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質点しつてん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

質点しつてん(しつてん、英語えいご: point mass)とは力学りきがくてき概念がいねんで、位置いち一意的いちいてきさだまり質量しつりょう運動うんどう要素ようそだが、それ以外いがいの、体積たいせき変形へんけい角速度かくそくどなどの内部ないぶ自由じゆう一切いっさいたないものと定義ていぎされる。

てん粒子りゅうし一種いっしゅである。モデルであるが、初等しょとうてき積分せきぶん計算けいさん証明しょうめいできるように、たま対称たいしょう質量しつりょう分布ぶんぷかた物体ぶったいは、その重心じゅうしん運動うんどうあつかかぎりにおいては、ぜん質量しつりょうをその中心ちゅうしん集中しゅうちゅうさせた質点しつてんとしてあつかったとしても、近似きんじではなく完全かんぜん一致いっちする。したがって、たとえば、惑星わくせい公転こうてん軌道きどう太陽たいよう周回しゅうかい軌道きどう)を計算けいさんする場合ばあいなどにおいては、惑星わくせい質点しつてんなしても、体積たいせきったたまとして計算けいさんした場合ばあいまった同様どうよう正確せいかくさで計算けいさんできる。ただしこのれい場合ばあいは、そもそもからだ問題もんだい厳密げんみつかいい。結局けっきょくのところ、近似きんじかは、しん質点しつてん存在そんざいするかかの問題もんだいではなく、あつかっている問題もんだいにおいて、対象たいしょう質点しつてんとしてあつかっても厳密げんみつ一致いっちするかそうでないかの問題もんだいである。

多数たすう質点しつてん存在そんざいするけい質点しつてんけいという。この場合ばあい質点しつてんかずは、2から、一般いっぱんnまで、様々さまざまである。質点しつてんけいあつかさいには、個々ここ質点しつてん自然しぜんすう番号ばんごうをつけて「〜ばん質点しつてん」のように区別くべつするとともに、総和そうわ記号きごうもちいてしき見通みとおしをよくすることがよくおこなわれる。

質点しつてんけい力学りきがく

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質点しつてん運動うんどう方程式ほうていしき

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重心じゅうしん運動うんどう方程式ほうていしき

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古典こてん力学りきがくにおいて、質量しつりょう物体ぶったいがどんな状況じょうきょうにあろうと変化へんかしないなので、質量しつりょうはや位置いち座標ざひょう質点しつてん運動うんどう方程式ほうていしきつぎのようにあらわすことができる。

ここで、運動うんどうりょうばれる物理ぶつりりょうである。 質点しつてん複数ふくすうある質点しつてんけいにおいて、重心じゅうしんばれる座標ざひょう存在そんざいする。質点しつてんけい質点しつてんたがいにはなれてばらばらに運動うんどうしているが、すべての質点しつてん質量しつりょうち、その運動うんどう質点しつてんけいそのものの運動うんどうとみなせる質点しつてんあつかうことができる。その質点しつてん重心じゅうしんであり、その運動うんどう方程式ほうていしき重心じゅうしん運動うんどう方程式ほうていしきという。

ここで、質点しつてんけいないぜん質量しつりょう(重心じゅうしん質量しつりょう)、質点しつてん個数こすうぜん運動うんどうりょう(重心じゅうしん運動うんどうりょう)、はiばん質点しつてんはたら外力がいりょくである。重心じゅうしん運動うんどうりょううちりょくには依存いぞんせず、したがって、外力がいりょくはたらいていないけい、または外力がいりょく総和そうわけいではぜん運動うんどうりょう保存ほぞんされる。

質点しつてん個数こすう無限むげんにあり、連続れんぞくてき分布ぶんぷしているけいでは、重心じゅうしん座標ざひょうつぎのようにあらわされる。


ここで、位置いちでの質点しつてん密度みつどしめし、積分せきぶん領域りょういき質点しつてん分布ぶんぷしている領域りょういきわたっている。

相対そうたい座標ざひょう運動うんどう方程式ほうていしき

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AとBの2つの質点しつてんがある。AとBはそれぞれ座標ざひょう質量しつりょうはやさはである。作用さよう反作用はんさよう法則ほうそく考慮こうりょして、Aの運動うんどう方程式ほうていしきけ、Bの方程式ほうていしきにはけてざんすれば

となり、外力がいりょくがないときうえしきつぎのようになる。

このしきは、座標ざひょう質量しつりょうとする質点しつてん運動うんどう方程式ほうていしきとみなすことができる。相対そうたい座標ざひょう換算かんさん質量しつりょうぶ。したがって、うえ運動うんどう方程式ほうていしき

のようにあらわされ、ちょうど換算かんさん質量しつりょう質点しつてんが、相対そうたい速度そくど運動うんどうするときの運動うんどう方程式ほうていしきとみなせる。これを相対そうたい座標ざひょう運動うんどう方程式ほうていしきという。

とくにのときには、換算かんさん質量しつりょうちいさいほうの質量しつりょうひとしいとみなせる。

この場合ばあいには、ちょうど静止せいししたおおきな質量しつりょうからのちからけて運動うんどうする、質量しつりょう質点しつてん運動うんどう方程式ほうていしきあらわすことになる。たとえば、地球ちきゅうまわりをまわ人工じんこう衛星えいせいは、静止せいししている地球ちきゅうからの引力いんりょくけて運動うんどうしていると近似きんじてきあつかうことができる。

衝突しょうとつ

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ここでは、AとBの2つの質点しつてん衝突しょうとつしたとき、その前後ぜんご運動うんどう記述きじゅつする。このとき、外力がいりょくはたらかず、位置いちエネルギー無視むしできる程度ていどのものとする。運動うんどうりょう保存ほぞん法則ほうそくから、衝突しょうとつ前後ぜんこう運動うんどうりょうをそれぞれとすれば、

となり、衝突しょうとつ運動うんどうエネルギー保存ほぞんされているなら、

ち、このときの衝突しょうとつ弾性だんせい衝突しょうとつまたは完全かんぜん弾性だんせい衝突しょうとつという。これ以外いがい、すなわち運動うんどうエネルギーが保存ほぞんされていないときの衝突しょうとつ弾性だんせい衝突しょうとつといい、とく衝突しょうとつにAとBが一体いったいとなって運動うんどうしたときは完全かんぜん弾性だんせい衝突しょうとつぶ。

反発はんぱつ係数けいすうeもちいた場合ばあいのときが弾性だんせい衝突しょうとつのときに弾性だんせい衝突しょうとつ場合ばあいでは完全かんぜん弾性だんせい衝突しょうとつ定義ていぎする。

現実げんじつには運動うんどうエネルギーは保存ほぞんされず、ねつエネルギー振動しんどうエネルギーなどに一部いちぶ変化へんかする。実際じっさいには物体ぶったい質点しつてんではないので回転かいてん運動うんどうエネルギー変形へんけいのエネルギーなどにも変化へんかする。

1次元じげん衝突しょうとつ

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相対そうたい速度そくど方向ほうこう座標軸ざひょうじくをとり、質量しつりょうの2つの質点しつてん座標軸ざひょうじくじょう衝突しょうとつについて記述きじゅつする。運動うんどうりょう保存ほぞん法則ほうそくから、

よって、反発はんぱつ係数けいすう定義ていぎから、衝突しょうとつ速度そくどつぎのようにあらわされ、


衝突しょうとつ前後ぜんこう運動うんどうエネルギーの

日常にちじょうで1次元じげん衝突しょうとつれいげれば、ビリヤードたま同士どうし衝突しょうとつ近似きんじてき弾性だんせい衝突しょうとつであるし、原子核げんしかくかく融合ゆうごう反応はんのう完全かんぜん弾性だんせい衝突しょうとつである。

2次元じげん衝突しょうとつ

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物体ぶったい衝突しょうとつめんでのかすり衝突しょうとつについて記述きじゅつする。

接触せっしょくめんでの摩擦まさつがないとすると、接触せっしょくめん方向ほうこうには外力がいりょくうちりょくもはたらかないために、接触せっしょくめん平行へいこう成分せいぶん速度そくど運動うんどうりょう保存ほぞんされる。衝突しょうとつまえはやさと接線せっせんのなすかくをそれぞれ衝突しょうとつはやさと接線せっせんのなすかくをそれぞれととると、接線せっせん方向ほうこう成分せいぶん


接触せっしょくめん直行ちょっこうする成分せいぶん(法線ほうせん成分せいぶん)は、

となる。

ちからのモーメント

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質点しつてんけいちからのモーメントはぜん質点しつてん外力がいりょくのモーメントの総和そうわひとしく、うちりょくのモーメントに依存いぞんしない。


脚注きゃくちゅう

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外部がいぶリンク

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