青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん

世界せかい平和へいわ統一とういつ家庭かてい連合れんごう > 青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん

青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん（せいしゅんをかえせさいばん）とは、日本にっぽんの世界せかい基督教きりすときょう統一とういつ神霊しんれい協会きょうかい（現げん・世界せかい平和へいわ統一とういつ家庭かてい連合れんごう。以後いご統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいと表記ひょうきする）の元もと信者しんじゃが、教団きょうだんの勧誘かんゆう方法ほうほうは日本国にっぽんこく憲法けんぽうに保障ほしょうされた「信教しんきょうの自由じゆう」を侵害しんがいする違法いほうなものであるとして損害そんがい賠償ばいしょうを請求せいきゅうする訴訟そしょうである。違法いほう伝道でんどう訴訟そしょうとも言いう。

概略がいりゃく

統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいの霊感れいかん商法しょうほうによる被害ひがいの救済きゅうさいに弁護士べんごしとして携たずさわっていた郷さと路ろ征せい記きが、統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいを脱会だっかいした若わかい女性じょせいが、救すくいのためと信しんじて行いって来きた自分じぶんの行為こういが、結果けっか的てきには人々ひとびとを騙だましていたことになっていたことを涙なみだながらに悔くいる姿すがたを見みたことを機きに、着手ちゃくしゅ金きんなしでボランティアとして訴訟そしょうに関かかわった。

提訴ていそした1987年ねん当時とうじは新聞しんぶんでも、極きわめて異例いれいな裁判さいばんと受うけ止とめられたが、やがて、全国ぜんこく各地かくちで訴訟そしょうが提起ていきされ、1997年ねんには初はじめて教団きょうだん側がわと和解わかいが成立せいりつ。

1999年ねん、岡山おかやま地裁ちさいは「原告げんこくへの勧誘かんゆうは社会しゃかい的てき相当そうとう性せいを逸脱いつだつしたとまではいえない」と判断はんだんし、元もと信者しんじゃ側がわが敗訴はいそしたが、2000年ねんの広島ひろしま高裁こうさい岡山おかやま支部しぶでの控訴こうそ審しんでは一いち審しんを破棄はきし、統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいの伝道でんどうの違法いほう性せいを認定にんていする全国ぜんこく初はつの判決はんけつが出でた。これは日本にっぽんにおいて、宗教しゅうきょう団体だんたいによる勧誘かんゆう・教化きょうか行為こういの違法いほう性せいを認みとめた全国ぜんこく初はつの判決はんけつとなった。

2001年ねんには統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかい側がわの敗訴はいそが最高裁さいこうさいで初はじめて確定かくていした。同年どうねん6月がつ29日にちには札幌さっぽろ地裁ちさいでも14年ねんにおよぶ審理しんりの結果けっか、元もと信者しんじゃらが勝訴しょうそした。

2003年ねん5月がつ21日にち現在げんざいにおいて、統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいの使用しよう者しゃ責任せきにんを認みとめた判決はんけつが5つ出でている。

これまでの経緯けいい

• 1987年ねん3月 - 元もと信者しんじゃ1人にんが全国ぜんこくで初はじめて「青春せいしゅんを返かえせ訴訟そしょう」を札幌さっぽろ地裁ちさいに提訴ていそした。

• 1989年ねん11月27日にち - 全国ぜんこくで3番目ばんめの「青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん」が岡山おかやま地裁ちさいに提訴ていそされた。

• 1997年ねん
  • 2月がつ6日にち - 東京とうきょうの「青春せいしゅんを返かえせ訴訟そしょう」において、小山田おやまだ秀生ひでお4代目だいめ統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかい会長かいちょうが教団きょうだん元もとトップとしては初はじめて証人しょうにんとして出廷しゅってい、小山田おやまだは「霊感れいかん商法しょうほう等ひとしは信者しんじゃたちが勝手かってにやったこと」などと証言しょうげんした。
  • 8月がつ6日にち - 静岡しずおか地裁ちさいで行おこなわれていた「青春せいしゅんを返かえせ訴訟そしょう」で、統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかい側がわが「解決かいけつ金きん」500万まん円えんを支払しはらうことで、初はじめて和解わかいが成立せいりつした。

• 1998年ねん
  • 3月26日にち - 愛知あいち県内けんないの元もと信者しんじゃの女性じょせい6人にんが1990年ねんから91年ねんにかけて総額そうがく約やく6千せん万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめて提訴ていそした裁判さいばんで、名古屋なごや地方裁判所ちほうさいばんしょは、勧誘かんゆう、教化きょうか行為こういにより被告ひこくを宗教しゅうきょう活動かつどうに従事じゅうじさせた教団きょうだんの行為こういは元もと信者しんじゃの人格じんかく権けんと財産ざいさん権けんに対たいする不法ふほう行為こういとは言いえないとして原告げんこくの請求せいきゅうを棄却ききゃくした。原告げんこくは4月がつ7日にちに名古屋なごや高裁こうさいに控訴こうそ。
  • 6月3日にち - 岡山おかやま地裁ちさいにおいて、マインドコントロールなどの違法いほうな勧誘かんゆう、教化きょうか行為こういにより、入会にゅうかいさせられたとする元もと信者しんじゃの訴うったえについては「信仰しんこうを受容じゅようする過程かていにおいて、自発じはつ的てきに宗教しゅうきょう的てきな意思いし決定けっていをしている」とし、教団きょうだんの勧誘かんゆうや教化きょうかのあり方かたについても「社会しゃかい的てき相当そうとう性せいを逸脱いつだつしたものとまでは言いえない」とし、元もと信者しんじゃの請求せいきゅうを棄却ききゃくした。

• 1999年ねん
  • 3月3日にち - 8年ねん前まえの1991年ねん4月がつ4日にちに40人にんが提訴ていそ、その後ごも追加ついか提訴ていそして、東京とうきょう地裁ちさいで争あらそってきた統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいに対たいする損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょうが、教団きょうだん関連かんれん会社かいしゃであるハッピーワールドの元もと社長しゃちょう、小柳こやなぎ定夫さだおの名義めいぎで3900万まん円えんの解決かいけつ金きんを支払しはらうことにより和解わかい。
  • 3月24日にち - 岡山おかやま地裁ちさいでの第だい二に次じ「青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん」において教団きょうだんが勝訴しょうそ。小沢おざわ一郎いちろう裁判さいばん長ちょうは「原告げんこくへの勧誘かんゆうは社会しゃかい的てき相当そうとう性せいを逸脱いつだつしたとまではいえない」として、原告げんこくの請求せいきゅうを棄却ききゃく。原告げんこくは控訴こうそせず、原告げんこく敗訴はいそが確定かくていした。

• 2000年ねん
  • 7月がつ18日にち - 愛知あいち県内けんないの元もと信者しんじゃの女性じょせい6人にんが総額そうがく約やく6千せん万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめた裁判さいばんの控訴こうそ審しんで、教団きょうだん側がわが原告げんこくに解決かいけつ金きん計けい630万まん円えんを支払しはらうことで和解わかいが成立せいりつした。
  • 9月14日にち - 広島ひろしま高裁こうさい岡山おかやま支部しぶ第だい一部いちぶで、元もと信者しんじゃの訴うったえを棄却ききゃくした一いち審しんを破棄はきし、統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいの伝道でんどうの違法いほう性せいを認定にんていする全国ぜんこく初はつの判決はんけつが出でた。 原告げんこくに対たいし、実じつ損害そんがい額がく72万まん5000円えんに加くわえ、100万まん円えんの慰謝いしゃ料りょう請求せいきゅうを認みとめる。日本にっぽんにおいて、宗教しゅうきょう団体だんたいによる勧誘かんゆう・教化きょうか行為こういの違法いほう性せいを認みとめた全国ぜんこく初はつの判決はんけつ。教団きょうだんは信者しんじゃ組織そしきに対たいして実質じっしつ的てきな指揮しき監督かんとく関係かんけいがあると認定にんていし、計画けいかく的てきなスケジュールに従したがい宗教しゅうきょう選択せんたくの自由じゆうを奪うばって入信にゅうしんさせ、自由じゆう意思いしを制約せいやくし、執拗しつように迫せまって不当ふとうに高額こうがくな財貨ざいかを献金けんきんさせ、控訴こうそ人じんの生活せいかつを侵おかし、自由じゆうに生いきるべき時間じかんを奪うばった」などと判断はんだんした。

• 2001年ねん
  • 2月がつ9日にち - 「青春せいしゅんを返かえせ訴訟そしょう」で統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかい側がわの敗訴はいそが最高裁さいこうさいで初はじめて確定かくてい。最高裁さいこうさいは「上告じょうこく理由りゆうの実質じっしつは事実じじつ誤認ごにん又または単たんなる法令ほうれい違反いはんを主張しゅちょうするものであって、上告じょうこくの事由じゆうに該当がいとうしない」として教団きょうだんの上告じょうこくを棄却ききゃくし、教団きょうだんの詐欺さぎ的てき入信にゅうしん勧誘かんゆうと献金けんきんの説得せっとくについて組織そしき的てき不法ふほう行為こういが認みとめられるとして、献金けんきん70万まん円えんと修練しゅうれん会かい参加さんか費ひ相当そうとう額がくの損害そんがい及および100万まん円えんの慰謝いしゃ料りょうの支払しはらいを命めいじた二に審しん・広島ひろしま高裁こうさい岡山おかやま支部しぶ判決はんけつが確定かくていした。
  • 6月29日にち　札幌さっぽろ地裁ちさいに提訴ていそされた「青春せいしゅんを返かえせ訴訟そしょう」で、14年ねんにおよぶ審理しんりの結果けっか、元もと信者しんじゃらが勝訴しょうそ。裁判所さいばんしょは、正体しょうたいを隠かくした勧誘かんゆう等とうを内容ないようとする統一とういつ協会きょうかいの伝道でんどう・教化きょうか活動かつどうについて、目的もくてきと結果けっかの不当ふとう性せいも認定にんていしたうえで最終さいしゅう的てきに「信仰しんこうの自由じゆうや財産ざいさん権けん等とうを侵害しんがいするおそれ」のある行為こういであると認定にんていした。

• 2003年ねん
  • 10月がつ10日とおか - 札幌さっぽろの「青春せいしゅんを返かえせ訴訟そしょう」で最高さいこう裁判所さいばんしょ第だい二に小しょう法廷ほうていは統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかい側がわの上告じょうこくを棄却ききゃく、元もと信者しんじゃらの勝訴しょうそが確定かくてい。

• 2004年ねん
  • 6月25日にち - 札幌さっぽろで、「信仰しんこうの自由じゆう侵害しんがい回復かいふく第だい二に次じ訴訟そしょう」が提起ていきされる。家族かぞく・友人ゆうじんなどが統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいに入信にゅうしんしたことにより、被害ひがいを受うけたことに対たいする責任せきにんを教団きょうだんに問とう訴訟そしょうを提訴ていそ。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『統一教会とういつきょうかいの検証けんしょう』光ひかり言げん社しゃ 1999年ねん9月がつ1日にち 魚谷うおたに俊輔しゅんすけ（統一教会とういつきょうかい系けいNGO・天てん宙ちゅう平和へいわ連合れんごう日本にっぽん事務じむ次長じちょう） ISBN 978-4876560813
• 山口やまぐち広ひろ、紀藤きとう正樹まさき、滝本たきもと太郎たろう『Q&A 宗教しゅうきょうトラブル110番ばん―しのびよるカルト』（民事みんじ法ほう研究けんきゅう会かい; 全ぜん訂てい増補ぞうほ版ばん 2004年ねん2月がつ） ISBN 978-4896281866

裁判さいばんに関かんする文献ぶんけん

• 青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん（東京とうきょう）原告げんこく団だん･弁護べんご団だん 編著へんちょ『青春せいしゅんを奪うばった統一とういつ協会きょうかい 青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん（東京とうきょう）の記録きろく』緑風りょくふう出版しゅっぱん 2000年ねん9月 ISBN 978-4846100117
• 杉本すぎもと誠まこと、名古屋なごや「青春せいしゅんを返かえせ訴訟そしょう」弁護べんご団だん『統一とういつ協会きょうかい信者しんじゃを救すくえ―杉本すぎもと牧師ぼくしの証言しょうげん』緑風りょくふう出版しゅっぱん、1993年ねん10月がつ15日にち。ISBN 978-4846193713。 

脱会だっかい後ごの自立じりつに関かんする文献ぶんけん

• 全国ぜんこく統一とういつ協会きょうかい被害ひがい者しゃ家族かぞくの会かい（編へん）『自立じりつへの苦闘くとう―統一とういつ協会きょうかいを脱会だっかいして』教きょう文ぶん館かん 2005年ねん10月 ISBN 978-4764264076

マインド・コントロール関連かんれんの文献ぶんけん

• 郷さと路ろ征せい記き『統一とういつ協会きょうかいマインド・コントロールのすべて―人ひとはどのようにして文ぶん鮮明せんめいの奴隷どれいになるのか』教育きょういく史料しりょう出版しゅっぱん会かい 1993年ねん12月 ISBN 978-4876522507 - 統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいの伝道でんどうの違法いほう性せいなどを、いわゆる「青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん」を訴うったえ続つづけてきた弁護士べんごしによる著作ちょさく。元もと信者しんじゃへのき取きとりから得えた、統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいの教化きょうかの手法しゅほうを詳細しょうさいに説明せつめい。
• スティーヴン・ハッサン、浅見あさみ定雄さだお（訳わけ）『マインド・コントロールの恐怖きょうふ』 恒友つねとも出版しゅっぱん 1993年ねん4月がつ ISBN 978-4765230711 - 一いち度どは統一教会とういつきょうかい/統一とういつ協会きょうかいに入会にゅうかいし、考かんがえ方かたや感かんじ方かたまでも変かえられてしまった筆者ひっしゃが、周囲しゅういの助たすけを得えて脱会だっかいし、その後ご、数すう多おおくの脱会だっかい者しゃを助たすけた実例じつれいに基もとづいた内容ないようで、「マインドコントロールとは何なにか」を知しるための本ほんとして、幅広はばひろく読よまれている。
• トーマス・W. カイザー、マインド・コントロール問題もんだい研究けんきゅう会かい（訳わけ）『あやつられる心しん―破壊はかい的てきカルトのマインド・コントロール戦略せんりゃく』福村ふくむら出版しゅっぱん 1995年ねん9月 ISBN 978-4571250170
• 西田にしだ公昭きみあき『マインド・コントロールとは何なにか』 紀伊國屋きのくにや書店しょてん 1995年ねん8月がつ ISBN 978-4314007139 - 裁判さいばんの参考さんこう資料しりょうとして提出ていしゅつされたこともある資料しりょうを含ふくむ書籍しょせきで、上記じょうきの書籍しょせきと共ともにこの問題もんだいについて客観きゃっかん的てき（学術がくじゅつ的てきにも）に知しるための極きわめて重要じゅうような参考さんこう文献ぶんけんとされる。
• 西田にしだ公昭きみあき『セレクション 社会しゃかい心理しんり学がく 18 「信しんじるこころ」の科学かがく ― マインド・コントロールとビリーフ・システムの社会しゃかい心理しんり学がく』サイエンス社しゃ 1998年ねん2月がつ ISBN 978-4781908700
• 安藤あんどう清志きよし・ 西田にしだ公昭きみあき編へん現代げんだいのエスプリ 369『「マインド・コントロール」と心理しんり学がく』至文しぶん堂どう 1998年ねん4月がつ ISBN 9784784353699
• R.チャルディーニ、社会しゃかい行動こうどう研究けんきゅう会かい（訳わけ）『影響えいきょう力りょくの武器ぶき―なぜ、人ひとは動うごかされるのか』誠まこと信しん書房しょぼう 1991年ねん9月がつ1日にち ISBN 978-4414302691
• スタンレー・ミルグラム、岸田きしだ秀しげる（訳わけ）『服従ふくじゅうの心理しんり―アイヒマン実験じっけん (河出かわで・現代げんだいの名著めいちょ)〔改訂かいてい版ばん新装しんそう版ばん〕』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ 1995年ねん10月がつ ISBN 978-4309706146
• 下條しもじょう信しん輔『サブリミナル・マインド ― 潜在せんざい的てき人間にんげん観かんのゆくえ (中公新書ちゅうこうしんしょ 1324)』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ 1996年ねん10月がつ ISBN 978-4121013248 ISBN 4121013247

関連かんれん項目こうもく

• 信教しんきょうの自由じゆう
• マインドコントロール
• カルト

外部がいぶリンク

• カルト被害ひがいを考かんがえる会かい（旧きゅう「青春せいしゅんを返かえせ裁判さいばん」を支援しえんする会かい）