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Common Object Request Broker Architecture

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』

Common Object Request Broker Architecture（コモン オブジェクト リクエスト ブローカー アーキテクチャー、略称りゃくしょうCORBA（コルバ））とは、Object Management Group (OMG) が定義ていぎした標準ひょうじゅん規格きかくであり、様々さまざまなコンピュータ上じょうで様々さまざまなプログラミング言語げんごで書かかれたソフトウェアコンポーネントの相互そうご利用りようを可能かのうにする（分散ぶんさんオブジェクト技術ぎじゅつ）ものである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

CORBA では、プログラムコードをその機能きのうや呼よび出だし方かたの情報じょうほうと共ともに一種いっしゅのカプセル化かを行おこなう。このカプセル化かされたオブジェクトは、コンピュータネットワークを経由けいゆして他たのプログラム（あるいは CORBA オブジェクト）から呼よび出だすことができる。

CORBA はインタフェース記述きじゅつ言語げんご (IDL) を使つかってこのようなオブジェクトの外部がいぶインタフェースを記述きじゅつする。そして、IDLから他たの特定とくていの実装じっそう言語げんご（C++やJava）への「マッピング」を行おこなう。CORBAとしてマッピングが標準ひょうじゅん的てきに用意よういされているのは、Ada、C、C++、LISP、Smalltalk、Java、COBOL、PL/I、Python である。標準ひょうじゅんに組くみ込こまれていないが、Perl、PHP、Ruby、Visual Basic、Tcl、Delphi へのマッピングを実装じっそうしたObject Request Brokerが存在そんざいする。

下図したずはCORBA基盤きばんで生成せいせいされたコードが使つかわれる様子ようすを示しめしたものである。

この図ずは非常ひじょうに単純たんじゅん化かしてある。通常つうじょう、サーバ側がわには Portable Object Adapter があり、呼よび出だしをローカルなサーバントに渡わたすか（負荷ふか分散ぶんさんのために）他たのサーバに転送てんそうする。また、サーバ側がわにもクライアント側がわにも後述こうじゅつするインターセプターが存在そんざいすることが多おおい。

ユーザーに対たいして言語げんごやプラットフォームに依存いぞんしない遠隔えんかく手続てつづき呼出よびだし (RPC) 仕様しようを提供ていきょうする以外いがいに、CORBAはトランザクションやセキュリティに必要ひつような一般いっぱん的てきサービスを定義ていぎしている。

主おもな機能きのう・特徴とくちょう[編集へんしゅう]

Objects by Value (OBV)[編集へんしゅう]

リモートオブジェクトとは別べつに、CORBAとRMI-IIOPはOBVの概念がいねんを定義ていぎしている。オブジェクト内ないのメソッドのコードはデフォルトではローカルに実行じっこうされる。OBVをリモートから受信じゅしんする場合ばあい、必要ひつようなコードが両者りょうしゃに事前じぜんに備そなえられているか、送信そうしん側がわから動的どうてきにダウンロードしなければならない。このため、コードをダウンロードできるURL群ぐんの（空白くうはくで区切くぎった）リストである Code Base が OBV を定義ていぎするレコードに含ふくまれている。OBV はリモートメソッドを持もつこともできる。

OBV は転送てんそうされる際さいに付属ふぞくして転送てんそうされるフィールドを持もつことがある。そのフィールドにはOBV自体じたい、構成こうせいリスト、木き構造こうぞうやグラフなどが含ふくまれる。OBVにはクラス階層かいそうがあり、多重たじゅう継承けいしょうや抽象ちゅうしょうクラスもある。

CORBA Component Model (CCM)[編集へんしゅう]

CORBA Component Model (CCM) は CORBA 仕様しようの追加ついか要素ようそである。 CORBA 3 で導入どうにゅうされた。これはCORBAコンポーネントの標準ひょうじゅんアプリケーションフレームワークを記述きじゅつしたものである。それはちょうど「言語げんごに依存いぞんしない」Enterprise JavaBeans(EJB)の拡張かくちょう版ばんである。「ポート」と呼よばれる明確めいかくな名前なまえ付つきのインタフェースを通とおしてサービスのやりとりができる実体じったいを抽象ちゅうしょう化かしたものである。

CCM にはコンポーネントコンテナがあり、その中なかにソフトウェアコンポーネントが置おかれる。コンテナは内包ないほうするコンポーネントに各種かくしゅサービスを提供ていきょうする。例たとえば、通知つうち、認証にんしょう、永続えいぞく性せい、トランザクション管理かんりなどがある。これらは分散ぶんさんシステムには必須ひっすのサービスであり、その実装じっそうをソフトウェアコンポーネントからコンテナに移うつすことによってコンポーネントの複雑ふくざつさは劇的げきてきに軽減けいげんされる。

ポータブルなインターセプター[編集へんしゅう]

ポータブルなインターセプターとは、CORBAやRMI-IIOPが使用しようするCORBAシステムの最さい重要じゅうよう機能きのうの「フック」である。CORBA標準ひょうじゅんでは以下いかのようなタイプのインターセプターを定義ていぎしている:

  1. IORインターセプターは、カレントサーバが示しめすリモートオブジェクトへの新あらたな参照さんしょうの作成さくせいを調停ちょうていする。
  2. クライアントインターセプターは、クライアント側がわでリモートメソッドの呼よび出だしの調停ちょうていを行おこなう。そのオブジェクトのサーバントが同おなじサーバに存在そんざいすれば、そのメソッドが呼よび出だされるようにローカル呼よび出だしが調停ちょうていされる。
  3. サーバインターセプターは、サーバ側がわのリモートメソッド呼よび出だしへの対応たいおうを調停ちょうていする。

インターセプターは、送信そうしんされるメッセージに何なんらかの情報じょうほうや生成せいせいしたIORを付加ふかすることができる。それらの情報じょうほうはリモート側がわの対応たいおうするインターセプターが読よみ取とる。インターセプターは例外れいがいを送おくったり、メッセージを他たのターゲットに転送てんそうしたりといったことも行おこなう。

General InterORB Protocol (GIOP)[編集へんしゅう]

GIOPとは、Object Request Broker(ORB)同士どうしが通信つうしんする際さいの抽象ちゅうしょうプロトコルである。このプロトコルに関かんする標準ひょうじゅんはObject Management Group(OMG)が管理かんり保守ほしゅしている。GIOPアーキテクチャはいくつかの実際じっさいのプロトコルを提供ていきょうしている:

  1. Internet InterORB Protocol (IIOP) - CORBA ORB 同士どうしの通信つうしんプロトコルであり、インターネット上うえのGIOPの実装じっそうである。従したがって、GIOPメッセージとTCP/IPとの橋渡はしわたしをする。
  2. SSL InterORB Protocol (SSLIOP) - SSL 上うえのIIOP。暗号あんごう化かと認証にんしょう機能きのうを提供ていきょうする。
  3. HyperText InterORB Protocol (HTIOP) - HTTP上うえのIIOP。プロキシを透過とうか的てきに迂回うかいするなどの機能きのうがある。
  4. その他たいろいろ…

Data Distribution Service (DDS)[編集へんしゅう]

Object Management Group (OMG) は関連かんれんする標準ひょうじゅん規格きかくとしてData Distribution Service (DDS) 標準ひょうじゅんを制定せいていしている。DDS は出版しゅっぱん-購読こうどく（publish-subscribe）型がたデータ配信はいしんモデルであり、対照たいしょう的てきにCORBAはリモート呼よび出だしオブジェクトモデルである。

VMCID (Vendor Minor Codeset ID)[編集へんしゅう]

標準ひょうじゅんCORBAは例外れいがいのサブカテゴリーを明示めいじするためにマイナーコードを明記めいきしている。マイナー例外れいがいコードは unsigned long 型がたで、上位じょうい20ビットは “Vendor Minor Codeset ID”(VMCID)、下位かい12ビットがマイナーコード本体ほんたいである。標準ひょうじゅん例外れいがいのマイナーコードには OMG が予約よやくする VMCID の付与ふよされた形かたちで unsigned long 型がたの定数ていすう CORBA::OMGVMCID として定義ていぎされる。従したがって、マイナー例外れいがいコードは OMGVMCID と OR された形かたちで ex_body 構造こうぞう体たいに格納かくのうされている。

マイナーコードの設定せっていはベンダー依存いぞんである。VMCID の割わり当あて要求ようきゅうは、tagrequest@omg.org に電子でんしメールを送おくればよい。VMCID のうち、0 と 0xfffff は実験じっけん用ようの予約よやくされている。また、OMGVMCID と 1 から 0xf までの VMCID は OMG が予約よやくしている。

CorbaLoc[編集へんしゅう]

CorbaLoc とは、Corba Location の略りゃくであり、CORBA オブジェクトへの参照さんしょうを文字もじ列れつで表あらわしたものである。その見みた目めはURLによく似にている。CORBA製品せいひんには OMGが定義ていぎした二に種類しゅるいのURL、"corbaloc:" と "corbaname:" をサポートしている。その目的もくてきは、IORを持もつ場所ばしょを指定していするに当あたって、人間にんげんがそれを読よんで編集へんしゅうできる方法ほうほうを提供ていきょうすることである。

CobaLoc の例れいを以下いかに示しめす:

corbaloc::160.45.110.41:38693/StandardNS/NameServer-POA/_root

CORBA製品せいひんはオプションとして "http:"、"ftp:"、"file:" をサポートするものもある。これらは、文字もじ列れつ化かされたIORのダウンロード方法ほうほうの詳細しょうさいを提供ていきょうするために存在そんざいする（または、再帰さいき的てきに他たのURLをダウンロードすることによって文字もじ列れつ化かされたIORが得えられるようにしている）。

CORBA 実装じっそう例れい[編集へんしゅう]

  • Oracle Tuxedo - CORBA 2.5 対応たいおうの商用しょうよう ORB （Java、C++用よう）オラクル
  • Borland Enterprise Server, VisiBroker - CORBA 2.6 対応たいおうの商用しょうよう ORB （Java、C++用よう） ボーランド
  • GNU Classpath - Java用ようのフリーソフトウェア実装じっそうを含ふくむ(GPL+linking exception, 新あらたに書かかれた org.omg パッケージを含ふくむ)
  • CORBA for PHP - PHP5
  • Combat - Tcl用よう ORB。C++ ORB の Tcl 層そう。
  • e*ORB - 商用しょうよう ORB （Ada、C、C++用よう）
  • ILU - パロアルト研究所けんきゅうじょのオープン・ソフトウェア・オブジェクト・インタフェース・システム
  • IIOP.NET - Microsoft .NET 用ようフリーソフトウェア(LGPL) ORB
  • Interstage - 商用しょうよう、富士通ふじつう
  • JacORB - Javaで実装じっそうされたフリーソフトウェア (LGPL) ORB
  • J-Integra Espresso - 商用しょうよう Microsoft .NET ORB、by Intrinsyc J-Integra
  • MICO - C++で実装じっそうされたフリーソフトウェア (LGPL) ORB
  • omniORB - フリーソフトウェア (LGPL) ORB （C++、Python用よう）
  • OpenORB - フリーソフトウェア (BSD) ORB （Java用よう）
  • Orbacus - 商用しょうよう C++ ORB、by IONA Technologies
  • ORBexpress - 商用しょうよう ORB（Ada、Java、C++用よう。通常つうじょう版ばんとリアルタイム版ばん）by Objective Interface Systems
  • ORBit2 - フリーソフトウェア (LGPL) ORB （C、C++、Python用よう）
  • Orbix - 商用しょうよう ORB by IONA Technologies
  • ORBLink - 商用しょうよう ORB （Allegro Common LISP 用よう）
  • Perl ORB - Perlで実装じっそうされたオープンソース(Artistic License) ORB
  • PolyORB - Adaで実装じっそうされたフリーソフトウェア (MGPL) ORB
  • SANKHYA Varadhi - 商用しょうよう ORB （C++用よう）
  • TAO - オープンソース ORB （C++用よう）
  • TPBroker - VisiBroker の日立製作所ひたちせいさくしょによる改造かいぞう版ばん
  • Universe - PHP4
  • VBOrb - フリーソフトウェア (LGPL) ORB （Visual Basic用よう）
  • Xtradyne I-DBC - 商用しょうよう CORBA セキュリティ実装じっそう、by Xtradyne
  • Systemνにゅー[nju:] - 商用しょうよう 分散ぶんさんトランザクション対応たいおう ORB、日本にっぽんユニシス

OMG の商標しょうひょう[編集へんしゅう]

CORBA、IIOP、OMG は Object Management Group の登録とうろく商標しょうひょうであり、利用りようには注意ちゅういが必要ひつようである。GIOP は登録とうろく商標しょうひょうではない。従したがって、アプリケーションについて「GIOPに基もとづいたアーキテクチャである」とするのが適切てきせつな場合ばあいもあるだろう。なお、CORBAの仕様しよう書しょ自体じたいに関かんしては、それに基もとづいた実装じっそうを自由じゆうに行おこなうことは（CORBAという登録とうろく商標しょうひょうを使つかわないかぎり）許ゆるされている。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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