(Translated by https://www.hiragana.jp/)
FLIR - Wikipedia コンテンツにスキップ

FLIR

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
捜索そうさく救難きゅうなん活動かつどうちゅう撮影さつえいされた赤外線せきがいせん画像がぞう (哨戒しょうかいてい画面がめんみぎじょう救命きゅうめいいかだ回収かいしゅうしようとしている)
AH-64攻撃こうげきヘリコプターによって撮影さつえいされた赤外線せきがいせん画像がぞう

前方ぜんぽう監視かんしがた赤外線せきがいせん装置そうちforward looking infra-red, FLIR[ちゅう 1])は、熱線ねっせん映像えいぞう装置そうち一種いっしゅ[2]

とお赤外線せきがいせんねつ赤外線せきがいせん検知けんちして、画像がぞううえピクセル輝度きどによって、観測かんそく領域りょういき温度おんど分布ぶんぷ表示ひょうじできる[2]特性とくせいサーモグラフィーちかいが、モノクロ表示ひょうじ周囲しゅうい温度おんどのある部分ぶぶんしろ(またはくろ)で強調きょうちょうして表示ひょうじする。

基本きほん原理げんり

[編集へんしゅう]

常温じょうおん範囲はんいない目標もくひょうは、しゅとしてとお赤外線せきがいせん波長はちょう6 - 15マイクロメートル)の領域りょういきねつ放射ほうしゃする。FLIRはこの領域りょういきひかり検知けんちすることで、光源こうげん有無うむかかわらず使用しようできるというてんで、可視かしこうTV装置そうち微光びこう暗視装置あんしそうちよりすぐれている。また温度おんど赤外線せきがいせん放射ほうしゃりつによって物体ぶったい精査せいさすることも可能かのうであることから、植生しょくせい偽装ぎそうによる隠蔽いんぺいへの対抗たいこうさくとしても期待きたいできる[2]

最初さいしょもちいられていた直列ちょくれつ処理しょりserial processingがたのシステムでは、ちいさな赤外線せきがいせんセンサで2次元じげん視野しや全域ぜんいき走査そうさするため、俯仰ふぎょうかく方向ほうこうおよび方位ほういかく方向ほうこうそれぞれ1まいずつの走査そうさかがみもちいてラスタースキャンおこなっていた[3]。このシステムでは、画面がめん解像度かいぞうど走査そうさせんないのサンプルすう平行へいこうせん間隔かんかくによって決定けっていされた。その微細びさい加工かこう技術ぎじゅつ進歩しんぽともなって赤外線せきがいせんセンサが1次元じげん直線ちょくせんがたアレイになると、センサアレイのかく素子そしが1つの角度かくどセグメントを担当たんとうし、一連いちれん測定そくていむことから、かがみが1まいむようになった[3]。このシステムを並列へいれつ処理しょりparallel processingがたしょうする。さら集積しゅうせき回路かいろすすみ、赤外線せきがいせんセンサが焦点しょうてんめん検知けんち素子そし2次元じげんアレイ(focal plane array, FPA)となると、装置そうち自体じたい走査そうさ機構きこうはぶかれ、視野しや全体ぜんたい瞬時しゅんじめるようになっている[2][3]

なお、熱線ねっせん映像えいぞう装置そうちには、FLIRのほかに下方かほう監視かんしがた赤外線せきがいせん装置そうちdown looking infrared, DLIR)とばれる方式ほうしきもある。これは航空機こうくうきなどプラットフォームにいち次元じげん赤外線せきがいせんラインスキャナ(IRLS)を設置せっちし、その進行しんこうによって画像がぞう構成こうせいするものである[2][4]。また、赤外線せきがいせん捜索そうさく追尾ついびシステム(IRST)は、目標もくひょう画像がぞうとしてではなくてんとして認識にんしきし、これを追尾ついびする機能きのう重点じゅうてんいている[5]というてんで、FLIRとは原則げんそくてきことなるものであるが[2]たとえばAN/AAQ-40 EOTSのように、FLIRとIRSTを適宜てきぎえて使用しようできるシステムも登場とうじょうしている[6]

FLIRの用途ようと

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ FLIRはこのたね装置そうちがけるフリアーシステムズ商標しょうひょうになっている[1]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ 商標しょうひょう照会しょうかい(固定こていアドレス)”. J-PlatPat. 2020ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f アダミー 2014.
  3. ^ a b c 増谷ますたに 2000.
  4. ^ てらその, 日高ひだか & 中辻なかつじ 1979, pp. 191.
  5. ^ 増谷ますたに 2000, p. 5.
  6. ^ ロッキード・マーティン (2014ねん). “F-35 LIGHTNING II EOTS - Superior Targeting Capability” (PDF) (英語えいご). 2016ねん1がつ2にち閲覧えつらん
  7. ^ 水野みずの, しゅう川原かわはら, かんかい山田やまだ, 和彦かずひこ「ビーコンを使つかった帰還きかんカプセルの捜索そうさくシステムとその運用うんよう(<特集とくしゅう>小惑星しょうわくせい探査たんさ「はやぶさ」の帰還きかん回収かいしゅう)」『日本航空にほんこうくう宇宙うちゅう学会がっかいだい60かんだい7ごう、2012ねんdoi:10.14822/kjsass.60.7_250 
  8. ^ a b c てらその, 日高ひだか & 中辻なかつじ 1979, pp. 188–189.
  9. ^ 堀野ほりの, 眞一しんいち大井おおい, とおる三浦みうら, 慎悟しんご赤外線せきがいせんによるニホンジカ空中くうちゅうセンサスほう開発かいはつ」『哺乳類ほにゅうるい科学かがくだい33かんだい2ごう、1994ねんdoi:10.11238/mammalianscience.33.99 
  10. ^ クランシー 1997, p. 83, 186.
  11. ^ クランシー 1997, p. 83, 183.
  12. ^ Gert van Meijeren「石油せきゆタンクからの炭化たんか水素すいそ蒸気じょうき放出ほうしゅつ赤外線せきがいせんによる測定そくてい」『圧力あつりょく技術ぎじゅつだい52かんだい5ごう、2014ねんdoi:10.11181/hpi.52.266 
  13. ^ 横尾よこお, あきら彦、みやゆかり, 育夫いくお「2014ねん11月からはじまった阿蘇あそ火山かざん中岳なかだけだいいち火口かこう噴火ふんか活動かつどう」『火山かざんだい60かんだい2ごう、2015ねんdoi:10.18940/kazan.60.2_275 

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 増谷ますたに, 光正みつまさあかがいイメージング技術ぎじゅつ現状げんじょう展望てんぼう」『映像えいぞう情報じょうほうメディア学会がっかい技術ぎじゅつ報告ほうこくだい24.17かん、2000ねん、1-11ぺーじdoi:10.11485/itetr.24.17.0_1ISSN 2424-1970NAID 110003687590 
  • アダミー, デビッド『電子でんしせん技術ぎじゅつ 拡充かくじゅうへん東京電機大学とうきょうでんきだいがく出版しゅっぱんきょく、2014ねんISBN 978-4501330309 
  • クランシー, トム しる平賀ひらが秀明ひであき やく『トム・クランシーの戦闘せんとう航空こうくうだん解剖かいぼう新潮社しんちょうしゃ新潮しんちょう文庫ぶんこ〉、1997ねん原著げんちょ1995ねん)。ISBN 4102472061 
  • てらその, ほうはる日高ひだか, 博士はかせ中辻なかつじ, 俊一しゅんいち赤外線せきがいせんによるリモートセンシング」『日本航空にほんこうくう宇宙うちゅう学会がっかいだい27かんだい303ごう、1979ねんdoi:10.2322/jjsass1969.27.187 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]