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じゅう因縁いんねん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
六道ろくどう輪廻りんねもっと外側そとがわえんじゅう因縁いんねんえがかれている。
ドミノだおし。仏教ぶっきょうでは「AによってBがしょうずる」と因果いんがせいく(縁起えんぎ[1]

じゅう因縁いんねん(じゅうにいんねん)、あるいは、じゅう縁起えんぎ(じゅうにえんぎ、: dvādaśāṅgika-pratītyasamutpāda[2])とは、仏教ぶっきょうにおいて、現実げんじつ人生じんせい苦悩くのう根源こんげんつことによって苦悩くのうめっするための12の条件じょうけん系列けいれつしたもの[3][1]仏教ぶっきょう基本きほんてきかんがえのひとつである[3]

ばとわけではじゅう因縁いんねんとし、げん奘訳ではじゅう縁起えんぎじゅうゆうささえやくす。ほかにも十二支じゅうにし縁起えんぎ[3]十二支じゅうにし因縁いんねんなどと表記ひょうきする場合ばあいがある。

概要がいよう

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Katamo ca bhikkhave, paṭiccasamuppādo? Avijjāpaccayā bhikkhave, saṅkhārā. Saṅkhārapaccayā viññāṇaṃ. Viññāṇapaccayā nāmarūpaṃ. Nāmarūpapaccayā saḷāyatanaṃ. Saḷāyatanapaccayā phasso. Phassapaccayā vedanā. Vedanāpaccayā taṇhā. Taṇhāpaccayā upādānaṃ. Upādānapaccayā bhavo. Bhavapaccayā jāti. Jātipaccayā jarāmaraṇaṃ, sokaparidevadukkhadomanassūpāyāsā sambhavanti. Evametassa kevalassa dukkhakkhandhassa samudayo hoti.

比丘びくたちよ、縁起えんぎとはなにか。
比丘びくたちよ、無明むみょうによりくだりこり、くだりにより識がこり、識により名色なしきこり、名色なしきによりろくしょこり、ろくしょによりさわこり、さわにより受がこり、受により渇愛がこり、渇愛によりこり、によりゆうこり、ゆうによりせいこり、なまにより老死ろうしが、愁悲ゆう悩がしょうじる。 このようにして、すべての蘊は生起せいきする。

じゅう因縁いんねんささえぶんは、無明むみょうくだり名色なしきろくしょさわあいゆうせい老死ろうしの12であり(ささえぶん詳細しょうさいじゅうささえぶんふし参照さんしょう)、この12ささえぶんにおいて、無明むみょうによってくだりしょうじるという関係かんけいせい観察かんさつし、くだりから次第しだいしてなま老死ろうしという成立せいりつするとることをじゅんかんという[3][注釈ちゅうしゃく 1]。また、無明むみょう消滅しょうめつすればくだり消滅しょうめつするという観察かんさつぎゃくかんという[3][注釈ちゅうしゃく 2][1]

じゅんかんぎゃくかん両方りょうほうおこなって、人間にんげんのありようにかんする因果いんが道理どうりあきらかにした結果けっか因果いんが道理どうりたいする無知むち苦悩くのう原因げんいんであったとさと[3]。そのさいには苦悩くのう消滅しょうめつし、根源こんげん無明むみょう消滅しょうめつしているため輪廻りんねもなくなるとされる[3]

無明むみょうめっすればくだりほろぼし、.......生存せいぞんめっすれば出生しゅっしょうほろぼし、出生しゅっしょうめっすればいとうれい、かなしみ、くるしみ、うれい、なやみもめっする。このようにしてすべてのあつまりがめっする、と。

律蔵りつぞう 大分おおいたべつ,1,1,2 [1]

じゅうささえぶん

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  1. 無明むみょう(むみょう、ともえ: avijjā, : avidyā) - 無知むち[4]過去かこはじめ煩悩ぼんのう煩悩ぼんのう根本こんぽん無明むみょうなので代表だいひょうめいとした。あかるくないこと。まよいのなかにいること。
  2. くだり(ぎょう、ともえ: saṅkhāra, : saṃskāra) - 生活せいかつ作用さよう[1]潜在せんざいてき形成けいせいりょく[4]志向しこう作用さよう物事ものごとがそのようになるちからぎょう
  3. (しき、ともえ: viññāṇa, : vijñāna) - 識別しきべつ作用さよう[1]きらい、選別せんべつ差別さべつもと
  4. 名色なしき(みょうしき、nāma-rūpa) - 物質ぶっしつ現象げんしょう(肉体にくたい)と精神せいしん現象げんしょう(しん)。物質ぶっしつてき現象げんしょう世界せかい[1]名称めいしょう形態けいたい[4]実際じっさいかたちと、その名前なまえ
  5. ろくしょ(ろくしょ、ともえ: saḷāyatana, : ṣaḍāyatana) - むっつの感受かんじゅ機能きのう感覚かんかく器官きかん[1]耳鼻じびしたの6感官かんかん[4]ろくいれ(ろくにゅう)ともいう[4]
  6. さわ(そく、ともえ: phassa, : sparśa) - むっつの感覚かんかく器官きかんに、それぞれの感受かんじゅ対象たいしょうれること。外界がいかいとの接触せっしょく[1]
  7. (じゅ、vedanā) - 感受かんじゅ作用さよう[4]ろくしょさわによる感受かんじゅ
  8. あい(あい、ともえ: taṇhā, : tṛṣṇā) - 渇愛、妄執もうしゅう[1]
  9. (しゅ、upādāna) - 執着しゅうちゃく[1]
  10. ゆう(う、bhava) - 存在そんざい生存せいぞん[1]
  11. せい(しょう、jāti) - まれること[1]
  12. 老死ろうし(ろうし、jarā-maraṇa) - いと[1]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ じゅんかん流転るてん縁起えんぎともいう[3]
  2. ^ ぎゃくかんかえめつ縁起えんぎともいう[3]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 丸山まるやまいさむ『ブッダのたび岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ新書しんしょ〉、2007ねん4がつ20日はつか、189-192ぺーじISBN 978-4004310723 
  2. ^ じゅう因縁いんねん」 - ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん、2014 Britannica Japan
  3. ^ a b c d e f g h i 中村なかむらもとほか(へん)『岩波いわなみ仏教ぶっきょう辞典じてん』(だいはん岩波書店いわなみしょてん、2002ねん10がつ、485ぺーじ 
  4. ^ a b c d e f 中村なかむらもとほか(へん)『岩波いわなみ仏教ぶっきょう辞典じてん岩波書店いわなみしょてん、1989ねんISBN 4-00-080072-8 

関連かんれん項目こうもく

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