環 たまき 帯 たい 上 うえ で定義 ていぎ された調和 ちょうわ 関数 かんすう
数学 すうがく における調和 ちょうわ 関数 かんすう (ちょうわかんすう、英 えい : harmonic function )は、ラプラス方程式 ほうていしき を満足 まんぞく する二 に 回 かい 連続 れんぞく 的 てき 微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう のことをいう。
調和 ちょうわ 関数 かんすう に関 かん する重要 じゅうよう な問題 もんだい はディリクレ問題 もんだい である。ディリクレ問題 もんだい の解決 かいけつ 方法 ほうほう にはいくつかあるが、その中 なか でも重要 じゅうよう な一般 いっぱん 的 てき 方法 ほうほう はディリクレの原理 げんり である。
20世紀 せいき には、ウィリアム・ホッジ 、ジョルジュ・ド・ラーム 、小平 こだいら 邦彦 くにひこ らが調和 ちょうわ 積分 せきぶん 論 ろん の発展 はってん の中心 ちゅうしん 的 てき な役割 やくわり を果 は たした。
物理 ぶつり 学 がく において生 しょう じる調和 ちょうわ 函数 かんすう は、その特異 とくい 点 てん と(ディリクレ境界 きょうかい 条件 じょうけん やノイマン境界 きょうかい 条件 じょうけん などの)境界 きょうかい 条件 じょうけん によって決定 けってい される。さらに、境界 きょうかい のない領域 りょういき 上 じょう では任意 にんい の整 せい 函数 かんすう の実 じつ 部 ぶ または虚 きょ 部 ぶ が同 おな じ特異 とくい 点 てん を持 も つ調和 ちょうわ 函数 かんすう を与 あた えるから、この場合 ばあい 調和 ちょうわ 函数 かんすう をその特異 とくい 点 てん のみで決定 けってい することはできないが、物理 ぶつり 学 がく 的 てき な要請 ようせい として解 かい は無限 むげん 遠 とお において消 き えるものと仮定 かてい すれば、やはり一意的 いちいてき な解 かい を得 え ることができる(この一意 いちい 性 せい はリウヴィルの定理 ていり による)。
このような調和 ちょうわ 函数 かんすう の特異 とくい 点 てん は、電気 でんき 力学 りきがく の言葉 ことば で言 い えば「電荷 でんか 」や「電荷 でんか 密度 みつど 」として解釈 かいしゃく することができて、対応 たいおう する調和 ちょうわ 函数 かんすう はこの電荷 でんか 分布 ぶんぷ に従 したが う電位 でんい に比例 ひれい するものと理解 りかい することができる。またそのような函数 かんすう は定数 ていすう 倍 ばい したり、回転 かいてん したり、定数 ていすう を加 くわ えたりしても調和 ちょうわ 函数 かんすう を与 あた える。調和 ちょうわ 函数 かんすう の反転 はんてん (英語 えいご 版 ばん ) もまた調和 ちょうわ 函数 かんすう だが、特異 とくい 点 てん はもとの函数 かんすう の(球面 きゅうめん に関 かん する)「鏡 かがみ 像 ぞう 」に写 うつ る。二 ふた つの調和 ちょうわ 函数 かんすう の和 わ も調和 ちょうわ 函数 かんすう である。
関数 かんすう f : C n (resp. R n ) → C (resp. R ) がラプラス作用素 さようそ
Δ でるた
=
∂
2
∂
x
1
2
+
∂
2
∂
x
2
2
+
⋯
+
∂
2
∂
x
n
2
{\displaystyle \Delta ={\frac {\partial ^{2}}{\partial x_{1}^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}}{\partial x_{2}^{2}}}+\cdots +{\frac {\partial ^{2}}{\partial x_{n}^{2}}}}
に対 たい し、Δ でるた f = 0 を満 み たすとき、関数 かんすう f は調和 ちょうわ (harmonic) である、あるいは f は調和 ちょうわ 関数 かんすう であるという。
与 あた えられた領域 りょういき U 上 うえ の調和 ちょうわ 函数 かんすう 全体 ぜんたい の成 な す集合 しゅうごう はラプラス作用素 さようそ Δ でるた の核 かく であり、従 したが って実 み ベクトル空間 くうかん となる。すなわち、調和 ちょうわ 函数 かんすう の和 わ ・差 さ ・スカラー倍 ばい はまた調和 ちょうわ 函数 かんすう になる。
領域 りょういき U 上 うえ の調和 ちょうわ 函数 かんすう f に対 たい し、f の任意 にんい の偏 へん 導 しるべ 函数 かんすう はまた U 上 うえ の調和 ちょうわ 函数 かんすう である。ラプラス作用素 さようそ Δ でるた と偏 へん 微分 びぶん 作用素 さようそ ∂ は調和 ちょうわ 函数 かんすう のクラスの上 うえ では可 か 換 かわ になる。
幾 いく つかの意味 いみ において、調和 ちょうわ 函数 かんすう は正則 せいそく 函数 かんすう の実 じつ 解析 かいせき における対応 たいおう 物 ぶつ と考 かんが えることができる。任意 にんい の調和 ちょうわ 函数 かんすう は実 み 解析 かいせき 的 てき である(つまり局所 きょくしょ 的 てき に冪 べき 級数 きゅうすう によって表 あらわ される)。これは楕円 だえん 型 がた 作用素 さようそ (ラプラス作用素 さようそ はその例 れい としてよく知 し られている)に関 かん する一般 いっぱん 的 てき な事実 じじつ である。
調和 ちょうわ 函数 かんすう の一様 いちよう 極限 きょくげん 函数 かんすう はまた調和 ちょうわ 函数 かんすう である。これは中 ちゅう 間 あいだ 値 ち 性質 せいしつ をもつ任意 にんい の連続 れんぞく 函数 かんすう が調和 ちょうわ であることから分 わ かる。(−∞, 0) × R 上 うえ の函 はこ 数列 すうれつ を f n (x ,y ) = exp(nx )cos(ny )/n と定 さだ めればこれは一様 いちよう に零 れい 函数 かんすう に収束 しゅうそく するが、注意 ちゅうい すべきはこれらの偏 へん 導 しるべ 函数 かんすう の成 な す列 れつ は(零 れい 函数 かんすう の導 しるべ 函数 かんすう としての)零 れい 函数 かんすう には一様 いちよう 収束 しゅうそく しないことである。つまり、極限 きょくげん が調和 ちょうわ であるというためには連続 れんぞく 性 せい と中間 なかま 値 ち 性質 せいしつ の両方 りょうほう を満足 まんぞく することが重要 じゅうよう であることを示 しめ している。
以下 いか では i を虚数 きょすう 単位 たんい として用 もち いる。
複素 ふくそ 関数 かんすう と2次元 じげん 調和 ちょうわ 関数 かんすう [ 編集 へんしゅう ]
複素数 ふくそすう z = x + iy (x , y ∈ R ) を変数 へんすう とする複素 ふくそ 1 変数 へんすう 複素 ふくそ 関数 かんすう f (z ) について、これを実 じつ 2 変数 へんすう の関数 かんすう として書 か き直 なお すことができる。実 じつ 2 変数 へんすう 複素 ふくそ 関数 かんすう w (x , y ) = f (z ) を、実 み 部 ぶ と虚 きょ 部 ぶ に分解 ぶんかい すると
w (x , y ) = u (x , y ) + iv (x , y ) (u , v ∈ R ),
実 み 部 ぶ と虚 きょ 部 ぶ に対応 たいおう する実 じつ 2 変数 へんすう の実 じつ 関数 かんすう として u (x , y ) と v (x , y ) が得 え られる。このとき、w が複素 ふくそ 微分 びぶん 可能 かのう であれば u (x , y ), v (x , y ) は実 じつ 2 変数 へんすう の調和 ちょうわ 関数 かんすう となる。
コーシー・リーマンの関係 かんけい 式 しき より、2 つの関数 かんすう u (x , y ), v (x , y ) は
{
∂
u
∂
x
(
x
,
y
)
=
∂
v
∂
y
(
x
,
y
)
∂
u
∂
y
(
x
,
y
)
=
−
∂
v
∂
x
(
x
,
y
)
{\displaystyle {\begin{cases}{\dfrac {\partial u}{\partial x}}(x,y)={\dfrac {\partial v}{\partial y}}(x,y)\\{\dfrac {\partial u}{\partial y}}(x,y)=-{\dfrac {\partial v}{\partial x}}(x,y)\end{cases}}}
を満 み たすが、これをベクトル解析 かいせき の言葉 ことば で書 か き直 なお せば grad u (x , y ) = (∂y , −∂x )T v (x , y ) となり、この湧 わ き出 で し div grad u (x , y ) = Δ でるた u (x , y ) はゼロなので、関数 かんすう u (x , y ) は 2 次元 じげん のラプラス方程式 ほうていしき を満 み たす調和 ちょうわ 関数 かんすう であることが分 わ かる。同様 どうよう の方法 ほうほう でまた v (x , y ) も調和 ちょうわ 関数 かんすう であることが導 みちび かれる。すなわち、正則 せいそく な複素 ふくそ 関数 かんすう の実 み 部 ぶ と虚 きょ 部 ぶ は実 じつ 調和 ちょうわ 関数 かんすう となる。
逆 ぎゃく に、2 つの実 じつ 調和 ちょうわ 関数 かんすう がコーシー・リーマンの関係 かんけい 式 しき を満 み たすとき、それらは共役 きょうやく であるといい、共役 きょうやく な実 じつ 調和 ちょうわ 関数 かんすう の対 たい u (x , y ) , v (x , y ) が与 あた えられると、z = x + iy を変数 へんすう とする正則 せいそく 関数 かんすう f (z ) = u (x , y ) + iv (x , y ) が得 え られる。単 たん 連結 れんけつ 領域 りょういき 上 うえ の実 じつ 調和 ちょうわ 関数 かんすう は共役 きょうやく 調和 ちょうわ 関数 かんすう を持 も つ(すなわち正則 せいそく 関数 かんすう の実 じつ 部 ぶ あるいは虚 きょ 部 ぶ である)。
φ ふぁい (x ) を R n 内 うち の領域 りょういき U で定義 ていぎ された調和 ちょうわ 関数 かんすう とする。このとき、ある点 てん x ∈ U における値 ね φ ふぁい (x ) は、点 てん x を中心 ちゅうしん として U に含 ふく まれる任意 にんい の半径 はんけい r を持 も つ (n − 1) -次元 じげん 球面 きゅうめん ∂B(x ,r ) 上 うえ での φ ふぁい の平均 へいきん 値 ち に等 ひと しい。すなわち、
ϕ
(
x
)
=
1
ω おめが
(
n
)
r
n
−
1
∫
∂
B
(
x
,
r
)
ϕ
(
y
)
d
S
(
y
)
{\displaystyle \phi (x)={\frac {1}{\omega (n)r^{n-1}}}\int _{\partial B(x,r)}\!\!\phi (y)dS(y)}
が成 な り立 た つ。但 ただ し、ω おめが (n ) は
ω おめが
(
n
)
=
n
π ぱい
n
/
2
Γ がんま
(
n
2
+
1
)
{\displaystyle \omega (n)={\frac {n\pi ^{n/2}}{\Gamma ({\frac {n}{2}}+1)}}}
で与 あた えられる n − 1 次元 じげん 単位 たんい 球面 きゅうめん の面積 めんせき である。これは調和 ちょうわ 関数 かんすう の平均 へいきん 値 ち の性質 せいしつ (mean value property) 、あるいはガウスの平均 へいきん 値 ち 定理 ていり (Gauss' mean value theorem) 、または単 たん に調和 ちょうわ 関数 かんすう に関 かん する平均 へいきん 値 ち 定理 ていり (mean value theorem for harmonic functions) と呼 よ ばれる。この結果 けっか から調和 ちょうわ 関数 かんすう φ ふぁい (x ) は点 てん x を中心 ちゅうしん として U に含 ふく まれる任意 にんい の半径 はんけい r を持 も つ n -次元 じげん 球体 きゅうたい B(x ,r ) での平均 へいきん にも一致 いっち する。すなわち、
ϕ
(
x
)
=
1
α あるふぁ
(
n
)
r
n
∫
B
(
x
,
r
)
ϕ
(
y
)
d
y
{\displaystyle \phi (x)={\frac {1}{\alpha (n)r^{n}}}\int _{B(x,r)}\!\!\phi (y)dy}
が成 な り立 た つ。但 ただ し、α あるふぁ (n ) は
α あるふぁ
(
n
)
=
π ぱい
n
/
2
Γ がんま
(
n
2
+
1
)
{\displaystyle \alpha (n)={\frac {\pi ^{n/2}}{\Gamma ({\frac {n}{2}}+1)}}}
で与 あた えられる n -次元 じげん 単位 たんい 球 だま の体積 たいせき である。
逆 ぎゃく にφ ふぁい ∈ C2 (U ) は、φ ふぁい (x ) がU 内 うち の任意 にんい の球面 きゅうめん ∂ B(x ,r ) 上 うえ の平均 へいきん と一致 いっち するならば、φ ふぁい は調和 ちょうわ 関数 かんすう となる。
平均 へいきん 値 ち の性質 せいしつ から、点 てん x における調和 ちょうわ 関数 かんすう の値 ね φ ふぁい (x ) は、点 てん x から出発 しゅっぱつ したランダムウォーカーが領域 りょういき U の境界 きょうかい ∂U に到達 とうたつ したとき、到達 とうたつ した点 てん での調和 ちょうわ 関数 かんすう の境界 きょうかい φ ふぁい (y ∈ ∂U ) の期待 きたい 値 ち に対応 たいおう していることが分 わ かる。逆 ぎゃく に、任意 にんい のディリクレ境界 きょうかい 条件 じょうけん に対 たい して、任意 にんい の点 てん x の調和 ちょうわ 関数 かんすう の値 ね φ ふぁい (x ) を見積 みつ もるには、x を出発 しゅっぱつ して到達 とうたつ した点 てん での境界 きょうかい 値 ち の算術 さんじゅつ 平均 へいきん をとればよい。
調和 ちょうわ 関数 かんすう の平均 へいきん 値 ち の性質 せいしつ は、最大 さいだい 値 ち (最小 さいしょう 値 ち )に強 つよ い制約 せいやく を課 か すため、調和 ちょうわ 関数 かんすう は領域 りょういき の境界 きょうかい で最大 さいだい 値 ち (最小 さいしょう 値 ち )をとる。正確 せいかく には、U を R n の有界 ゆうかい な開 ひらき 集合 しゅうごう とし、φ ふぁい が U 上 うえ の調和 ちょうわ 関数 かんすう で、φ ふぁい を境界 きょうかい に連続 れんぞく に拡張 かくちょう できるならば、
max
U
¯
ϕ
=
max
∂
U
ϕ
{\displaystyle \max _{\overline {U}}\phi =\max _{\partial U}\phi }
が成 な り立 た つ。この性質 せいしつ を調和 ちょうわ 関数 かんすう の最大 さいだい 値 ち 原理 げんり と呼 よ ぶ。U が連結 れんけつ 開 ひらけ 集合 しゅうごう である場合 ばあい に、
max
U
ϕ
{\displaystyle \max _{U}\phi }
が存在 そんざい すれば、φ ふぁい は定数 ていすう 関数 かんすう となる。この性質 せいしつ を調和 ちょうわ 関数 かんすう の強 つよ 最大 さいだい 値 ち 原理 げんり と呼 よ ぶ。
最大 さいだい 値 ち 原理 げんり の直接的 ちょくせつてき な応用 おうよう としては、ポアソン方程式 ほうていしき の境界 きょうかい 値 ち 問題 もんだい における解 かい の一意 いちい 性 せい の証明 しょうめい がある。R n の有界 ゆうかい な開 ひらき 集合 しゅうごう U とその境界 きょうかい ∂U において、f ∈ C (U ) とg ∈ C (∂U ) を与 あた え、ポアソン方程式 ほうていしき の境界 きょうかい 値 ち 問題 もんだい を考 かんが える。この境界 きょうかい 値 ち 問題 もんだい の二 ふた つの解 かい に対 たい し、差 さ を取 と ったものは調和 ちょうわ 関数 かんすう であり、最大 さいだい 値 ち 原理 げんり より、その最大 さいだい 値 ち 、最小 さいしょう 値 ち はゼロとなる。すなわち、二 ふた つの解 かい は一致 いっち する。
調和 ちょうわ 関数 かんすう は2階 かい 連続 れんぞく 微分 びぶん 可能 かのう 性 せい のみを仮定 かてい しているに関 かか わらず、無限 むげん 回 かい 微分 びぶん 可能 かのう である。これは調和 ちょうわ 関数 かんすう に球 たま 対称 たいしょう な軟化 なんか 子 こ を作用 さよう させたものが、平均 へいきん 値 ち の性質 せいしつ から調和 ちょうわ 関数 かんすう 自身 じしん に一致 いっち することから示 しめ される。この性質 せいしつ は、より一般 いっぱん 的 てき な条件 じょうけん の下 した でワイルの補題 ほだい として知 し られる。さらに、調和 ちょうわ 関数 かんすう は解析 かいせき 的 てき である。
全 ちょん R n 上 うえ で定義 ていぎ された有界 ゆうかい な調和 ちょうわ 関数 かんすう は定数 ていすう 関数 かんすう となる。この定理 ていり は、全 ぜん 複素 ふくそ 平面 へいめん で正則 せいそく な複素 ふくそ 関数 かんすう (整 せい 関数 かんすう )が有界 ゆうかい ならば定数 ていすう 関数 かんすう であるという、関数 かんすう 論 ろん におけるリウヴィルの定理 ていり の類似 るいじ を与 あた えている。
函数 かんすう (あるいはより一般 いっぱん にシュヴァルツ超 ちょう 函数 かんすう )がラプラス方程式 ほうていしき Δ でるた f = 0 の弱 じゃく 解 かい (シュヴァルツ超 ちょう 函数 かんすう の意味 いみ での解 かい )となるとき弱 じゃく 調和 ちょうわ (英語 えいご 版 ばん ) であるという。
弱 じゃく 調和 ちょうわ 函数 かんすう は殆 ほとん ど至 いた る所 ところ 真 しん の調和 ちょうわ 函数 かんすう に一致 いっち し、特 とく に滑 なめ らかである。弱 じゃく 調和 ちょうわ 超 ちょう 函数 かんすう とは、真 しん の調和 ちょうわ 函数 かんすう に同伴 どうはん するシュヴァルツ超 ちょう 函数 かんすう のことであり、従 したが ってこれもまた滑 なめ らかである。これラプラス方程式 ほうていしき に関 かん するワイルの補題 ほだい という。
このほかにもラプラス方程式 ほうていしき の弱 じゃく バージョン で有用 ゆうよう なものがたくさんある。そういったものの一 ひと つはディリクレの原理 げんり で、これはソボレフ空間 くうかん H 1 (Ω おめが ) に属 ぞく する調和 ちょうわ 函数 かんすう をディリクレエネルギー積分 せきぶん
J
(
u
)
:=
∫
Ω おめが
|
∇
u
|
2
d
x
{\displaystyle J(u):=\int _{\Omega }|\nabla u|^{2}\,dx}
を局所 きょくしょ 変 へん 分 ぶん に関 かん して最小 さいしょう 化 か するものとして表現 ひょうげん する。すなわち、調和 ちょうわ 函数 かんすう u ∈ H 1 (Ω おめが ) は、任意 にんい の v ∈ C ∞c (Ω おめが ) に対 たい して(あるいは同 おな じことだが v ∈ H 1 0 (Ω おめが ) に対 たい して J (u ) ≤ J (u + v ) を満 み たす。
任意 にんい のリーマン多様 たよう 体 たい 上 うえ の調和 ちょうわ 函数 かんすう は、ラプラス・ベルトラミ作用素 さようそ (英語 えいご 版 ばん ) Δ でるた を用 もち いて定義 ていぎ することができる。すなわち、この文脈 ぶんみゃく における函数 かんすう が調和 ちょうわ であるとはラプラス・ベルトラミ作用素 さようそ に関 かん する方程式 ほうていしき Δ でるた f = 0 を満足 まんぞく することを言 い う。
既 すで に述 の べたユークリッド空間 くうかん 内 ない の領域 りょういき 上 じょう 定義 ていぎ された調和 ちょうわ 函数 かんすう が持 も つ多 おお くの性質 せいしつ は、このより一般 いっぱん の状況 じょうきょう に於 お いても満足 まんぞく され、例 たと えば (測地 そくち 的 てき 球体 きゅうたい 上 じょう の)平均 へいきん 値 ち の定理 ていり 、最大 さいだい 値 ち 原理 げんり 、ハルナックの不等式 ふとうしき などが成立 せいりつ する。平均 へいきん 値 ち の定理 ていり を除 のぞ けば、これらは二 に 階 かい の線型 せんけい 楕円 だえん 型 がた 偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき 一般 いっぱん に対 たい する対応 たいおう する結果 けっか の簡単 かんたん な帰結 きけつ である。
ラプラス方程式 ほうていしき の代 か わりに、Δ でるた f ≥ 0 を満足 まんぞく する C 2 -級 きゅう 函数 かんすう は劣 れつ 調和 ちょうわ であると言 い う。この条件 じょうけん のもとでも最大 さいだい 値 ち 原理 げんり は保証 ほしょう されるが、調和 ちょうわ 函数 かんすう が持 も つ他 ほか の性質 せいしつ は満 み たされるとは限 かぎ らない。より一般 いっぱん に、劣 れつ 調和 ちょうわ 函数 かんすう となるための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は、定義 ていぎ 域内 いきない の任意 にんい の球体 きゅうたい の内部 ないぶ においてその函数 かんすう のグラフがその球体 きゅうたい の境界 きょうかい 値 ち を補間 ほかん する調和 ちょうわ 函数 かんすう のグラフの下 した にあることである。
調和 ちょうわ 函数 かんすう に関 かん する研究 けんきゅう を一般 いっぱん 化 か するものの一 ひと つとして、リーマン多様 たよう 体 たい 上 うえ の調和 ちょうわ 形式 けいしき 及 およ びそれに関連 かんれん したコホモロジー論 ろん がある(同様 どうよう にベクトル値 ち 調和 ちょうわ 函数 かんすう や二 ふた つのリーマン多様 たよう 体 たい 間 あいだ の調和 ちょうわ 写像 しゃぞう なども定義 ていぎ できる)。例 たと えば、リーマン多様 たよう 体内 たいない の曲線 きょくせん (つまり、実数 じっすう 直線 ちょくせん R 内 うち の区間 くかん からリーマン多様 たよう 体 たい への写像 しゃぞう )が調和 ちょうわ となるための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん はそれが測地 そくち 的 てき であることである。
滑 なめ らかな計量 けいりょう を持 も つ向 む き付 づ け可能 かのう なコンパクト多様 たよう 体 たい M 上 うえ の微分 びぶん 作用素 さようそ の成 な すド・ラム複 ふく 体 たい
0
→
Ω おめが
0
(
M
)
→
d
0
Ω おめが
1
(
M
)
→
d
1
⋯
⟶
d
n
−
1
Ω おめが
n
(
M
)
→
d
n
0
{\displaystyle 0\to \Omega ^{0}(M){\stackrel {d_{0}}{{}\to {}}}\Omega ^{1}(M){\stackrel {d_{1}}{{}\to {}}}\dotsb {\stackrel {d_{n-1}}{{}\longrightarrow {}}}\Omega ^{n}(M){\stackrel {d_{n}}{{}\to {}}}0}
(ここで Ω おめが k は次数 じすう k の滑 なめ らかな微分 びぶん 形式 けいしき の層 そう 、dk は Ω おめが k (M ) 上 うえ の外 そと 微分 びぶん である)に対 たい して、ベクトル空間 くうかん の系列 けいれつ
H
k
(
M
)
=
ker
d
k
/
im
d
k
−
1
{\displaystyle H^{k}(M)=\ker d_{k}/\operatorname {im} d_{k-1}}
はド・ラムコホモロジーと呼 よ ばれる。M の計量 けいりょう が誘導 ゆうどう する内積 ないせき に関 かん して、外 そと 微分 びぶん d に対 たい する形式 けいしき 的 てき な随伴 ずいはん 作用素 さようそ として余 よ 微分 びぶん δ でるた を定義 ていぎ することができる。
このとき、微分 びぶん 形式 けいしき 上 じょう のラプラス作用素 さようそ が Δ でるた = d δ でるた + δ でるた d で定義 ていぎ され、調和 ちょうわ 形式 けいしき の空間 くうかん
H
Δ でるた
k
(
M
)
=
{
α あるふぁ
∈
Ω おめが
k
(
M
)
∣
Δ でるた
α あるふぁ
=
0
}
{\displaystyle {\mathcal {H}}_{\Delta }^{k}(M)=\{\alpha \in \Omega ^{k}(M)\mid \Delta \alpha =0\}}
が定義 ていぎ される。
d
H
Δ でるた
k
(
M
)
=
0
{\displaystyle d{\mathcal {H}}_{\Delta }^{k}(M)=0}
であるから自然 しぜん な写像 しゃぞう
φ ふぁい
:
H
Δ でるた
k
(
M
)
→
H
k
(
M
)
{\displaystyle \varphi \colon {\mathcal {H}}_{\Delta }^{k}(M)\to H^{k}(M)}
が存在 そんざい するが、ホッジの定理 ていり の第 だい 一部 いちぶ はこの φ ふぁい がベクトル空間 くうかん の同型 どうけい となることを述 の べる。すなわち、M 上 うえ の各 かく ド・ラムコホモロジー類 るい に対 たい し、その代表 だいひょう 元 もと として調和 ちょうわ 形式 けいしき が一意的 いちいてき に取 と れる。
同様 どうよう のことは、コンパクト多様 たよう 体 たい 上 じょう の楕円 だえん 型 がた 複 ふく 体 たい に対 たい して述 の べられる。すなわち、楕円 だえん 型 がた 複 ふく 体 たい のコホモロジーは調和 ちょうわ 切断 せつだん の空間 くうかん と自然 しぜん に同型 どうけい であり、各 かく コホモロジー類 るい は調和 ちょうわ な代表 だいひょう 元 もと を一意 いちい に持 も つ。
ふたつのリーマン多様 たよう 体 たい M , N に対 たい し、調和 ちょうわ 写像 しゃぞう u : M → N は、一般 いっぱん 化 か ディリクレエネルギー汎 ひろし 函数 かんすう
D
[
u
]
=
1
2
∫
M
‖
d
u
‖
2
d
V
{\displaystyle D[u]={\frac {1}{2}}\int _{M}\|du\|^{2}\,dV}
の臨界 りんかい 点 てん として定義 ていぎ される。ここで du : TM → TN は u の微分 びぶん であり、ノルムは M および N の距離 きょり から誘導 ゆうどう されるテンソル積 せき 束 たば T *M ⊗ u −1 TN 上 うえ のノルムである。
上述 じょうじゅつ のように、これに特別 とくべつ の場合 ばあい として調和 ちょうわ 函数 かんすう が含 ふく まれることはディリクレの原理 げんり に他 た ならない。
多様 たよう 体 たい 間 あいだ の調和 ちょうわ 写像 しゃぞう の特別 とくべつ の場合 ばあい として重要 じゅうよう なものに極小 きょくしょう 曲面 きょくめん がある。これは曲面 きょくめん の三 さん 次元 じげん ユークリッド空間 くうかん への調和 ちょうわ はめ込 こ み (harmonic immersion) に一致 いっち する(より一般 いっぱん に、極小 きょくしょう 部分 ぶぶん 多様 たよう 体 たい は多様 たよう 体 たい から別 べつ の多様 たよう 体 たい への調和 ちょうわ はめ込 こ みになる)。調和 ちょうわ 座標 ざひょう 系 けい (英語 えいご 版 ばん ) とは、多様 たよう 体 たい から同 おな じ次元 じげん のユークリッド空間 くうかん の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう への調和 ちょうわ 微分 びぶん 同相 どうしょう 写像 しゃぞう のことである。
『調和 ちょうわ 関数 かんすう 』 - コトバンク
Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Harmonic function” , Encyclopedia of Mathematics , Springer, ISBN 978-1-55608-010-4 , https://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Harmonic_function
Weisstein, Eric W. "Harmonic Function" . mathworld.wolfram.com (英語 えいご ).
Harmonic Function Theory by S.Axler, Paul Bourdon, and Wade Ramey