細川ほそかわ内膳ないぜん家か

細川ほそかわ内膳ないぜん家か
本姓ほんせい	清和せいわ源はじめ氏し細川ほそかわ氏し庶流
家いえ祖そ	長岡ながおか休きゅう無な（細川ほそかわ忠ただし隆たかし）
種別しゅべつ	武家ぶけ 士族しぞく 華族かぞく（男爵だんしゃく）
主おもな根拠地こんきょち	肥後ひご国こく熊本くまもと藩はん 神奈川かながわ県けん鎌倉かまくら町まち
凡例はんれい / Category:日本にっぽんの氏族しぞく

細川ほそかわ内膳ないぜん家か（ほそかわないぜんけ）は、清和せいわ源はじめ氏し細川ほそかわ氏しの庶流にあたる武家ぶけ・士族しぞく・華族かぞくだった家いえ。細川ほそかわ忠興ただおきの長男ちょうなん忠ちゅう隆たかしを祖そとし、江戸えど時代じだいには長岡ながおかを称しょうして熊本くまもと藩はんの一門いちもん家臣かしんとなり、維新いしん後のちには細川ほそかわに復姓ふくせいし士族しぞくを経へて華族かぞくの男爵だんしゃく家いえに列れつした。

歴史れきし

細川ほそかわ忠興ただおきの長男ちょうなん忠ちゅう隆たかしの子孫しそんにあたる。忠ちゅう隆たかしは関ケ原せきがはらの戦たたかいの時ときに死しを選えらんだ母ははガラシャを見捨みすてて脱出だっしゅつした妻つまの千せん世せいを擁護ようごしたために怒おこった父ちち忠興ただこうに追放ついほうされて出家しゅっけし長岡ながおか休きゅう無なと称しょうして京都きょうとに住すんだので家督かとくを継つげなかった経緯けいいがあった。その子この長岡ながおか忠ただし恒つね・忠春ただはるは、休きゅう無むの死後しごに藩主はんしゅ細川ほそかわ光ひかり尚なおから肥後ひご熊本くまもとに招まねかれて熊本くまもと藩はん一門いちもん家臣かしん長岡ながおか内膳ないぜん家かとなった。熊本くまもと藩はんでは一門いちもん首座しゅざの地位ちいにあり、6000石せきを知行ちぎょうした。

幕末ばくまつ維新いしん期きの当主とうしゅ長岡ながおか忠顕ただあきは戊辰戦争ぼしんせんそうや西南せいなん戦争せんそうで戦功せんこうを挙あげた。明治めいじ4年ねん（1871年ねん）には細川ほそかわ姓せいに復ふくして細川ほそかわ忠顕ただあきとなった。

維新いしん後ごは当初とうしょ士族しぞくであったが、細川ほそかわ忠ただし穀こくの代だいの明治めいじ15年ねん11月20日にちに旧きゅう主家しゅかの細川ほそかわ護まもる久ひさ侯爵こうしゃくが細川ほそかわ忠ただし穀こくと細川ほそかわ興きょう増ぞう（細川ほそかわ刑部おさかべ家か）の華族かぞく編へん列れつの請願せいがん書しょを提出ていしゅつした。しかし政府せいふは、両りょう細川ほそかわ家かについて特とくに西南せいなん戦争せんそうにおける勲功くんこうが多おおい家いえであるものの、それは旧きゅう佐賀さが藩はん一門いちもん・家老がろうだった鍋島なべしま・諫早いさはや諸家しょかも同おなじであるから結局けっきょく「容易よういに御沙汰ごさたに及およばれざる方ほう然しかるべき哉」としてこの段階だんかいでは不ふ許可きょかとした。『授爵じゅしゃく録ろく』（明治めいじ二に十じゅう一いち年ねん～二に十じゅう二に年ねん）によれば、明治めいじ21年ねんにも前回ぜんかいと同おなじく細川ほそかわ護まもる久ひさ侯爵こうしゃくが細川ほそかわ忠ただし穀こくと細川ほそかわ興きょう増ぞうの授爵じゅしゃく請願せいがんを申請しんせいしていることが確認かくにんできるが、やはり不ふ許可きょかとなっている。『授爵じゅしゃく録ろく』（明治めいじ三さん十じゅう一いち年ねん）によると、明治めいじ26年ねんに、またしても細川ほそかわ護まもる久ひさ侯爵こうしゃくが「細川ほそかわ忠ただし穀こく細川ほそかわ興きょう増ぞう族ぞく籍せき之の義ぎ二に付づけ願ねがい」を提出ていしゅつしている。その中なかで、熊本くまもと藩はんの支ささえ藩はん藩主はんしゅだった茂木もき細川ほそかわ家かと宇土うど細川ほそかわ家かを「末すえ家か」と称しょうし、こちらは子爵ししゃくを授さづけられているにもかかわらず、「一門いちもん」だったこの両りょう細川ほそかわ家かは士族しぞくにとどまっている点てん、また熊本くまもと藩はんの家老がろうだった米田よねだ家か、松井まつい家かにも男爵だんしゃく授爵じゅしゃくがあった点てんを指摘してきし、両りょう細川ほそかわ家かにも授爵じゅしゃくがあるよう請願せいがんしたが、この時点じてんでも不ふ許可きょかになっている。

明治めいじ30年ねん10月がつ27日にちに至いたって、叙爵じょしゃく請願せいがんでセットで扱あつかわれてきた細川ほそかわ刑部おさかべ家かの興きょう増ぞうが一足早ひとあしはやく華族かぞくの男爵だんしゃくに叙じょせられた。忠ちゅう穀こくも華族かぞくの地位ちいを欲ほっし、授爵じゅしゃく請願せいがん運動うんどうを継続けいぞくした。『授爵じゅしゃく録ろく』（明治めいじ三さん十じゅう一いち年ねん）によれば、明治めいじ31年ねん2月がつ10日にち付づけの当局とうきょくの審査しんさ書類しょるい「華族かぞく編へん列れつノ請願せいがん及詮議せんぎ件けん伺」に伊達だて基はじめ寧やすし、浅野あさの忠ただし、種子島たねがしま守時もりとき、渡辺わたなべ半蔵はんぞうとともに細川ほそかわ忠ただし穀こくの名前なまえも挙あがっている。しかし、先代せんだい忠顕ただあきに幕末ばくまつ維新いしんや西南せいなん戦争せんそうにおける勲功くんこうはあるものの、旧きゅう禄ろくが6000石せきであり1万まん石せきなかったことから却下きゃっかされている。

一いち度どは宮みや内省ないせい爵位しゃくい局きょくにおいて詮議せんぎの対象たいしょう外がいとされながら、『授爵じゅしゃく録ろく』（明治めいじ三さん十じゅう三さん年ねんノ一いち年ねん）によれば、明治めいじ33年ねん3月がつ5日にち付づけで熊本くまもと県知事けんちじ徳久とくひさ恒つね範はんが爵位しゃくい局長きょくちょう代理だいりで皇后こうごう宮みや大夫たいふの香川かがわ敬三けいぞうに宛あてて忠ちゅう穀こくの叙爵じょしゃくを申請しんせいし、同家どうけの幕末ばくまつ維新いしんや西南せいなん戦争せんそうにおける勲功くんこうを列挙れっきょした。この際さいの宮みや内省ないせいの審議しんぎにより旧きゅう万まん石せき以下いか陪臣ばいしんとはいえ、授爵じゅしゃくに値あたいする勲功くんこうを挙あげた家いえと認みとめられて、明治めいじ33年ねん5月がつ9日にち付づけを以もって華族かぞくの男爵だんしゃく家かに列れっせられた。

忠ちゅう穀こく(1852年ねん8月がつ22日にち-1905年ねん8月がつ2日にち)以降いこうは忠雄ただお(1875年ねん12月27日にち-1936年ねん6月がつ5日にち)、忠ちゅう督とく(1902年ねん8月がつ28日にち-1994年ねん2月がつ20日はつか)と続つづいた。3代だい男爵だんしゃく忠ちゅう督とくの代だいの昭和しょうわ前期ぜんきに細川ほそかわ内膳ないぜん男爵だんしゃく家かの住居じゅうきょは神奈川かながわ県けん鎌倉かまくら町まち長谷ながたに原げんノ台だいにあった。

忠ちゅう督とくの跡あとは長男ちょうなん忠幸ただゆき(1925年ねん7月がつ29日にち-1970年ねん11月12日にち)を経へて、その長男ちょうなん和彦かずひこ(1952年ねん5月がつ生せい)が現げん当主とうしゅである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 華族かぞく大鑑たいかん刊行かんこう会かい『華族かぞく大鑑たいかん』日本にっぽん図書としょセンター〈日本人にっぽんじん物ぶつ誌し叢書そうしょ7〉、1990年ねん（平成へいせい2年ねん）。ISBN 978-4820540342。 
• 松田まつだ敬之たかゆき『〈華族かぞく爵位しゃくい〉請願せいがん人名じんめい辞典じてん』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2015年ねん（平成へいせい27年ねん）。ISBN 978-4642014724。 
• 森岡もりおか浩ひろし『日本にっぽん名門めいもん・名家めいか大だい辞典じてん』東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、2012年ねん（平成へいせい24年ねん）。ISBN 978-4490108217。