米穀店べいこくてん

米べい屋や

知事ちじ許可きょか販売はんばい店てんのマークを掲かかげた米べい屋や

米穀店べいこくてん（べいこくてん）は、米べいを中心ちゅうしんに穀物こくもつを販売はんばいする店みせ。一般いっぱん的てきには米べい屋や（こめや）と言いわれる。

主おもに農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい（農協のうきょう）から卸おろされる米こめを販売はんばいするのが基本きほんだが、近年きんねんは農家のうかから直接ちょくせつ仕入しいれた米こめを販売はんばいしている米べい屋やもある。

業務ぎょうむ用ようの米こめと家庭かてい用ようの米べいの販売はんばい比率ひりつは店みせによりかなり異ことなる。若わかい人ひとが経営けいえいする米べい屋やでは、店頭てんとう精米せいまいを行おこなったり特徴とくちょうのある米こめも販売はんばいして一般いっぱん家庭かてい客きゃくを引ひき留とめたり新規しんき開拓かいたくする店みせも少すこしづつ増ふえている。

冬ふゆの時期じきには、米べいから作つくられる餅もちも販売はんばいされ、年末ねんまつ時期じきには自家製じかせいの餅もちを賃餅ちんもち（ちんもち）（ちん餅もち）という名なで売うる米べい屋やも多おおかったが、切きり餅もちや鏡餅かがみもちのパック入いりのものの流通りゅうつう量りょうが増ふえるにつれ、そちらを売うる店舗てんぽが主流しゅりゅうになっている。

業界ぎょうかい団体だんたいとして日本にっぽん米穀べいこく商しょう連合れんごう会かいがある。

なお、農村のうそん付近ふきんでは鎌かまや肥料ひりょうなどの農具のうぐや灯油とうゆ、液化えきか石油せきゆガス(LPG)などの燃料ねんりょう、郵便ゆうびん切手きって類るい、印紙いんし、清涼飲料水せいりょういんりょうすいを扱あつかう店みせもある。

歴史れきし

江戸えど時代じだい

江戸えど時代じだいには米べい搗屋（こめつきや）がいて、杵きねを担かつぎ臼うすを転ころがしながら市中しちゅうを歩あるき客きゃくを探さがし、客きゃくに呼よび止とめられると玄関げんかん先さきや庭にわや道端みちばたに臼うすを置おいて米こめをつき精米せいまいしたという。米べい搗屋の食事しょくじは主おもに客きゃくが提供ていきょうし、こめつきの仕事しごとは重労働じゅうろうどうなので普通ふつうの2倍ばい以上いじょうも食たべ、魚さかななども提供ていきょうされたという。米搗こめつき屋やはやがて店みせを構かまえる舂米つきよね屋やにとって代かわられ江戸えど末期まっきには姿すがたを消けした。

舂米つきよね屋やは、米べい問屋とんやや札差ふださしが経営けいえいした米べい屋やで、玄米げんまいを精米せいまいして販売はんばい。店先みせさきの桶おけに各地かくちの米こめを入いれて並ならべ、使用人しようにんを使つかい商売しょうばいをした。唐臼からうすの腕木うできの端はしに足あしを乗のせその先さきの杵きねで米こめをついて精米せいまいして販売はんばいした。

「米べい問屋とんや」も参照さんしょう

明治めいじ時代じだい

江戸えど時代じだいまでは米べい屋やは領主りょうしゅから米こめを買かい取とっていたが、明治めいじ時代じだいに幕まく藩はん体制たいせいがなくなったことや地租ちそ改正かいせいにより、各かく集落しゅうらくをまわり米まいを買かい集あつめる買かい子こ、および買かい子こが集あつめた米こめを買かい取とる仲買人なかがいにんが生うまれた。米べい屋やは仲買人なかがいにんから米こめを仕入しいれて売うるようになった。玄米げんまいを精米せいまいして売うることに変かわりはなかったが、精米せいまいは足踏あしぶみ式しきから電動でんどう式しきに変化へんかした。

大正たいしょう時代じだい

大正たいしょう時代じだいには米価べいかの変動へんどうが激はげしくなり、政府せいふは1912年ねん(大正たいしょう10年ねん)に米穀べいこく法ほうを制定せいていし、米べいの買かい入いれ・売うれ渡わたり・交換こうかんにより統制とうせいを開始かいしした。

昭和しょうわ時代じだい

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうとその後ごの食糧難しょくりょうなんへの対策たいさくとして食糧しょくりょう管理かんり制度せいどが敷しかれ、米べいの小売こうりは配給はいきゅう制せいとなった。戦後せんごは農協のうきょうが集荷しゅうかして食糧庁しょくりょうちょうに売うり渡わたし、それを食糧しょくりょう配給はいきゅう公団こうだんを通とおして配給はいきゅうするという仕組しくみである。1951年ねんに配給はいきゅう公団こうだんは解散かいさんし、代かわりに都道府県とどうふけん知事ちじの登録とうろくを受うけた販売はんばい業者ぎょうしゃがその任にんにあたった。配給はいきゅう制せいは次第しだいに有名ゆうめい無実むじつ化かされ、1982年ねんには小売こうり業者ぎょうしゃは都道府県とどうふけん知事ちじによる許可きょか制せいとなった。1995年ねん施行しこうの食糧しょくりょう法ほうで登録とうろく制せいになったことで、米穀店べいこくてん以外いがいにもコンビニなど多様たような小売こうり業者ぎょうしゃが米べいの販売はんばいに参入さんにゅうすることになった。さらに2004年ねんには届出とどけで制せいへと緩和かんわされている。

1990年ねん頃ごろは全国ぜんこくで約やく10万まん店てんだったが、2022年ねん時点じてんで約やく4万まん店てんまで減少げんしょうした。次つぎのことが米べい屋や減少げんしょうの要因よういんと考かんがえられる。
・日本人にっぽんじんの食生活しょくせいかつの変化へんか - 白米はくまい以外いがいの食材しょくざいを食たべることが増ふえ外食がいしょくも増ふえたことで家庭かていでの米べいの消費しょうひ量りょうおよび米べい屋やでの購入こうにゅう量りょうが減少げんしょう。
・米べいの小売こうりの変化へんか - スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどが米べいの販売はんばいにも力ちからを入いれるようになった。
・後継こうけい者しゃ不足ふそく - 経営けいえい者しゃの高齢こうれい化かや後継こうけい者しゃ不足ふそくにより廃業はいぎょうや休業きゅうぎょうする米べい屋やが増加ぞうか。
米こめを購入こうにゅうする人ひとは、現在げんざいではスーパーマーケットなどで買かうという人ひとが多おおく、そのほかにも産直さんちょく通販つうはんで農家のうかから直接ちょくせつ買かう人ひとやふるさと納税のうぜいで農家のうかから直接ちょくせつ手しゅに入いれる人ひとがいる。米べい屋やから買かわなかった人ひとに尋たずねると、「そもそも米べい屋やで買かうという発想はっそうが無なかった」という人ひとや「敷居しきいが高たかい」「コミュニケーションをして買かうのが面倒めんどう」という人ひとが増ふえている。

関連かんれん項目こうもく

• 米穀べいこく
• 米べい問屋とんや