Ll

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Ll//ll/は、いくつかの自然しぜん言語げんごられるじゅう音字おんじである。

スペイン[編集へんしゅう]

スペインでは、ll は1754ねんから2010ねんまでかた口蓋こうがい側面そくめん調音ちょうおん子音しいん音素おんそあらわすものとしてスペインアルファベット英語えいごばんの14番目ばんめ文字もじであった(王立おうりつスペインアカデミーによって定義ていぎされる)[1]

ガリシア[編集へんしゅう]

公式こうしきガリシアつづりでは、llわせは音素おんそ /ʎ/かた口蓋こうがい側面そくめん接近せっきんおん; /l/かた口蓋こうがい変種へんしゅ)をあらわす。

カタルーニャ[編集へんしゅう]

カタルーニャ使つかわれるごう ŀlバルセロナ地下鉄ちかてつ案内あんないばん

カタルーニャでは、ll音素おんそ /ʎ/あらわす。たとえば、llengua言語げんごした)、enllaç(つながり)、coltell(ナイフ)で使つかわれる。

中黒なかぐろきのL[編集へんしゅう]

ll /ʎ/長子ちょうしおんした l /ll/混同こんどうしないために、カタルーニャでは中黒なかぐろカタルーニャ: punt volatきの lじゅう音字おんじ ŀl)を使用しようする(たとえば exceŀlent)。このじゅう音字おんじの1文字もじ Ŀŀ は、それぞれラテン文字もじ拡張かくちょうA UnicodeブロックのU+013F(大文字おおもじ)とU+140(小文字こもじ)にそれぞれ収録しゅうろくされている。

カタルーニャ活版かっぱん印刷いんさつでは、l·l はスペース3つぶんではなく、2つぶんめることが意図いとされる[3]。そのため中黒なかぐろは2つの lあいだせま空間くうかん配置はいちされる。しかしながら、スペース3つぶん使つかって L·Ll·lくのが一般いっぱんてきである。L.Ll.l といった表記ひょうきられることもあるが、不正確ふせいかくである。

ウェールズ[編集へんしゅう]

中期ちゅうきウェールズごうLL[4]
Unicode: U+1EFAおよびU+1EFB。

ウェールズでは、ll無声むせい歯茎はぐき側面そくめん摩擦音まさつおんIPA: /ɬ/)をあらわす。このおとウェールズ地名ちめいでよくられる(単語たんごLlan英語えいごばん教会きょうかい意味いみするため)。たとえば、Llanelli英語えいごばんでは2かいLlanfairpwllgwyngyllでは3かいあらわれる。

ウェールズでは、lll とはべつじゅう音字おんじ[5]である(たとえば、lwcllawよりまえ整理せいりされる)。現代げんだいウェールズでは、このじゅう音字おんじやそのじゅう音字おんじは2つの記号きごう使つかってかれるが、1文字もじ勘定かんじょうされる。中期ちゅうきウェールズでは、タイきのごう使つかってかれた。このごうラテン文字もじ拡張かくちょう追加ついか英語えいごばんUnicodeブロックのU+1EFA(大文字おおもじ)とU+1EFB(小文字こもじ)に収録しゅうろくされており、それぞれおよび表示ひょうじされる[6]。このごう現代げんだいウェールズではめったに使つかわれないが、相当そうとうするごう現代げんだいのフォントにふくまれているかもしれない(たとえば2020ねんウェールズ政府せいふによって委託いたくされた3つのフォント)[7]

英語えいご[編集へんしゅう]

英語えいごでは、ll単一たんいつlおなおん /l/げんわすことがおおい。文字もじかさねは、先行せんこうする母音ぼいんが(歴史れきしてきに)みじかいこと、または "l" おん単一たんいつlが(語源ごげんてき[8]あたえるよりもながいことをしめすために使つかわれる。lllことなる単語たんご使用しようしていることは注目ちゅうもくあたいする: たとえば、「travel」の過去かこがたはイギリス英語えいごでは「travelled」とつづられるが、アメリカ英語えいごでは「traveled」とつづられる。

フィリピン[編集へんしゅう]

タガログイロカノのようなフィリピンはスペインからの借用しゃくようつづさいly または liくが、固有名詞こゆうめいしでは ll がまだのこっている。しかしながら、ll発音はつおん[ʎ] ではなくたん[lj] である。したがって、LlamzonLlamasPadillaVillanuevaのようなせいはそれぞれ [ljɐmˈzon]/[ljɐmˈson][ˈljɐmas][pɐˈdɪːlja][ˌbɪːljanuˈwɛːba]/[ˌvɪːljanuˈwɛːva]発音はつおんされる。

そのうえ、イロカノでは ll長子ちょうしおん歯茎はぐき側面そくめん接近せっきんおん /lː/あらわす(イタリア同様どうよう)。

アルバニア[編集へんしゅう]

アルバニアでは、Lおと /l/あらわすのにたいして、Ll軟口蓋なんこうがいしたおと /ɫ/発音はつおんされる。

アイスランド[編集へんしゅう]

アイスランドでは、ll は、文脈ぶんみゃく依存いぞんして、おとわせ [tɬ]無声むせい歯茎はぐき側面そくめんやぶおとる)または [tl] のいずれかをあらわす[9]。このつづりは、単語たんご fell伐採ばっさいする、ちいさなやま)、fjallやま)、jökull氷河ひょうがこおりぼう)、その結果けっかとしておおくの地理ちりてき特徴とくちょう名称めいしょうられる(エイヤフィヤトラヨークトルなど)。

こわれたL[編集へんしゅう]

アイルランドでは、ごうこわれたLvꜹꝇumはたけ)やoꝇoすべて)といった一部いちぶれいられる[10]うえ半分はんぶんひだりにずれた小文字こもじl形状けいじょうり、した半分はんぶんとはほそ水平すいへいみじかせんでつながっている。このごうラテン文字もじ拡張かくちょうD英語えいごばん UnicodeブロックのU+A746(大文字おおもじ)およびU+A747(小文字こもじ)に収録しゅうろくされており、それぞれおよび表示ひょうじされる。

その[編集へんしゅう]

北京ぺきん官話かんわ国語こくごマ字まじでは、末尾まつび-ll/ɻ/ における音節おんせつまつでの下降かこう調ちょうしめす。それ以外いがいでは -lつづられる。

中央ちゅうおうアラスカ・ユピックグリーンランドでは、ll/ɬː/あらわす。

ハイダ(のブリングハースト正書法せいしょほう)では、ll声門せいもん英語えいごばんした /ˀl/ である。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Real Academia Española y Asociación de Academias de la Lengua Española, Ortografía de la llengua española (2010), tapa rústica, primera edición impresa en México, Editorial Planeta Mexicana, S.A. de C.V., bajo el sello editorial ESPASA M.R., México D.F., marzo de 2011, páginas 64 y 65.
  2. ^ X Congreso (Madrid, 1994), official website.
  3. ^ Pompeu, Fabra (September 1984). “Conversa 323, del 22.01.1923, i Conversa 391, del 13.06.1923”. In Joaquim Rafel i Fontanals (カタルーニャ). Converses Filològiques Volum II. Barcelona, Catalonia, Spain: Fundació Enciclopèdia Catalana. ISBN 84-350-5111-0. http://femfum.com/PDF/ElaGeminada/PF_CF_323_391.pdf 2012ねん12月29にち閲覧えつらん 
  4. ^ Example of a book using the "ll" ligature. https://books.google.com/books?id=C00O1ZYs0pAC&printsec=frontcover 2014ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん 
  5. ^ Alphabets”. 2020ねん8がつ5にち閲覧えつらん
  6. ^ Everson, Michael & al. "Proposal to add medievalist characters to the UCS Archived 2011-07-16 at the Wayback Machine.". 30 Jan 2006. Accessed 29 January 2013.
  7. ^ Wong, Henry (2020ねん3がつ20日はつか). “A typeface has been designed for the Welsh language”. designweek.co.uk. 2020ねん4がつ12にち閲覧えつらん
  8. ^ 長子ちょうしおん由来ゆらいするラテン語らてんごほう
  9. ^ Language Log”. 2014ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  10. ^ Bulenda, Attila Márk. Icelandic or Norwegian Scribe? An Empirical Study of AM 310 4to, AM 655 XII-XIII 4to and AM 655 XIV 4to (PDF) (MA). Háskóli Íslands. p. 19. 2020ねん5がつ3にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]