終おわり活かつ

終おわり活かつ（しゅうかつ）とは「人生じんせいの終おわりのための活動かつどう」の略りゃく。人間にんげんが自みずからの死しを意識いしきして、人生じんせいの最期さいごを迎むかえるための様々さまざまな準備じゅんびや、そこに向むけた人生じんせいの総括そうかつを意味いみする言葉ことばである。

社会しゃかい的てき背景はいけい

日本にっぽんの総そう人口じんこうは、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後こう増ふえて高度こうど経済けいざい成長せいちょうを支ささえてきたが、2010年ねんをピークに減へり始はじめた。これは出生しゅっしょう率りつの低下ていか(少子化しょうしか）によるもので、平均へいきん寿命じゅみょうの延のびに伴ともない高齢こうれい者しゃ(65歳さい以上いじょう)人口じんこうはそれ以降いこうも増ふえ続つづけた。総務そうむ省しょう統計とうけい局きょく^[1]のデータによれば、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終戦しゅうせん直後ちょくごは5%程度ていどであった総そう人口じんこうに占しめる高齢こうれい者しゃの割合わりあいは漸次ぜんじ増加ぞうかし、2035年ねん頃ごろには日本にっぽんの人口じんこうの約やく3の1を占しめるようになると予測よそくされる。日本にっぽんの社会しゃかいは急速きゅうそくに少子しょうし高齢こうれい化かが進すすみ、近ちかい将来しょうらい、団塊だんかいの世代せだいが大挙たいきょして介護かいごを受うけ、そしていずれ鬼籍きせきに入はいる。そのため現代げんだいでは高齢こうれい者しゃの間あいだでは、周囲しゅういに迷惑めいわくをかけずに人生じんせいを終おわるための準備じゅんびする必要ひつよう性せいが増ました。20世紀せいき初頭しょとうのように一いち組くみの夫婦ふうふが多おおい場合ばあいは10人にん近ちかい子こをもうけた時代じだいには、分担ぶんたんして親おやの老後ろうごの世話せわや故人こじんの後始末あとしまつを行おこなうことができた。現代げんだいのように子供こども1人にんまたは子供こどもがいない夫婦ふうふや、未婚みこん者しゃが珍めずらしくない時代じだいには、子供こどもの世代せだいへ大おおきな負担ふたんはかけられない。昭和しょうわ期き以前いぜんに比くらべて地域ちいき社会しゃかいでの人間にんげん関係かんけいも希薄きはくになっており、社会しゃかい現象げんしょうとして“終おわり活かつ”が広ひろがっている。

終おわり活かつの起源きげんと広ひろがり

主おもな事柄ことがらとしては生前せいぜんのうちに自身じしんのための葬儀そうぎや墓はかなどの準備じゅんびや、残のこされた者ものに迷惑めいわくがかからぬよう生前せいぜん整理せいり、残のこされた者ものが自身じしんの財産ざいさんの相続そうぞくを円滑えんかつに進すすめられるための計画けいかくを立たてておくことなどが挙あげられる。これは週刊しゅうかん誌し『週刊しゅうかん朝日あさひ』から生うみ出だされた言葉ことばとされており、同誌どうし元もと副ふく編集へんしゅう長ちょうの佐々木ささき広人ひろとが生うみの親おやとされる^[2]。2009年ねん（平成へいせい21年ねん）に終おわり活かつに関かんする連載れんさいが行おこなわれた時期じき以降いこうから「終おわり活かつ本ほん」などと呼よばれるこれに関かんする書籍しょせきが幾いくつも出版しゅっぱんされるなどといった風潮ふうちょうとともに、世間せけんへこの言葉ことばが広ひろまってきており^[3]、2010年ねんの新語しんご・流行りゅうこう語ご大賞たいしょうにもノミネートされ^[4]、2012年ねんの新語しんご・流行りゅうこう語ご大賞たいしょうでトップテンに選出せんしゅつされた。2012年ねんには北海道ほっかいどうに初はつの終おわり活かつ専門せんもん団体だんたい「エンディング総合そうごう支援しえんサポートの会かい」が発足ほっそくされ、2015年ねん（平成へいせい27年ねん）9月がつに「一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん終おわり活かつジャパン協会きょうかい」として法人ほうじん化かされた。 2013年ねんには、産経新聞さんけいしんぶん出版しゅっぱんより日本にっぽん初はつの終おわり活かつ専門せんもん誌し『終おわり活かつ読本とくほんソナエ』が発売はつばいされ、以降いこう2014年ねんには『もしもカレンダー』をはじめとして、より気軽きがるに終おわり活かつに取組とりくむプチ終おわり活かつといった広ひろがりを見みせている。『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう』^[5]、『中央公論ちゅうおうこうろん』^[6]をはじめ、その他た『週刊しゅうかん東洋とうよう経済けいざい』^[7]など各種かくしゅ月刊げっかん誌し、週刊しゅうかん誌し、に終おわり活かつの特集とくしゅうが組くまれ、終おわり活かつは社会しゃかいの大おおきな潮流ちょうりゅうとなっており、いわゆる「終おわり活かつ産業さんぎょう」も出現しゅつげんした。^[8]

砂田すなだ麻美あさみの映画えいが『エンディングノート』、鴻おおとり上うえ尚史ひさし脚本きゃくほんのドラマ『家族かぞく、貸かします〜ファミリー・コンプレックス〜』、小坂こさか俊史しゅんじの漫画まんが『月刊げっかんすてきな終おわり活かつ』など、終おわり活かつを題材だいざいとした作品さくひんも増ふえてきている。

自治体じちたいや企業きぎょうの関与かんよ

終おわり活かつは死しを意識いしきした本人ほんにんやその家族かぞく・親族しんぞくや友人ゆうじん・知人ちじんと関かかわりながら個人こじん的てきに行おこなうだけでなく、地方自治体ちほうじちたいや企業きぎょうが支援しえん・助言じょげんする動うごきも広ひろがっている。神奈川かながわ県けん横須賀よこすか市しでは、身寄みよりがいない又または少すくない市民しみんから、遺言ゆいごんの保管ほかん場所ばしょや墓はかの所在しょざいなどについて生前せいぜんに知しらせてもらい、没後ぼつごに対応たいおうする「終おわり活かつ情報じょうほう登録とうろく伝達でんたつ事業じぎょう」（通称つうしょう・わたしの終おわり活かつ登録とうろく）を行おこなっている^[9]。

葬祭そうさい業ぎょうなどを営いとなむ企業きぎょうや信託しんたく銀行ぎんこうなどは、ビジネスとして終おわり活かつを手掛てがけている。各社かくしゃがサービス・商品しょうひんを紹介しょうかいする見本市みほんいち「エンディング産業さんぎょう展てん」も開催かいさいされている^[10]^[11]。