辰巳たつみ芳子よしこ

辰巳たつみ芳子よしこ（たつみよしこ、1924年ねん 12月1日にち - ）は、日本にっぽんの料理りょうり研究けんきゅう家か、随筆ずいひつ家か。

料理りょうり研究けんきゅう家かの草分くさわけ的てき存在そんざいである母はは・辰巳たつみ浜子はまこの志こころざしを継つぎ、家庭かてい料理りょうり、西洋せいよう料理りょうりの研究けんきゅうを行おこなう。

NPO「大豆だいず100粒つぶ運動うんどうを支ささえる会かい」^[1]、NPO「良よい食材しょくざいを伝つたえる会かい」^[2]、「確たしかな味あじを造つくる会かい」会長かいちょう。自宅じたくで「スープの会かい」主宰しゅさい。株式会社かぶしきがいしゃ茂しげる仁香にかの代表だいひょうも務つとめる。

人物じんぶつ[編集へんしゅう]

母ははから家庭かてい料理りょうりを学まなび、宮内庁くないちょう大膳だいぜん寮りょうで修行しゅぎょうを積つんだ加藤かとう正之まさゆきにフランス料理りょうりの指導しどうを受うけ、イタリア、スペインなどで西洋せいよう料理りょうりの研とぎ鑚も重かさねる。病苦びょうくに苦くるしむ父ちちへの介護かいご食しょく「いのちのスープ」に代表だいひょうされる家庭かてい料理りょうりの大切たいせつさを雑誌ざっし、著作ちょさく、テレビなどで伝つたえている。近年きんねんは安全あんぜんで良質りょうしつな食材しょくざいを次世代じせだいに残のこしたいとNPOの活動かつどうを通とおして「命いのちに直結ちょっけつした食しょくの大切たいせつさ」を訴うったえ続つづけている。2018年ねんに93歳さいで終おわり活かつを始はじめた。

来歴らいれき[編集へんしゅう]

1924年ねん - 東京とうきょう・目黒めぐろ・長者ちょうじゃ丸まる（東京とうきょう都と品川しながわ区く）に生うまれる。父ちち・芳雄よしお（大成建設たいせいけんせつ常務じょうむ取締役とりしまりやく）、母はは・浜子はまごの長女ちょうじょとして生うまれる。5歳さいの時ときに最愛さいあいの祖父そふが亡なくなる（辰巳たつみ家かは加賀かが藩はんの家臣かしんで、祖父そふは横須賀よこすか海軍かいぐん造船ぞうせん校舎こうしゃへ入学にゅうがく。18歳さいでフランス留学りゅうがく。日本にっぽんで初はじめての軍艦ぐんかんを造つくった。のちに三菱みつびし造船ぞうせんの創立そうりつに関かかわる）。
1941年ねん - 聖心女子学院せいしんじょしがくいん高等こうとう女学校じょがっこう2年ねんの時とき、カトリックの洗礼せんれいを受うける。霊れい名めいは「テレジア」。その後ご、父ちちの赴任ふにん先さきの名古屋なごやで柳城やなしろ保育ほいく専修せんしゅう学校がっこう（現げん・名古屋なごや柳城やなしろ短期大学たんきだいがく）に進学しんがく。
1944年ねん - 早春そうしゅん、結婚けっこん。3週間しゅうかん余あまりで夫おっとはフィリピンに出征しゅっせい。9月に戦死せんし。
1945年ねん - 東京とうきょうの実家じっかに戻もどる。国立こくりつ教育きょういく研究所けんきゅうじょの実験じっけん保育ほいく室しつに勤務きんむするが、結核けっかくを発症はっしょう。快復かいふくして慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく文学部ぶんがくぶの心理しんり学科がっかへ入学にゅうがくするが、結核けっかくが再発さいはつ。その後ご15年ねんに及およぶ療養りょうよう生活せいかつを余儀よぎなくされる。
1964年ねん - 料理りょうり家かとして活躍かつやくし始はじめた母はは・浜子はまごの手伝てつだいを始はじめる。包丁ほうちょうを持もっても、火加減ひかげんの感覚かんかくも鈍にぶっていなかったことに自信じしんを取とり戻もどす。
1965年ねん - 鎌倉かまくら・雪ゆきの下した（神奈川かながわ県けん鎌倉かまくら市し）から、浄明寺じょうみょうじ（神奈川かながわ県けん鎌倉かまくら市し）に移うつり住すむ。母ははの代かわりに、自宅じたくで料理りょうりを教おしえるようになる。その後ご、イタリアで料理りょうりを学まなび、フランス料理りょうりは加藤かとう正之まさゆき（宮内庁くないちょう大膳だいぜん寮りょうに勤務きんむ）に13年間ねんかん指導しどうを受うける。イタリア料理りょうりをローマで学まなんだときに出会であった生なまハムを鎌倉かまくらで再現さいげんしたいと試行錯誤しこうさくごを20年間ねんかん繰くり返かえし、成功せいこうさせる。久里浜くりはま（神奈川かながわ県けん横須賀よこすか市し）の少年院しょうねんいん篤志とくし面接めんせつ員いんを10年間ねんかん務つとめる。
1972年ねん - 父ちちが脳血栓のうけっせんの再発さいはつで入院にゅういん。嚥下えんか困難こんなんになった父ちちに、母はは娘むすめでスープを作つくって日参にっさんする。恩師おんし・加藤かとうに教おしえられたスープの大切たいせつさが父ちちの命いのちを支ささえる事ことになる。
1977年ねん - 母はは、浜子はまご死去しきょ（享年きょうねん72）。
1980年ねん - 父ちち、芳雄よしおも死去しきょ。鎌倉かまくらのタケダ訪問ほうもん看護かんごクリニックでスープのサービスを始はじめる。週しゅう1回かい弟子でしを連つれて、30人にん分ぶんのスープを届とどける（4年間ねんかん）。
1994年ねん - 70歳さいの誕生たんじょう日びを祝いわう会かいで「良よい食材しょくざいを伝つたえる会かい」を発足ほっそくさせる。
1996年ねん - 鎌倉かまくらの自宅じたくで「スープの会かい」を始はじめる。スープの本ほんも執筆しっぴつ始はじめる。
2004年ねん - 芳子よしこの呼よびかけに長野ながの・信越放送しんえつほうそうが賛同さんどうし、「大豆だいず100粒つぶ運動うんどう」を発足ほっそく。1900人にん以上いじょうの児童じどうが大豆だいずをまいた。
2006年ねん - 高知こうち・近森ちかもり病院びょういんでいのちのスープを600人にんの患者かんじゃに提供ていきょう。
2009年ねん - 滋賀しが・大津おおつ市民しみん病院びょういん緩和かんわケア病棟びょうとうでもスープサービス開始かいし。日本にっぽん緩和かんわケア学会がっかいのシンポジウムに招まねかれる。
2010年ねん - 独自どくじの流動りゅうどう食しょくを提案ていあんする。

ドキュメンタリー映画えいが[編集へんしゅう]

『天てんのしずく辰巳たつみ芳子よしこ“いのちのスープ”』 - 2012年ねん11月3日にち公開こうかいのドキュメンタリー映画えいが。監督かんとくは河かわ邑厚徳とく。

著書ちょしょ等とう[編集へんしゅう]

DVD+BOOK『いのちを養やしなう四季しきのスープ』、NHK出版しゅっぱん
DVD『知しるを楽たのしむじんせいの歩あるき方かた』、NHK出版しゅっぱん
『慎つつしみを食卓しょくたくに〜その一いち例れい〜』、NHK出版しゅっぱん　2007年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこの旬しゅんを味あじわう　いのちを養やしなう家庭かてい料理りょうり』、NHK出版しゅっぱん　1999年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこの展開てんかい料理りょうり　基礎きそ編へん』、『辰巳たつみ芳子よしこの展開てんかい料理りょうり　応用おうよう編へん』、共ともにソニー・マガジンズ　共ともに2009年ねん
『手てしおにかけた私わたしの料理りょうり:辰巳たつみ芳子よしこがつたえる母ははの味あじ』、婦人之友社ふじんのともしゃ　1992年ねん
『ことことふっくら豆まめ料理りょうり』、農のう山やま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい
『味覚みかく日乗にちじょう』、かまくら春秋しゅんじゅう社しゃ　1997年ねん、ちくま文庫ぶんこ　2002年ねん
『味覚みかく旬月じゅんげつ』、ちくま文庫ぶんこ　2005年ねん
『家庭かてい料理りょうりのすがた、あなたのために、庭にわの時間じかん』、文化出版局ぶんかしゅっぱんきょく
『家庭かてい料理りょうりのすがた　旬しゅんは風土ふうどの愛いとし子ご　人ひとも風土ふうどの愛いとし子ご』、文化出版局ぶんかしゅっぱんきょく　2000年ねん、文春ぶんしゅん文庫ぶんこ　2009年ねん
『いのちをいつくしむ新しん家庭かてい料理りょうり』、マガジンハウス　2003年ねん
『新しん・娘むすめに伝つたえる私わたしの味あじ』、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう　2008年ねん
『食しょくの位置いちづけ〜そのはじまり〜』、東京書籍とうきょうしょせき　2008年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこの「さ、めしあがれ。」』クロワッサンBooks、マガジンハウス　2016年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこのことば　美びといのちのために』、小学館しょうがくかん　2017年ねん
『ゆずりうけた母ははの味あじ』、婦人之友社ふじんのともしゃ　1978年ねん
『手ての味あじこころの味あじ』、海竜かいりゅう社しゃ　1986年ねん
『手てづくり保存ほぞん食しょく　おいしくつくれて安心あんしんして食たべられる』、女子栄養大学じょしえいようだいがく出版しゅっぱん部ぶ　1986年ねん
『平群へぐり　辰巳たつみ秋冬あきふゆ遺句集いくしゅう』、1987年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこのことことふっくら豆まめ料理りょうり:母ははの味あじ・世界せかいの味あじ』、農のう山やま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい　1991年ねん
『竹柏なぎ　辰巳たつみ秋冬あきふゆ遺稿いこう集しゅう』、1992年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこが薦すすめるぜひ取とり寄よせたい確たしかな味あじ』、料理りょうり通信つうしん社しゃ　1996年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこの家庭かてい料理りょうりの世界せかい　「手てしおにかける食しょく」の提案ていあん』別冊べっさつ太陽たいよう、平凡社へいぼんしゃ　2002年ねん
『あなたのために　いのちを支ささえるスープ』、文化出版局ぶんかしゅっぱんきょく　2002年ねん
『手てからこころへ』、海竜かいりゅう社しゃ　2004年ねん
『いのちの食卓しょくたく』、マガジンハウス　2004年ねん、マガジンハウス文庫ぶんこ　2008年ねん
『毛けづくろいする鳥とりたちのように』中谷なかたに健太郎けんたろうと共著きょうちょ、集英社しゅうえいしゃ　2005年ねん^[3]
『庭にわの時間じかん』、文化出版局ぶんかしゅっぱんきょく　2009年ねん
『この国くにの食しょくを守まもりたい　その一端いったんとして』、筑摩書房ちくましょぼう　2009年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこ　スープの手てほどき　和わの部ぶ』、文春ぶんしゅん新書しんしょ　2011年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこ　スープの手てほどき　洋ようの部ぶ』、文春ぶんしゅん新書しんしょ　2011年ねん
『食しょくといのち』、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう　2012年ねん、文春ぶんしゅん文庫ぶんこ　2014年ねん
『仕込しこみもの』、文化出版局ぶんかしゅっぱんきょく　2013年ねん
『お役やくに立たつかしら　辰巳たつみ芳子よしこのひとこと集しゅう』、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう　2013年ねん
『娘むすめに伝つたえる私わたしの味あじ　1月～5月がつ　新版しんぱん』、文春ぶんしゅん新書しんしょ　2015年ねん
『娘むすめに伝つたえる私わたしの味あじ　6月～12月がつ　新版しんぱん』、文春ぶんしゅん新書しんしょ　2015年ねん
『食しょくに生いきて　私わたしが大切たいせつに思おもうこと』、新潮社しんちょうしゃ　2015年ねん
『スープ日乗にちじょう　鎌倉かまくらスープ教室きょうしつ全ぜん語録ごろく』、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう　2016年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこの野菜やさいに習ならう』クロワッサンBooks、マガジンハウス　2016年ねん
『生いきるべきように生いきれば、いつの日ひかかならず花はなは咲さくものです』、KADOKAWA　2016年ねん
『いのちと味覚みかく　「さ、めしあがれ」「イタダキマス」』、NHK出版しゅっぱん新書しんしょ　2017年ねん
『続ぞくあなたのために』、文化出版局ぶんかしゅっぱんきょく　2017年ねん
『辰巳たつみ芳子よしこのことば　美びといのちのために』、小学館しょうがくかん　2017年ねん。名言めいげん集しゅう
『お肴さかな春秋しゅんじゅう』、岩波書店いわなみしょてん　2020年ねん