老衰ろうすい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

老衰ろうすい(ろうすい、英語えいご: Senility)とは、よわいによりのうふくめたぜん臓器ぞうき細胞さいぼうちからがバランスをたもちながらゆっくりいのちつづかなくなるレベルまで低下ていかしていき、最後さいごしもあご呼吸こきゅうのち死亡しぼうすることである。現代げんだい医療いりょうでは、どんな病気びょうきだとしても、老衰ろうすい目指めざした治療ちりょうやケアをしている。末期まっきがんのように、自我じが意識いしきがありながら一部いちぶ臓器ぞうきだけ極端きょくたんわる苦痛くつうつづけるのとことなり、意識いしきいため苦痛くつうそのものを知覚ちかくしない。そのため、もっと苦痛くつうかたであるともえる[1][2]

定義ていぎ[編集へんしゅう]

生物せいぶつがくてき医学いがくまとにはよわいによる老化ろうかともなって個体こたい形成けいせいする細胞さいぼう組織そしき能力のうりょく低下ていかすることである。恒常こうじょうせい維持いじ困難こんなんになることが原因げんいんである。

老衰ろうすい医学いがく[編集へんしゅう]

老衰ろうすいによって生命せいめい活動かつどうわること(ぬこと)を、老衰ろうすい(ろうすいし)ともう。よわいによる老化ろうかともなって個体こたい形成けいせいする細胞さいぼう組織そしき能力のうりょく低下ていかし、臓器ぞうき不全ふぜんにより恒常こうじょうせい維持いじ生命せいめい活動かつどう維持いじができなくなることが原因げんいんである。100さいや90だいちょう高齢こうれいしゃ老衰ろうすいをしやすい。

老衰ろうすいによるあらわさいに、平素へいそ日本語にほんごでは「寿命じゅみょうた(きた)」「天寿てんじゅまっとうした」「だい往生おうじょう」などとも表現ひょうげんする[1]

老衰ろうすい認定にんてい[編集へんしゅう]

よわいによる老化ろうかともなって個体こたい形成けいせいする細胞さいぼう組織そしき能力のうりょく低下ていかし、臓器ぞうき不全ふぜんにより恒常こうじょうせい維持いじ生命せいめい活動かつどう維持いじができなくなり死亡しぼうしたと判断はんだんされた場合ばあいは、死亡しぼう診断しんだんしょ直接的ちょくせつてき死亡しぼう原因げんいんとして老衰ろうすい記載きさいされる。

よわいによる老化ろうかともなって個体こたい形成けいせいする細胞さいぼう組織そしき能力のうりょく低下ていかしている場合ばあいでも心不全しんふぜん心筋梗塞しんきんこうそく脳卒中のうそっちゅう肺炎はいえんなどなんらかの疾患しっかんによる死亡しぼう診断しんだんされる場合ばあい死亡しぼう診断しんだんしょには前記ぜんき疾患しっかん直接的ちょくせつてき死亡しぼう原因げんいんとして記載きさいする。

直接ちょくせつ死因しいん心不全しんふぜんであったとしても、その原因げんいん老衰ろうすい判断はんだんされる場合ばあいには死亡しぼう診断しんだんしょ心不全しんふぜん原因げんいんとして老衰ろうすいくことなどはある。死亡しぼう診断しんだんしょかたについては厚労省こうろうしょうからマニュアルが作成さくせいされている[3]

死亡しぼう原因げんいんとしての割合わりあい[編集へんしゅう]

老衰ろうすい世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)が死亡しぼう原因げんいんとして認定にんてい分類ぶんるい統計とうけいしている[4][5]日本にっぽん厚生こうせい労働省ろうどうしょう同様どうよう死亡しぼう原因げんいんとして認定にんてい分類ぶんるい統計とうけいしている。しかしながら、1948ねんにWHOにて採択さいたくされた「国際こくさい疾病しっぺい傷害しょうがいおよ死因しいん統計とうけい分類ぶんるいひょう」より、老衰ろうすい独立どくりつした項目こうもくではなく、診断しんだんめい適当てきとう状態じょうたいとして一括いっかつされ[6]現在げんざいWHOで公表こうひょうされている死因しいん統計とうけいにおいては、老衰ろうすい死因しいん不明ふめい死亡しぼうすうとして処理しょりされている[7]

日本にっぽんにおける老衰ろうすいによる死亡しぼうしゃは、1947ねん昭和しょうわ22ねん)のやく78,000にんから2000ねん平成へいせい12ねん)にはやく21,000にんまで減少げんしょうしたが、21世紀せいきはいると反転はんてんし、2017ねん平成へいせい29ねん)にはやく101,000にんまで増加ぞうかしている[8]

2012ねん平成へいせい24ねん)の日本にっぽん死亡しぼうしゃ総数そうすうのうち4.8%でランク5、80さいだい前半ぜんはんまでは死亡しぼう原因げんいんべつランク5未満みまん、80さいだい後半こうはん死亡しぼうしゃすうのうち5.3%でランク5、90さいだい前半ぜんはん死亡しぼうしゃすうのうち11.0%でランク5、90さいだい後半こうはん死亡しぼうしゃすうのうち18.7%でランク2、100さい以上いじょう死亡しぼうしゃすうのうち31.6%でランク1である[9]。また2018ねんにはぜん死亡しぼうすうたいして、老衰ろうすい割合わりあいは3上昇じょうしょうしている[10]

日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ市区しく町村ちょうそんべつ後期こうき高齢こうれいしゃ(75さい以上いじょう1人ひとりたりどしあいだ医療いりょうと、厚労省こうろうしょう老衰ろうすい比率ひりつデータ(2008~2012ねん)を分析ぶんせき死因しいんめる老衰ろうすい比率ひりつたか市区しく町村ちょうそんほど医療いりょうひくく、老衰ろうすい死亡しぼうするまでの介護かいごえる傾向けいこうもないとの結果けっかを2017ねん12月に公表こうひょうした[11]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 1000にん看取みとりにせっした看護かんごおしえる、「老衰ろうすい理想りそうてき」とえるわけ”. ダイヤモンド・オンライン (2019ねん2がつ28にち). 2022ねん1がつ20日はつか閲覧えつらん
  2. ^ 在宅ざいたく医療いりょうとは|医療いりょう法人ほうじん 徳島とくしま往診おうしんクリニック”. toku-oushin.jp. 2022ねん1がつ20日はつか閲覧えつらん
  3. ^ れい3年度ねんどばん死亡しぼう診断しんだんしょ死体したい検案書けんあんしょ記入きにゅうマニュアル厚生こうせい労働省ろうどうしょう れいさんねん8がつ22にち(日)にち閲覧えつらん
  4. ^ WHO>2014 ICD-9-CM Diagnosis Codes>Search>Senility
  5. ^ WHO>2014 ICD-10-CM Diagnosis Codes>Search>Senility
  6. ^ 厚生省こうせいしょう大臣だいじん官房かんぼう統計とうけい調査ちょうさ昭和しょうわ25ねん人口じんこう動態どうたい統計とうけいだい3分冊ぶんさつ)』p.410
  7. ^ WHO. “Global Health Estimates”. 2021ねん10がつ21にち閲覧えつらん
  8. ^ 富家ふうかこう (2019ねん5がつ27にち). “老衰ろうすい」がえることの意味いみ医師いし自然しぜんらない”. ヨミドクター. 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ. 2019ねん5がつ29にち閲覧えつらん
  9. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう>平成へいせい26ねん くに人口じんこう動態どうたい>平成へいせい24ねんまでの動向どうこう>54~56ページ>だい5ひょう せい年齢ねんれい階級かいきゅうべつにみた死因しいん順位じゅんい
  10. ^ [1]
  11. ^ 老衰ろうすいおおいと医療いりょうひく男性だんせい最多さいた茅ケ崎ちがさき 全国ぜんこく平均へいきんを14まんえん下回したまわ日経にっけい調査ちょうさ日本経済新聞にほんけいざいしんぶん朝刊ちょうかん2017ねん12月25にち(1めん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]