長屋ながや忠明ただあき

長屋ながや 忠明ただあき（ながや ただあき / ただあきら、1843年ねん10月がつ20日はつか（天保てんぽう14年ねん9月27日にち）‐ 1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）1月がつ2日にち） は、幕末ばくまつの伊予いよ松山まつやま藩はん士し、明治めいじ期きの政治せいじ家か。衆議院しゅうぎいん議員ぎいん。旧姓きゅうせい・高木たかぎ。

経歴けいれき

伊予いよ国こく温泉おんせん郡ぐん松山まつやま（現げん愛媛えひめ県けん松山まつやま市し) で、松山まつやま藩士はんし・高木たかぎ四郎しろう右みぎ衛門えもん（明徳めいとく）の二男じなんとして生うまれ、14歳さいで同どう藩士はんし・長屋ながや雄つよし八郎はちろう（忠ちゅう賢けん）の養嗣子ようししとなる。18歳さいで藩校はんこう・明あかり教きょう館かんに入校にゅうこうして文武ぶんぶを修おさめたが、武芸ぶげいを好このんだ。慶応けいおう3年ねん（1867年ねん）禁裏きんり御所ごしょ守衛しゅえいを命めいぜられ上京じょうきょうし、同年どうねん中ちゅうに帰郷ききょうして監察かんさつとなり、以後いご、代官だいかん、徒士かち隊長たいちょうなどを務つとめた。明治めいじ2年ねん（1869年ねん）少しょう参事さんじに就任しゅうにんした。

廃藩置県はいはんちけん後ご、明治めいじ政府せいふに出仕しゅっしし、大蔵省おおくらしょう出仕しゅっし、東京とうきょう府ふ権けん中ちゅう属ぞくなどを歴任れきにん。愛国あいこく公党こうとうに加盟かめいし1875年ねん（明治めいじ8年ねん）に退官たいかんして帰郷ききょう後ご、政せい社しゃの結成けっせいに尽力じんりょく。1877年ねん（明治めいじ10年ねん）西南せいなん戦争せんそう勃発ぼっぱつなどの政治せいじ状況じょうきょうを受うけて、高知こうち県けんの板垣いたがき退助たいすけ、林はやし有ゆう造づくりらと懇談こんだんして帰郷ききょうし、同年どうねん7月がつ、井手いで正ただし光ひかりらと公共こうきょう社しゃを組織そしきし自由じゆう民権みんけん運動うんどうを進すすめた。愛媛えひめ県けん令れい・岩村いわむら高こう俊しゅんの信頼しんらいを受うけて1878年ねん（明治めいじ11年ねん）12月に風早かざはや・野間のま郡ぐん長ちょうに就任しゅうにん。岩村いわむらの後任こうにん県令けんれい関せき新平しんぺいとは意見いけんが異ことなったため1880年ねん（明治めいじ13年ねん）８月がつ郡ぐん長ちょうを辞任じにんした。その後ご、国会こっかい期成きせい同盟どうめいの活動かつどう、自由党じゆうとうの結成けっせい、海南かいなん協同きょうどう会かいの結成けっせい、松山まつやま女学校じょがっこう（現げん松山東雲学園まつやましののめがくえん）の設立せつりつ、私立しりつ伊予いよ尋常じんじょう中学校ちゅうがっこう（現げん愛媛えひめ県立けんりつ松山東まつやまひがし高等こうとう学校がっこう）の設立せつりつなどに尽力じんりょく。この間あいだ、1883年ねん（明治めいじ16年ねん）8月がつ、松山まつやまで今治いまばり教会きょうかい牧師ぼくし・伊勢いせ時雄ときお（横井よこい時雄ときお）から受洗じゅせん（洗礼せんれい）した。

一時いちじ、病やまいのため政治せいじ活動かつどうから遠とおざかったが、1888年ねん（明治めいじ21年ねん）３月がつ、愛媛えひめ県けん会議かいぎ員いんに当選とうせんして政界せいかいに復帰ふっきした。1890年ねん（明治めいじ23年ねん）5月がつ、市ノ川いちのかわ鉱山こうざん事務じむ長ちょうに就任しゅうにん。同年どうねん7月がつの第だい1回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょ愛媛えひめ県けん第だい1区くに愛国あいこく公党こうとう推薦すいせんで出馬しゅつばして当選とうせん。その後ご、自由じゆう倶楽部くらぶに所属しょぞくして、第だい2回かい総そう選挙せんきょでは落選らくせんし、衆議院しゅうぎいん議員ぎいんを1期き務つとめた。その後ご、病やまいが再発さいはつして政界せいかいの第だい一線いっせんを退しりぞいた。

その他た、松山まつやま市し会議かいぎ員いん、同どう参事さんじ会員かいいん、伊予いよ教育きょういく義ぎ会かい幹事かんじ、伊予いよ尋常じんじょう中学校ちゅうがっこう商議しょうぎ員いん、旧きゅう9番ばん学区がっく連合れんごう会議かいぎ員いん、久松ひさまつ家か諮問しもん員いん、松山まつやま同郷どうきょう会かい副ふく会長かいちょう、海南かいなん新聞しんぶん社しゃ常つね議員ぎいん、愛媛えひめ県けん教育きょういく協会きょうかい副ふく会長かいちょうなどを務つとめた。

また、日本にっぽん組合くみあい基督教きりすときょう会かい松山まつやま教会きょうかいの信徒しんととして、私立しりつ松山まつやま女学校じょがっこう評議ひょうぎ員いんを務つとめ、教会きょうかいの土地とち・建物たてものの提供ていきょうなどを行おこなって教会きょうかいの活動かつどうに貢献こうけんした。

親族しんぞく

• 娘むすめ 村井むらいヨシ（村井むらい知至ともよしの妻つま）

参考さんこう文献ぶんけん

• 衆議院しゅうぎいん・参議院さんぎいん編へん『議会ぎかい制度せいど百ひゃく年ねん史し - 衆議院しゅうぎいん議員ぎいん名鑑めいかん』大蔵省おおくらしょう印刷いんさつ局きょく、1990年ねん。
• 『愛媛えひめ県けん史し 人物じんぶつ』愛媛えひめ県けん史し編纂へんさん委員いいん会かい、1989年ねん。
• 『愛媛えひめ県けん百科ひゃっか大だい事典じてん』下した、愛媛新聞社えひめしんぶんしゃ、1985年ねん。
• 『第だい一いち回かい乃至ないし第だい十じゅう九きゅう回かい総そう選挙せんきょ 衆議院しゅうぎいん議員ぎいん略歴りゃくれき』衆議院しゅうぎいん事務じむ局きょく、1936年ねん。
• 奥村おくむら次郎じろう編へん『愛媛えひめ県けん紳士しんし列伝れつでん 第だい1編へん』奥村おくむら次郎じろう、1900年ねん。
• 篠田しのだ正ただし作さく編へん『明治めいじ新しん立志りっし編へん』鍾美堂どう、1891年ねん。
• 竹中たけなか正夫まさお「初期しょきの同志社どうししゃと松山まつやまの人ひとびと」『キリスト教きょう社会しゃかい問題もんだい研究けんきゅう』36、同志社大学どうししゃだいがく人文じんぶん科学かがく研究所けんきゅうじょ、1988年ねん。