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10メガビット・イーサネット

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10BASE5から転送てんそう

10メガビット・イーサネットは、初期しょきイーサネットで10Mbpsの通信つうしん速度そくどつネットワーク規格きかく総称そうしょう

歴史れきし

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標準ひょうじゅん

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1983ねんIEEE 802.3として最初さいしょ標準ひょうじゅんされたイーサネットは、最長さいちょう500mの同軸どうじくケーブルによるバスがたトポロジー構成こうせいで10Mbps通信つうしん達成たっせいしたことから10BASE5名付なづけられた[1]

1985ねん拡張かくちょう規格きかくとして登場とうじょうした10BASE2[2]は、安価あんかほそいケーブルに改善かいぜんされたため "Cheapernet", "Thin Ethernet", "Thinnet" などとばれた。一方いっぽうで、従来じゅうらいの10BASE5はレトロニムとして"Thick Ethernet", "Thicknet"とばれることになった[3]。また、同軸どうじくケーブルの信号しんごう減衰げんすいおぎなうためのリピータあわせて提案ていあんされた[4]

ってツイストペアケーブルもちいてスターがたトポロジー構成こうせいする1BASE5[5]提案ていあんされ、それをんで10Mbpsを達成たっせいした10BASE-Tが1990ねん標準ひょうじゅんされた[6]

また、接続せつぞくちょう延伸えんしんのためにひかりケーブルでリピータあいだ接続せつぞくするFOIRLが提案ていあんされ[7]、これをんだ10BASE-Fが1993ねん標準ひょうじゅんされている[8]

IEEE 802.3は1998ねん拡張かくちょう規格きかく統合とうごうする改訂かいていおこなわれており、それまでは「イーサネット」とは厳密げんみつには10BASE5のことのみをしていたが、後発こうはつ標準ひょうじゅんすべんでいる[9]

普及ふきゅう

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10BASE5は民間みんかん普及ふきゅうしたはじめてのイーサネット規格きかくで、1990年代ねんだい前半ぜんはんまではイーサネットの主流しゅりゅうであった。たかいノイズたいせいがあるが、同軸どうじくケーブルがふと配線はいせんまわしがわるいという欠点けってんがあった。後発こうはつ拡張かくちょう規格きかくまわしのい10BASE2, 10BASE-Tが登場とうじょうすると、徐々じょじょにデスクトップパソコンなどの人間にんげん生活せいかつ環境かんきょう周辺しゅうへんはこれらがひろ使用しようされるようになった。依然いぜんとして、1980年代ねんだいより存在そんざいする工場こうじょうでは制御せいぎょよう回線かいせんとして10BASE5がもちいられている場合ばあいがあるなど、しばらく10BASE5はLANの基幹きかんせんとして使用しようされていた。

同軸どうじくケーブルをまわしてネットワークをつくると信号しんごう減衰げんすいによる問題もんだい顕著けんちょあらわれるため、同軸どうじくケーブルようリピータブリッジ開発かいはつされもちいられるようになった。10BASE-Tが標準ひょうじゅんされた1990年代ねんだい以降いこうは、リピーターは複数ふくすうのポートをリピータハブへ、ブリッジも複数ふくすうのポートをスイッチングハブへと進化しんかした。 端末たんまつとスイッチングハブとのツイストペアケーブルによる接続せつぞく構成こうせい拡張かくちょうせいたかく、それにともな接続せつぞく機器きき需要じゅようたかまり価格かかく低下ていかしたことで急速きゅうそく普及ふきゅうした。

種別しゅべつ

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種別しゅべつ 名称めいしょう 規格きかく ケーブル 距離きょりちょう 別名べつめい用途ようと
同軸どうじくケーブル 10BASE5 802.3-1983 イエローケーブル(10mmみち50Ωおーむ) 500m Thick Ethernet
10BASE2 802.3a-1985 RG-58 (5mmみち50Ωおーむ) 185m Thin Ethernet
10BROAD36 802.3b-1985 CATVケーブル (75Ωおーむ) 3.6km CATV接続せつぞく
ツイストペア 10BASE-T 802.3i-1990 Cat.3 UTP (2つい) 100m 汎用はんようLAN
10BASE-T1S 802.3cg-2019 ひねたいせん1たい 15m/25m シングルペアイーサネット(短距離たんきょり・1たい1/バスがた)
10BASE-T1L 802.3cg-2019 ひねたいせん1たい 1km シングルペアイーサネット(長距離ちょうきょり・1たい1)
10BASE-F
ひかりファイバ
10BASE-FL 802.3j-1993 MMF 2km 端末たんまつあいだこう接続せつぞく
10BASE-FB 802.3j-1993 MMF 1km ハブあいだこう接続せつぞく
10BASE-FP 802.3j-1993 MMF 2km ひかり受動じゅどう素子そし接続せつぞく

物理ぶつり媒体ばいたいやネットワークトポロジのちがいはあるが、ほとんどの方式ほうしき符号ふごうマンチェスタ符号ふごうもちいている[10]

  • ツイストペアケーブルや同軸どうじくケーブルの場合ばあいは、電極でんきょくあいだ電位差でんいさが-1Vから+1Vにわることで0をあらわし、+1Vから-1Vになることで1をあらわす。
  • ひかりファイバの場合ばあいは、パルスのがり変動へんどうで0をあらわし、がり変動へんどうで1をあらわす。

1983ねんIEEE 802.3として標準ひょうじゅんされ、2003ねん9がつ廃止はいしされた方式ほうしき[1]

直径ちょっけい0.375インチ=やく9.5mmの、ふとくてかた同軸どうじくケーブルもちいる。同軸どうじくケーブルの特性とくせいインピーダンスは50Ωおーむ。この同軸どうじくケーブルは当初とうしょ黄色おうしょく被覆ひふく主流しゅりゅうだったため、イエローケーブルばれていた[11]。 ケーブルの最大さいだいちょうは500mと規定きていされており、規格きかく名称めいしょう末尾まつびの"5"はこのケーブルちょう意味いみする[12]

この同軸どうじくケーブルにタップ(MAU)という分岐ぶんき装置そうちけることにより、かく装置そうちとのあいだ通信つうしんおこな[13]。タップは、同軸どうじくケーブルのしんせんはりすようなかたち接続せつぞくおこなう。このせんは、きばのようなはり様子ようすから、ヴァンパイア俗称ぞくしょうされていた[14]おおくの場合ばあい、タップとコンピュータとのあいだにはAUIばれる信号しんごう変換へんかん装置そうち設置せっちされた。

ケーブル耐久たいきゅうせいたかく、外乱がいらんノイズへのたいせいたかいため比較的ひかくてきなが配線はいせんできる。一方いっぽうで、ケーブルがふといためまわしに難点なんてんがあったり、分岐ぶんきタップの取付とりつけ手間てまがかかるなどの欠点けってんがある。

10BASE5、10BASE2のトランシーバーケーブル、タッピングツールとう
10BASE5のタップトランシーバのタップ部分ぶぶん。この部分ぶぶんがケーブルをはさ
AUIコネクター(うえ:オス、した:メス)
コネクタ同士どうしをスライドロックでけないようになっている。
10BASE2のケーブル終端しゅうたん抵抗ていこう

1985ねんにIEEE 802.3aとして標準ひょうじゅんされ、2011ねん9がつ廃止はいしされた方式ほうしき[2]

りょうはしにコネクタをけたほそ同軸どうじくケーブル(直径ちょっけい5mm)をもちいる。これにより従来じゅうらいの10BASE5よりもまわしや接続せつぞく簡便かんべんにしている。 ケーブルの最大さいだいちょうは185m(やく200m)に短縮たんしゅくされたが、あわせてリピータ提案ていあんされ、これらをかいして最大さいだい5ケーブルぶんの925mに延長えんちょうができる。

コネクタを使つかった接続せつぞくによってあつかいが容易よういになったが、端末たんまつ接続せつぞくするための分岐ぶんきつくるには一旦いったんせん途中とちゅうのコネクタをはなしてTがた分岐ぶんきコネクタをけなければならなかったため保守ほしゅせいけた。ネットワーク構成こうせいえるたびにネットワークが寸断すんだんされるので作業さぎょうおこなうタイミングに制約せいやくがあった。ケーブルまつはしには反射はんしゃおさえるターミネータける必要ひつようがあった。

10BASE2と10BASE5はせん損失そんしつちがうだけで、電気でんきてき特性とくせいインピーダンス50Ωおーむ電圧でんあつ±1、ひとし)はおなじであるため、実際じっさいには10BASE2に10BASE5のケーブルをしても通信つうしん自体じたい可能かのうであった。ただし、ジョイント部分ぶぶんしょうじるていざいなみのため、通信つうしん不安定ふあんていになることがあった。

1985ねんにIEEE 802.3bとして標準ひょうじゅんされ、2003ねん9がつ廃止はいしされた方式ほうしき[15]

双方向そうほうこうCATV伝送でんそうとして使用しようする。のイーサネットとはことなりRF信号しんごう変調へんちょうしている。 最大さいだいちょうは3600m。ケーブルはテレビ信号しんごう伝送でんそうするのにもちいられる75Ωおーむ同軸どうじくケーブル使用しようする。ふとさはCATVのシステム設計せっけいによりまる。

物理ぶつりてきにはツリーがた接続せつぞくとなり、配線はいせん自由じゆうたかいためかく機器きき接続せつぞく切断せつだん容易よういである[注釈ちゅうしゃく 1]電気でんき信号しんごうとしては機器ききあいだ直接ちょくせつわたしするのではなく、CATVの上流じょうりゅうはしすべおくられそこに設置せっちした機器ききにより中継ちゅうけいされる。周波数しゅうはすうたがえることにより複数ふくすうのセグメントをケーブルじょうつくることができる。

構成こうせいするシステム・装置そうち複雑ふくざつさから普及ふきゅうしなかった。

10BASE-T⇔10BASE5 変換へんかんコネクタ

1990ねんにIEEE 802.3iとして標準ひょうじゅんされた[16]UTPケーブルもちいて、かく末端まったん機器ききハブとを配線はいせんする。

ケーブルまわしの簡易かんいさ、ネットワーク拡張かくちょうせいたかさ、機器きき入手にゅうしゅせいたかさなどによりもっとひろ普及ふきゅうしたイーサネット規格きかくの1つ。かく機器ききはハブとのあいだだけで結線けっせんみ、個別こべつ接続せつぞく変更へんこうできる。レイヤー1処理しょりおこなリピータハブとの接続せつぞくでは半二重はんにじゅう通信つうしんを、レイヤー2処理しょりおこなスイッチングハブとの接続せつぞくではぜんじゅう通信つうしんをサポートする[注釈ちゅうしゃく 2]

UTPケーブルはTIA/EIA-568規格きかく規定きていされている。カテゴリ3以上いじょう最長さいちょう100m。ケーブル両端りょうたんにあるRJ-45コネクタには8つのピンがあるが、10BASE-Tではこのうち2たい4せんしか使用しようしていない。ピン番号ばんごう1と2はオレンジの被覆ひふく送信そうしんようとして、ピン番号ばんごう3と6はみどり被覆ひふく受信じゅしんようとしてもちいる。ストレートケーブルではおな端子たんし接続せつぞくし、クロスケーブルでは一方いっぽうのコネクタの送信そうしんピンをもう一方いっぽうのコネクタの受信じゅしんピンとたがいに接続せつぞくする。なお、カテゴリ5以上いじょう電気でんき条件じょうけんたせばおな結線けっせん100BASE-TXでも使用しよう可能かのうである。また、ストレートケーブルのなかにはISDNとうへの転用てんよう可能かのうなように、このほかにピン4・5ばんあおくみで、ピン7・8ばん茶色ちゃいろくみつないだ製品せいひんや、8しょく単色たんしょくせんを2ほんずつたばねたものも存在そんざいする。

送付そうふデータがない状態じょうたいのときはアイドルモードとして100ナノびょうパルス16じゅうろくミリびょう間隔かんかくかえす。このシーケンスはオートネゴシエーションではNLP (normal link pulse)とび、後発こうはつ規格きかくとの接続せつぞく互換ごかんせいのために使つかわれている[17]

2010ねん標準ひょうじゅんされたEEEによるしょう電力でんりょくモードにも対応たいおうしているが、ケーブルをカテゴリ5以上いじょうにするなどの要件ようけん変更へんこうがあり、EEE対応たいおうばんして10BASE-Teづけられた[16]

10BASE-Tの前身ぜんしんで、1986ねんIEEE 802.3eIEEE 802ネットワーク)として標準ひょうじゅんされ、2003ねん9がつ廃止はいしされたもの[18]スターがた構成こうせい採用さいようしたはじめてのイーサネット規格きかくで、StarLAN英語えいごばんスターがたのLAN)とばれる。ツイストペアケーブル(カテゴリー2)の2たい4せん最長さいちょう250mもちいて1Mbps達成たっせいした。

その同様どうよう構成こうせいで10Mbpsを達成たっせいしたベンダ独自どくじ仕様しようとしてAT&Tしゃの "StarLAN-10" やSynOpticsしゃの "LattisNet" がリリースされており、これら技術ぎじゅつ仕様しようが10BASE-Tにまれている。

1993ねんにIEEE 802.3jとして標準ひょうじゅんされたもの。媒体ばいたいマルチモードファイバー(MMF)ケーブル、信号しんごうげんに850nm波長はちょうのレーザーこうもちいる。10BASE-FL, 10BASE-FB, 10BASE-FPの3種類しゅるいがある[19]

FOIRL (Fiber-optic inter-repeater link)

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10BASE-Fの前身ぜんしんで、IEEE 802.3dとして標準ひょうじゅんされたもの[20]リピータハブにFOMAU (Fiber Optic MAUえーゆー)とばれるひかりトランシーバをもうけ、2つのリピータ同士どうし最大さいだい1000mのひかりファイバで接続せつぞくする。10BASE5/2の伝送でんそう遅延ちえん時間じかん衝突しょうとつ検出けんしゅつ時間じかんみじかくして接続せつぞく距離きょりちょう拡大かくだいしている。リピータによる多段ただん接続せつぞく最大さいだい5kmの延長えんちょう接続せつぞく可能かのうとなった。ベンダ独自どくじ実装じっそうのものがおおく、互換ごかんせい困難こんなんがあった。

FOIRLに10BASE-Tの方式ほうしきれて機能きのう拡張かくちょうしたもの[21]。ハブを経由けいゆすることで端末たんまつあいだ接続せつぞく可能かのうとしている。ノードあいだ距離きょり最長さいちょう2000m。FOIRLと互換ごかんせいがあるが、混在こんざいする場合ばあい最長さいちょう1000mに制限せいげんされる。"L"はリンクを意味いみする。

アクティブがたこうカプラによるハブ同士どうし接続せつぞく使つかわれる。端末たんまつへの接続せつぞくはサポートしていない。カプラあいだ最長さいちょう2000m。同期どうき処理しょりにより伝送でんそう遅延ちえん軽減けいげんされておりリピータの多段ただん接続せつぞく可能かのうとなっている[22]。"B"はバックボーンを意味いみする。2011ねん9がつ廃止はいし[23]

パッシブがたこうカプラによるハブを中心ちゅうしんとしてスターがた構成こうせいをとるもの。カプラ・ノードあいだ距離きょりは500m、ノードあいだは1000mとなる。"P"パッシブはカプラでひかりでん変換へんかん不要ふようということを意味いみする。FDDIとう高速こうそくネットワークを幹線かんせんとし、ほんネットワークを支線しせんとしたぜんひかり階層かいそうがた構内こうないネットワークシステムが構築こうちくされた。2003ねん9がつ廃止はいし[24]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 対照たいしょうてきにベースバンド信号しんごうでの制御せいぎょは10BASE5/10BASE2などのバスがたか10BASE-Tのスターがたのトポロジーがもちいられる。
  2. ^ ただし10BASE-T世代せだい機器ききオートネゴシエーション対応たいおうしていないため市販しはん一般いっぱんてきなスイッチングハブでは半二重はんにじゅう通信つうしんでしか使用しようできない。ぜんじゅう通信つうしん使用しようするにはポートごとの転送てんそうモードを手動しゅどう設定せっていできるディップスイッチやブラウザから設定せっていする管理かんり画面がめんなどがついたやや高価こうかなスイッチングハブが必要ひつようになる。

出典しゅってん

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  1. ^ a b IEEE 802.3-2018, Clause 8
  2. ^ a b IEEE 802.3-2018, Clause 10
  3. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 1.4.2
  4. ^ IEEE 802.3c-1985
  5. ^ IEEE 802.3e-1987
  6. ^ IEEE 802.3i-1990
  7. ^ IEEE 802.3d-1987
  8. ^ IEEE 802.3j-1990
  9. ^ IEEE 802.3-1998
  10. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 7.3
  11. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 8.4.2
  12. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 8.6
  13. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 8.5
  14. ^ イーサネットはどうつながっているか(だい9かい - 日経にっけいXTECH
  15. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 11
  16. ^ a b IEEE 802.3-2018, Clause 14
  17. ^ IEEE 802.3, Clause 14.2.2.1
  18. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 12
  19. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 15.1
  20. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 9.9
  21. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 18
  22. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 17, 15.1.3
  23. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 17
  24. ^ IEEE 802.3-2018, Clause 16

関連かんれん項目こうもく

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  • 100メガビット・イーサネット - 10Mイーサネットにつづ通信つうしん速度そくどとして開発かいはつされたプロトコル
  • イーサネット - 初期しょき実装じっそうが10BASE5に相当そうとうし、MAC仕様しよう一部いちぶがれている
  • ALOHAnet - 10BASE5の前身ぜんしん
  • ARPANET - 10BASE5の前身ぜんしん