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AH-64 アパッチ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

AH-64 アパッチ

AH-64 アパッチ

AH-64 アパッチ

AH-64は、マクドネル・ダグラスしゃげんボーイング)が開発かいはつした攻撃こうげきヘリコプターである。アパッチ(Apache)の愛称あいしょうは、アメリカ先住民せんじゅうみんアパッチぞく由来ゆらいする。

概要がいよう

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AH-1 コブラ後継こうけい開発かいはつするAAH(Advanced Attack Helicopter:発展はってんがた攻撃こうげきヘリ)計画けいかくにて、ベルしゃYAH-63との比較ひかく結果けっか1976ねん12月アメリカ陸軍りくぐん採用さいようされた。いちあたりのコストは1,450まんドル[ちゅう 1]

固定こてい武装ぶそうM230 30mmチェーンガンち、ハイドラ70ロケットだんヘルファイア対戦たいせんしゃミサイル運用うんよう可能かのう強力きょうりょくレーダー、それにバックアップされる火器かき管制かんせい装置そうちGPSなどの航空こうくう電子でんし機器きき搭載とうさいする。

派生はせいがたであるAH-64Dへの改修かいしゅう新規しんき生産せいさんおこなわれる。開発元かいはつもとであるヒューズしゃのちマクドネル・ダグラスしゃ傘下さんかとなり、マクドネル・ダグラスしゃ1997ねんにボーイングしゃ合弁ごうべんしたため、AH-64の生産せいさん整備せいびなどはボーイングしゃ担当たんとうするようになった。

開発かいはつ経緯けいい

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YAH-64

アメリカ陸軍りくぐんは、ベトナム戦争せんそうでのベトナム民族みんぞく解放かいほう戦線せんせんのゲリラ攻撃こうげき制圧せいあつように、強力きょうりょく武装ぶそうそなえたヘリコプターを必要ひつようとしており、AAFSS(発展はってんがた空中くうちゅう火力かりょくシステム)とばれる計画けいかくめいにより、本格ほんかくてき攻撃こうげきヘリコプターの開発かいはつはじめた。しかし、AAFSSはベトナム戦争せんそうにはわず、兵士へいし1人ひとり携行けいこう発射はっしゃできる携帯けいたいがた対空たいくうミサイル実用じつようにより、その開発かいはつ計画けいかく自体じたい見直みなおしの対象たいしょうとなった。また、ベトナム戦争せんそう使用しようされたAH-1 ヒューイコブラは、AAFSSの実用じつようまでの暫定ざんていてき攻撃こうげきヘリコプター位置いちづけており、アメリカ陸軍りくぐんはAAFSSにわる開発かいはつ計画けいかくとして、AAH(発展はってんがた攻撃こうげきヘリコプタ)計画けいかくをまとめげ、1972ねん発表はっぴょうされた。1970年代ねんだいはいソビエト連邦れんぽう中心ちゅうしんとしたワルシャワ条約じょうやく機構きこうぐん戦車せんしゃなどの装甲そうこう戦闘せんとう車両しゃりょう増強ぞうきょうはかり、その脅威きょうい増大ぞうだいしたため、対戦たいせんしゃ攻撃こうげきりょく重視じゅうしされ、攻撃こうげきりょく生存せいぞんせいたかめるため、高速こうそくせい低空ていくう飛行ひこう能力のうりょくこう機動きどうせい必要ひつようとし、コンピュータした目標もくひょう指示しじ装置そうちもちいた統合とうごうがた兵器へいきシステムを使用しようすることが要求ようきゅうされていた。

AH-56 シャイアンのような費用ひよう高騰こうとうけるため、計画けいかくはフェーズIとフェーズIIに分割ぶんかつされ、フェーズIで機体きたい開発かいはつ、フェーズIIでへいそう火器かき管制かんせい装置そうち開発かいはつする方針ほうしん採用さいようされた。計画けいかくには、ボーイングしゃロッキードしゃベルしゃ、ヒューズしゃなどが参加さんかし、フェーズIにはベルしゃとヒューズしゃ設計せっけいあん採用さいようされた。ベルしゃYAH-63(モデル409)とヒューズしゃのYAH-64の競争きょうそう試作しさくとなり、1975ねん両社りょうしゃ原型げんけい試作しさく完成かんせいはつ飛行ひこう成功せいこうさせている。試験しけん結果けっか1976ねんすえにYAH-64が採用さいようされ、AH-64 アパッチの制式せいしき呼称こしょうあたえられた。

フェーズIIでは、AH-64への搭載とうさい決定けっていされたロックウェル・インターナショナルしゃせいヘルファイア対戦たいせんしゃミサイルわせた火器かき管制かんせいシステムが開発かいはつされた。これはノースロップしゃマーティン・マリエッタしゃ競争きょうそう試作しさくとなり、それぞれのシステムがAH-64の試作しさく搭載とうさいされ、テストがおこなわれた。はじめての試射ししゃ1979ねん10月アリゾナしゅうユマ試射ししゃじょうおこなわれ、以降いこう試験しけん結果けっか1980ねん4がつにマーティン・マリエッタしゃのシステムが採用さいようされた。

量産りょうさん1号機ごうき1984ねんにアメリカ陸軍りくぐんわたされている。

特徴とくちょう

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基本きほん構造こうぞう

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スタブウイング付近ふきん歩兵ほへいせたAH-64

メインローターは先端せんたん後退こうたいかくいた4まいで、ステンレス・スチールとふくごうざい多用たようしている。テールローターおなじく4まいで、騒音そうおん低減ていげんのために交差こうさかく60°でXがたかさねた特殊とくしゅ形態けいたいをしている。胴体どうたいけられたスタブウイングにはぜんえんフラップがもうけられており、輸送ゆそうへのみを考慮こうりょしてはずしも可能かのうである。

操縦そうじゅうせき周辺しゅうへんにはボロンカーバイドせい装甲そうこうばん装着そうちゃくされ、強化きょうか構造こうぞうのフレームが乗員じょういん保護ほごするよう設計せっけいされている。ぜんせきこうせきあいだには破片はへん爆風ばくふうさえぎ透明とうめいなブラスト・シールドが設置せっちされ、被弾ひだんしたさいめい乗員じょういん同時どうじ負傷ふしょうすること防止ぼうししている。操縦そうじゅう系統けいとう油圧ゆあつしきだが、被弾ひだん考慮こうりょ電気でんきしき操縦そうじゅう系統けいとうもうけられている。 墜落ついらくとき乗員じょういんまもるため、座席ざせきにもセラミックせい装甲そうこうけられ、着陸ちゃくりくあし機関きかんほう胴体どうたい下部かぶ墜落ついらく衝撃しょうげき吸収きゅうしゅうする構造こうぞうとなっている。

エンジントランスミッションなどには、構造こうぞうざいとして7049アルミ合金ごうきんせい装甲そうこうばん使用しようされ、たい弾性だんせいたかめている。7049アルミニウム合金ごうきん機体きたいけたざい外皮がいひにも使用しようされており、構造こうぞう自体じたいへのダメージを軽減けいげんし、容易ようい修復しゅうふく可能かのうなものとなっている。メインローターにはステンレスこうふくごうざいもちいられ、23mm砲弾ほうだん直撃ちょくげきしても最低さいてい30分間ふんかん飛行ひこう可能かのう設計せっけいとなっており、メイントランスミッションは被弾ひだんによって潤滑油じゅんかつゆすべ損失そんしつしても、30ふん作動さどうする設計せっけいである。

燃料ねんりょうタンクは自己じこ漏洩ろうえい防止ぼうししき(セルフ・シーリング方式ほうしき)を採用さいようしており、30mm機関きかんほう弾倉だんそう前後ぜんご容量ようりょうが587Lと833Lのものが配置はいちされる。燃料ねんりょう消費しょうひしてタンクない隙間すきまができたさい、その空間くうかん引火いんかせい混合こんごう充満じゅうまんすることをけるため、AH-64には自動的じどうてき窒素ちっそガスを注入ちゅうにゅうする装置そうちそなえられている。

エンジン排気はいきこうには、排気はいき周囲しゅうい常温じょうおん空気くうき混入こんにゅうさせて温度おんどげる赤外線せきがいせんサプレッサー装備そうびされている。これはブラック・ホールと通称つうしょうされ、赤外線せきがいせん誘導ゆうどう方式ほうしき対空たいくうミサイル回避かいひ有効ゆうこうとされる。

火器かき管制かんせいシステム

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AH-64Aの機首きしゅ先端せんたんのターレットに装備そうびされた装置そうちるい上部じょうぶ取付とりつけられているのが操縦そうじゅうよう暗視装置あんしそうち(PNVS)、下部かぶ取付とりつけられているのが目標もくひょう捕捉ほそく指示しじ照準しょうじゅん装置そうち(TADS)である
シミュレーターで訓練くんれんける操縦そうじゅう、IHADSSに取付とりつけられた円形えんけいレンズのディスプレイがみぎ眼前がんぜん装着そうちゃくされている

AH-64は最前線さいぜんせん活動かつどうできるように計画けいかくされ、夜間やかん作戦さくせん悪天候あくてんこうにも対応たいおうできるよう考慮こうりょされた設計せっけいであり、機首きしゅ先端せんたんのターレットに装備そうびされた、AN/ASQ-170目標もくひょう捕捉ほそく指示しじ照準しょうじゅん装置そうち(TADS)操縦そうじゅうよう暗視装置あんしそうちであるAN/AAQ-11パイロットくらセンサー(PNVS)中心ちゅうしん構成こうせいされた火器かき管制かんせいシステム(FCS)をそなえるほか、ハニウェルしゃせいのIHADSS(Integrated Helmet And Display Sight System:統合とうごうヘルメット・表示ひょうじ標準ひょうじゅんシステム)をそなえている。

IHADSSは操縦そうじゅうふく操縦そうじゅうけん射撃しゃげきしゅのヘルメットに飛行ひこう情報じょうほうみぎ眼前がんぜん装着そうちゃくされたかた眼鏡めがね円形えんけいレンズのディスプレイに表示ひょうじするものであり、戦闘せんとうヘッドアップディスプレイ(HUD)の同様どうよう機能きのうをもつシステムである。4つのことなるモードの表示ひょうじ機能きのうっており、 後述こうじゅつする高度こうど方位ほうい速度そくどなどの飛行ひこうデータのほかに、目標もくひょうロックやTADSとPNVSの情報じょうほう表示ひょうじすることも可能かのうである。

TADSはぜんせき搭乗とうじょうするふく操縦そうじゅうけん射撃しゃげきしゅよう機器ききで、機首きしゅ先端せんたんのターレット下部かぶ装備そうびされており、TADSの左側ひだりがわには目視もくし光学こうがく標準ひょうじゅん(DVO)・TVセンサー・レーザー・スポット追跡ついせき装置そうち・レーザーはか距/指示しじ装置そうちが、右側みぎがわには夜間やかん戦闘せんとうよう前方ぜんぽう監視かんし赤外線せきがいせん装置そうちFLIR)が装備そうびされており、ターレットにより上方かみがた30°、下方かほう60°、左右さゆう120°まで旋回せんかい可能かのうである。操作そうさようレバーによって操作そうさされるが、射撃しゃげきしゅのIHADSSとも連動れんどうして操作そうさ可能かのうである。昼間ひるま直接ちょくせつ光学こうがく視野しやまたはTV視野しや使用しようされ、直接ちょくせつ光学こうがく視野しや範囲はんい3.5拡大かくだいりつ18.2のせま視野しや範囲はんい18拡大かくだいりつ3.5のこう視野しや切替きりかえることが可能かのうであり、TV視野しや範囲はんい0.9せま視野しやこう視野しや切替きりかえることが可能かのうである。夜間やかんはFLIRが使用しようされ、視野しやせま(3.5)・なか(10.2)・こう(50)の3段階だんかい切替きりかえ可能かのうである。TADSは戦術せんじゅつ天候てんこう視程してい条件じょうけんにより、射撃しゃげきしゅ直接ちょくせつ光学こうがく視野しや・TV視野しや・FLIRの3種類しゅるいのセンサーのいずれかまたはわせをえらんで使用しようされる。また、3種類しゅるいのセンサーの情報じょうほうは、射撃しゃげきしゅのIHADSSにも表示ひょうじ可能かのうであり、射撃しゃげきしゅはこれを操作そうさ目標もくひょう捜索そうさくおこない、発見はっけんにTADSをその目標もくひょう捕捉ほそくさせれば、その手動しゅどうまたは自動じどう目標もくひょう追跡ついせきする。

こうせき搭乗とうじょうする操縦そうじゅうはパイロットくらセンサー(PNVS)をおも使用しようするが、状況じょうきょうおうじてTADSも使用しようできる。PNVSの映像えいぞうは、操縦そうじゅうのIHADSSに表示ひょうじされ、高度こうど方位ほうい速度そくどなどの飛行ひこうデータも投影とうえいされる。PNVSは、機首きしゅ先端せんたんのターレット上部じょうぶ装備そうびされており、操縦そうじゅうのIHADSSに連動れんどうして上方かみがた20°、下方かほう45°、左右さゆうかく90°まで旋回せんかい可能かのうで、ひろ視野しや確保かくほされている。また、PNVSが故障こしょうした場合ばあいには、TADSのFLIRにより、操縦そうじゅうくら画像がぞう表示ひょうじして、その操縦そうじゅう可能かのうとするバックアップシステムをもっており、PNVSや機首きしゅ30mm機関きかんほう照準しょうじゅんは、操縦そうじゅうのIHADSSのきに連動れんどうさせることができる。ロケットだん発射はっしゃ場合ばあいは、IHADSSのディスプレイに照準しょうじゅんシンボルと予想よそう着弾ちゃくだん地点ちてん表示ひょうじされる。

また、TADSまたはPNVSの情報じょうほうは、前後ぜんごせき装備そうびされた表示ひょうじ装置そうちにより、ビデオ出力しゅつりょく映像えいぞうとして表示ひょうじされる。

ヘルファイア対戦たいせんしゃミサイル使用しようする場合ばあいは、レーザーはか距/指示しじ装置そうちでレーザーを目標もくひょう照射しょうしゃする[ちゅう 2]。これはレンジファインダー(はか距儀)もねており、パルス・レーザーの照射しょうしゃによって目標もくひょうまでの距離きょりはかることもできる。夜間やかんでの発射はっしゃでは、前方ぜんぽう監視かんし赤外線せきがいせん装置そうち(FLIR)が使用しようされる。

TADS、PNVS、IHADSSによってられた情報じょうほうは、火器かき管制かんせいシステム(FCS)に集約しゅうやくされる。FCSには操縦そうじゅう系統けいとうのほか、電波でんぱ高度こうどけい方位ほうい姿勢しせい表示ひょうじシステム、地表ちひょうめん誘導ゆうどう装置そうち、ASN-128慣性かんせい航法こうほう装置そうちなどの電子でんし機器きき搭載とうさいされ、それらの情報じょうほう統合とうごう演算えんざんすること射撃しゃげき精度せいどたかめる。

武装ぶそう

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AH-64 アパッチの武装ぶそう

固定こてい武装ぶそうとして、機首きしゅM230 30mmチェーンガン1もんそなえる。搭載とうさいだんすう最大さいだい1,200はつ[ちゅう 3]で、最大さいだい射程しゃていやく3,000m。砲身ほうしん上方かみがた11°、下方かほう60°、左右さゆうかく100°まで旋回せんかい可能かのうで、照準しょうじゅん射撃しゃげきしゅのTADSをもちいる。

胴体どうたいりょうはかめんスタブウイング設置せっちされたへいそうパイロン位置いちは、機体きたい重心じゅうしん位置いちちかくに配置はいちされており、へいそう搭載とうさいしたさいへいそう重量じゅうりょう重心じゅうしん位置いちちかくにすることで、空虚くうきょ満載まんさい飛行ひこう特性とくせいをほぼおなじにしている。へいそうパイロンは2ヶ所かしょへいそう搭載とうさい可能かのうであり、内側うちがわパイロンにAGM-114 ヘルファイア対戦たいせんしゃミサイルを1くみ4はつけい8はつを、外側そとがわパイロンに2,75inロケットだんを19はつ装備そうびしたM261ロケットだんポッドを1ほんけい2ほん搭載とうさいするが、内側うちがわ外側そとがわへいそう入替いれかえることが可能かのうであり、また、ロケットだんポッドのみならけい4ほん搭載とうさい可能かのうであり、ヘルファイアのみなら最大さいだい16はつ搭載とうさい可能かのうである。また、ヘルファイアはAH-1BGM-71 TOWよう有線ゆうせん誘導ゆうどうではないため、はは生存せいぞんせい向上こうじょう寄与きよしている。発射はっしゃにロックオンをおこなうことも可能かのうで、はは姿すがたてきさらさないまま発射はっしゃもできる。

はは以外いがいのレーザー照射しょうしゃでも誘導ゆうどう可能かのうだが、照射しょうしゃ装置そうちいちだい場合ばあいすうびょう発射はっしゃ間隔かんかくをおく必要ひつようがある。この多彩たさい発射はっしゃモードゆえに、射撃しゃげきしゅへの負担ふたんおおきい。

2,75inロケットだんのみの場合ばあい最大さいだい76はつ搭載とうさいできる。1985ねんからは飛翔ひしょうちゅう信管しんかん調整ちょうせい可能かのうなハイドラ70 FFARロケットだん採用さいようされた。

追加ついか装備そうびとして、スタブウイング両端りょうたんにはAIM-92AGM-122AIM-9などのそら対空たいくうミサイル搭載とうさいできる。

これらのじゅう装備そうびじゅう装甲そうこうからそら戦車せんしゃともひょうされる。

エンジン

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エンジンゼネラル・エレクトリックしゃせいGE/T700-701ターボシャフトエンジンを2搭載とうさいし、そう出力しゅつりょくは3,329shp。通常つうじょうヘリコプターのエンジンはトランスミッションとの関係かんけい最大さいだい出力しゅつりょくよりひくめの設定せってい使用しようされるが、AH-64は空中くうちゅうせんなどの緊急きんきゅうには、エンジンの最大さいだい出力しゅつりょく飛行ひこうすること可能かのうである。

アメリカ陸軍りくぐんでの運用うんよう

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概要がいよう

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OH-58とも飛行ひこうするAH-64

AAH(Advanced Attack Helicopter:発展はってんがた攻撃こうげきヘリ)計画けいかくによりAH-64Aを制式せいしき採用さいよう1984ねん1がつよりアメリカ陸軍りくぐんへのわたしが開始かいしされた。当初とうしょは675調達ちょうたつ予定よていしたが、1やく950まんドル高価こうかであるために最終さいしゅうてき調達ちょうたつすうはその当初とうしょから不透明ふとうめいとなった。

調達ちょうたつちゅうAH-64D調達ちょうたつわったため、すでに調達ちょうたつおこなわれたAH-64AがAH-64Dへ改修かいしゅう改造かいぞうほどこされた結果けっか、A/Dがたふくめた総数そうすうは743となった。改修かいしゅう計画けいかくでは、アメリカ陸軍りくぐん保有ほゆうするAH-64Aがぜん、AH-64Dに改修かいしゅうされる予定よていとなっている。

1980年代ねんだい後半こうはんにはアメリカ海軍かいぐんけのAH-64の提案ていあんがあった。計画けいかくでは機首きしゅレーダー搭載とうさいし、たいかんミサイル運用うんよう能力のうりょくたせたたいかん対空たいくう任務にんむ展開てんかいしうる機体きたいとされたが、最終さいしゅうてきには採用さいよう見送みおくられている。

2023ねん4がつ27にちアラスカしゅう戦闘せんとう訓練くんれんちゅうの2空中くうちゅう衝突しょうとつこして墜落ついらく乗員じょういん3にん死亡しぼう1人ひとり負傷ふしょうした。ぜんパイロットに一時いちじ飛行ひこう禁止きんし命令めいれいされるきっかけともなった[2]

実戦じっせん投入とうにゅう

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実戦じっせんはつ参加さんか1989ねんパナマ侵攻しんこうであった。夜間やかん地上ちじょう部隊ぶたい支援しえん従事じゅうじし、おなじく実戦じっせんはつ投入とうにゅうとなったヘルファイアミサイルで7目標もくひょう撃破げきはした。

AH-64が一躍いちやく有名ゆうめいとなったのは1991ねん湾岸わんがん戦争せんそうである。やく280のAH-64が投入とうにゅうされ、イラクレーダー施設しせつなどさい重要じゅうよう目標もくひょう陣地じんちイラクぐんT-72戦車せんしゃ装甲車そうこうしゃなど戦闘せんとう車両しゃりょう800りょう以上いじょう破壊はかいする戦果せんかげた。一方いっぽうで、AH-64は砂漠さばく作戦さくせんようにはつくられておらず、数時間すうじかん飛行ひこうで2/3以上いじょう修理しゅうり調整ちょうせい必要ひつようとする状況じょうきょうになった。

2001ねんからのアフガニスタン紛争ふんそうでは、ターリバーンへの攻撃こうげき実施じっし。その性質せいしつじょうじゅう装甲そうこう目標もくひょう相対そうたいすることがほとんどなかったため、ヘルファイアミサイルの搭載とうさいりょうらしロケットだん機関きかんほうおも武装ぶそうとしてたたかった。国土こくど大半たいはんが2,000~3,000mきゅう山岳さんがく地帯ちたいであるうえ夏場なつば気温きおんが35℃にもなるアフガニスタンはヘリコプターの運用うんようにはきびしい環境かんきょうであり、AH-64も機体きたい性能せいのう低下ていかしペイロードをらしてばなければならないなど機体きたい性能せいのう限界げんかい露呈ろていすることとなり、Eがたへの改良かいりょうかされた。

2003ねんからのイラク戦争せんそうにおけるAH-64のせんれいの1つとしてはイラクぐん戦車せんしゃ部隊ぶたいだい打撃だげきあたえた一方いっぽうで、3月24にちのナジャフにおける戦闘せんとうではゲリラのせをいち部隊ぶたい32ちゅう29損傷そんしょう、1撃墜げきつい、1不時着ふじちゃく破壊はかいされ、部隊ぶたい稼働かどうが1のみとなる事実じじつじょう壊滅かいめつ状態じょうたいおちいった。しかし予備よび部品ぶひん補給ほきゅう迅速じんそくおこなわれた結果けっか、24あいだで2、96あいだで12作戦さくせん可能かのう状態じょうたい復帰ふっきし、1週間しゅうかんには半数はんすうの15にまで回復かいふくした[3]

派生はせいがた

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AH-64A
AH-64A
AH-64の初期しょきがたエンジンは、GE T700を2使用しようしている。
武装ぶそうM230 30mmチェーンガンAGM-114対戦たいせんしゃミサイルAIM-92そら対空たいくうミサイルとなる。
AH-64B
AH-64Bは、AH-64Aの改造かいぞうがたで、アメリカ海兵かいへいたいAH-1後継こうけいとして提案ていあんしていたが、製造せいぞうにはいたらなかった。
計画けいかくでは、新型しんがたローターの採用さいようぜん地球ちきゅう測位そくいシステム(GPS)の採用さいよう新型しんがた航法こうほう装置そうち新型しんがた通信つうしん電子でんし装備そうびるい更新こうしんなどが予定よていされていた。湾岸わんがん戦争せんそう直後ちょくごにおこなわれ、議会ぎかい開発かいはつ資金しきん承認しょうにんしたが、AH-64C/Dの開発かいはつはじまったため、1992ねん中止ちゅうしされた。
AH-64C
AH-64Bの開発かいはつ中止ちゅうしけて開発かいはつされた派生はせいがたてい価格かかく販売はんばいすすめるため、AH-64Dからミリレーダーのぞいたもの。のちに、レーダーの有無うむかかわらずAH-64Dに名称めいしょう統一とういつされた。
AH-64D
AH-64Dアパッチ・ロングボウ
愛称あいしょうアパッチ・ロングボウ(Apache Longbow)に変更へんこうされた。
AH-64Aから改良かいりょうてんは、グラスコックピット、エンジンのT700-GE-701Cへのかわそう電子でんし装備そうびるい全面ぜんめんてき向上こうじょう、AN/APG-78ロングボウ・ミリレーダーの装備そうびとなっている。これにより、従来じゅうらいのミリレーダーにはなかった複数ふくすう目標もくひょうてんへのロックオン、目標もくひょうてん危険きけん評価ひょうか機能きのう目標もくひょうてんへの対戦たいせんしゃミサイル発射はっしゃ離脱りだつ可能かのうとなった。操縦そうじゅうせき下部かぶよこ電子でんし機器きき収納しゅうのうかくばった形状けいじょうになったことと、ローターじょう円形えんけいのレドームが外観がいかんじょう特徴とくちょうとなっている。ただしオランダけのAH-64DNなどロングボウレーダー装備そうび機体きたいもある。
イギリスぐんけのWAH-64は、イギリスウエストランドしゃぜん生産せいさんしており、アメリカ陸軍りくぐんのAH-64Dとはべつのエンジンを採用さいよう、システムも一部いちぶことなっている。
AH-64E
AH-64Eアパッチ・ガーディアン
愛称あいしょうアパッチ・ガーディアン(Apache Guardian)。AH-64D ブロックIIIを改名かいめいした最新さいしんがた
AH-64Dからの改良かいりょうてんは、エンジンをT700-GE-701Dへかわそう電子でんし装備そうびるい全体ぜんたいてき性能せいのう向上こうじょう改良かいりょうがたロングボウミリレーダーを装備そうびする。電子でんし機器きき性能せいのう向上こうじょうにより、ロングボウレーダーの処理しょり効率こうりつがさらに上昇じょうしょうした。また、しん素材そざい活用かつよう装甲そうこう防御ぼうぎょりょくがDがたくらべて15%向上こうじょうした。単純たんじゅん装甲そうこう防御ぼうぎょりょくだけでなく、内部ないぶ設計せっけい強化きょうかにより、機体きたい武装ぶそうたい久力くりき飛行ひこう性能せいのう大幅おおはば向上こうじょうした。最大さいだい特徴とくちょうは、革新かくしんてき無人むじん運用うんよう性能せいのうである。将来しょうらいてき長距離ちょうきょりミサイルであるJAGM装着そうちゃくし、最大さいだい3AH-6U UAVを使用しようして非常ひじょう強力きょうりょく火力かりょく運用うんようすることができるように開発かいはつされた機種きしゅである。 AH-6U UAVを統合とうごうすることにより、AH-6Uが装着そうちゃくできるヘルファイア4はつ×3=12はつ火力かりょく追加ついか確保かくほする。べいぐんとボーイングはこの機体きたいRAH-66くらべて、ステルス能力のうりょくのぞくすべての性能せいのう圧倒あっとうしたと発表はっぴょうした。 Fがた製作せいさくキャンセルにより、事実じじつじょう最後さいごのアパッチであり完成かんせいがたとして評価ひょうかされる。
同機どうき2012ねん8がつに、国防こくぼう調達ちょうたつ会議かいぎぜん規模きぼ量産りょうさん承認しょうにんした。
2018ねん3がつ、アメリカ陸軍りくぐんではメインブレードをローターヘッドに固定こていする部品ぶひん耐久たいきゅうせい深刻しんこく問題もんだいしょうじたため、問題もんだい解決かいけつされないかぎりボーイングからの調達ちょうたつ中止ちゅうしすると発表はっぴょうした[4]
AH-64F
構想こうそうちゅう派生はせいがた, 開発かいはつキャンセル[5]

採用さいよう

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AH-64(Dがた以降いこうふくむ)の採用さいようこくあか
採用さいよう計画けいかくがあるものはみどり

Dがた以降いこう採用さいようこくについては、AH-64D アパッチ・ロングボウ#採用さいようこく参照さんしょう

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく陸軍りくぐん
2005ねん時点じてんで104のAH-64Aを保有ほゆうするが、これは調達ちょうたつしたAがたおおくがAH-64Dに改修かいしゅう改造かいぞうされたため。A/Dがたふくめた総数そうすうは743
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽう空軍くうぐん
30保有ほゆう現在げんざいぜんAH-64Dに改修かいしゅうされている。
イスラエルの旗 イスラエル空軍くうぐん
イスラエル航空こうくう宇宙うちゅうぐんのAH-64A。独自どくじ改修かいしゅうほどこされている。
37のAH-64を運用うんよう。コブラを意味いみする「Peten」の愛称あいしょうがある。
1990ねんよりだい113飛行ひこうたいにて運用うんよう開始かいし[6][7]、1995ねんからはだい190飛行ひこうたいでの運用うんようはじまった[8]
2005ねんだい113飛行ひこうたい新規しんき調達ちょうたつされたAH-64Dの運用うんよう部隊ぶたい改編かいへんされ、これ以降いこうだい190飛行ひこうたいでのAH-64Aの集中しゅうちゅう運用うんようおこなわれている[9]
イスラエル空軍くうぐんのAH-64は導入どうにゅうされてもなくヒズボラへの攻撃こうげき投入とうにゅうされた。以来いらいレバノン侵攻しんこうガザ紛争ふんそうなどに積極せっきょくてき投入とうにゅうされおおきな戦果せんかげており、警告けいこく無視むししたけい飛行機ひこうきやUAVの撃墜げきつい記録きろくしている。一方いっぽう民間みんかんじんへの被害ひがいしたこともおおく、オバマ政権せいけんによって一部いちぶ追加ついか発注はっちゅうぶんやヘルファイアミサイルの輸出ゆしゅつ停止ていし処置しょちけている[10]
なお、イスラエル空軍くうぐん保有ほゆうするAH-64A、AH-64Dのいずれにも独自どくじ改修かいしゅうほどこしているが、保有ほゆうするAH-64AのAH-64Dへの改修かいしゅう予算よさん制約せいやくやアメリカ政府せいふ協力きょうりょくられなかった関係かんけい断念だんねんしている[11]
 エジプト空軍くうぐん
36保有ほゆうするが、現在げんざいぜんAH-64Dに改修かいしゅうされている。
オランダの旗 オランダ空軍くうぐん
AH-64DNの配備はいびにあたって、運用うんよう習熟しゅうじゅくのため12のAH-64Aを1996ねんからおよそ5年間ねんかんリースしていた。
ギリシャの旗 ギリシャ陸軍りくぐん
20のAH-64を調達ちょうたつし、12のAH-64Dととも運用うんようちゅう
サウジアラビアの旗 サウジアラビア陸軍りくぐん
2005ねん時点じてんで12のAH-64を保有ほゆう現在げんざいぜんAH-64Dに改修かいしゅうされている。

性能せいのう主要しゅようしょもと

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AH-64 アパッチ 三面図
AH-64 アパッチ さんめん

登場とうじょう作品さくひん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 2003ねん9月ギリシャが12発注はっちゅうしたさいは、武器ぶきやサポートをふくめて総額そうがくで6おく7,500まんドル。この場合ばあい、1たり5,625まんドルとなる
  2. ^ 射程しゃてい最大さいだいやく9km
  3. ^ ヘルファイアを16はつ搭載とうさいした場合ばあいは440はつ

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • ミリタリー・イラストレイテッド22「たたかうヘリコプター」ワールドフォトプレスへんISBN 4-334-70796-3 光文社こうぶんしゃ
  • 『JWings』イカロス出版いかろすしゅっぱん 2007ねん10がつごう アパッチ部隊ぶたい取材しゅざいレポート(航空こうくうジャーナリスト坪田つぼた敦史あつし[1]執筆しっぴつ
  • 戦闘せんとう年鑑ねんかん 2013-2014』イカロス出版いかろすしゅっぱんISBN 978-4-86320-703-5

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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