ERCC4 (excision repair cross-complementation group 4)もしくはXPF (xeroderma pigmentosum complementation group F)は、ヒトではERCC4 遺伝子 いでんし にコードされるタンパク質 たんぱくしつ である。ERCC4はERCC1 とともにERCC1-XPF複 ふく 合体 がったい を形成 けいせい し、DNA修復 しゅうふく やDNA組 ぐみ 換 か え に関与 かんよ する[ 5] [ 6] 。
ERCC1-XPFはDNAの特定 とくてい の構造 こうぞう を切断 せつだん するヌクレアーゼ である。ERCC1とERCC4はDNA修復 しゅうふく 時 じ のパートナーであるため、これらの因子 いんし は多 おお くの面 めん に関 かん して共 とも に記載 きさい がなされている。ERCC1-XPF複 ふく 合体 がったい は、DNAのヌクレオチド除去 じょきょ 修復 しゅうふく 経路 けいろ において必須 ひっす となるヌクレアーゼ である。ERCC1-XPFヌクレアーゼはDNA二 に 本 ほん 鎖 くさり 切断 せつだん の修復 しゅうふく や、2本 ほん のDNA鎖 くさり を連結 れんけつ する有害 ゆうがい な架橋 かきょう 損傷 そんしょう の修復 しゅうふく 経路 けいろ においても機能 きのう する。
ERCC4 に不 ふ 活 かつ 化 か 変異 へんい を有 ゆう する細胞 さいぼう は、紫外線 しがいせん (UV)照射 しょうしゃ やDNA鎖 くさり 間 あいだ の架橋 かきょう を行 おこな う化学 かがく 物質 ぶっしつ など、特定 とくてい のDNA損傷 そんしょう 因子 いんし に対 たい する感受性 かんじゅせい が正常 せいじょう 細胞 さいぼう よりも高 たか くなる。Ercc4 に不 ふ 活 かつ 化 か 変異 へんい を有 ゆう する遺伝子 いでんし 改変 かいへん マウスはDNA修復 しゅうふく に欠陥 けっかん がみられ、また代謝 たいしゃ ストレス誘発 ゆうはつ 性 せい の生理 せいり 的 てき 変化 へんか も伴 ともな うことで早老 そうろう が引 ひ き起 お こされる[ 7] 。Ercc4 を完全 かんぜん に(ホモ接合 せつごう 型 がた で)欠 かけ 失 しっ したマウスは生存 せいぞん することができず、またヒトでもERCC4 のホモ接合 せつごう 型 がた 欠 かけ 失 しつ は見 み つかっていない。ヒト集団 しゅうだん では、稀 まれ にERCC4の機能 きのう 不全 ふぜん をもたらす遺伝 いでん 的 てき 変異 へんい を有 ゆう する個体 こたい がみられる。正常 せいじょう な遺伝子 いでんし が存在 そんざい しない場合 ばあい 、こうした変異 へんい は色 いろ 素性 すじょう 乾 いぬい 皮 かわ 症 しょう 、コケイン症候群 しょうこうぐん やファンコニ貧血 ひんけつ などの疾患 しっかん の原因 げんいん となる場合 ばあい がある。
ERCC4 遺伝子 いでんし の導入 どうにゅう によって、CHO細胞 さいぼう 由来 ゆらい の特定 とくてい の紫外線 しがいせん 感受性 かんじゅせい 変異 へんい 株 かぶ のDNA修復 しゅうふく の欠陥 けっかん を修正 しゅうせい することができた[ 8] 。CHO細胞 さいぼう では複数 ふくすう の独立 どくりつ した相補 そうほ 群 ぐん が単 たん 離 はな されており[ 9] 、この遺伝子 いでんし はcomplementation group 4の細胞 さいぼう で紫外線 しがいせん 耐 たい 性 せい を回復 かいふく した。この種 たね 間 あいだ での遺伝 いでん 的 てき 相補 そうほ 性 せい を反映 はんえい して、遺伝子 いでんし は"Excision repair cross-complementing 4"(ERCC4)と命名 めいめい された[ 10] 。
ヒトのERCC4 遺伝子 いでんし は、916アミノ酸 あみのさん からなる約 やく 104 kDaのタンパク質 たんぱくしつ をコードする[ 11] 。
ERCC4 と同等 どうとう の機能 きのう を有 ゆう する類似 るいじ した遺伝子 いでんし (オルソログ)は他 た の真 ま 核 かく 生物 せいぶつ のゲノムにも存在 そんざい する。最 もっと もよく研究 けんきゅう されている遺伝子 いでんし としては、出芽 しゅつが 酵母 こうぼ Saccharomyces cerevisiae のRAD1 遺伝子 いでんし 、分裂 ぶんれつ 酵母 こうぼ Schizosaccharomyces pombe のrad16+ 遺伝子 いでんし がある[ 11] 。
XPFの模 も 式 しき 図 ず 。不 ふ 活性 かっせい なヘリカーゼドメイン、ヌクレアーゼドメイン、ヘリックス-ヘアピン-ヘリックス(HhH)ドメインが示 しめ されている。
1分子 ぶんし のERCC1と1分子 ぶんし のERCC4(XPF)が結合 けつごう することで、活性 かっせい 型 がた ヌクレアーゼであるERCC1-XPFヘテロ二 に 量 りょう 体 たい が形成 けいせい される。ERCC1-XPFヘテロ二 に 量 りょう 体 たい においては、ERCC1がDNA-タンパク質 たんぱくしつ 間 あいだ 相互 そうご 作用 さよう 、タンパク質 たんぱくしつ -タンパク質 たんぱくしつ 間 あいだ 相互 そうご 作用 さよう を媒介 ばいかい している。XPFはエンドヌクレアーゼ 活性 かっせい 部位 ぶい を持 も ち、またDNA結合 けつごう やタンパク質 たんぱくしつ -タンパク質 たんぱくしつ 間 あいだ 相互 そうご 作用 さよう に関与 かんよ している[ 8] 。
ERCC4/XPFには2つの保存 ほぞん されたドメインが存在 そんざい し、その間 あいだ は低 てい 保存 ほぞん 性 せい 領域 りょういき によって隔 へだ てられている。N末端 まったん 領域 りょういき はDNAヘリカーゼ スーパーファミリーIIの保存 ほぞん されたドメインのいくつかとの相 あい 同性 どうせい がみられるが、XPFはDNAヘリカーゼではない[ 12] 。C末端 まったん 領域 りょういき にはヌクレアーゼ活性 かっせい の活性 かっせい 部位 ぶい 残 ざん 基 もと が位置 いち している[ 13] 。ERCC1の大 だい 部分 ぶぶん はXPFのC末端 まったん 領域 りょういき と配列 はいれつ レベルで関連 かんれん しているが[ 14] 、ヌクレアーゼドメインの残 ざん 基 もと は存在 そんざい していない。ERCC1とXPFにはどちらもC末端 まったん に、DNAを結合 けつごう するヘリックス-ヘアピン-ヘリックス(HhH)ドメインが存在 そんざい する。
ERCC1-XPFヌクレアーゼの基質 きしつ となるDNA構造 こうぞう
ERCC1-XPF複 ふく 合体 がったい は構造 こうぞう 特異 とくい 的 てき エンドヌクレアーゼである。ERCC1-XPFは一本 いっぽん 鎖 くさり のみまたは二 に 本 ほん 鎖 くさり のみからなるDNAに対 たい する切断 せつだん 活性 かっせい は持 も たないが、二 に 本 ほん 鎖 くさり DNAと一本 いっぽん 鎖 くさり DNAの接合 せつごう 部 ぶ のDNAホスホジエステル骨格 こっかく を特異 とくい 的 てき に切断 せつだん する。切断 せつだん が導入 どうにゅう されるのは、こうした接合 せつごう 部 ぶ の5'側 がわ 、約 やく 2ヌクレオチド離 はな れた位置 いち の二 に 本 ほん 鎖 くさり DNAである[ 15] 。この構造 こうぞう 特異 とくい 性 せい は、ERCC1-XPFの酵母 こうぼ オルソログであるRAD10-RAD1で初 はじ めて示 しめ された[ 16] 。
ERCC1とXPFのC末端 まったん 領域 りょういき に位置 いち する疎水 そすい 的 てき なHhHモチーフは、互 たが いに相互 そうご 作用 さよう して両者 りょうしゃ の二 に 量 りょう 体 からだ 化 か を促進 そくしん する[ 17] [ 18] 。二 に 量 りょう 体 からだ 化 か していない場合 ばあい 、触媒 しょくばい 活性 かっせい を示 しめ すことはない。触媒 しょくばい ドメインはXPF内 ない に存在 そんざい し、ERCC1自体 じたい が触媒 しょくばい 活性 かっせい を持 も つわけではないが、ERCC1は複 ふく 合体 がったい の活性 かっせい に必要 ひつよう 不可欠 ふかけつ である。
ERCC1-XPFのDNAへの結合 けつごう に関 かん しては、関連 かんれん するタンパク質 たんぱくしつ 断片 だんぺん の原子 げんし 分解能 ぶんかいのう 構造 こうぞう に基 もと づいて、いくつかのモデルが提唱 ていしょう されている[ 17] 。DNAへの結合 けつごう はERCC1とXPFのHhHドメインによって媒介 ばいかい され、これらのドメインによってヘテロ二 に 量 りょう 体 たい は接合 せつごう 部 ぶ に配置 はいち されていると考 かんが えられている。
ヌクレオチド除去 じょきょ 修復 しゅうふく (NER)時 じ には、いくつかのタンパク質 たんぱくしつ 複 ふく 合体 がったい が協調 きょうちょう 的 てき に損傷 そんしょう DNAを認識 にんしき し、損傷 そんしょう 部位 ぶい の両側 りょうがわ の短 みじか い範囲 はんい のDNAらせんを局所 きょくしょ 的 てき に開 ひら く。ERCC-XPFヌクレアーゼは損傷 そんしょう DNA鎖 くさり の損傷 そんしょう 部位 ぶい の5'側 がわ に切 き り込 こ みを入 い れる[ 15] 。ERCC1はNERの過程 かてい ではXPA (英語 えいご 版 ばん ) と相互 そうご 作用 さよう し、DNAやタンパク質 たんぱくしつ との協調 きょうちょう 的 てき な相互 そうご 作用 さよう を行 おこな う。
ERCC1-XPFに変異 へんい を有 ゆう する哺乳類 ほにゅうるい 細胞 さいぼう は正常 せいじょう 細胞 さいぼう と比較 ひかく して、DNA二 に 本 ほん 鎖 くさり 切断 せつだん を引 ひ き起 お こす因子 いんし (電離 でんり 放射線 ほうしゃせん など)に対 たい する感受性 かんじゅせい がある程度 ていど 高 たか くなる[ 19] [ 20] 。相 あい 同 どう 組 くみ 換 か え修復 しゅうふく と非 ひ 相 あい 同 どう 末端 まったん 結合 けつごう の双方 そうほう がERCC-XPF1の機能 きのう に依存 いぞん しており[ 21] [ 22] 、どちらの二 に 本 ほん 鎖 くさり 切断 せつだん 修復 しゅうふく 経路 けいろ においてもERCC1-XPFの活性 かっせい は再 さい 結合 けつごう 前 まえ のDNA末 まつ 端 はし からの非 ひ 相 あい 同 どう な3'一本 いっぽん 鎖 くさり テールの除去 じょきょ と関係 かんけい している。相 あい 同 どう 組 くみ 換 か えにおいては、この活性 かっせい は一本 いっぽん 鎖 くさり アニーリング(single-strand annealing、SSA)経路 けいろ で必要 ひつよう とされる。3'末端 まったん の一本 いっぽん 鎖 くさり テールのトリミングは非 ひ 相 あい 同 どう 末端 まったん 結合 けつごう 経路 けいろ においても必要 ひつよう であり、この経路 けいろ においてはKuタンパク質 たんぱくしつ の活性 かっせい に依存 いぞん している[ 23] [ 24] 。相 あい 同 どう 組 くみ 換 か えを利用 りよう したDNAの組 く み込 こ みは遺伝子 いでんし 操作 そうさ の重要 じゅうよう な技術 ぎじゅつ であるが、ホスト細胞 さいぼう のERCC-XPFの機能 きのう に依存 いぞん している[ 25] 。
ERCC1もしくはXPFに変異 へんい を有 ゆう する哺乳類 ほにゅうるい 細胞 さいぼう は、DNA鎖 くさり 間 あいだ の架橋 かきょう を引 ひ き起 お こす因子 いんし に対 たい する感受性 かんじゅせい が特 とく に高 たか い[ 26] 。鎖 くさり 間 あいだ 架橋 かきょう はDNA複製 ふくせい の進行 しんこう を遮断 しゃだん し、遮断 しゃだん されたDNA複製 ふくせい フォーク部分 ぶぶん の構造 こうぞう がERCC-XPFによる切断 せつだん の基質 きしつ となる[ 27] [ 28] 。DNAの一方 いっぽう の鎖 くさり の架橋 かきょう の両側 りょうがわ に切 き り込 こ みを入 い れて架橋 かきょう を外 はず すことで、修復 しゅうふく が開始 かいし されている可能 かのう 性 せい がある。他 た に、鎖 くさり 間 あいだ 架橋 かきょう 付近 ふきん のDNAに二 に 本 ほん 鎖 くさり 切断 せつだん が導入 どうにゅう され、その後 ご の相 あい 同 どう 組 くみ 換 か え修復 しゅうふく にERCC1-XPFが関与 かんよ している可能 かのう 性 せい もある。ERCC1-XPFは鎖 くさり 間 あいだ 架橋 かきょう の修復 しゅうふく に関与 かんよ する唯一 ゆいいつ のヌクレアーゼではないものの、細胞 さいぼう 周期 しゅうき のいくつかの段階 だんかい で鎖 くさり 間 あいだ 架橋 かきょう の修復 しゅうふく に必要 ひつよう とされる[ 29] [ 30] 。
希少 きしょう 遺伝 いでん 疾患 しっかん である色 いろ 素性 すじょう 乾 いぬい 皮 かわ 症 しょう (XP)の患者 かんじゃ の一部 いちぶ は、ERCC4 に変異 へんい を抱 かか えている。これらの患者 かんじゃ はグループF(XP-F)に分類 ぶんるい される。XPの診断 しんだん 基準 きじゅん となる特徴 とくちょう は、乾燥 かんそう した鱗状 りんじょう の皮膚 ひふ 、露光 ろこう 部 ぶ の皮膚 ひふ への異常 いじょう な色素 しきそ 沈着 ちんちゃく 、重度 じゅうど の光 ひかり 感受性 かんじゅせい であり、紫外線 しがいせん による皮膚 ひふ がん の発症 はっしょう リスクが1000倍 ばい 以上 いじょう 高 たか くなる[ 5] 。
XP-Fの患者 かんじゃ の大 だい 部分 ぶぶん ではXPの症状 しょうじょう は中等 ちゅうとう 度 ど であるが、その中 なか のわずかな割合 わりあい でさらにコケイン症候群 しょうこうぐん (CS)の症状 しょうじょう がみられることがある[ 31] 。コケイン症候群 しょうこうぐん の患者 かんじゃ は光 ひかり 感受性 かんじゅせい を示 しめ し、さらに発生 はっせい の欠陥 けっかん や神経症 しんけいしょう 状 じょう を示 しめ す[ 5] [ 7] 。
ERCC4 遺伝子 いでんし の変異 へんい は、非常 ひじょう に稀 まれ にXFE早老 そうろう 症候群 しょうこうぐん (XPF-ERCC1 progeroid syndrome)を引 ひ き起 お こす場合 ばあい がある[ 32] 。患者 かんじゃ はXPとCSの特徴 とくちょう に加 くわ え、神経 しんけい 、肝胆 かんたん 道 どう 、筋骨 きんこつ 格 かく 、造血 ぞうけつ 系 けい に症状 しょうじょう がみられる。
ファンコニ貧血 ひんけつ (FA)の症状 しょうじょう を示 しめ す患者 かんじゃ の中 なか には、ERCC4 遺伝子 いでんし に原因 げんいん 変異 へんい が存在 そんざい する場合 ばあい がある。ファンコニ貧血 ひんけつ は、主 おも に造血 ぞうけつ 系 けい の症状 しょうじょう を伴 ともな う複 ふく 合 あい 的 てき な疾患 しっかん である。FAの特徴 とくちょう は、DNA鎖 くさり 間 あいだ の架橋 かきょう を引 ひ き起 お こす因子 いんし に対 たい する過敏 かびん 性 せい である。ERCC4 遺伝子 いでんし に変異 へんい を有 ゆう するFAの患者 かんじゃ はグループQ(FANCQ)に分類 ぶんるい される[ 31] [ 33] 。
免疫 めんえき 染色 せんしょく を行 おこな った結腸 けっちょう 陰 かげ 窩の連続 れんぞく 断面 だんめん 。DNA修復 しゅうふく タンパク質 たんぱくしつ PMS2(A)、ERCC1(B)、ERCC4(C)の正常 せいじょう な高 こう 発現 はつげん が示 しめ されている。この陰 かげ 窩は結腸 けっちょう 新 しん 生物 せいぶつ が発生 はっせい していない58歳 さい 男性 だんせい の生 なま 検 けん 試料 しりょう であり、陰 かげ 窩の大 だい 部分 ぶぶん の吸収 きゅうしゅう 細胞 さいぼう の核 かく 内 ない でこれらのタンパク質 たんぱくしつ の高 こう 発現 はつげん がみられる。陰 かげ 窩の頂 いただき 上部 じょうぶ や陰 かげ 窩間の内 うち 腔表面 めん の細胞 さいぼう の核 かく では、PMS2やERCC4の発現 はつげん は低下 ていか している、もしくはみられない[ 34] 。
通常 つうじょう 、ERCC4(XPF)は結腸 けっちょう の内壁 ないへき の細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 核 かく で高 こう レベルに発現 はつげん している。結腸 けっちょう の内壁 ないへき は陥 おちい 入 いれ を伴 ともな う単 たん 層 そう 円柱 えんちゅう 上皮 じょうひ で覆 おお われている。陥 おちい 入部 にゅうぶ は腸 ちょう 腺 せん もしくは腸 ちょう 陰 かげ 窩 と呼 よ ばれる。結腸 けっちょう 陰 かげ 窩は厚 あつ 壁 かべ の試験管 しけんかん のような微視的 びしてき 形状 けいじょう をしており、管 かん の長 なが さ方向 ほうこう に中心 ちゅうしん に穴 あな が開 ひら いている。陰 かげ 窩の深 ふか さは細胞 さいぼう 75個 こ から110個 こ 分 ぶん 程度 ていど である。正常 せいじょう な非 ひ 腫瘍 しゅよう 性 せい の結腸 けっちょう 上皮 じょうひ ではDNA修復 しゅうふく が非常 ひじょう に活発 かっぱつ なようであり、ERCC4、PMS2 、ERCC1の高 こう 発現 はつげん を伴 ともな う。
細胞 さいぼう は陰 かげ 窩の底部 ていぶ で生 う み出 だ され、陰 かげ 窩の軸 じく に沿 そ って上方 かみがた に移動 いどう し、数日 すうじつ 後 ご には結腸 けっちょう 管 かん 腔へ脱落 だつらく する[ 35] 。陰 かげ 窩の底部 ていぶ には5個 こ から6個 こ の幹 みき 細胞 さいぼう が存在 そんざい する。底部 ていぶ の幹 みき 細胞 さいぼう がERCC4を発現 はつげん している場合 ばあい 、一般 いっぱん 的 てき にその陰 かげ 窩の数 すう 千 せん の細胞 さいぼう 全 すべ てでERCC4が発現 はつげん している。このことはこの節 ふし の図 ず のパネルCにおいて、陰 かげ 窩内のほぼ全 すべ ての腸 ちょう 細胞 さいぼう がERCC4に対 たい する免疫 めんえき 染色 せんしょく で褐色 かっしょく に染色 せんしょく されていることからも示 しめ される。正常 せいじょう な結腸 けっちょう 上皮 じょうひ の各 かく 陰 かげ 窩の数 すう 千 せん の腸 ちょう 細胞 さいぼう では、PMS2やERCC1でも同様 どうよう の発現 はつげん がみられる。この図 ず ではヘマトキシリン によるDNAの対比 たいひ 染色 せんしょく も行 おこな われており、核 かく が青 あお 灰色 はいいろ で示 しめ されている。粘膜 ねんまく 固有 こゆう 層 そう の細胞 さいぼう (陰 かげ 窩の下部 かぶ や周囲 しゅうい の細胞 さいぼう )の核 かく の大 だい 部分 ぶぶん はヘマトキシリンの青 あお 灰色 はいいろ を呈 てい しており、PMS2、ERCC1、ERCC4をほとんど発現 はつげん していない。また、陰 かげ 窩の頂 いただき 上部 じょうぶ に位置 いち する細胞 さいぼう ではPMS2やERCC4の発現 はつげん は低下 ていか しており、同様 どうよう に青 あお 灰色 はいいろ を呈 てい している[ 34] 。
結腸 けっちょう がんと隣接 りんせつ 領域 りょういき におけるERCC4の欠損 けっそん [ 編集 へんしゅう ]
大腸 だいちょう がん近傍 きんぼう の結腸 けっちょう 上皮 じょうひ の連続 れんぞく 断面 だんめん 。結腸 けっちょう 陰 かげ 窩内でのPMS2(A)、ERCC1(B)、ERCC4(C)の発現 はつげん の低下 ていか もしくは消失 しょうしつ が示 しめ されている。この組織 そしき 断片 だんぺん は、S状 じょう 結腸 けっちょう に腺腫 せんしゅ が発生 はっせい した男性 だんせい 患者 かんじゃ の切除 せつじょ 結腸 けっちょう の中 なか で組織 そしき 学 がく 的 てき に正常 せいじょう な領域 りょういき に由来 ゆらい するものである。PMS2(A)に関 かん しては、陰 かげ 窩の本体 ほんたい 、入口 いりくち 部分 ぶぶん 、そして隣接 りんせつ する管 かん 腔表面 めん の全 すべ ての上皮 じょうひ 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 核 かく で発現 はつげん がみられない。ERCC1(B)に関 かん しては、陰 かげ 窩の細胞 さいぼう 核 かく の大 だい 部分 ぶぶん で発現 はつげん が低下 ていか しているが、入口 いりくち 部分 ぶぶん や隣接 りんせつ する管 かん 腔表面 めん では高 こう 発現 はつげん がみられる。ERCC4(C)に関 かん しては、陰 かげ 窩や管 かん 腔表面 めん の細胞 さいぼう 核 かく の大 だい 部分 ぶぶん では発現 はつげん がみられないが、一部 いちぶ の陰 かげ 窩の入口 いりくち 部分 ぶぶん では発現 はつげん が検出 けんしゅつ される。この組織 そしき におけるDNA修復 しゅうふく 遺伝子 いでんし の発現 はつげん の低下 ていか または喪失 そうしつ は、エピジェネティックな抑制 よくせい によるものであるようである[ 34] 。
大腸 だいちょう がん の約 やく 55%、そしてがんの周囲 しゅうい 10 cm以内 いない (発 はつ がん可能 かのう 性 せい の高 たか い「発 はつ がん素地 そじ 」(field defect)に位置 いち する)結腸 けっちょう 陰 かげ 窩の約 やく 40%でERCC4(XPF)の発現 はつげん は欠損 けっそん している[ 34] 。発 はつ がん素地 そじ においてERCC4が減少 げんしょう している場合 ばあい には、DNA修復 しゅうふく 酵素 こうそ ERCC1やPMSの発現 はつげん も同様 どうよう に低下 ていか していることが多 おお い。結腸 けっちょう 上皮 じょうひ におけるERCC1の欠乏 けつぼう は、エピジェネティック な抑制 よくせい によるものであるようである[ 34] 。ERCC4の欠乏 けつぼう はDNA損傷 そんしょう 修復 しゅうふく の減少 げんしょう をもたらすと考 かんが えられる。多 おお くの種類 しゅるい のがんの根底 こんてい には、DNA損傷 そんしょう に対 たい して適切 てきせつ に応答 おうとう して修復 しゅうふく を行 おこな う能力 のうりょく の欠如 けつじょ がある[ 36] 。がんやその周囲 しゅうい の発 はつ がん素地 そじ におけるERCC4のエピジェネティックな抑制 よくせい は(ERCC1やPMS2のエピジェネティックな抑制 よくせい とともに)、こうした変化 へんか が多 おお くの結腸 けっちょう がんへの進行 しんこう に中心 ちゅうしん 的 てき な役割 やくわり を果 は たしている可能 かのう 性 せい を示 しめ している。
ERCC4の発現 はつげん のエピジェネティックな低下 ていか はヒトの結腸 けっちょう がんで高 こう 頻度 ひんど でみられるが、ERCC4に変異 へんい が生 しょう じていることは稀 まれ である[ 37] 。ERCC4の変異 へんい は皮膚 ひふ がんのリスクを高 たか める[ 37] 。また、ERCC4 の遺伝 いでん 的 てき 多 た 型 かた は乳 にゅう がん においても重要 じゅうよう であるようである[ 38] 。こうした稀 まれ な変異 へんい もまた、ERCC4の欠乏 けつぼう ががんへの進行 しんこう に関与 かんよ している可能 かのう 性 せい が高 たか いことを強調 きょうちょう している。
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