ERBB3

ERBB3
PDBに登録とうろくされている構造こうぞう
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	1M6B, 2L9U, 3KEX, 3LMG, 3P11, 4LEO, 4OTW, 4P59, 4RIW, 4RIX, 4RIY, 5CUS
識別子しきべつし
記号きごう	ERBB3, ErbB-3, HER3, LCCS2, MDA-BF-1, c-erbB-3, c-erbB3, erbB3-S, p180-ErbB3, p45-sErbB3, p85-sErbB3, erb-b2 receptor tyrosine kinase 3, FERLK, VSCN1
外部がいぶID	OMIM: 190151 MGI: 95411 HomoloGene: 20457 GeneCards: ERBB3
遺伝子いでんしの位置いち (ヒト)
染色せんしょく体たい	12番ばん染色せんしょく体たい (ヒト)
終点しゅうてん	56,103,505 bp
遺伝子いでんしの位置いち (マウス)
染色せんしょく体たい	10番ばん染色せんしょく体たい (マウス)
終点しゅうてん	128,425,521 bp
RNA発現はつげんパターン
	さらなる参照さんしょう発現はつげんデータ
遺伝子いでんしオントロジー
分子ぶんし機能きのう	• トランスフェラーゼ活性かっせい; • ヌクレオチド結合けつごう; • protein kinase activity; • protein tyrosine kinase activator activity; • growth factor binding; • protein homodimerization activity; • キナーゼ活性かっせい; • 血漿けっしょうタンパク結合けつごう; • identical protein binding; • protein heterodimerization activity; • ATP binding; • 膜まく貫通かんつうシグナル伝達でんたつ受容じゅよう体たい活性かっせい; • neuregulin binding; • phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase activity; • protein tyrosine kinase activity; • ubiquitin protein ligase binding; • 受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼ; • neuregulin receptor activity; • transmembrane receptor protein tyrosine kinase activity;
細胞さいぼうの構成こうせい要素ようそ	• integral component of membrane; • lateral plasma membrane; • 膜まく; • 細胞さいぼう膜まく; • integral component of plasma membrane; • 細胞さいぼう外がい領域りょういき; • basolateral plasma membrane; • apical plasma membrane; • 細胞さいぼう内ない; • receptor complex; • 細胞さいぼう外がい空間くうかん; • 細胞さいぼう質しつ; • basal plasma membrane;
生物せいぶつ学がく的てきプロセス	• neuron apoptotic process; • negative regulation of cell adhesion; • リン酸化さんか; • endocardial cushion development; • positive regulation of protein tyrosine kinase activity; • 傷きずの治癒ちゆ; • MAPK cascade; • positive regulation of calcineurin-NFAT signaling cascade; • 心臓しんぞう発生はっせい; • タンパク質たんぱくしつリン酸化さんか; • negative regulation of secretion; • regulation of cell population proliferation; • extrinsic apoptotic signaling pathway in absence of ligand; • phosphatidylinositol 3-kinase signaling; • positive regulation of phosphatidylinositol 3-kinase signaling; • negative regulation of signal transduction; • シグナル伝達でんたつ; • cranial nerve development; • negative regulation of neuron apoptotic process; • Schwann cell differentiation; • phosphatidylinositol phosphate biosynthetic process; • regulation of cell motility; • 末梢まっしょう神経しんけい系けい発生はっせい; • transmembrane receptor protein tyrosine kinase signaling pathway; • ERBB2 signaling pathway; • peptidyl-tyrosine phosphorylation; • positive regulation of cardiac muscle tissue development; • positive regulation of gene expression; • positive regulation of protein kinase B signaling; • 細胞さいぼう分化ぶんか; • negative regulation of apoptotic process; • positive regulation of ERK1 and ERK2 cascade; • 神経しんけい系けい発生はっせい; • positive regulation of cell population proliferation;
	出典しゅってん:Amigo / QuickGO
オルソログ
	2065
	13867
	ENSG00000065361
	ENSMUSG00000018166
	P21860
	Q61526
	NM_001982; NM_001005915
	NM_010153
	NP_001005915; NP_001973
	NP_034283
	ウィキデータ
閲覧えつらん/編集へんしゅうヒト	閲覧えつらん/編集へんしゅうマウス

ERBB3（v-erb-b2 avian erythroblastic leukemia viral oncogene homolog 3、ErbB3）またはHER3（human epidermal growth factor receptor 3）は、ヒトではERBB3遺伝子いでんしにコードされる膜まくタンパク質たんぱくしつである。

ErbB3は上皮じょうひ成長せいちょう因子いんし受容じゅよう体たいファミリー（EGFRファミリー、ErbBファミリー）の受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼである。キナーゼ活性かっせいをほぼ持もたないErbB3はErbBファミリーの他ほかのメンバーと活性かっせい型がたヘテロ二に量りょう体からだを形成けいせいすることが知しられており、そのパートナーとして最もっとも有名ゆうめいなものはリガンド結合けつごうを必要ひつようとしないErbB2である。

遺伝子いでんしと発現はつげん

ヒトのERBB3遺伝子いでんしは12番ばん染色せんしょく体たい（英語えいご版ばん）の長ちょう腕うで12q13に位置いちし、1342アミノ酸あみのさんのタンパク質たんぱくしつへと翻訳ほんやくされる^[5]。

ヒトの発生はっせい過程かていでは、ERBB3は皮膚ひふ、骨ほね、筋肉きんにく、神経しんけい系けい、心臓しんぞう、肺はい、腸管ちょうかん上皮じょうひで発現はつげんしている^[6]。正常せいじょうな成人せいじんでは、ERBB3は消化しょうか管かん、生殖せいしょく器き、皮膚ひふ、神経しんけい系けい、泌尿器ひにょうき、内分泌ないぶんぴつ器きで発現はつげんしている^[7]。

構造こうぞう

ErbB3は他たのErbBファミリーのメンバーと同様どうよう、細胞さいぼう外がいドメイン、膜まく貫通かんつうドメイン、そして細胞さいぼう内ないドメインから構成こうせいされる。細胞さいぼう外がいドメインは4つのサブドメイン（IからIV）からなる。サブドメインIとIIIはロイシンに富とみ、主おもにリガンド結合けつごうに関与かんよしている。サブドメインIIとIVはシステインに富とみ、ジスルフィド結合けつごうの形成けいせいによってタンパク質たんぱくしつのコンフォメーションと安定あんてい性せいに寄与きよしている可能かのう性せいが高たかい。また、サブドメインIIには二に量りょう体からだ形成けいせいに必要ひつような二に量りょう体からだ化かループが含ふくまれている^[8]。細胞さいぼう内ないドメインは、膜まく近接きんせつ領域りょういき、キナーゼドメイン、C末端まったんドメインから構成こうせいされる^[9]。

リガンドを結合けつごうしていない受容じゅよう体たいは、二に量りょう体からだ化かを阻害そがいするコンフォメーションをとっている。リガンド結合けつごうサブドメイン（IとIII）にニューレグリン（英語えいご版ばん）が結合けつごうすることでコンフォメーション変化へんかが誘導ゆうどうされ、サブドメインIIの二に量りょう体からだ化かループが突出とっしゅつすることで、活性かっせい化かそして二に量りょう体からだ化かが引ひき起おこされる^[9]。

機能きのう

ErbB3はヘレグリン^[10]やNRG2（英語えいご版ばん）^[11]をリガンドとして結合けつごうすることが示しめされている。リガンド結合けつごうはコンフォメーション変化へんかを引ひき起おこし、二に量りょう体からだ化か、リン酸化さんか、そしてシグナル伝達でんたつの活性かっせい化かが可能かのうとなる。ErbB3はErbBファミリーの他ほかの3つのメンバーのいずれともヘテロ二に量りょう体からだを形成けいせいすることができる。キナーゼ活性かっせいを持もたないタンパク質たんぱくしつの活性かっせい化かには結合けつごうパートナーによるトランスリン酸化さんかが必要ひつようとなるため、理論りろん的てきにはErbB3ホモ二に量りょう体たいは機能きのう的てきでないものとなる^[9]。

リガンド結合けつごうに伴ともなう自己じこリン酸化さんかによって活性かっせい化かされる他ほかのメンバーとは異ことなり、ErbB3はキナーゼ活性かっせいが損そこなわれていることが知しられており、自己じこリン酸化さんか活性かっせいはEGFRのわずか1/1000、そして他たのタンパク質たんぱくしつをリン酸化さんかする活性かっせいは持もたない^[12]。そのため、ErbB3はアロステリック活性かっせい化か因子いんしとして機能きのうする。

ErbB2との相互そうご作用さよう

ErbB2-ErbB3二に量りょう体たいは可能かのうなErbB二に量りょう体たいの組くみ合あわせの中なかで最もっとも活性かっせいが高たかいと考かんがえられているが、その理由りゆうの1つとしてErbB2は全すべてのErbBファミリーのメンバーにとって選択せんたく的てきな二に量りょう体からだ化かパートナーであり、ErbB3はErbB2の選択せんたく的てきパートナーであることが考かんがえられれている^[13]。このヘテロ二に量りょう体からだ化かによって、シグナル伝達でんたつ複ふく合体がったいはMAPK、PI3K/Akt、PLCγがんまなど複数ふくすうの経路けいろを活性かっせい化かする^[14]。また、ErbB2-ErbB3ヘテロ二に量りょう体たいはEGF様ようリガンドを結合けつごうして活性かっせい化かされる証拠しょうこも得えられている^[15]^[16]。

PI3K/Akt経路けいろの活性かっせい化か

ErbB3の細胞さいぼう内ないドメインには、PI3Kのp85サブユニットのSH2ドメインの認識にんしき部位ぶいが6つ存在そんざいする^[17]。ErbB3への結合けつごうによってPI3Kの脂質ししつリン酸化さんかサブユニットであるp110αあるふぁがアロステリックに活性かっせい化かされるが^[14]、こうした機能きのうはEGFRやErbB2にはみられない。

がんにおける役割やくわり

ErbB3の過剰かじょう発現はつげんや恒常こうじょう的てき活性かっせい化か、または変異へんいがそれ単独たんどくで発はつがん性せいとなる証拠しょうこは得えられていないが^[18]、ヘテロ二に量りょう体からだ化かのパートナー、特とくにErbB2のパートナーとして、成長せいちょう、増殖ぞうしょく、化学かがく療法りょうほう耐たい性せい、浸潤しんじゅんや転移てんいの促進そくしんに関与かんよしていることが示唆しさされている^[19]^[20]。^[20]

ErbB3は多おおくのがんにおいて標的ひょうてき治療ちりょうに対たいする耐たい性せいと関係かんけいしており、次つぎのようなものが知しられている。

HER2⁺乳にゅうがんにおけるHER2阻害そがい薬やく耐たい性せい^[21]
ER^＋乳にゅうがんにおける抗こうエストロゲン療法りょうほう耐たい性せい^[22]^[23]
肺はいがんや頭あたま頸部がんにおけるEGFR阻害そがい薬やく耐たい性せい^[24]^[25]
前立腺ぜんりつせんがんにおけるホルモン療法りょうほう耐たい性せい^[26]
肝かん細胞さいぼうがんにおけるIGF1R阻害そがい薬やく耐たい性せい^[27]
メラノーマにおけるBRAF阻害そがい薬やく耐たい性せい^[28]

ErbB2の過剰かじょう発現はつげんは、ErbB3や他たのErbファミリーのメンバーと、リガンド結合けつごうを必要ひつようとしない活性かっせい型がたヘテロ二に量りょう体たいの形成けいせいを促進そくしんし、弱よわいものの恒常こうじょう的てきなシグナル伝達でんたつ活性かっせいを引ひき起おこしている可能かのう性せいがある^[14]。

正常せいじょうな発生はっせいにおける役割やくわり

ERBB3は心しん内ない膜まく床ゆか（英語えいご版ばん）の間あいだ葉は系けい細胞さいぼうで発現はつげんしており、この領域りょういきはその後ご心臓しんぞう弁べんへと発生はっせいする。ErbB3ヌルマウス胚はいでは房ぼう室しつ弁べんに重度じゅうどの形成けいせい不全ふぜんがみられ、胎生たいせい13.5日にちで致死ちしとなる。ErbB3の機能きのうはニューレグリンに依存いぞんしているが、ErbB2はこの組織そしきでは発現はつげんしておらず、ErbB2には依存いぞんしていないようである^[29]。

また、ErbB3は神経しんけい堤つつみの分化ぶんかや交感神経こうかんしんけい系けいの発生はっせい^[30]、シュワン細胞さいぼうなど神経しんけい堤つつみ由来ゆらいの細胞さいぼうの発生はっせい^[31]にも必要ひつようとされるようである。

出典しゅってん

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