線路せんろ等級とうきゅう

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線路せんろ等級とうきゅう(せんろとうきゅう)は、輸送ゆそうじょう特性とくせいおうじた鉄道てつどう線路せんろ分類ぶんるい

列車れっしゃ最高さいこう速度そくど本数ほんすう車両しゃりょう性能せいのう保守ほしゅ経済けいざいせいなどを勘案かんあんして、線路せんろ走行そうこう車両しゃりょう規格きかくさだめる。

日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう線路せんろ等級とうきゅう[編集へんしゅう]

日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう国鉄こくてつ)は、部内ぶない規程きてい線路せんろ管理かんり規程きていかく線区せんくを1きゅうせん、2きゅうせん、3きゅうせん、4きゅうせん分類ぶんるいし、これを線路せんろ等級とうきゅうしょうした。

元来がんらい鉄道てつどうしょう戦後せんご運輸省うんゆしょう国有こくゆう鉄道てつどう建設けんせつ規程きていで、かぶとせんおつせんへいせん分類ぶんるいして線路せんろ種別しゅべつしょうする。ほかにかぶとせんのうち「特別とくべつ線路せんろ」が特別とくべつかぶとせんとくかぶとせん)とされ、簡易かんいせん建設けんせつ規程きてい[1]によりへいせんのうち簡易かんいなものが簡易かんいせんとされ、これらも線路せんろ種別しゅべつのようなあつかいをけた。

1929ねん制定せいていされた規格きかく下記かきする[2]

線路せんろ等級とうきゅう[注釈ちゅうしゃく 1] 最小さいしょう曲線きょくせん半径はんけい さいきゅう勾配こうばい[注釈ちゅうしゃく 2] 軌道きどう 橋梁きょうりょう負担ふたんりょく 停車場ていしゃじょう構内こうない本線ほんせん有効ゆうこうちょう 運転うんてん最高さいこう速度そくど
特別とくべつかぶとせん 本線ほんせん400m 10‰
3.5‰
負担ふたんりょく K-18
軌条きじょう重量じゅうりょう50kg
道床どうしょうあつ200mm
枕木まくらぎすう16ちょう/10m
KS-18 380 - 460m 110km/h
かぶとせん 本線ほんせん300m
分岐ぶんき付帯ふたい160m
乗降じょうこうじょう沿部分ぶぶん500m
25‰
3.5‰
負担ふたんりょく K-16
軌条きじょう重量じゅうりょう37kg
道床どうしょうあつ200mm
枕木まくらぎすう15ちょう/10m
KS-16 380 - 460m 100 (110) km/h
おつせん 本線ほんせん250m
分岐ぶんき付帯ふたい160m
乗降じょうこうじょう沿部分ぶぶん400m
25 (30) ‰
3.5‰
負担ふたんりょく K-15
軌条きじょう重量じゅうりょう37kg
道床どうしょうあつ200mm
枕木まくらぎすう14ちょう/10m
KS-15 (KS-18) 250 - 380m 95km/h
へいせん 本線ほんせん200m
分岐ぶんき付帯ふたい100m
乗降じょうこうじょう沿部分ぶぶん300m
35‰
3.5‰
負担ふたんりょく K-13【補足ほそく3】
軌条きじょう重量じゅうりょう30 (37) kg
道床どうしょうあつ150 (120) mm
枕木まくらぎすう13ちょう/10m
KS-12 (KS-15) 150 - 250m 85km/h
簡易かんいせん 本線ほんせん160m
分岐ぶんき付帯ふたい100m
乗降じょうこうじょう沿部分ぶぶん200m
35‰
3.5 (15) ‰
負担ふたんりょく補足ほそく3】
軌条きじょう重量じゅうりょう30kg
道床どうしょうあつ120 (100) mm
枕木まくらぎすう規定きていなし
KS-10 (KS-12) 80m 45km/h
側線そくせん すべて100 (80) m すべて3.5‰[注釈ちゅうしゃく 3] 負担ふたんりょく補足ほそく3】
軌条きじょう重量じゅうりょう30kg
道床どうしょうあつ規定きていなし
枕木まくらぎすう規定きていなし
規定きていなし 規定きていなし 規定きていなし
  • 補足ほそく1:括弧かっこない数値すうちとく必要ひつようある場合ばあい
  • 補足ほそく2:1958ねん運転うんてん取扱とりあつかい心得こころえかぶとせんさい高速度こうそくど上記じょうきだが、実際じっさい暫定ざんていてきに95㎞/hが最高さいこうとされた。
  • 補足ほそく3:へい簡易かんい側線そくせん軌道きどう負担ふたんりょくは「最大さいだいじくじゅう11t・最小さいしょうじく距1500mmの機関きかんしゃじゅうれんが45km/h通過つうかえられること」の規定きていべつにある。

国鉄こくてつ発行はっこうした『鉄道てつどう辞典じてん[3][4]によると、特別とくべつかぶとせん[5]は1955年度ねんどまつ1,268km[6][7]。1943ねん改訂かいてい線路せんろ区間くかん種別しゅべつひょうでの特別とくべつかぶとせんふく路線ろせん一覧いちらん[8][9][10]は、東海道本線とうかいどうほんせん山陽本線さんようほんせん[11][注釈ちゅうしゃく 4]あわせて東京とうきょう - 明石あかし特別とくべつかぶとせん明石あかし - 門司もじかぶとせん東北本線とうほくほんせん [12]上野うえの - 大宮おおみや特別とくべつかぶとせん大宮おおみや - 青森あおもりかぶとせん。そのかぶとせん御殿場ごてんばせんなど。おつせん横浜よこはませんなど。簡易かんいせん木次線きすきせんなど。へいせんはこれら以外いがい線区せんくで、予讃本線よさんほんせん 高松たかまつ - 八幡浜やわたはま[13]土讃本線どさんほんせん 多度津たどつ - 須崎すさき[14]など。計画けいかくちゅう路線ろせん線路せんろ規格きかくさだめられた。現在げんざい北越ほくえつ急行きゅうこうほくほくせんである北越北線ほくえつほくせんおつせん[15]である。

ほん建設けんせつ規程きてい昭和しょうわ初期しょき規定きていされ、後年こうねん情勢じょうせい乖離かいりおおきくなり1965ねん上記じょうきの1きゅう - 4きゅう等級とうきゅうさだめられた。

線路せんろ等級とうきゅうは、年間ねんかん通過つうかトン数とんすう列車れっしゃ速度そくど基準きじゅんにして線路せんろ破壊はかいするちから算出さんしゅつしてさだめられ、道床どうしょうあつさや枕木まくらぎ構造こうぞう本数ほんすうなどにより等級とうきゅうけられる。1きゅうせん、2きゅうせん、3きゅうせん、4きゅうせんは、それぞれじくおもが18t、17t、15t、14tに、最高さいこう速度そくどが110km/h、100km/h、95km/h、一般いっぱん列車れっしゃ基本きほん85km/h、に制限せいげんされるなど相違そういがある。

れい[16] : 1きゅうせん山手やまてせん 品川しながわ - 新宿しんじゅく - 田端たばた中央ちゅうおうせん 吉祥寺きちじょうじ - 高尾たかお

1982ねんいししょうルートのれい[17] : 線路せんろ種別しゅべつは、札幌さっぽろ - 千歳空港ちとせくうこう現在げんざいみなみせんさいへいせん千歳空港ちとせくうこう - 上落合かみおちあいおつせん上落合かみおちあい - 釧路くしろへいせん線路せんろ等級とうきゅうは、札幌さっぽろ - 千歳空港ちとせくうこう2きゅうせん千歳空港ちとせくうこう - 追分おいわけ3きゅうせん追分おいわけ - しん夕張ゆうばり2きゅうせんしん夕張ゆうばり - 上落合かみおちあい3きゅうせん上落合かみおちあい - 池田いけだ2きゅうせん池田いけだ - 釧路くしろ3きゅうせん

1984ねん2がつ1にち国鉄こくてつダイヤ改正かいせいまえ線路せんろ等級とうきゅう変更へんこうになったおも線区せんく[18] : 1きゅうから2きゅう格下かくさげは、東北本線とうほくほんせん黒磯くろいそ - 青森あおもり)、常磐線じょうばんせん取手とって - 水戸みと)、鹿児島本線かごしまほんせん門司もじ - 東折尾ひがしおりお)。2きゅうから3きゅうは、函館本線はこだてほんせん函館はこだて - 長万部おしゃまんべ小樽おたる - 手稲ていね)、上越線じょうえつせん渋川しぶかわ - 宮内くない)、武蔵野線むさしのせん新松戸しんまつど - 西船橋にしふなはし)、中央ちゅうおう本線ほんせん岡谷おかや - 辰野たつの - 木曽福島きそふくしま)、鹿児島本線かごしまほんせん久留くるよね - 鹿児島かごしま)。3きゅうから4きゅうは、宗谷本線そうやほんせん北旭きたあさひがわ - 音威子府おといねっぷ)、石北本線せきほくほんせん釜石線かまいしせん高山本線たかやまほんせん高山たかやま - 富山とやま)、紀勢本線きせいほんせん多気たき - 新宮しんぐう)、日豊本線にっぽうほんせん南宮崎みなみみやざき - 鹿児島かごしま)、山陰本線さんいんほんせん益田ますだ - 幡生はたぶ)。2きゅうから1きゅう格上かくあげは、大阪環状線おおさかかんじょうせん。3きゅうから2きゅうは、総武本線そうぶほんせん千葉ちば - 佐倉さくら)、成田なりたせん佐倉さくら - 成田なりた)、青梅線おうめせん。4きゅうから3きゅうは、五日市線いつかいちせん拝島はいじま - 武蔵むさし五日市いつかいち)、播但線ばんたんせん姫路ひめじ - 寺前てらまえ)、筑肥せん姪浜めいのはま - 筑前前原ちくぜんまえばる

みなみまんしゅう鉄道てつどう線路せんろ等級とうきゅう[編集へんしゅう]

みなみまんしゅう鉄道てつどう年間ねんかん想定そうてい通過つうかトン数とんすう基準きじゅん線路せんろ等級とうきゅうを4段階だんかい区分くぶんしていた[19]線路せんろなどきゅうごとに軌道きどう構造こうぞう本線ほんせん制限せいげん勾配こうばい設計せっけい荷重かじゅう線路せんろ容量ようりょうとう線路せんろ規格きかく設定せっていされていた[20]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 電車でんしゃ専用せんよう線路せんろ線路せんろ等級とうきゅうにかかわらず「停車場ていしゃじょうあいださいきゅう勾配こうばい」は35‰、「橋梁きょうりょう負担ふたんりょく」はKS-15を適応てきおうする
  2. ^ うえ停車場ていしゃじょうあいだした停車場ていしゃじょうない
  3. ^ 車両しゃりょう留置りゅうちしない場合ばあい適応てきおうされない
  4. ^ 1943ねんひょう時点じてんでは岩徳線がんとくせん経由けいゆ柳井やない経由けいゆ柳井線やないせんしょうし、いずれもかぶとせん

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 最新さいしんきゃく貨車かしゃ関係かんけい法規ほうき便覧びんらん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション)
  2. ^ 日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどうへんへん鉄道てつどう辞典じてん下巻げかん)』 同朋どうほうしゃメディアプラン、2013ねん復刻ふっこくほん原本げんぽんは1958ねん発行はっこう)、ISBN 978-4-86236-040-3、P1643ひょう線路せんろ等級とうきゅうべつ軌道きどう関係かんけい主要しゅよう数値すうちひょう」より一部いちぶえき改変かいへん
  3. ^ http://transport.or.jp/mini-library/tetsudoujiten/
  4. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_上巻じょうかん_P0950a.pdf
  5. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_下巻げかん_P1643.pdf
  6. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_上巻じょうかん_P0949.pdf
  7. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_上巻じょうかん_P0950.pdf
  8. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_上巻じょうかん_P0945.pdf
  9. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_上巻じょうかん_P0946.pdf
  10. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_上巻じょうかん_P0947.pdf
  11. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_上巻じょうかん_P0637.pdf
  12. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1958_鉄道てつどう辞典じてん_下巻げかん_P1329.pdf
  13. ^ 八幡浜やわたはま - 宇和島うわじま簡易かんいせん
  14. ^ 須崎すさき - 窪川くぼかわ簡易かんいせん
  15. ^ http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1966_鉄道てつどう辞典じてん_補遺ほいばん_P0317.pdf
  16. ^ https://www.fml.t.u-tokyo.ac.jp/research/thesis/h17b-okada.pdf
  17. ^ 国鉄こくてつ釧路くしろ車両しゃりょう管理かんり室長しつちょう神代かみしろ邦雄くにお 183けいDC特急とっきゅうのスピードアップ、鉄道てつどうジャーナルNO192 1983ねん2がつごうpp.86-89では、特急とっきゅう当時とうじおおぞらごう)の走行そうこうする幹線かんせんルートをいししょうルートと表現ひょうげんしている。
  18. ^ 小山内おさない政広まさひろ国鉄こくてつ施設しせつきょく保線ほせん主席しゅせき鉄道てつどうジャーナル1984ねん11がつごうNO.213の123ページ これ以前いぜん変更へんこう1977ねん
  19. ^ 満州まんしゅう開発かいはつよんじゅうねん 上巻じょうかん満州まんしゅう開発かいはつよんじゅうねん刊行かんこうかい、1965ねん、484ぺーじ
  20. ^ 満州まんしゅう開発かいはつよんじゅうねん 上巻じょうかん満州まんしゅう開発かいはつよんじゅうねん刊行かんこうかい、1965ねん、485ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 新版しんぱん 鉄道てつどうしょう事典じてんまことぶんどう新光しんこうしゃ 1974ねん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]