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胸椎きょうつい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
あかしめしたところが胸椎きょうつい位置いち。ヒトでは12ほねからなり、うえからしたへT1, T2, …, T12である。
よこがわから典型てんけいてき胸椎きょうつい

哺乳類ほにゅうるいにおいて、胸椎きょうつい(きょうつい、えい: thoracic vertebrae)とは頸椎腰椎ようついあいだにあり、脊椎せきつい中央ちゅうおう構成こうせいする部分ぶぶん[1]。ヒトでは12むね椎骨ついこつがあり、頸椎と腰椎ようつい中間ちゅうかんおおきさをしている。腰椎ようついちかいほどおおきくなり、したにあるものはうえのものよりもずっとおおきい[よう出典しゅってん]肋骨あばらぼねあたま関節かんせつ接合せつごうするためにしいたい側面そくめん存在そんざいすること、および肋骨あばらぼね結節けっせつ関節かんせつ接合せつごうするためにすべてのよこ突起とっき関節かんせつめん存在そんざいすること(だい11とだい12はのぞく)により区別くべつされる。慣例かんれいてきにヒトの胸椎きょうついにはT1–T12の番号ばんごうがつけられ、だい1(T1)が頭蓋骨ずがいこつもっとちかい。

一般いっぱんてき特徴とくちょう

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これらはだい2からだい8胸椎きょうついまでの一般いっぱんてき特徴とくちょうである。だい1とだい9からだい12胸椎きょうついにはことなる特徴とくちょうがあり、以下いかくわしく説明せつめいする。

胸部きょうぶ中央ちゅうおうにあるしいたいはハートがたをしており、前後ぜんごよこ方向ほうこうはばひろい。胸部きょうぶはしではそれぞれ頸椎と腰椎ようついはしている。うしろのほうまえよりもわずかにあつく、うえしたたいらで、まえから左右さゆうとつで、うしろにふかへこんでおり、よこまえにわずかにくびれている。両側りょうがわ肋骨あばらぼねはん窩をていし、うえの1つはしいゆみ根元ねもとちかく、したの1つはしもしいきりこんまえにある。これらはつかずの状態じょうたい軟骨なんこつおおわれており、椎骨ついこつたがいに関節かんせつ接合せつごうされると、はいしいあいだ線維せんい軟骨なんこつとともに肋骨あばらぼねあたまれるための楕円だえんがた表面ひょうめん形成けいせいする。

胸椎きょうついしいたい(BODY)、上関かみのせきたかし窩(SUPERIOR ARTICULAR FACET)、しいあな(VERTEBRAL FORAMEN)、うえ肋骨あばらぼね窩(SUPERIOR COSTAL FACET)、よこ突肋こつ窩(TRANSVERSOCOSTAL FACET)、しいゆみばん(LAMINA)、よこ突起とっき(TRANSVERSE PROCESS)、とげ突起とっき(SPINOUS PROCESS))

しいゆみ後方こうほうでわずかに上向うわむきになっており、しもしいきりこんおおきさがおおきく、脊柱せきちゅうほかのどの領域りょういきよりもふかくなっている。

しいゆみばんはばひろく、あつく、かわらじょうである。つまり、屋根やねうえのかわらのようにしたにある椎骨ついこつのものとかさなり、しいゆみ接続せつぞくして脊髄せきずいかこ保護ほごする。

しいあいだあなちいさい円形えんけいで、かくしいあいだごとに2つずつあり、1つはみぎ、もう1つはひだり神経しんけいからている。

しいあな脊柱せきちゅうかんとしてもられるしいたい後方こうほうにあるおおきな開口かいこうである。胸部きょうぶたかさで脊髄せきずいふく保護ほごする。

とげ突起とっきながく、冠状かんじょう断面だんめん三角形さんかっけいであり、なないており、薄板うすいたからしょう結節けっせつされた末端まったんわる。これらの突起とっきだい5とだい8までかさなるが、上下じょうげ方向ほうこうがあまりななめではない。

うえ関節かんせつ突起とっきは、しいゆみしいゆみばん接合せつごうからうえ突出とっしゅつしているほねうすいたである。これらの窩は実際じっさいてきたいらであり、後方こうほうおよびすこがわかた上方かみがたけられている。

しも関節かんせつ突起とっきはかなりの程度ていどしいゆみばん融合ゆうごうし、突出とっしゅつするがしたがわ境界きょうかいをわずかにえる。窩はまえいており、すこないしたいている。

よこ突起とっきうえ関節かんせつ突起とっきしいゆみうしろのゆみからしょうじる。あつく、つよく、かなりながく、なな後方こうほうおよびよこ方向ほうこういており、肋骨あばらぼねしょう結節けっせつ関節かんせつ運動うんどうするためのちいさな凹面の前面ぜんめんにあるバチじょうはしわる。

かく胸椎きょうつい

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だい1胸椎きょうついだい9からだい12胸椎きょうついはいくつか特有とくゆう形状けいじょうつ。

だい1胸椎きょうつい(T1)

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だい1胸椎きょうついしいたい両方りょうほう側面そくめんだい1肋骨あばらぼねあたまたいする関節かんせつ全体ぜんたいと、だい2肋骨あばらぼねあたまうえ半分はんぶんたいするはん窩をっている。

しいたいは頸椎のしいたいちかかたちをしており、はばひろく、凹面で、両側りょうがわくちびるがある。

うえ関節かんせつめん上向うわむきとうしきであり、とげ突起とっきあつく、ながく、ほぼ水平すいへいである。

よこ突起とっきながく、上部じょうぶしいきりこん胸椎きょうついのものよりもふかくなっている。

むね神経しんけい1 (T1) はこのしたとおる。

だい2胸椎きょうつい(T2)

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むね神経しんけい2 (T2) はこのしたとおる。 だい1胸椎きょうついよりもおおきい。

だい3胸椎きょうつい(T3)

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むね神経しんけい3 (T3) はこのしたとおる。

だい4胸椎きょうつい(T4)

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だい4胸椎きょうついだい5胸椎きょうついとともに胸骨きょうこつかくおなたかさにある。

むね神経しんけい4 (T4) はこのしたとおる。

57さい男性だんせい胸椎きょうついXせん
T3とT7の位置いち表面ひょうめんしめした。それぞれかたかぶととげ中央ちゅうおうかたかぶとこつ下角したすみ位置いちする。

だい5胸椎きょうつい(T5)

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だい5胸椎きょうついだい4胸椎きょうついとともに胸骨きょうこつかくおなたかさにある。ヒトの気管きかんだい5胸椎きょうついたかさで2つのおも気管支きかんしかれるが、呼吸こきゅうにより高低こうていする。

むね神経しんけい5 (T5) はこのしたとおる。

だい6胸椎きょうつい(T6)

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むね神経しんけい6 (T6) はこのしたとおる。

だい7胸椎きょうつい(T7)

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むね神経しんけい7 (T7) はこのしたとおる。

だい8胸椎きょうつい(T8)

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だい8胸椎きょうついだい9胸椎きょうついとともにけんじょう突起とっきおなたかさにある。むね神経しんけい8(T8) はこのしたとおる。

だい9胸椎きょうつい(T9)

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だい9胸椎きょうついにはしたはん窩がない場合ばあいがあるが、両側りょうがわに2つのはん窩がある場合ばあいもある。後者こうしゃ場合ばあいだい10胸椎きょうついには窩がなく、上部じょうぶはん窩がある。

むね神経しんけい9 (T9) はこのしたとおる。

けんじょう突起とっきは、じく平面へいめんおなたかさにある。

だい10胸椎きょうつい(T10)

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両側りょうがわに窩(はん窩ではない)全体ぜんたいがあり、しいゆみ側面そくめん部分ぶぶんてき配置はいちされる。つながる肋骨あばらぼねにはあたまに1つの窩しかないため、したに窩のたぐいはない。

むね神経しんけい10 (T10) はこのしたとおる。

だい11胸椎きょうつい(T11)

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しいたいかたちおおきさは、腰椎ようついしいたいちかい。

肋骨あばらぼねあたま関節かんせつ窩はおおきく、おもしいゆみ位置いちする。胸部きょうぶほか部分ぶぶんよりもこの胸椎きょうついつぎ胸椎きょうついのものがあつつよい。

とげ突起とっきみじかく、きはほぼ水平すいへいである。

よこ突起とっき非常ひじょうみじかく、末端まったん結節けっせつがあり、関節かんせつ窩はない。

むね神経しんけい11 (T11) はこのしたとおる。

だい12胸椎きょうつい(T12)

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だい12胸椎きょうついだい11胸椎きょうついおな一般いっぱんてき特性とくせいっているが、腰椎ようついのようにとつよこいたしも関節かんせつめんにより区別くべつされる。そのしいたいしいゆみばんとげ突起とっき腰椎ようついている。よこ突起とっきうえした外側そとがわ結節けっせつの3つの隆起りゅうき細分さいぶんされ、うえした腰椎ようつい乳頭にゅうとう突起とっきふく突起とっき対応たいおうする。同様どうよう隆起りゅうき痕跡こんせきが、だい10とだい11胸椎きょうついよこ突起とっきにみられる。

むね神経しんけい12 (T12) はこのしたとおる。

動物どうぶつ

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脊椎動物せきついどうぶつのうち魚類ぎょるい両生類りょうせいるい爬虫類はちゅうるいにおいて胸椎きょうつい定義ていぎされていない。哺乳類ほにゅうるいでは、肋骨あばらぼね関節かんせつする椎骨ついこつ胸椎きょうつい定義ていぎされ、腰椎ようつい区別くべつされている[2]四足しそく歩行ほこう哺乳類ほにゅうるい神経しんけいとげ発達はったつしており、そこに付着ふちゃくするがわからだみきすじ発達はったつしている[3]

動物どうぶつでは、胸椎きょうついかずおおきくことなることがある[4]たとえば、ほとんどのゆうぶくろるいには13あるが、コアラには11個いっこしかない[5]。12から15哺乳類ほにゅうるいでは一般いっぱんてきであり、ウマバクサイゾウでは18から20であり、極端きょくたんれいではナマケモノには25あり、クジラには9ある[6]

鳥類ちょうるいにおいて、頸椎から胸椎きょうついへの移行いこうてんは、だいいち肋骨あばらぼねではなくだいいち浮遊ふゆう肋骨あばらぼね位置いちするてんとして定義ていぎされる。鳥類ちょうるい胸椎きょうついにはおおきくけて自由じゆう胸椎きょうつい癒合ゆごう胸椎きょうついがあり、ニワトリではだいいちだい胸椎きょうついのみが自由じゆう胸椎きょうついで、だいさんだい胸椎きょうついたがいに癒合ゆごうする。ニワトリやハト癒合ゆごう胸椎きょうつい棒状ぼうじょうであるが、アヒルガチョウ靭帯じんたいけんほねして強度きょうど向上こうじょう寄与きよしている。また、癒合ゆごう胸椎きょうついはらがわにははらりょう存在そんざいし、水平すいへい隔膜かくまくはす隔膜かくまく付着ふちゃくし、鳥類ちょうるい独自どくじ構造こうぞうしめす。最後さいご胸椎きょうついふくあい仙骨せんこつ形成けいせい参加さんかする[7]

ギャラリー

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関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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この記事きじにはパブリックドメインであるグレイ解剖かいぼうがくだい20はん(1918ねん102ページ本文ほんぶんふくまれています。

  1. ^ 胸椎きょうつい歴史れきしてきには背部はいぶしい(dorsal vertebrae)とばれていた。cf. [1]. とくグレイ解剖かいぼうがくふるいパブリックドメインばん無料むりょうコピーにより、ふる用語ようごることが現在げんざいでもあるが、ふる用語ようご時代遅じだいおくれであり誤解ごかいまねく。dorsumは背中せなか胸部きょうぶだけでなく、背中せなか全体ぜんたい用語ようごである。
  2. ^ 犬塚いぬづかのりひさし脊柱せきちゅう椎骨ついこつ形態けいたいがく」『脊髄せきずい外科げかだい28かんだい3ごう、2014ねん、239-245ぺーじdoi:10.2531/spinalsurg.28.239 閲覧は自由
  3. ^ 遠藤えんどう秀紀ひでき脊椎せきつい多様たよう形態けいたいがくてき適応てきおう」『脊髄せきずい外科げかだい28かんだい2ごう、2014ねん、122-127ぺーじdoi:10.2531/spinalsurg.28.122 閲覧は自由
  4. ^ Hyman, Libbie (1922). Comparative Vertebrate Anatomy. Chicago: University of Chicago Press. pp. 123. https://archive.org/details/ost-biology-labmanualcompvert00hymarich 
  5. ^ Physical Characteristics of the Koala”. Australian Koala Foundation. 2012ねん2がつ1にち閲覧えつらん
  6. ^ Hyman (1922), p.124
  7. ^ ホルスト・エーリッヒ・クーニッヒ、ハンス=ゲオルグ・リービッヒ ちょ、カラーアトラス獣医じゅうい解剖かいぼうがく編集へんしゅう委員いいんかい やく『カラーアトラス獣医じゅうい解剖かいぼうがく 増補ぞうほ改訂かいていばんだい2はん下巻げかんみどり書房しょぼう、2016ねん、860ぺーじISBN 978-4-89531-252-3 

外部がいぶリンク

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