C・B・マクファーソン

クロフォード・ブラウ・マクファーソン（Crawford Brough Macpherson、1911年ねん11月18日にち - 1987年ねん7月がつ22日にち）は、カナダの政治せいじ学者がくしゃ。専せん門もんは政治せいじ理論りろん、民主みんしゅ主義しゅぎ論ろん。

来歴らいれき

カナダ・トロント生うまれ。トロント大学だいがく卒業そつぎょう後ご、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学りゅうがくし、ハロルド・ラスキの下したで研究けんきゅうを行おこなう。 帰国きこく後ご、トロント大学だいがく政治せいじ学がく教授きょうじゅを務つとめる。 1987年ねん、75歳さいで死去しきょした。

参加さんか民主みんしゅ主義しゅぎ

マクファーソンは民主みんしゅ主義しゅぎのモデルと理論りろんを次つぎの4つに分類ぶんるいし、それらを発展はってん諸しょ段階だんかいとして位置いちづけた。そのうち第だい3のモデル・均衡きんこう的てき民主みんしゅ主義しゅぎは現代げんだいにおいて主流しゅりゅうの「民主みんしゅ主義しゅぎ」形態けいたいともいえるが、これに対たいする批判ひはんとして参加さんか民主みんしゅ主義しゅぎを提唱ていしょうしたうえで、第だい3のモデルに次つぐべき第だい4のモデルとして位置いちづけた。

1. 防禦ぼうぎょ的てき民主みんしゅ主義しゅぎ - ジェレミ・ベンサムやジェームズ・ミルに代表だいひょうされる民主みんしゅ主義しゅぎモデル。自由じゆう主義しゅぎ国家こっかに民主みんしゅ主義しゅぎ（労働ろうどう者しゃの政治せいじ参加さんか）が付つけ加くわえられたもの。民主みんしゅ主義しゅぎが自由じゆう主義しゅぎ化かされたものとして捉とらえることができる。
2. 発展はってん的てき民主みんしゅ主義しゅぎ - ジョン・スチュアート・ミルに代表だいひょうされる。労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうが政治せいじアリーナに参入さんにゅうしたことを受うけて、民主みんしゅ主義しゅぎを人間にんげん性せいと人間にんげん生活せいかつと社会しゃかいを物質ぶっしつ的てきにも道徳的どうとくてきにも豊ゆたかにする契機けいきになるものとして想定そうていした。この民主みんしゅ主義しゅぎ論ろんに見みられる理想りそう主義しゅぎは後退こうたいを余儀よぎなくされる。
3. 均衡きんこう的てき民主みんしゅ主義しゅぎ - シュンペーターによって最初さいしょに定式ていしき化かされロバート・ダールによって展開てんかいされたモデル。多元的たげんてきエリート主義しゅぎともいえる。現代げんだいにおいて最もっとも一般いっぱん的てきな民主みんしゅ主義しゅぎの捉とらえ方かたでもある。シュンペーターにおいては民主みんしゅ主義しゅぎとは「政治せいじ家かによる政治せいじ」である。ダール自身じしんは民主みんしゅ主義しゅぎがより一層いっそうの深化しんかと発展はってんを遂とげて完成かんせいに近ちかづくことに期待きたいしたが、一方いっぽうでポリアーキー概念がいねんを用もちいて実在じつざいの民主みんしゅ制せいを捉とらえている（これは自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎと呼よばれることもある）。これがマクファーソンの言いう均衡きんこう的てき民主みんしゅ主義しゅぎにあたる。政治せいじ的てきな財ざいの需要じゅようと供給きょうきゅうの均衡きんこうを維持いじし最適さいてき配分はいぶんを生うみ出だすシステムである。
4. 参加さんか的てき民主みんしゅ主義しゅぎ - 均衡きんこう的てき民主みんしゅ主義しゅぎを批判ひはんし、そこに生うまれている「民主みんしゅ主義しゅぎの空洞くうどう」を埋うめることを企図きとしたモデル。田口たぐち富久ふく治ちは発展はってん的てき民主みんしゅ主義しゅぎ的てき立場たちばとマルクス主義まるくすしゅぎ的てき立場たちばを止揚しようした立場たちばから提唱ていしょうされたモデルであると評ひょうしている。

著書ちょしょ

単たん著ちょ

• Democracy in Alberta: Social Credit and the Party System, (University of Toronto Press, 1953).

竹本たけもと徹とおる訳わけ『カナダ政治せいじの階級かいきゅう分析ぶんせき――アルバータの民主みんしゅ主義しゅぎ』（御茶おちゃの水みず書房しょぼう, 1990年ねん）

• The Political Theory of Possessive Individualism: Hobbes to Locke, (Clarendon Press, 1962).

藤野ふじの渉わたるほか訳やく『所有しょゆう的てき個人こじん主義しゅぎの政治せいじ理論りろん』（合同ごうどう出版しゅっぱん, 1980年ねん）

• The Real World of Democracy, (Clarendon Press, 1965).

粟田あわた賢三けんぞう訳わけ『現代げんだい世界せかいの民主みんしゅ主義しゅぎ』（岩波書店いわなみしょてん［岩波いわなみ新書しんしょ］, 1967年ねん）

宮みや畑はた一郎いちろう編へん『現代げんだいにおける民主みんしゅ主義しゅぎ』（こびあん書房しょぼう, 1980年ねん）

• Democratic Theory: Essays in Retrieval, (Clarendon Press, 1973).

西尾にしお敬義たかよし・藤本ふじもと博ひろし訳わけ『民主みんしゅ主義しゅぎ理論りろん』（青木あおき書店しょてん, 1978年ねん）

• The Life and Times of Liberal Democracy, (Oxford University Press, 1977).

田口たぐち富久ふく治ち訳わけ『自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎは生いき残のこれるか』（岩波書店いわなみしょてん［岩波いわなみ新書しんしょ］, 1978年ねん）

• Burke, (Oxford University Press, 1980).

谷川たにがわ昌幸まさゆき訳わけ『バーク――資本しほん主義しゅぎと保守ほしゅ主義しゅぎ』（御茶おちゃの水みず書房しょぼう, 1988年ねん）

• The Rise and Fall of Economic Justice, and Other Papers, (Oxford University Press, 1985).

編著へんちょ

• Property: Mainstream and Critical Positions, (Blackwell, 1978).