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4つのリズム・エチュード

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
パプアニューギニア民族みんぞくによるおど

4つのリズム・エチュード (ふつ: 4 Études de rythme)は、フランス作曲さっきょくオリヴィエ・メシアン1949ねんから1950ねんにかけて作曲さっきょくしたピアノのための作品さくひんである。「しま I」「おと強弱きょうじゃくのモード」「リズムてきネウマ」「しま II」の4きょくからなり、だい2きょくではトータル・セリエリズム理論りろんはじめて実践じっせんされている。4つのリズムの練習れんしゅうきょくともやくされる[1]

作曲さっきょく経緯けいい

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4きょくからなるピアノきょくは、だい2きょくだい3きょくが1949ねんだい1きょくだい4きょくは1950ねんことなる年代ねんだい作曲さっきょくされた[2]。1950ねん11月にチュニスにて作曲さっきょくしゃ自身じしんにより初演しょえんされ、同年どうねんデュランしゃから4きょく別々べつべつ出版しゅっぱんされた[2][3]楽譜がくふはまた、2つの「しま」はニューギニアのパプアじんささげられた[2]

楽曲がっきょく構成こうせい

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ぜん4きょくからなる。演奏えんそう時間じかんやく16ふんから17ふん。「しま」はパプア・ニューギニア火山かざん活動かつどう描写びょうしゃするとともに、同地どうち呪術じゅじゅつてき儀式ぎしき暴力ぼうりょくせい示唆しさする[4]

1. しま I (ふつ: Île de feu I)
パプア・ニューギニアのメロディにもとづいた変奏曲へんそうきょく[5]
2. おと強弱きょうじゃくのモード(ふつ: Mode de valeurs et d'intensités)
36たかさ、ながさ、スタッカートやレガートといったアーティキレーション、強度きょうど固定こていされたおとからつくされる3こえからなるきょく[5]。この作品さくひんトータル・セリエリズム実践じっせんした作品さくひんとして評価ひょうかされているが、おとだかおと強弱きょうじゃくわせがまもられているのみで、かくおとあらわれる順序じゅんじょなどはセリーじょうならんでいないため、厳密げんみつにはセリー手法しゅほうられていない[6]
3. リズムてきネウマ(ふつ: Neumes rythmique)
かえすたびに16ふん音符おんぷ1ずつかくおと延長えんちょうされるパターンや、回文かいぶんによるリズム、グレゴリオ聖歌せいかほうであるネウマひとつずつリズムに対応たいおうさせている[5]
4. しま II(ふつ: Île de feu II)
しま I 」でもちいられたパプア・ニューギニアの変奏へんそうと、「おと強弱きょうじゃくのモード」のやりかた固定こていされた12のおとの、置換ちかんぐん使用しようした10かい変換へんかんわせによる前半ぜんはん部分ぶぶんじゅうおと技法ぎほう逆行ぎゃっこうさせる、回文かいぶんによるパターンに伴奏ばんそうされるトッカータの後半こうはん部分ぶぶんからなる[5]

なお、作曲さっきょくしゃつまイヴォンヌ・ロリオ=メシアンのレコード(1968ねん)にした解説かいせつにおいては、だい2きょくだい3きょくえたきょくじゅんのぞましいとされている[3]

後進こうしんへの影響えいきょう

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2きょくの「おと強弱きょうじゃくのモード」は、トータル・セリエリズム理論りろんはじめて実践じっせんした作品さくひんとして、1950年代ねんだいダルムシュタット夏季かき現代げんだい音楽おんがく講習こうしゅうかい参加さんかしていたピエール・ブーレーズカールハインツ・シュトックハウゼンらの作風さくふう影響えいきょうあたえた[5][7][8]。ブーレーズはこれの影響えいきょうけて『構造こうぞう だい1かん』を作曲さっきょく[3]、シュトックハウゼンはパリ音楽おんがくいんのメシアンのクラスに参加さんかすることとなった[3]

録音ろくおん

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1951ねん5がつパテ・マルコーニフランス語ふらんすごばんEMIグループ)においてメシアン自身じしん演奏えんそうにより録音ろくおんされており、『4つのリズム・エチュード』のだいはこのさい初出しょしゅつである[7]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ メシアン:前奏ぜんそうきょくしゅう/4つのリズムの練習れんしゅうきょく/カンテヨジャーヤ(アウストボ)”. NAXOS MUSIC LIBRARY. ナクソス・ジャパン. 2021ねん5がつ15にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c 井上いのうえ 1998, p. 915.
  3. ^ a b c d 木石ぼくせきら 2018, p. 30.
  4. ^ Grimshaw, Jeremy. “Études de rhythme (4), for piano solo, I/32-35”. AllMusic. 2021ねん5がつ15にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c d e 高橋たかはし 1986, p. 4.
  6. ^ ボッスール 2015, p. 166.
  7. ^ a b 平野ひらの貴俊たかとし (2018ねん3がつ12にち). “メシアン: 4つのリズムのエチュード”. ピティナ・ピアノきょく事典じてん. 2021ねん5がつ15にち閲覧えつらん
  8. ^ 宮下みやした 2006, p. 297.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 井上いのうえ和男かずお改訂かいていばん クラシック音楽おんがく作品さくひんめい事典じてん三省堂さんせいどう、1998ねん2がつ10日とおか、915ぺーじ 
  • 高橋たかはしゆう (CD解説かいせつ)『クセナキス: エヴリアリ/ヘルマ メシアン: よっつのリズム・エチュード』DENON、1986ねん 
  • ジャン=イヴ・ボッスール しる栗原くりはら詩子うたこ やく現代げんだい音楽おんがくく88のキーワード』音楽之友社おんがくのともしゃ、2015ねん9がつ30にち 
  • 宮下みやしたまこと『20世紀せいき音楽おんがく クラシックの運命うんめい光文社こうぶんしゃ新書しんしょ、2006ねん 
  • 木石ぼくせきだけ川島かわしまはれ『はじめての〈だっ音楽おんがく やさしい現代げんだい音楽おんがく作曲さっきょくほう自由じゆう現代げんだいしゃ、2018ねん 

外部がいぶリンク

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