(Translated by https://www.hiragana.jp/)
衛星放送 - Wikipedia コンテンツにスキップ

衛星えいせい放送ほうそう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
衛星えいせいテレビから転送てんそう
ケーブルテレビIP TV業者ぎょうしゃ衛星えいせい放送ほうそう受信じゅしんようパラボラアンテナ

衛星えいせい放送ほうそう(えいせいほうそう)は、放送ほうそう衛星えいせいえい: broadcasting satellite)や通信つうしん衛星えいせいえい: communications satellite)をもちいて、視聴しちょうしゃ聴取ちょうしゅしゃなどの公衆こうしゅう直接ちょくせつ受信じゅしんされることを目的もくてきとする、無線むせん通信つうしん送信そうしん総称そうしょうである。

概説がいせつ

[編集へんしゅう]

衛星えいせい放送ほうそうは、赤道あかみち上空じょうくうやく35,786kmにある静止せいし衛星えいせい中継ちゅうけいトランスポンダ)を設置せっち地球ちきゅうじょうから送信そうしん(アップリンク)した電波でんぱ受信じゅしんしたのちことなる周波数しゅうはすう変換へんかん地球ちきゅうじょうけてさい送信そうしん(ダウンリンク)しその電波でんぱ視聴しちょうしゃ聴取ちょうしゅしゃパラボラアンテナ受信じゅしん利用りようする放送ほうそうである。静止せいし軌道きどうからは地球ちきゅうのほぼ半球はんきゅうえるため、放送ほうそう受信じゅしん範囲はんい限定げんていされる地上波ちじょうは放送ほうそうよりも大幅おおはばひろ範囲はんいでの受信じゅしん可能かのうである。

米国べいこくでははやくからケーブルテレビ(CATV)が普及ふきゅうしたが、直接ちょくせつ衛星えいせい放送ほうそうディレクTVなどがいあげている。アジアやヨーロッパなどではアジアサットなどの国境こっきょうえたテレビ放送ほうそう普及ふきゅうしている。

日本にっぽんでは、衛星えいせい放送ほうそう目的もくてきとして当初とうしょ人口じんこう希薄きはく地域ちいきにおけるなん視聴しちょう地域ちいき解消かいしょう(すなわち既存きそん放送ほうそうコンテンツのさい送信そうしん)があげられたが、権利けんり関係かんけいとう問題もんだい困難こんなんなため、地上ちじょうけいによる放送ほうそうでは出来できないよう専門せんもんせいたか番組ばんぐみ提供ていきょうするなどチャンネルをやす目的もくてき放送ほうそうひろおこなわれるようになった。

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]

放送ほうそうは、かつては地上ちじょうアンテナ設備せつび送信そうしんしょ)からのみ送信そうしんしていた。しかしロケット技術ぎじゅつ進歩しんぽにより人工じんこう衛星えいせい静止せいし衛星えいせい)をもちいた放送ほうそう可能かのうとなった。人工じんこう衛星えいせいもちいることで地上ちじょう設備せつび衛星えいせいへの送信そうしんアップリンク)のみに簡略かんりゃくでき、宇宙うちゅう空間くうかんじょう衛星えいせいから地表ちひょうけて広範囲こうはんい送信そうしんできる。このため地上ちじょうのアンテナで問題もんだいになっていた放送ほうそうエリアの問題もんだい解消かいしょうされると同時どうじに、よりおおくの情報じょうほうりょう容易ようい放送ほうそうできるようになった。

しかし、衛星えいせい放送ほうそうおこなうには膨大ぼうだい初期しょき費用ひようかることから、導入どうにゅうまでの道程どうていながいという問題もんだいきまとう。また放送ほうそう開始かいしできたとしても宇宙うちゅう空間くうかん配置はいちされる人工じんこう衛星えいせいという性質せいしつじょうけっして手軽てがるではない維持いじ管理かんり事故じこへの対処たいしょむずかしさ、衛星えいせい寿命じゅみょう、さらには地球ちきゅう大気たいきちゅう降雨こうう影響えいきょうけて、電波でんぱ受信じゅしんできなくなると、たちまち安定あんていであるべきメディアとしての機能きのううしなってしまう問題もんだいがある。

近年きんねんは、技術ぎじゅつ革新かくしんによって比較的ひかくてき安価あんか衛星えいせい製作せいさくできるようになり、衛星えいせい静止せいし軌道きどう配置はいちするためのロケットの費用ひようも、技術ぎじゅつ革新かくしん各国かっこくあいだ競争きょうそう原理げんりはたらきかなり安価あんかになってきたことから、つね代替だいたいとなる人工じんこう衛星えいせい確保かくほしておく、降雨こううには放送ほうそう品質ひんしつげてメディアを維持いじする、などで対策たいさくすすんでいる。

利用りよう

[編集へんしゅう]

衛星えいせい放送ほうそう衛星えいせい通信つうしんとはちがいち方向ほうこうメディアであるため、テレビ放送ほうそうやラジオ放送ほうそうとしての利用りようだい部分ぶぶんである。国境こっきょう考慮こうりょする必要ひつようく、地上ちじょう設備せつび最小限さいしょうげんおさえられることから地上ちじょうへの送信そうしんきょく設置せっち困難こんなん場所ばしょでよく使用しようされるがそういった制約せいやくがなくとも人工じんこう衛星えいせいをレンタルとうまかなうことで初期しょき費用ひよう大幅おおはばやす場合ばあい商用しょうようてき利用りようにおいて衛星えいせい放送ほうそうおこなわれる場合ばあいがある。

導入どうにゅう

[編集へんしゅう]

衛星えいせい放送ほうそう導入どうにゅうするまでのながれは、人工じんこう衛星えいせい自前じまえげるか既存きそんのものを借用しゃくようするかでおおきくコストがことなる。一般いっぱん機能きのう通信つうしん衛星えいせいをアメリカなどからレンタルすることがおおいが[よう検証けんしょう]軍事ぐんじてきリスクがつねきまとうことからあえて自前じまえ人工じんこう衛星えいせいげるくに存在そんざいする。しかし、そういったくにおおくはロケットの技術ぎじゅつたないためげまでは技術ぎじゅつゆうする他国たこくゆだねている場合ばあいおおい。

衛星えいせい放送ほうそう流用りゅうようされる既存きそん人工じんこう衛星えいせいは、学術がくじゅつ目的もくてきあるいは軍事ぐんじ通信つうしん目的もくてきでの通信つうしん衛星えいせいもちいられる。[よう検証けんしょう]おおくは5ねん程度ていど経過けいかした旧式きゅうしきのものであり通信つうしん速度そくどとしては極端きょくたん高速こうそくではないが、放送ほうそうには十分じゅうぶん送受信そうじゅしん性能せいのうつ。

電波でんぱ

[編集へんしゅう]

衛星えいせい放送ほうそうは、Cバンドの4GHzたいとKuバンドの12GHzたい周波数しゅうはすう使用しようしている。Cバンドの波長はちょうやく75mm、Kuバンドの波長はちょうやく25mmであり、天候てんこうによって映像えいぞう状態じょうたい影響えいきょうがあるのは、Kuバンドの波長はちょう関係かんけいしている。すなわち大雨おおあめとなると雨滴うてきが10mmほどになり、いわば10mmのはしら林立りんりつするなか波長はちょう25mmの電波でんぱすすむので、みじか波長はちょう電波でんぱほど雨滴うてきにぶつかりやすく電波でんぱ減衰げんすいし、テレビ画像がぞうみだれるなどの現象げんしょうる(大雪おおゆき・その気象きしょう条件じょうけん状態じょうたいによってもこのような現象げんしょうしょうじるばかりか、まったうつらなくなる場合ばあいもある)。

NHK視聴しちょうしゃ広報こうほうしつによれば、あめによる影響えいきょう基本きほんてきには受信じゅしんパラボラアンテナ直径ちょっけい一回ひとまわおおきくすることで、あつめる電波でんぱえ、受信じゅしん障害しょうがい解決かいけつできる。しかし電波でんぱ波長はちょう放射ほうしゃ方法ほうほう特性とくせいじょう先述せんじゅつのような問題もんだいてんもあることを理解りかいのうえ、利用りようする必要ひつようがある。

法令ほうれいじょう定義ていぎ

[編集へんしゅう]

法令ほうれいじょうで「衛星えいせい放送ほうそう」という文言もんごんなんらかの定義ていぎ規定きていしていたものは、総務そうむ省令しょうれい放送ほうそうほう施行しこう規則きそく以下いか、「施行しこう規則きそく」とりゃくす。)がある。

2009ねん平成へいせい21ねん)2がつ20日はつか施行しこう規則きそく改正かいせい [1] により、だい17じょうの8だい3こうだい1ごうに「人工じんこう衛星えいせいによりおこなわれる放送ほうそう」と規定きていした。また、このさいどうじょうどうこうに、

特別とくべつ衛星えいせい放送ほうそうだい2ごうに「つぎのいずれかに該当がいとうする衛星えいせい放送ほうそうであって、電波でんぱへんひだり旋偏電波でんぱ伝播でんぱ方向ほうこうかって電界でんかいベクトルが時間じかんとともにはん時計とけいまわりの方向ほうこう回転かいてんするえんへんをいう。)でないもの

  • イ 放送ほうそう衛星えいせい業務ぎょうむよう周波数しゅうはすう国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう憲章けんしょう規定きていする無線むせん通信つうしん規則きそく付録ふろくだい30ごう規定きていもとづきくにてられた11.7GHzをえ12.2GHzまでの放送ほうそう業務ぎょうむ使用しようされる周波数しゅうはすうをいう。ロにおいておなじ。)を使用しようしておこなわれる衛星えいせい放送ほうそう
  • ロ 放送ほうそう衛星えいせい業務ぎょうむよう周波数しゅうはすう以外いがい周波数しゅうはすう使用しようしておこなわれる衛星えいせい放送ほうそう

一般いっぱん衛星えいせい放送ほうそうだい3ごうに「「特別とくべつ衛星えいせい放送ほうそう以外いがい衛星えいせい放送ほうそう(イの衛星えいせい放送ほうそうをする無線むせんきょく開設かいせつされる人工じんこう衛星えいせいまた当該とうがい人工じんこう衛星えいせい同一どういつ軌道きどうもしく位置いちにある人工じんこう衛星えいせい開設かいせつする無線むせんきょくによりおこなわれるものにかぎる。)を使用しようしておこなわれる衛星えいせい放送ほうそう

規定きていした。これは、BSデジタル放送ほうそう東経とうけい110CSデジタル放送ほうそう受信じゅしん機器きき共用きょうよう可能かのうなものがほとんどであることから、普及ふきゅうはかるために呼称こしょう一本いっぽんしたものである。

2011ねん平成へいせい23ねん)6がつ30にち改正かいせい放送ほうそうほう施行しこう [2] され、放送ほうそうは、放送ほうそう専用せんようまた優先ゆうせんしててられる周波数しゅうはすうによる基幹きかん放送ほうそうとそれ以外いがい一般いっぱん放送ほうそう大別たいべつされることとなった。 同時どうじ施行しこう規則きそく改正かいせい [3] され、衛星えいせい放送ほうそう規定きてい削除さくじょ特別とくべつ衛星えいせい放送ほうそう衛星えいせい基幹きかん放送ほうそうに、一般いっぱん衛星えいせい放送ほうそう衛星えいせい一般いっぱん放送ほうそうとされた。

以後いごたんなる「衛星えいせい放送ほうそう」に法令ほうれいじょうなんらかの定義ていぎ規定きていするものはい。

各国かっこくにおける衛星えいせい放送ほうそう

[編集へんしゅう]

日本にっぽん

[編集へんしゅう]

中国ちゅうごく

[編集へんしゅう]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくでは、報道ほうどう中国共産党ちゅうごくきょうさんとう管理かんりにあり、当局とうきょくのコントロールがおよばない衛星えいせい放送ほうそう直接ちょくせつ受信じゅしんは、外国がいこくじん宿泊しゅくはく可能かのうな3つほし以上いじょうのホテルや幹部かんぶ住宅じゅうたくのぞいて禁止きんしされている(わりに、都市としではケーブルテレビが普及ふきゅうしている)。一方いっぽうで2010年代ねんだいはいってから、ケーブルテレビのない農村のうそん地域ちいきへの福利ふくり事業じぎょう一環いっかんとして、衛星えいせい放送ほうそう普及ふきゅう事業じぎょうおこなわれている。ただし、受信じゅしんできるのは中国ちゅうごく中央ちゅうおうでんだい(CCTV)をはじめとした国営こくえい放送ほうそうのみであり、世界せかい衛星えいせい放送ほうそう自由じゆう視聴しちょうできるわけではない(ホワイトリスト方式ほうしき[4]

韓国かんこく

[編集へんしゅう]

大韓民国だいかんみんこくには、日本にっぽんスカパー!プレミアムサービス相当そうとうするKTスカイライフがある。また、日本にっぽんちか衛星えいせい電波でんぱスピルオーバーNHK-BS直接ちょくせつ受信じゅしん可能かのうであった[5][6]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 平成へいせい21ねん総務そうむ省令しょうれいだい7ごうによる改正かいせい
  2. ^ 平成へいせい22ねん法律ほうりつだい65ごうによる改正かいせい施行しこう
  3. ^ 平成へいせい23ねん総務そうむ省令しょうれいだい62ごうによる改正かいせい
  4. ^ 放送ほうそう政策せいさく転換てんかん中国ちゅうごく農村のうそんをどうえるか - NHK放送ほうそう文化ぶんか研究所けんきゅうじょ
  5. ^ 일본문화 침투 가속화 - KBS NEWS(韓国かんこく放送ほうそう公社こうしゃ韓国かんこく(KBS9ニュース、1990ねん9がつ10日とおか
  6. ^ 衆議院しゅうぎいん議員ぎいん草川くさかわ昭三しょうぞうくん提出ていしゅつ放送ほうそう衛星えいせい電波でんぱ隣国りんごく漏洩ろうえいするいわゆるスピルオーバーにかんする質問しつもんたいする答弁とうべんしょ - 内閣ないかく総理そうり大臣だいじん・1990ねん11月2にち

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]