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FN FNC(Fabrique Nationale Carbine)は、ベルギーのFN社で1976年に完成し、生産されていたアサルトライフル。FN社で開発されたFN CALの改良版でもある。5.56x45mm NATO弾を使用する。
FN社が開発生産していたFALは、50ヶ国におよぶ多数の国々で採用あるいはライセンス生産されるという成功を収めた。
しかし、1960年代にアメリカ軍のAR-15の登場と活躍をきっかけに小口径ライフルが注目され、5.56mm弾を使用する銃の研究が各国で行われ始めた。これにより、大口径ライフルであるFALのシェアは縮小し始める。ただし、FN社自身も対策として、1966年に5.56mm弾を使用する銃としてCALを開発したが、CAL自身に問題があったこともあり、マーケットでの成功は収めていなかった。そのため、NATO諸国で採用されるだけの性能を持つ新型アサルトライフルとして1976年にFNCが開発された。FNCにはM16で使用されていた.223レミントン弾ではなく、当時ベルギーで新しく開発されたSS109が使用されている。.223レミントン弾より威力に優れるSS109は新NATO弾として1980年にNATO諸国で標準化されており、SS109の開発は他国での採用があまり広がらなかったFNCが唯一成功した点といえるだろう。
作動方式はFALのショートストロークピストン方式ではなくロングストロークピストン式を採用している。コッキングハンドルはボルトに固定されており、射撃にともなって前後に移動する。アッパーレシーバーには可動式のダストカバーが標準装備されており、コッキングハンドルが通るすき間をふさぐことで、機関部への異物侵入を防止している。アッパーレシーバーはスチール板のプレス加工、ロアレシーバーはアルミニウム合金の削り出しで製作されている。フルオートと共に3点バースト機能があり、連射時のコントロール性も意識している。弾倉はFN社オリジナルだがM16の弾倉と互換性があり、FNCの弾倉はそのままM16に使用することが可能となっている。STANAG マガジンという概念が無かった開発当時としては時代を先取りしていた特徴である。ただしFNCと同用弾倉にはボルトのホールドオープン機能が無いため、FNCの弾倉をM16で使うとホールドオープン機能を作動させることができない。
ガスチューブの後端にはノブが設けられ、ここに指をかけてガスチューブ全体を回転させることで、ガスピストンへ導かれる発射薬の燃焼ガス圧力を調節できる。また、ガスチューブの先端に位置するレバーを引き起こすとガスバルブが遮断され、発射薬の燃焼ガスがガスチューブに流入しなくなる。この機能は、ライフルグレネードを発射する際に用いられ、引き起こされたガスバルブレバーはライフルグレネード用の後部照準器も兼ねている。ライフルグレネードの先端を照星、起こしたガスバルブレバーに切られたノッチを照門として狙いをつけることができる。
FNCは、FN社が期待をかけて市場に投入した製品であったが、いざ販売を始めてみるとFALほどの成功を収められなかった。ある程度の生産設備を必要とするアルミ合金を使用するために高価な銃になったことも足を引っ張った点ではあるが、FNCが販売を始める頃には、競合機種が多数存在し、FNCはマーケットに投入するタイミングを逃してしまったために失敗してしまった面の方が影響していると思われる。
唯一の例外は本国ベルギーでの制式採用であり、FN SCARやFN F2000など後続のアサルトライフルが開発された現在でも軍が使用している。
結果だけ見れば、同世代のアサルトライフルとしては第一級の性能を持ちながら、運に恵まれなかった不遇の銃となってしまった。
幾度かモデルチェンジが行われており、FALのパーツ(ピストルグリップと固定ストック)を使用したM2と、改良型のM3が存在する。
あまり多くバリエーションは用意されておらず、空挺部隊での運用を考慮して銃身を短くしたカービンモデルに該当するFNC-Para、取り回し易さを犠牲に安定性の高い固定ストックを装備したモデル、警察向けのセミオート限定モデル程度しか用意されていない。
インドネシア軍では少数のFNCが導入され、その後は折り畳み式ストックを標準装備したFNCのライセンス生産型であるPindad SS1-V1に置き換えられている。さらに、改良型であるPindad SS2がPindad SS1の後継として開発された。SS2はボルトストップの追加、可動式ダストカバーの省略、ハンドガードの形状変更、銃身の延長などを行っている。
最終的に制式採用されたのはベルギー軍、インドネシア軍、スウェーデン軍を含む数ヶ国と、他の例としてイタリア軍警察に一部が導入された程度で、FALに比べ、大規模な採用は少なかった。
現在、FN社は1990年代にコルト社からM16の生産権を獲得したため、FNCの販売は行っていない。
- 『エグゼクティブ・デシジョン』
- 旅客機「オーシャニック航空343便」を乗っ取ったテロリストの一部が使用。
- 『ヒート』
- アル・パチーノ扮するヴィンセント・ハナ警部補が、セミオートマチックのみの警察向けモデルを銀行強盗後の市街地での銃撃戦で使用。
- 『うぽって!!』
- 主人公、ふんこが本銃を使用(ふんこ自身がFNCの擬人化キャラでもある)。
- 『ヨルムンガンド』
- ヨナがストックにテープを巻きつけたパラモデルを使用する。
- 『ヤングガン・カルナバル』
- 「銃と恋人といま生きている実感」で鉄美弓華が使用する。鉄美弓華は他にFN Five-seveNやFN P90などのFN社の銃を使用している。
- 『Alliance of Valiant Arms』
- ゲーム内兵科「ライフルマン」のメイン武器として登場。
- 『メタルギアソリッドV』
- 「グラウンド・ゼロ」のメインミッションおよびエンディングにてビッグ・ボスが使用(本銃を基にデザインしたと思われる架空銃である)。
- 『レインボーシックス ベガス 2』
- プレイヤー装備として登場。あまり性能は高くない。
- 『ドールズフロントライン』
- ★3のAR [FF FNC]が使用。擬人化キャラクター
- 『千銃士』
- 「エフ」の名で登場。擬人化キャラクター