく権けんが消滅しょうめつした次つぎの百科ひゃっか事典じてん本文ほんぶんを含ふくむ: Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Sandwich, John Montagu, 4th Earl of". Encyclopædia Britannica (英語えいご). Vol. 24 (11th ed.). Cambridge University Press.

関連かんれん項目こうもく

• ベレロフォン (戦列せんれつ艦かん)
• ジョゼフ・バンクス
• サンドイッチ

外部がいぶリンク

• ジョン・モンタギュー - ナショナル・ポートレート・ギャラリー （英語えいご）
• ジョン・モンタギューの著作ちょさく - インターネットアーカイブ内うちのOpen Library（英語えいご）
• "ジョン・モンタギューの関連かんれん資料しりょう一覧いちらん" (英語えいご). イギリス国立こくりつ公文書こうぶんしょ館かん.
• Montague family history page
• Guide to the papers of Lord Sandwich, 1718–1792 held and digitised by the National Library of Australia
• Smithsonian Magazine Article on the Earl's Love Triangle
• Sandwich and other eponymous products @ Ward’s Book of Days

公職こうしょく
先代せんだい 第だい4代だいベッドフォード公爵こうしゃく	海軍かいぐん大臣だいじん 1748年ねん - 1751年ねん	次代じだい アンソン男爵だんしゃく
先代せんだい ジョージ・グレンヴィル	海軍かいぐん大臣だいじん 1763年ねん	次代じだい 第だい2代だいエグモント伯爵はくしゃく（英語えいご版ばん）
先代せんだい 第だい2代だいハリファックス伯爵はくしゃく	北部ほくぶ担当たんとう国務大臣こくむだいじん 1763年ねん - 1765年ねん	次代じだい 第だい3代だいグラフトン公爵こうしゃく
先代せんだい 第だい4代だいロッチフォード伯爵はくしゃく	北部ほくぶ担当たんとう国務大臣こくむだいじん 1770年ねん - 1771年ねん	次代じだい 第だい2代だいエグモント伯爵はくしゃく
先代せんだい サー・エドワード・ホーク	海軍かいぐん大臣だいじん 1771年ねん - 1782年ねん	次代じだい 初代しょだいケッペル子爵ししゃく
名誉めいよ職しょく
先代せんだい 第だい3代だいクイーンズベリー公爵こうしゃく	最さい先任せんにん枢密すうみつ顧問こもん官かん 1778年ねん - 1792年ねん	次代じだい 初代しょだいダウンシャー侯爵こうしゃく
イングランドの爵位しゃくい
先代せんだい エドワード・モンタギュー	第だい4代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃく 1729年ねん - 1792年ねん	次代じだい ジョン・モンタギュー