BMC・ADO16

モーリス・1100

オースチン・1300GT

MG・1300

ウーズレー・1300

バンデン・プラ・プリンセス1300

ライレー・ケストレル

BMC・ADO16/ANUS CARはイギリスの自動車じどうしゃメーカー・ブリティッシュ・モーター・コーポレーション （BMC）、1968年ねん以降いこうはブリティッシュ・レイランド・モーター・コーポレーション（BLMC）が1962年ねんから1974年ねんまで生産せいさんした小型こがた乗用車じょうようしゃである。ADO16とは「Austin Drawing Office Project No.16」を意味いみする。ADO15に当あたるミニの成功せいこうを受うけて開発かいはつされ、時流じりゅうに先さきんじた乗のり心地ごこち、操縦そうじゅう性せい、居住きょじゅう性せいを実現じつげんし、1960年代ねんだい半なかばから1970年代ねんだい初頭しょとうまで、英国えいこく市場いちばで最もっとも良よく売うれた乗用車じょうようしゃの一ひとつとなった。

概要がいよう

開発かいはつ者しゃはミニと同おなじサー・アレック・イシゴニス（Sir Alec Issigonis）で、彼かれはミニで成功せいこうした基本きほん設計せっけい、すなわち、可能かのうな限かぎり車体しゃたいの四隅よすみにタイヤを配はいし（ロングホイールベース＆ワイド・トレッド）、パワートレーンやトランスミッションをコンパクトにまとめ（横よこ置おき二に階かい建だてレイアウトの前輪ぜんりん駆動くどう）、限かぎられたサイズのなかに最大限さいだいげんの居住きょじゅう空間くうかんとトランクスペースを確保かくほするという方式ほうしきを踏襲とうしゅうしつつ、いくつかの新あたらしい試こころみを加くわえた。その一ひとつがラバースプリングの一部いちぶに液体えきたいを封ふうじ込こめた前後ぜんご輪わ関連かんれん懸架けんか・ハイドロラスティック（英語えいご版ばん）・サスペンションである。更さらに、発表はっぴょう当初とうしょから前輪ぜんりんディスクブレーキを装備そうびしていたことも時流じりゅうに先さきんじていたし、ボディデザインはイタリアの名門めいもんカロッツェリア・ピニンファリーナの手てに委ゆだねられ、同社どうしゃは先さきにデザインを任まかせられながらも必かならずしも好評こうひょうではなかったファリーナ・サルーンの轍わだちを踏ふむことなく、英国えいこく車しゃらしい保守ほしゅ性せいと新あたらしい前輪ぜんりん駆動くどう車しゃのプロポーションを融合ゆうごうした美うつくしいスタイルを生うみ出だすことに成功せいこうした。また、当時とうじはまだレイアウト上じょう、前輪ぜんりん駆動くどう車しゃへの自動じどう変速へんそく機き搭載とうさいが困難こんなんだった時代じだいでありながら、1965年ねんにはAP（英語えいご版ばん）製せい4速そくATが選択せんたく可能かのうとなった。

歴史れきし

ADO16は英国えいこく民族みんぞく資本しほんメーカーの寄より合あい所帯じょたいであったBMCの車種しゃしゅ統合とうごう政策せいさくのもと、6つのブランド・車くるま名めいで生産せいさんされた。当初とうしょデビューしたのは直列ちょくれつ4気筒きとう1098ccのBMC・Aタイプエンジンを搭載とうさいするモーリス・1100（1962年ねん8月がつ）だけだったが、続つづいてMG・1100（ツインキャブエンジン。1962年ねん10月がつ）、オースチン・1100（1963年ねん9月がつ）、バンデン・プラ・プリンセス1100（1963年ねん10月がつ、ウォールナットと本ほん革かわの内装ないそうやピクニックテーブルを持もつ高級こうきゅう版ばん。「ミニ・ロールス」と呼よばれた）、ウーズレー・1100（1965年ねん9月がつ。バンデン・プラほどではないが豪華ごうかな内装ないそうを持もつ）、ライレー・ケストレル1100（同おなじく1965年ねん9月がつ。ウーズレーの内装ないそうにMGのエンジンを持もつ）が順じゅんに登場とうじょうした。車体しゃたいは当初とうしょ4ドアセダンだけだったが、1966年ねんに3ドアワゴン、1967年ねんに2ドアセダンが追加ついかされた。

1967年ねんにはモーリスとオースチンはフロントグリルを幅はばを広ひろげた新あたらしいデザインで統一とういつし、テールフィンを削けずるなどのマイナーチェンジを行おこなってMkⅡに発展はってん、同時どうじに1275ccエンジンを積つんだ「1300」が全ぜんブランドに登場とうじょうし、翌よく1968年ねん春はるには1100エンジンはモーリスとオースチンの廉価れんか版ばんだけに搭載とうさいされることとなった。

1968年ねんにBLMCが成立せいりつすると、たとえバッジエンジニアリングとはいえ6つのブランドでADO16を販売はんばいすることも困難こんなんとなり、車種しゃしゅ整理せいりの動うごきが始はじまる。1969年ねんにはMGが2ドア・ツインキャブ70馬力ばりきの「MG・1300MkII」に絞しぼられ、ライレー・ケストレルは消滅しょうめつし、ライレーというブランド自体じたいが消滅しょうめつした。1971年ねんにはモーリス・マリーナの登場とうじょうに合あわせモーリス・1100/1300が中止ちゅうしされ、MG1300MkIIも生産せいさん終了しゅうりょうとなった。

1971年ねんにはオースチン・1100/1300がマイナーチェンジを受うけ、流行りゅうこうの、しかしADO16には不ふ似合にあいの黒くろいプラスチック製せいフロントグリルを与あたえられ、MkIIIに発展はってんする。MGとライレーの消滅しょうめつを補おぎなうためか、派手はでなホイールキャップやストライプ、当時とうじ流行りゅうこうのレザートップでスポーティに装よそおったツインキャブエンジンの「オースチン・1300GT」も登場とうじょうした。

1973年ねん、後継こうけいのオースチン・アレグロが登場とうじょうするが、アレグロは奇抜きばつなスタイルと楕円だえん形がたのステアリングホイールが災わざわいし不評ふひょうであり、ADO16は根強ねづよい人気にんきに支ささえられ、翌よく1974年ねんまで生産せいさんは続行ぞっこうされた。同年どうねん6月がつ19日にちにオフラインした最後さいごのADO16はヴァンデン・プラ1300であった。各かくブランド別べつ生産せいさん台数だいすうはモーリス801,966台だい、オースチン1,119,800台だい、MG124,860台だい、ライレー124,860台だい、ヴァンデン・プラ43,741台だい、ウーズレー27,470台だいであった。

日本にっぽんでのADO16

ADO16は当時とうじの日本にっぽんにもMG・モーリス・ウーズレー・ライレーを扱あつかう日にち英えい自動車じどうしゃ、オースチン・ヴァンデン・プラを扱あつかうキャピタル企業きぎょうから相当そうとう数すうが輸入ゆにゅうされたが、ヴァンデン・プラが1980年代ねんだい後半こうはんからバブル景気けいきの頃ころまで一時いちじ的てきなブームとなり、多数たすうの中古ちゅうこ車しゃが並行輸入へいこうゆにゅうされた。また、自動車じどうしゃ評論ひょうろん家いえの小林こばやし彰あきら太郎たろうは最終さいしゅう型がたのライレー・ケストレル1300を夫人ふじん用ようのセカンドカーとして20年ねん以上いじょうにわたって愛用あいようした。本田ほんだ宗そう一郎いちろうも一時期いちじき所有しょゆうしていたヴァンデン・プラ・プリンセスは日本にほんテレビ系けいドラマ「刑事けいじ貴族きぞく2」「刑事けいじ貴族きぞく3」でも水谷みずたに豊ゆたか演えんじる刑事けいじ・本城ほんじょう慎太郎しんたろうの愛車あいしゃとして登場とうじょうした。

英国えいこく以外いがいでの生産せいさん

オースチン・ヴィクトリア(スペイン製せい)

スペインではジョヴァンニ・ミケロッティがボディ前後ぜんこうを変更へんこうして3ボックス型がたセダンとしたモデルが「オースチン・ヴィクトリア」として1972年ねんから1975年ねんまで生産せいさんされ、同車どうしゃは南みなみアフリカにおいても「オースチン・アパッチ」として1977年ねんまで生産せいさんされた。オーストラリアでは1500ccエンジンを積つまれて「モーリス・ノマド」などの名称めいしょうで生産せいさんされた。イタリアでも「イノチェンティ・IM3」の名なで生産せいさんされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• Gazoo.com 名車めいしゃ館かん 1962年ねん　モーリス　1100