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JHMCS

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

JHMCSJoint Helmet Mounted Cueing System、ジェイヘミクス、ヘルメット装着そうちゃくしき統合とうごう目標もくひょう指定していシステム)は、VSIしゃアメリカけに開発かいはつした、戦闘せんとうようヘッドマウントディスプレイアメリカ空軍くうぐん海軍かいぐん海兵かいへいたい航空こうくう自衛隊じえいたいふくめ、世界せかい20ヶ国かこく以上いじょう使用しようされている。

開発かいはつ

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JHMCSの原型げんけいとなる計画けいかくはVista Sabre IIとばれ、1993ねん運用うんよう分析ぶんせき開始かいしされた。カイザーエレクトロニクスは試作しさくひん製作せいさくしF-15において試験しけんおこなったがこうGでのむかかくなどの状況じょうきょうでの問題もんだい浮上ふじょうし、後継こうけいとなるVCATS (Visually Coupled Acquisition and Targeting System) がつくられた。これはJHMCSとVista Sabre IIの橋渡はしわたてき存在そんざいであった[1]

JHMCS開発かいはつのための契約けいやくは1996ねん12月に署名しょめいされ、プログラムは1997ねん4がつ開始かいしされた[1]。これにたいし1996ねん4がつ連携れんけいしたエルビット・システムズ子会社こがいしゃであるEFWとカイザーエレクトロニクス(げんロックウェル・コリンズ)の合弁ごうべん会社かいしゃであるVIS(Vision Systems International)しゃと1995ねん連帯れんたいしたハネウェルGECマルコーニ・アビオニクスげんBAEシステムズ)による合弁ごうべん会社かいしゃ競争きょうそうした[2]。GECマルコーニアビオニクスとハネウェルのチームはユーロファイターのクルーセイダーシステムを提案ていあん、VSIはエルビットのDASH IIIおよびカイザーのAgile Eyeをベースにしたものを提案ていあんした。

1997ねん計画けいかくはVSIしゃにより開始かいしされた。試験しけんは1999ねん12月に開始かいしされ、極端きょくたん領域りょういきでのロックを達成たっせいした。試験しけん契約けいやく締結ていけつ18ヶ月かげつあいだつづき、1999ねん8がつから2000ねん2がつにかけて運用うんよう分析ぶんせきおこなわれた[1]

2000ねん5がつには低率ていりつ初期しょき生産せいさん(LRIP)が承認しょうにんされ、2002ねん4がつ本格ほんかくてき生産せいさん計画けいかくされていたが、運用うんようのテストと評価ひょうかあきらかになった信頼しんらいせい保守ほしゅせい問題もんだいによりおくれ、2003ねん11月より本格ほんかく生産せいさん開始かいしされた[3][4]

設計せっけい

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JHMCSを装着そうちゃくしたヘルメット

JHMCSの最大さいだい特長とくちょうは、ミサイル火器かき管制かんせい装置そうち対応たいおうさえあればてき機体きたい正面しょうめんHUDうちとらえなくてもミサイルのロックオンをできることにある。照準しょうじゅんよう画面がめんラスタースキャンかたバイザーうつすことで、機体きたい機首きしゅ方向ほうこうから左右さゆう60以上いじょう位置いちしているてきたいして、かおける(つまりてきる)だけでミサイルのロックオンができるようになっている。くわえてFLIRIRSTなどの情報じょうほう表示ひょうじ可能かのうである。このような戦闘せんとうようHMD先駆せんくしゃてき存在そんざいである、イスラエル空軍くうぐんDASHDisplay And Sight Helmet、ダッシュ、表示ひょうじ照準しょうじゅんヘルメット)も基本きほんてきおな機能きのうゆうするが、ヘルメット内装ないそうされているDASHにたいして、JHMCSは既存きそんのヘルメット(HGU-55/P、 HGU-56/P、HGU-68/P)にアダプターをかいして装着そうちゃくするてんことなる[3]。このため、ヘルメットバイザーをくらゴーグルかわそうすれば夜間やかん戦闘せんとう任務にんむにも対応たいおう可能かのう。ただしJHMCSはパイロット個々人ここじん頭部とうぶわせて製作せいさくされる関係かんけいじょう通常つうじょうのヘルメットとことなり複数ふくすうのパイロットで共用きょうようすることはできない[5]

ほんシステムに対応たいおうするミサイルは、AIM-9X サイドワインダー2000IRIS-Tなどオフボアサイト発射はっしゃ能力のうりょくつミサイルで、対応たいおうする戦闘せんとうF/A-18 ホーネット改修かいしゅうのみ)、CF-18 ホーネット改修かいしゅうのみ)、F/A-18E/F スーパーホーネット(Block IIのみ)、F-15 イーグルべいぐんのMSIP-2改修かいしゅう相当そうとうもののみ)、F-15E ストライクイーグル改修かいしゅうのみ)、F-16C ファイティングファルコン(Block40以降いこう)などである。F-22 ラプター搭載とうさい試験しけんおこなわれたが、コックピット内部ないぶ磁気じきコートによりトラブルが発生はっせいしたため、搭載とうさいしていない[6]F-35 ライトニングIIにおいてはJHMCSをさらに発展はってんさせたHMDが標準ひょうじゅん装備そうびされており、いちまいパネルしきしゅ表示ひょうじ装置そうち採用さいようによってHUDの表示ひょうじ機能きのうすべそなえているため、機体きたいにHUDを装備そうびする必要ひつようくしている。

日本にっぽんでもJHMCSをF-15J 近代きんだい改修かいしゅう搭載とうさいすることで、AAM-5のオフボアサイト能力のうりょく最大限さいだいげん発揮はっきできるようになっている。ただし、JHMCSに国産こくさんそら対空たいくう誘導ゆうどうだんのAAM-5を適合てきごうをするために、輸入ゆにゅうひんそのままの採用さいようとはならずに、島津製作所しまづせいさくしょ適合てきごう改修かいしゅうをしている[7]

現用げんようのJHMCSの改良かいりょうがた従来じゅうらい使用しようしていたCRTディスプレイ液晶えきしょうディスプレイ解像度かいぞうど 800×600)に交換こうかんし、映像えいぞう画像がぞうのフルカラー表示ひょうじ可能かのうとした[8][9]小型こがたされてバランスが改善かいぜんされたほか、こうあつ電源でんげんコードが不要ふようとなったことでケーブルるいまわしが向上こうじょうしている。従来じゅうらいよりも部品ぶひんすうすくないのも特徴とくちょうであり、メンテナンスせいおおきく向上こうじょうしている[10]搭載とうさい電子でんし機器きき性能せいのう向上こうじょうによりデータ処理しょりヘルメット内部ないぶ可能かのうとなったことでより小規模しょうきぼ改修かいしゅう搭載とうさいできるようになったことで全体ぜんたいてきなコストも低減ていげんしている。 機能きのうめんでは、昼間ひるま夜間やかん飛行ひこうモードの容易よういえが可能かのうとなり操作そうさ柔軟じゅうなんせい大幅おおはば向上こうじょうしたほか[11]てい酸素さんそおよびG-LOC(グレイアウトブラックアウト)の検出けんしゅつおよび警告けいこくおこなう"Canary"パイロットヘルスモニタリング機能きのう[12]仮想かそうHUD機能きのう追加ついかされた[13]。 JHMCS IIには2種類しゅるい用意よういされている。1つめが既存きそんのコンポーネントを流用りゅうようしたJHMCS II/M(デジタルJHMCS)で、JHMCSと互換ごかんせいがあり導入どうにゅうたってソフトウェアの変更へんこう必要ひつようない。そのため、既存きそんのJHMCSからの改修かいしゅう可能かのうである[14]。 2つめがJHMCS II/H従来じゅうらいのJHMCSが磁気じき感知かんちしきなのにたいしこちらはジャイロと光学こうがくしき併用へいようした感知かんち方式ほうしきとなり、より軽量けいりょうされて冷却れいきゃく不要ふようとなった。そのため、従来じゅうらいのJHMCSのサブシステムと互換ごかんせいたず、航空機こうくうきとの接続せつぞくにはケーブルは軽量けいりょう航空機こうくうきインターフェイスユニット(lightweight Aircraft Interface Unit、ACIU)が使用しようされる[14]

2014ねんF-15SEのデモンストレータたいしてJHMCS II/Hがインテグレーションされたほか[10][15]2015ねんにはAC-130Wにも統合とうごうされることが決定けっていされた[16]

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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