ジャガー・XJ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ジャガー・XJは、イギリス自動車じどうしゃメーカー、ジャガーから販売はんばいされていたFセグメント高級こうきゅうセダンである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1960年代ねんだい中盤ちゅうばん、ジャガーのサルーンは、デイムラーのぞけば大型おおがた高級こうきゅうサルーンであるマークXおよび小型こがたサルーンであるSタイプというラインナップであった。1960年代ねんだい後半こうはんには、マークXは420Gへとモデルチェンジ、またSタイプをベースに420GとSタイプのあいだめるべく発表はっぴょうされた420という、3モデルのラインナップとなったが、420Gも420もすでに旧態きゅうたい依然いぜんとなっており、ジャガーはあらたなサルーンの開発かいはつせまられていた。

XJシリーズはあらたなジャガーのアイコンとなるべく開発かいはつされ、1968ねん登場とうじょう。その1986ねん、2003ねんとモデルチェンジをつづけながら進化しんかげ、2009ねん7がつ9にち最新さいしんがたである4代目だいめ発表はっぴょうされ、2010ねんから販売はんばいされた。

2019ねん販売はんばい終了しゅうりょう次期じきがた電気でんき自動車じどうしゃになると発表はっぴょうされていたが[1][2]、のちにその計画けいかく中止ちゅうしされた[3]

XJは、1980年代ねんだい初頭しょとうからイギリスの首相しゅしょう専用せんようしゃとして活躍かつやくしているが、もっと人気にんきがあるのは2010ねん登場とうじょうしたX351世代せだいである。スーパーチャージャーき5.0L V8エンジン搭載とうさいのセンチネルモデルをベースに防弾ぼうだんガラスぼうばくシールド車内しゃない酸素さんそ供給きょうきゅうシステムなどがほどこされた防弾ぼうだん装甲そうこう仕様しようしゃとなっている[4]。ボディはこう張力ちょうりょくスチールケブラーわせた専用せんよう素材そざいとしており、ジャガーによると、防弾ぼうだん性能せいのう規格きかくは「B7」をたし、15kgのTNTばくだん攻撃こうげきにもえられる驚異きょういてき防弾ぼうだん装甲そうこう性能せいのうゆうしているという[5]

シリーズI[編集へんしゅう]

ジャガー・XJシリーズI
ボディ
乗車じょうしゃ定員ていいん 5にん
ボディタイプ 4ドア・セダン
駆動くどう方式ほうしき FR
パワートレイン
エンジン 直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC2,792 cc(XJ6 2.8/XJ6L 2.8)
直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC4,237 cc(XJ6 4.2/XJ6L 4.2)
Vがた12気筒きとうSOHC5,344 cc(XJ12/XJ12L)
変速へんそく 4そくMT[6]/4そく+ODづけMT[7]/3そくAT[6]
サスペンション
まえ ダブルウィッシュボーン+コイル/スタビライザー[7]
のち ロアーウィッシュボーン/ラディアスアーム+ツインコイル[7]
車両しゃりょう寸法すんぽう
ホイールベース 2,760 mm[6][7]/2,870 mm[6]
全長ぜんちょう 4,810 mm[6][7]
全幅ぜんぷく 1,770 mm[6][7]
ぜんこう 1,340 mm[6][7]
車両しゃりょう重量じゅうりょう 1,539 kg[6][7]
系譜けいふ
先代せんだい Sタイプ420240/340
後継こうけい ジャガー・XJシリーズII
テンプレートを表示ひょうじ

スタイリングはウィリアム・ライオンズががけ、イメージは従前じゅうぜん420Gている[6]内装ないそう従前じゅうぜんどおりウォールナットとほんかわ仕立したてられた[6]。ただし安全あんぜんせい向上こうじょうのためダッシュボード上端じょうたんにはあついパッドが内蔵ないぞうされ、センタースイッチはトグルしきからピアノキーがた置換ちかんされている[6]

XJ6シリーズI[編集へんしゅう]

1968ねんSタイプ420240/340後継こうけいしゃとの位置いちづけ[6]発売はつばいされた。

サイズは全長ぜんちょう4,810mm[6]全幅ぜんはば1,770mm[6]全高ぜんこう1,340mm[6]、ホイールベース2,760mm[6]とやや拡大かくだい[6]された。車両しゃりょう重量じゅうりょうは1,539kg[6]Sタイプ420との比較ひかく[6]では軽量けいりょうされ、運動うんどう性能せいのう非常ひじょうたかかった[6]。このモデルの登場とうじょうによりジャガーのサルーンのラインナップは1970ねんまで生産せいさんつづけられた420Gのぞき1ほんにまとめられることになった。

直列ちょくれつ6気筒きとうDOHCXKエンジンで2.8Lと4.2Lの2種類しゅるい設定せっていされた。2.8Lは内径ないけいφふぁい83.0mm×行程こうてい86mmで2,792cc[注釈ちゅうしゃく 1]、180hp/6,000rpm[6]。4.2Lは420Eタイプから踏襲とうしゅうされた内径ないけいφふぁい92.1mm×行程こうてい106mmで4,237cc[注釈ちゅうしゃく 2]、245hp/5,500rpm[6]

トランスミッションは4そくMTまたは3そくATわせ[6]

サスペンションはまえがダブルウィッシュボーン+コイル、うしろがEタイプから踏襲とうしゅうしたロアーIアームとアッパーアームをねるドライブシャフト、トレーリングリンクで位置決いちぎめして左右さゆう2ずつのコイル/ダンパーで形式けいしき採用さいようした[6]。ただしうしろサスペンションシステムをサブフレームにけ、ボディとサブフレームのあいだにラバーブッシュをかいして雑音ざつおん振動しんどう遮断しゃだんしている[6]

タイヤは、当時とうじとしては極端きょくたんふとくロープロファイルのラジアルをダンロップと共同きょうどう開発かいはつして装着そうちゃくした[6]

ロールス・ロイスしのほど静粛せいしゅくせい快適かいてきせいと、サルーンとはおもえない運動うんどうせい高度こうど両立りょうりつしてたか評価ひょうかけた[6]

XJ12シリーズI[編集へんしゅう]

1972ねん7がつ登場とうじょうした、EタイプシリーズIIIに搭載とうさいされていた内径ないけいφふぁい90mm×行程こうてい70 mm[7]Vがた12気筒きとう5,344cc[注釈ちゅうしゃく 3]エンジンを253hpとややデチューンして搭載とうさいしたモデル[6]。トランスミッションは3そくATのみ。重量じゅうりょうは1,821kgとなった[6]最高さいこう速度そくどは223km/h[6]同時どうじバッジエンジニアリングはんであるデイムラー・ダブルシックス登場とうじょうした。

XJ6LシリーズI[編集へんしゅう]

1972ねん9月に登場とうじょうした、XJ6シリーズIのホイールベースを2,870mmに拡大かくだいしたモデルで、420G後継こうけいしゃ[6]たる。ホイールベース拡大かくだいぶんこうせき居住きょじゅうせい向上こうじょうてられた[6]。エンジンは4,237ccのXKエンジンのみ[6]MT仕様しようはオーバードライブきが標準ひょうじゅんとなった[6]バッジエンジニアリングはんであるデイムラー・ソブリン用意よういされた。

XJ12LシリーズI[編集へんしゅう]

1972ねん9月に登場とうじょうした、XJ12シリーズIのホイールベースを2,870mmに拡大かくだいしたモデルで、ホイールベース拡大かくだいぶんこうせき居住きょじゅうせい向上こうじょうてられた[6]バッジエンジニアリングはんであるデイムラー・ダブルシックス用意よういされた。

シリーズII[編集へんしゅう]

1973ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく安全あんぜん基準きじゅんたすためにフロントバンパー位置いちなどを変更へんこうしてシリーズIIとなり、またインストルメントパネルのスイッチが大幅おおはば整理せいりされた[6]。これにともな従前じゅうぜんモデルはシリーズIとばれるようになった。日本にっぽんにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく輸出ゆしゅつ仕様しようをベースとしたモデルを輸入ゆにゅうしたため、バンパーはゴムせいで、ぜんあきらとうが4とうどうみちであった[6]

XJ6シリーズII[編集へんしゅう]

本国ほんごく仕様しようの4,237ccエンジンは245hp/5,500rpmであったが日本にっぽん仕様しよう圧縮あっしゅく8.1、ボッシュせいLジェトロニックを装備そうびして175PS/4,750rpmとなった[6]

1975ねん標準ひょうじゅんホイールベースばん製造せいぞう中止ちゅうしされ、従前じゅうぜんのXJ6LがXJ6という呼称こしょうになった[6]

1975ねん5月2,792ccエンジンが廃止はいしされ、あらたに内径ないけいφふぁい83mm × 行程こうてい106mmで3,441cc[注釈ちゅうしゃく 4]、163hpモデルが発売はつばいされた[6]

XJ12シリーズII[編集へんしゅう]

1975ねんにルーカスせい燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち装備そうびされるとともに標準ひょうじゅんホイールベースばん製造せいぞう中止ちゅうしされ、従前じゅうぜんのXJ12LがXJ12という呼称こしょうになった[6]

1977ねんATGMせい変更へんこうされた[6]

XJ6CシリーズII[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく市場いちば考慮こうりょして2,760mmのホイールベースに2ドアクーペのボディをせたモデルが発売はつばいされた[6]。エンジンは4,237 ccのみ[6]XJ-S発売はつばいともな1978ねん製造せいぞう中止ちゅうしされた[6]

XJ12CシリーズII[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく市場いちば考慮こうりょして2,760mmのホイールベースに2ドアクーペのボディをせたモデルが発売はつばいされた[6]XJ-S発売はつばいともな1978ねん製造せいぞう中止ちゅうしされた[6]

シリーズIII[編集へんしゅう]

ジャガー・XJシリーズIII
ボディ
乗車じょうしゃ定員ていいん 5にん
ボディタイプ 4ドア・セダン
駆動くどう方式ほうしき FR
パワートレイン
エンジン 直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC3,441 cc(XJ6 3.4)
直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC4,237 cc(XJ6 4.2)
Vがた12気筒きとうSOHC5,344 cc(XJ12)
変速へんそく 5そくMT[6]/3そくAT[7]
サスペンション
まえ ダブルウィッシュボーン+コイル/スタビライザー[7]
のち ロアーウィッシュボーン/ラディアスアーム+ツインコイル[7]
車両しゃりょう寸法すんぽう
ホイールベース 2,870 mm[7]
全長ぜんちょう 4,960 mm[7]
全幅ぜんぷく 1,770 mm[7]
ぜんこう 全高ぜんこう1,370 mm[7]
車両しゃりょう重量じゅうりょう 1,829 kg(XJ6 3.4)[7]/1,925 kg(XJ12)[7]
系譜けいふ
先代せんだい ジャガー・XJシリーズII
後継こうけい ジャガー・XJ40けい
テンプレートを表示ひょうじ

1979ねんだい規模きぼなマイナーチェンジをけ、シリーズIIIとなった。外装がいそうはピニンファリーナのによるとわれている[6]欠点けってんであったリアシートのあたまうえ空間くうかんおおきくるために屋根やね後端こうたんをやや嵩上かさあげし、前後ぜんごドアまどおおきさをそろえるなどデザインバランスをととのえた[6]前後ぜんごバンパー、フロントグリルの意匠いしょう変更へんこうされた[6]安全あんぜんせい向上こうじょうのためドアハンドルがしきになった[6]。シリーズIIまで1960年代ねんだい面影おもかげ色濃いろこのこしていたリアコンビネーションランプが大型おおがたされた[6]。マニュアルトランスミッションははじめて5そくMTが採用さいようされている。

ジョン・イーガンの会長かいちょう就任しゅうにんの1980年代ねんだい前半ぜんはん急速きゅうそく品質ひんしつがった[6]

XJ6シリーズIII[編集へんしゅう]

エンジンラインナップはシリーズIIとおなじく直列ちょくれつ6気筒きとうDOHCの3.4L、直列ちょくれつ6気筒きとうDOHCの4.2L。4.2Lばんはヨーロッパ仕様しようで205hp。

1985ねん最後さいごのマイナーチェンジを実施じっし。3.4Lばん内装ないそう手直てなおしをけた。

XJ12シリーズIII[編集へんしゅう]

エンジンラインナップはシリーズIIとおなじくVがた12気筒きとうSOHCエンジン5.3L。燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装備そうびして細部さいぶ改良かいりょうにより289hpに向上こうじょうしていた。

1981ねんにマイナーチェンジをけ、Vがた12気筒きとうエンジンがミハエル・マイ発案はつあんこう効率こうりつシリンダーヘッドを装着そうちゃくしたファイアーボールエンジンに変更へんこうされ、295hp/5,500rpmに出力しゅつりょく向上こうじょう[6]、このエンジンをんだ車両しゃりょうくるまめい最後さいごにH.E.[注釈ちゅうしゃく 5]文字もじ追加ついかされた[6]

1983ねんにマイナーチェンジ。クルーズコントロールなどの装備そうび充実じゅうじつし、ホイールもあらたに「はち」タイプのアロイホイールがくわえられた。なお、このとしから本国ほんごくで「Vanden Plas」のグレードめい使用しようできなくなったため、デイムラーばん名称めいしょうが「ダブルシックス」のみとなった。

輸出ゆしゅつモデルは「デイムラー」ではなく「ジャガー・ソブリン」として販売はんばいされ、ドアノブやグリルのデザインもことなる。なお、モデルのXJ40けいはエンジンベイがせま設計せっけいされVがた12気筒きとうエンジンが搭載とうさいできなかったため、しばらくXJ12のみがシリーズIIIのままで生産せいさん続行ぞっこうされた[6]

XJ40けい[編集へんしゅう]

ジャガー・XJ 40けい
2.9
4.0 ソブリン
デイムラー 4.0
ボディ
ボディタイプ 4ドア・セダン
駆動くどう方式ほうしき FR
パワートレイン
エンジン 直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC3,239 cc[注釈ちゅうしゃく 6](XJ6 3.2/XJ6 3.2ソブリン)[8]
直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC3,980 cc(XJ6 4.0/XJ6 4.0ソブリン)[8]
変速へんそく 4そくAT/5そくMT
サスペンション
まえ ダブルウィッシュボーン
のち トラバースリンク・ウィッシュボーン
車両しゃりょう寸法すんぽう
ホイールベース 2,870 mm[8]
全長ぜんちょう 4,990 mm[9][8]
全幅ぜんぷく 1,830 mm[9][8]
ぜんこう 1,360 mm[8]
車両しゃりょう重量じゅうりょう 1,680kg/1720kg
系譜けいふ
先代せんだい ジャガー・XJ シリーズIII
後継こうけい ジャガー・XJ X300けい
テンプレートを表示ひょうじ

開発かいはつ[編集へんしゅう]

ビッグマイナーチェンジをつづ進化しんかつづけたが、1968ねんよりつくつづけられてきたためにメルセデス・ベンツ・SクラスBMW・7シリーズなどのFセグメントのライバルにくらべて技術ぎじゅつてき旧態きゅうたい依然いぜんとなってきたことに対処たいしょすべく、ジョン・イーガンのもと1980年代ねんだい初頭しょとうから開発かいはつ開始かいしされていた、社内しゃないで「XJ40」とばれる新型しんがた「XJ」は1986ねん9月に発表はっぴょうされ、10月にはヨーロッパ市場いちば販売はんばい開始かいしされた。

なお「XJ40」は、発表はっぴょう前年ぜんねん1985ねん2がつ逝去せいきょした創業そうぎょうしゃウィリアム・ライオンズが、デザインやメカニズムを承認しょうにんした最後さいごのジャガーとなった[6]

エンジンは、長年ながねん使用しようされ旧態きゅうたい依然いぜんとなった「XK」から、燃費ねんぴとパワーの向上こうじょうとともに、工作こうさく精度せいど向上こうじょうねらってあらたに設計せっけいされた、しん世代せだい直列ちょくれつ6気筒きとうエンジンである「AJ6」に変更へんこうされた[7]。なお「AJ6」は、「XJS」シリーズや、ジャガーとどう時期じきフォード・モーター傘下さんかとなったアストンマーティンの「DB7」にも使用しようされた。

ボディデザインはライオンズの監修かんしゅうのもとで完全かんぜん一新いっしんされ、空気くうき抵抗ていこう大幅おおはば改良かいりょうされた。さらにボディパーツすうが25%もらされることで、工作こうさく精度せいど向上こうじょうやかねてから問題もんだいされていたさび低減ていげん、そして軽量けいりょう実現じつげんした。なお、ソブリンけいにXJシリーズはつ角形かくがたハロゲンヘッドライトが採用さいようされ、まるがたもソブリンけいにオプションで用意よういされるとになった。なお当初とうしょのデザインではまるがたヘッドライトのみであった。

室内しつない空間くうかん旧来きゅうらいくらべて拡大かくだいされ居住きょじゅうせい格段かくだんがっただけでなく、温度おんど調節ちょうせつしき自動じどうエアコンやCDチェンジャーきのステレオなどが用意よういされたものの、コノリーレザーやこう品質ひんしつなウールのシート、ウッドが贅沢ぜいたくおごられたインテリアパネルなどの、旧来きゅうらいのジャガーがっていた世界せかいかん雰囲気ふんいきはそのままがれた。

なお「XJ40」の開発かいはつはじまった1980年代ねんだい前半ぜんはんのジャガーは、国有こくゆう企業きぎょうの「ブリティッシュ・レイランド」の傘下さんかにあり、ジャガー設計せっけい部門ぶもんは「ローバーのVがた8気筒きとうエンジンを使つかうように」との通達つうたつ拒否きょひするためエンジンベイをせま設計せっけいしてしまったので、当初とうしょエンジンのラインナップは直列ちょくれつ6気筒きとうのみでVがた12気筒きとう用意よういされず、このためXJ12はシリーズIIIボディのまましばらく製造せいぞう続行ぞっこうされることになってしまった[6]

前期ぜんきがた(1986ねん-1989ねん[編集へんしゅう]

XJR

エンジンは2種類しゅるい用意よういされた。3.6Lモデルは内径ないけいφふぁい91mm × 行程こうてい92mm、DOHC圧縮あっしゅく9.6、3,590ccで221hp/5,000rpm[6]。2.9Lモデルは内径ないけいφふぁい91mm × 行程こうてい74.8mm、SOHC圧縮あっしゅく12.6、2,919cc、165hp/5,000rpm[6]。なお、セッティングがことなる日本にっぽん仕様しよう最高さいこう出力しゅつりょく圧縮あっしゅく8.1、180PS/4,750rpmm、トルクは30.5kgm/3,750rpmである[10]

トランスミッションは4そくATまたは5そくMT。ATは「Jゲート」とばれるジャガー独自どくじのセレクターのデザインが採用さいようされた。なお日本にっぽんではATのみの設定せっていであった。タイヤは「XJR」をのぞぜんモデルでエイヴォンおよミシュラン製造せいぞうした専用せんようのランフラット・タイヤが用意よういされた。「3.6ソブリン」と「デイムラー・3.6」にはエアーサスペンションがオプションで用意よういされた。

まるがたヘッドランプに電動でんどうシート、ウォールナットのインテリアが用意よういされたベーシックモデルの「2.9」と「3.6」、角形かくがたヘッドランプにアルミホイール、電動でんどうコノリーレザーシートや後部こうぶ座席ざせきようエアコンが標準ひょうじゅん装備そうびされ、まどまわりにクロームがおごられた「2.9ソブリン」と「3.6ソブリン」、サスペンションが強化きょうかされ、専用せんようデザインのアルミホイールおごられた「3.6スポーツ」が用意よういされた。

さらに3.6リットルエンジン搭載とうさいモデルには、デイムラー伝統でんとうのフルーテッド(みぞき)グリルやクロームメッキのサイドモール、上質じょうしつなコノリーレザーシート、ピクニックテーブルなどがそなわり、こうせき2人ふたりりとなった「デイムラー・3.6」が用意よういされた。

なおアメリカ市場いちばけのモデルは、ぜんグレードが角形かくがたヘッドランプのみとされ、さらにマーケティングうえ理由りゆうから、ウェストラインに装着そうちゃくするクロームメッキとゴムのサイドモールがオプションで用意よういされた。また同国どうこくでは、商標しょうひょう登録とうろくじょう問題もんだい[注釈ちゅうしゃく 7]により「デイムラー」のブランド使用しようできないため、「バンデン・プラ」ブランドで販売はんばいされた。

1988ねん5月には、トム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)とのジョイントベンチャーである「ジャガー・スポーツ」のによってエンジンをチューニングしそくまわりを強化きょうかしたうえに、ひかえめなエアロパーツやそらりょく意識いしきした特製とくせいのアルミホイールを装備そうびした「XJR」が追加ついかされた。なお「XJR」には5そくMTのみが用意よういされ、またスポーティーさを演出えんしゅつすることを目的もくてきに、まるがたのヘッドランプのみが用意よういされた。

後期こうきがた(1990ねん-1994ねん[編集へんしゅう]

インテリア(4.0ソブリン)
しんデザインのアルミホイール
デイムラー・ダブルシックス

1989ねんすえより販売はんばい開始かいしされた1990ねんモデルにおいて、「XJ40」がデビューして以来いらいはつ大幅おおはばなマイナーチェンジをおこなわれた。

うち外装がいそう変更へんこう最小限さいしょうげんにとどめられたものの、発売はつばい翌年よくねん1987ねんに、ジャガーがアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのフォード・モーターに買収ばいしゅうされたこともあり、さらなる信頼しんらいせい品質ひんしつ向上こうじょう工作こうさく精度せいど向上こうじょう重点じゅうてんかれた。

ノーマルとスポーツの機能きのう用意よういされた新型しんがた電子でんし制御せいぎょトランスミッションや、集中しゅうちゅうドアロックや電動でんどうシート、エアコンなどの電装でんそうけい中心ちゅうしん大掛おおがかりな変更へんこう信頼しんらいせいいちじるしく向上こうじょうした。

また3,590ccエンジンは、内径ないけいφふぁい91 mmのまま行程こうていを102mmに延伸えんしんして3,980cc、225PS/4,750rpm[11][12]、または235hp/4,750rpm[6]強化きょうかされた。トルクは38.4kgm/3,650rpm[11][12]となった。

1991ねんモデルより、かねてからパワー不足ふそくうったえられていた2,919ccエンジンが、DOHC4バルブとともに内径ないけいφふぁい91mmのまま行程こうていを83mmに延伸えんしんして3,239cc、200hp/5,250rpm[6]または200PS/5,200rpm[11][12]、30.2kgm/3,900rpm[11][12]強化きょうかされた。

なお同年どうねんには、のタイヤとの互換ごかんせいく、しかも高価こうかであることからかねてから不評ふひょうであった専用せんようのランフラットタイヤが廃止はいしされ、あわせてベースモデルのホイールデザインがあたらしくなった。またベースモデルのシートがウールとほんかわのコンビに変更へんこうされた。

1993ねんより、アメリカ以外いがい市場いちばでもエアバッグがぜんグレードに標準ひょうじゅん装備そうびされるとともに、あたらしいデザインのアルミホイールがぜんモデルに装着そうちゃくされた。

Vがた12気筒きとうモデル(1993ねん-1994ねん[編集へんしゅう]

1993ねん[6]3がつ[13]には、フロント部分ぶぶんおおくを設計せっけいなおかたち[13]でエンジンコンパートメントをだい改修かいしゅう[6]して、従来じゅうらいの5.3Lから6.0L[13]拡大かくだいされたVがた12気筒きとうエンジンを搭載とうさいしたXJ40ボディの「XJ12」が、サロン・アンテルナショナル・ド・ロト発表はっぴょう[6]された。このエンジンは内径ないけいφふぁい90 mm × 行程こうてい78.5mm[12]で5,993cc[注釈ちゅうしゃく 8]、310PS/5,350rpm、47.2kgm/3,750rpmである[12]。コードネームはXJ81

さらに同年どうねんあきには、ロングホイールベースばんの「デイムラー・ダブルシックス」も追加ついかされ、日本にっぽんでは「デイムラー・マジェスティック」として販売はんばいされ、シリーズIIIボディのダブルシックスが製造せいぞう中止ちゅうしとなった[6]1994ねん7がつ生産せいさん停止ていしされ、ビッグマイナーチェンジばんの「X300」にがれた。

X300けい[編集へんしゅう]

ジャガー・XJ X300けい
X300(4.0ソブリン)
X308(ヴァンデン・プラ)
ボディ
ボディタイプ 4ドア・セダン
駆動くどう方式ほうしき FR
パワートレイン
エンジン 直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC3,239 cc[注釈ちゅうしゃく 9](XJ6 3.2/XJ6 3.2セレクト)[8]
直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC3,980 cc(XJ6 4.0/XJ6 4.0セレクト/ソブリン4.0)[8]/直列ちょくれつ6気筒きとうDOHC3,980 ccスーパーチャージャーき(XJR4.0スーパーチャージド)[8]
変速へんそく 4そくAT[9]
車両しゃりょう寸法すんぽう
ホイールベース 2,870 mm[8]
全長ぜんちょう 5,025 mm[9][8]
全幅ぜんぷく 1,800 mm[9][8]
ぜんこう 1,360 mm[8]
車両しゃりょう重量じゅうりょう 1,710 kg(XJ6 3.2/XJ6 3.2セレクト)[9]
1,730 kg(XJ6 4.0/XJ6 4.0セレクト/ソブリン4.0)[9]
1,820 kg(XJR4.0スーパーチャージド)[9]
系譜けいふ
先代せんだい ジャガー・XJ 40けい
後継こうけい ジャガー・XJ X350けい
テンプレートを表示ひょうじ

1994ねん-1997ねん(6気筒きとう/12気筒きとう[編集へんしゅう]

1994ねん[9]ボディパネルの大幅おおはば変更へんこうともなだい規模きぼなマイナーチェンジ[9]けて「X300」けいになった[注釈ちゅうしゃく 10]。「XJ40」で不評ふひょうであったかくがたヘッドライトが廃止はいしされ、すべまるがたヘッドライトとなった。

直列ちょくれつ6気筒きとうエンジンは、排気はいきりょうこそわらないものの「AJ6」から「AJ16」エンジンに変更へんこうけ、ジャガー史上しじょうはつとなるきゅうエンジンも登場とうじょうした。3.2Lモデルは内径ないけいφふぁい91mm × 行程こうてい83mm[8]で3,239cc[注釈ちゅうしゃく 11]、215 PS/5,100rpm、32.1kgm/4,500rpm[8]

4.0リットルモデルと「ソブリン」は内径ないけいφふぁい91 mm×行程こうてい102 mmで3,980cc[8]、245 PS/4,800rpm、39.9kgm/4,000rpm[8]。「XJR4.0スーパーチャージド」[9]内径ないけいφふぁい91mm×行程こうてい102mmで3,980cc[8]イートンせいスーパーチャージャーいて325 PS[9][8]/5,000 rpm[8]、52.2kgm[9][8]/3,050rpm[8]

またさらなる信頼しんらいせい向上こうじょうのために電装でんそうけい日本にっぽん電装でんそうげんデンソーせいになったほか、アウターパネルのプレスマシンが日本にっぽんせいとなったため、ボディパネルの品質ひんしつ向上こうじょうした。グレードも見直みなおされ、日本にっぽんではデイムラーをふくめ6ほん本国ほんごくでは9ほんのラインナップが用意よういされた。セレクトはコノリーレザーシートなど装備そうび充実じゅうじつさせた日本にっぽん専用せんようモデル[9]である。

1995ねんには、初期しょきがたにはいていなかったグローブボックスが設置せっちされるしょう変更へんこうおこなわれた。また、1996ねんにマイナーチェンジをおこなった。

1998ねん-2003ねん(8気筒きとう[編集へんしゅう]

1998ねんに「X308」けいにマイナーチェンジをおこなった。伝統でんとう直列ちょくれつ6気筒きとう/Vがた12気筒きとうててVがた8気筒きとうAJ-V8エンジンとなった[注釈ちゅうしゃく 12]。なおこれにより「XJ6」の名称めいしょう廃止はいしされた。

排気はいきりょうは3.2Lおよび4.0L。トランスミッションは5そくAT[注釈ちゅうしゃく 13]変更へんこうされた。外装がいそう/内装ないそうともに変更へんこうけより洗練せんれんされたスタイルとなるも、かなりのコストダウンがはかられた。

2001ねんマイナーチェンジ。トランスミッション形式けいしき若干じゃっかん変更へんこうになる。その、ウインドウサッシュが「XJR」および後述こうじゅつの「3.2スポーツ」をのぞくすべてのモデルにおいてメッキになったり、あしまわりのセッティングが見直みなおされたりとこまかい変更へんこうけた。

またこのとしより、日本にっぽん市場いちばにおいてあらたなグレードとして、あしまわりを強化きょうか外観がいかんを「XJR」にちかいイメージにした「3.2スポーツ」が追加ついかされた[注釈ちゅうしゃく 14]

その、ジャガーの創始そうししゃウィリアム・ライオンズ生誕せいたん100周年しゅうねん記念きねんした「XJR100」が世界せかい限定げんてい500だい発売はつばいされた。2003ねんをもってあたらしい「X350」けいがれた。

X350けい[編集へんしゅう]

X350
X358

2003ねんにフルモデルチェンジしてX350けいとなった。オールアルミニウムボディの採用さいようにより、従来じゅうらいのモデルよりも軽量けいりょう実現じつげんトランクもようやく実用じつようてきふかさとなった。エンジンは3.6Lおよび4.2LのVがた8気筒きとうおよびきゅうきの4.2L Vがた8気筒きとう、トランスミッションは6そくAT用意よういされた。デイムラーブランドはいったん消滅しょうめつした。

2004ねんSタイプ搭載とうさいされていたVがた6気筒きとう3.0Lエンジンを搭載とうさいしたXJ6がラインナップにくわわり、しばらく途絶とだえていた"XJ6"の名前なまえ復活ふっかつすることとなる。また、XJ8にロングホイールベースばん追加ついかされる。

2005ねんデイムラーが"スーパー8"の復活ふっかつ。「ポートフォリオ」という限定げんていしゃ発売はつばいされる。うち外装がいそうともに特別とくべつ装備そうびとなり、日本にっぽん国内こくないでは50だいみぎハンドル40だいひだりハンドル10だい限定げんてい販売はんばいされた。

2006ねん3.6L Vがた8気筒きとうエンジンがラインナップよりとされる。またソブリンにはスーパーチャージドエンジンが搭載とうさいされた。

2007ねんコードネームX358にマイナーチェンジ。おもにエクステリアに変更へんこうけた。フロントおよびリアのバンパー形状けいじょう見直みなおされ、スポーティな外観がいかんとなった。また、フロントフェンダー側面そくめんにはサイドエアベントがもうけられた。

2010ねん6月18にち - 日本にっぽん国内こくないでの販売はんばい中止ちゅうしされた。

X350けいのバリエーションは以下いかのようであった。

X351けい[編集へんしゅう]

 
X351

2009ねん7がつ9にちに、「X351」けいにフルモデルチェンジし、同年どうねん11月20にちから11月23にちに、名古屋なごやモーターショーにて日本にっぽんはつ披露ひろうされた。

5.0L Vがた8気筒きとうおよびスーパーチャージャーきの5.0L Vがた8気筒きとう、いずれもちょく噴エンジンである。スーパーチャージャーきのエンジンはグレードによって2種類しゅるいのチューニングがある。また2種類しゅるいVがた6気筒きとう3.0Lのターボディーゼルエンジンが用意よういされる。

2010ねん5月15にち日本にっぽんでの発売はつばい予定よていしていたが、アイスランドでの火山かざん噴火ふんか影響えいきょう6月19にち発売はつばい延期えんきした。その2013ねんより、直列ちょくれつ4気筒きとう2.0Lちょく噴ターボエンジンが追加ついかされた。

2019ねん7がつ生産せいさん終了しゅうりょう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 3.14159×(8.3/2)×(8.3/2)×8.6×6=2791.87134279。
  2. ^ 3.14159×(9.21/2)×(9.21/2)×10.6×6=4237.07245467。
  3. ^ 3.14159×(9/2)×(9/2)×7×12=5,343.84459。
  4. ^ 3.14159×(8.3/2)×(8.3/2)×10.6×6=3,441.14374809
  5. ^ High Efficiency、こう効率こうりつ
  6. ^ 3.14159×(9.1/2)×(9.1/2)×8.3×6=3,238.93059535。
  7. ^ ダイムラー・ベンツ」との混同こんどうけるため。
  8. ^ 3.14159×(9/2)×(9/2)×7.85×12=5,992.7400045。
  9. ^ 3.14159×(9.1/2)×(9.1/2)×8.3×6=3,238.93059535。
  10. ^ 同時どうじにデイムラー・ダブルシックスも「X300」けいボディの「X305」となった。
  11. ^ 3.14159×(9.1/2)×(9.1/2)×8.3×6=3,238.93059535。
  12. ^ デイムラーもきゅうVがた8気筒きとう搭載とうさいしたスーパーV8となった。
  13. ^ NAモデルはZFせい、スーパーチャージャーモデルはメルセデス・ベンツせい
  14. ^ 本国ほんごくおよびアメリカでは「X300」けい発売はつばい当初とうしょから設定せっていがあったグレードである

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ ジャガー最上級さいじょうきゅうサルーンXJ、現行げんこうがたは7がつ生産せいさん終了しゅうりょう 次期じきがたはEVに XJの継承けいしょう”. AUTOCAR JAPAN (2019ねん6がつ4にち). 2023ねん7がつ22にち閲覧えつらん
  2. ^ Jaguar Will Discontinue The XJ Sedan In July”. tflcar.com (2019ねん5がつ30にち). 2023ねん7がつ22にち閲覧えつらん
  3. ^ Electric Jaguar XJ plans axed at last minute”. AutoEXPRESS (2021ねん2がつ15にち). 2023ねん7がつ22にち閲覧えつらん
  4. ^ 世界せかいのVIPが愛用あいようするちょう高級こうきゅうしゃ 16せん 女王じょおう政府せいふ高官こうかんの「アシ」となるクルマたち”. AUTOCAR JAPAN. https://www.autocar.jp/post/830089/4#s13 
    “トランプ、きむただしおん、プーチン……世界せかい首脳しゅのうまもる“専用せんようしゃ” がスゴい”. ZAKZAK. https://www.zakzak.co.jp/soc/amp/180617/soc1806170005-a.html 
  5. ^ “ジャガー XJ 防弾ぼうだん仕様しよう驚異きょういのプロテクト性能せいのう. レスポンス. https://response.jp/article/2011/12/19/167343.html 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo 『ワールド・カー・ガイド12ジャガー』pp.97-112「近年きんねんのジャガー」。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 『ワールド・カー・ガイド12ジャガー』pp.165-185「プロダクション・モデルのスペック」。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 輸入ゆにゅうしゃガイドブック1997』p.222。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n 輸入ゆにゅうしゃガイドブック1997』p.93。
  10. ^ 80年代ねんだい輸入ゆにゅうしゃのすべて- 魅惑みわく先鋭せんえい 輸入ゆにゅうしゃだい攻勢こうせい時代じだい. 三栄書房さんえいしょぼう. (2013). pp. 52. ISBN 9784779617232 
  11. ^ a b c d 輸入ゆにゅうしゃガイドブック1993』p.222。
  12. ^ a b c d e f 輸入ゆにゅうしゃガイドブック1994』p.222。
  13. ^ a b c 輸入ゆにゅうしゃガイドブック1994』p.86。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]