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朝日あさひなか朝靄あさもやとおくの木々きぎかす
おかうえから見下みおろすまちが靄にかすんでいる
湖畔こはんひろがる朝靄あさもや
河谷こうだにしょうじた靄、航空機こうくうきから撮影さつえい

(もや)とは、空気くうきなか浮遊ふゆうするこまかい水滴すいてき吸湿きゅうしつせい微粒子びりゅうしにより見通みとおしがわるくなっている状態じょうたいで、かつ視程してい 1 キロメートル(km)以上いじょう場合ばあいをいう。ふつう、空気くうき灰色はいいろがかってえる[1]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

靄のとき、相対そうたい湿度しつど湿度しつど)は75%を上回うわまわることがおおいが、100%にはたっしない[1]。これにたいしてきりは、湿度しつどが100%にちかときしょうじ、視程してい1 km未満みまん場合ばあいをいう。また、溶質ようしつおお吸湿きゅうしつせい微粒子びりゅうしおおい靄にたいし、きりこまかい水滴すいてき粒子りゅうしおおい。さらに、灰色はいいろがかってうすい靄にたいし、きり白色はくしょく[1][2]

実際じっさいには靄ときり連続れんぞくてきで、湿度しつどたかいときにきりかんがえ、視程していにより2つを判別はんべつする[2]。なお、かわいた粒子りゅうしおお煙霧えんむ湿度しつどが75%を下回したまわるときにしょうじることがおお[1]

靄の形成けいせいには湿しめった吸湿きゅうしつせい粒子りゅうし関与かんよしている。吸湿きゅうしつせい粒子りゅうしは、湿度しつど100%をえる過飽和かほうわ空気くうき凝結ぎょうけつかくとしてはたらき水滴すいてき形成けいせいする。一方いっぽう吸湿きゅうしつせい粒子りゅうしは、みずけたときの蒸気じょうきあつ降下こうか効果こうかにより、湿度しつど100%未満みまん空気くうきでもかくとなって微小びしょう水滴すいてき形成けいせいしうる[3][4]

ふつう、空気くうきには凝結ぎょうけつかくとなりうるさまざまな粒子りゅうし存在そんざいしており、湿度しつどたか状態じょうたいつづくと吸湿きゅうしつせい粒子りゅうしがはたらいて湿しめった粒子りゅうしえ、視程してい低下ていかにより靄が発生はっせいする[3][4]

うみしお粒子りゅうし燃焼ねんしょう由来ゆらい粒子りゅうしには吸湿きゅうしつせい粒子りゅうしおお[3][5]

大気たいき汚染おせん物質ぶっしつ硫酸りゅうさんしお硝酸塩しょうさんえんその有機物ゆうきぶつ、すす、土壌どじょう由来ゆらい微粒子びりゅうしなど)は煙霧えんむ同様どうように靄のもととなる。排出はいしゅつげんからふうって拡散かくさん移動いどうはなれた地域ちいきしょうじることがあり、中国ちゅうごく大陸たいりく方面ほうめん由来ゆらいとみられる煙霧えんむや靄が沖縄おきなわけん発生はっせいしたれいがある[6]

きりにじは靄においてもしょうじる[7]

言葉ことば[編集へんしゅう]

ぞくに「かすみ」とばれる現象げんしょうなかには、靄やきりにあたるものがおおふくまれるとかんがえられる[8][9]。靄がただよ情景じょうけいさびしさとむすけられることがあり、廃墟はいきょに靄がただよっている様子ようすからできた慣用かんようかんけむり迷離」などもある[10]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 気象きしょう観測かんそく手引てびき』、p.61-64「ひょう12-3 大気たいき現象げんしょう種類しゅるい定義ていぎ解説かいせつ」より、「きり」「もや」「煙霧えんむ
  2. ^ a b Fog compared with Mist”. International Cloud Atlas(国際こくさいくもちょう. World Meteorological Organization(世界せかい気象きしょう機関きかん) (2017ねん). 2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c 中村なかむらあきらさんくも・エアロゾルと気候きこう」『サイエンスネットだい31かんかずけん出版しゅっぱん、2007ねん11月、14-15ぺーじ2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん 
  4. ^ a b 最新さいしん気象きしょう事典じてん』p.9-11 山岸やまぎしよね二郎じろうあめ
  5. ^ "もや(靄)". 若浜わかはま五郎ごろう, 平凡社へいぼんしゃ世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん だい2はん. コトバンクより2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  6. ^ まもるたまきけんニュース 2005ねん6がつ だい11ごう”. 沖縄おきなわけん保健ほけん医療いりょう衛生えいせい環境かんきょう研究所けんきゅうじょ. 2021ねん9がつ11にち閲覧えつらん
  7. ^ Fog bow”. International Cloud Atlas. World Meteorological Organization (2017ねん). 2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  8. ^ "かすみ". 平凡社へいぼんしゃ百科ひゃっか事典じてんマイペディア. コトバンクより2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  9. ^ "かすみ". 小学しょうがくかん日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)』. コトバンクより2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  10. ^ "かんけむり迷離". 小学しょうがくかん精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん. コトバンクより2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 最新さいしん気象きしょう事典じてん』、東京とうきょうどう出版しゅっぱん、1993ねん ISBN 4-490-10328-X
  • 気象きしょう観測かんそく手引てび』、気象庁きしょうちょう、1998ねん平成へいせい10ねん)9がつ発行はっこう・2007ねん平成へいせい19ねん)12月改訂かいてい

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]