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Krita

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Krita
Kritaでえがかれたマスコットのキキ
作者さくしゃ KDE
開発元かいはつもと Krita財団ざいだん
初版しょはん 2005ねん6がつ21にち (19ねんまえ) (2005-06-21)
最新さいしんばん 5.2.6[1] ウィキデータを編集 - 2024ねん10がつ1にち (12あいだまえ)
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語げんご
C++, Qt
対応たいおうOS LinuxFreeBSDOpenBSDWindowsmacOSAndroidChromeOS
プラットフォーム KDE,x86,x64,AArch64
対応たいおう言語げんご 英語えいご日本語にほんご多数たすう
サポートじょうきょう 開発かいはつちゅう
種別しゅべつ グラフィックソフトウェア
ライセンス GNU General Public License v2 and above
公式こうしきサイト krita.org/jp/ ウィキデータを編集
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Krita(クリータ、クリタ[2])は、オープンソースソフトウェアとして開発かいはつされているペイントソフトである。

KDEプロジェクトに所属しょぞくするKDEプログラムであり、KDE Frameworks搭載とうさいしたUnixけいオペレーティングシステム (OS) での動作どうさ前提ぜんていとするが、WindowsなどのOSにも対応たいおうしている。GPLライセンスで配布はいふされるフリーソフトウェアであるが、有料ゆうりょうばん販売はんばいされている(後述こうじゅつ)。

概要がいよう

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PhotoshopGIMPなどのフォトレタッチソフトよりも、PainterSAIなどのペイントソフトにちか操作性そうさせいわるつ。ただし、Photoshopの調整ちょうせいレイヤに相当そうとうする機能きのう搭載とうさいしたり、HDR画像がぞう(1チャネルたり32bit)に対応たいおうするなど、ペイントソフトとしては強力きょうりょくなフォトレタッチ機能きのうつ。

「プロ作品さくひん最初さいしょから最後さいごまでつくりたいアーティストのためのデジタルペイントスタジオ」であり、「漫画まんが作者さくしゃ、イラストレーター、コンセプトアーティスト、デジタルVFX産業さんぎょうでのマットペイント・テクスチャ製作せいさくしゃ」による利用りよう念頭ねんとういている[3]

元々もともとはKDEプラットホームようオフィススイートである「KOffice」および「Calligra Suite」の一員いちいんであったが、2016ねんリリースのKrita 3.0よりCalligraプロジェクトを離脱りだつ[4]以後いご単独たんどく開発かいはつプロジェクトとなっている。2013ねん、Kritaの開発かいはつをサポートするKrita財団ざいだんがオランダでげられ、リリースはKrita財団ざいだんからおこなわれている[5][6]

Kiki the Cyber Squirrelうマスコットキャラクターがいる。中国ちゅうごくのケモノけいグラフィックデザイナーであるタイソン・タンzh:谭代やま)のデザイン。タンはKritaのなかぶんばん制作せいさくや、のKDEプロジェクトにも協力きょうりょくしている。

フリーの画像がぞう加工かこうようフィルターしゅうG'MIC」を内蔵ないぞうしており、1クリックで様々さまざまなエフェクトをかけることが可能かのうである。

Kritaはフリーソフトだが、Kritaの開発かいはつまかなうために、有料ゆうりょうばんSteamWindows Storeなどのストアで販売はんばいちゅう。ストアばん自動じどうアップデート機能きのうがあり、メジャーバージョンアップもいまのところ無料むりょうである。2021ねん現在げんざいのKritaの収入しゅうにゅうはストアばんげが中心ちゅうしんとなっているので、ためらわずに購入こうにゅうしてしいが、しかしストアに手数料てすうりょうはらぶん無駄むだになるので、出来できれば寄付きふしてしいとのこと[7]。2021ねんには「Krita開発かいはつ基金ききんThe Krita Development Fund)」がげられ、Krita開発かいはつのための寄付きふつのっている。

歴史れきし

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1990年代ねんだい後半こうはんLinux世界せかいにおいて、ツールキットとしてGTKようする「GNOME陣営じんえい」と、Qtようする「KDE陣営じんえい」がはげしく対立たいりつしていた。

そんな最中さいちゅう、1998ねん開催かいさいLinux Kongressにおいて、KDEの創始そうししゃであるマティアス・エトリッヒが、既存きそんのアプリケーションをQtGUIうごかすのがどれだけ簡単かんたんかということをしめすため、GIMPQtうえうごかすパッチをいちばんげ、実際じっさいうごかしてせた。しかしその行為こういは、元々もともとGIMP実装じっそうのために開発かいはつされたツールキットである「GTK(The GIMP Toolkit)」をようするGNOME陣営じんえいにとっては挑発ちょうはつでしかなかった。

それは、GIMPのユーザーコミュニティからおおきないかりをび、メーリングリストが炎上えんじょうした。その結果けっか、エトリッヒが制作せいさくしたパッチはリリースを断念だんねんすることになったが、それは同時どうじに、「KDEではGIMPが利用りようできない」ということを意味いみした。

GIMPの共同きょうどう作業さぎょうしゃとしての立場たちばうしなったKDEプロジェクトは、あらたな画像がぞう編集へんしゅうアプリケーションを自力じりき開発かいはつすることを決定けっていした[8]当時とうじKOfficeスイート」の一員いちいんとして「KImage」という簡単かんたん画像がぞう閲覧えつらんソフトが存在そんざいしたが、エトリッヒは「KImage」をベースとする画像がぞう編集へんしゅうソフトを開発かいはつすることでKImageの開発かいはつしゃ合意ごうい。「KImage」は画像がぞう閲覧えつらんソフトとしての機能きのうを「KView(KDE Image Viewer)」として分離ぶんり独立どくりつさせたのち、「KImageShop」に改名かいめいした。(なお、KViewはKDE3まではKuickShowとともにKDE標準ひょうじゅん画像がぞうビューワだったが、KDE4でGwenviewにリプレースされた)

1999ねん5がつ31にち、KImageShopプロジェクトが開始かいしされた。当初とうしょ構想こうそうでは、ImageMagickのラッパーとして「KImageShopのGUI」をつくるというもので、GIMPのプラグインと互換ごかんせいのあるアウトプロセスのフィルタプラグインをCORBAベースのアプリケーションとなる予定よていだった。しかしこの構想こうそう実現じつげんしないまま、KDE 2.0の開発かいはついそがしさのなか、KImageShopの開発かいはつなか放置ほうちされた。

その、「KImageShop」が商標しょうひょうっかかったので「Krayon」と改名かいめいした。しかし、この名称めいしょう商標しょうひょうっかかったため、2002ねんに「Krita」と改名かいめいされた。スウェーデンで「クレヨン」の意味いみ名前なまえで、ここにアプリケーションの名称めいしょう決定けっていされた。

当初とうしょ開発かいはつ低速ていそくだったが、2003ねんより重点的じゅうてんてき開発かいはつおこなわれ、2004ねんにKOffice 1.4の一員いちいんとして初版しょはんである「Krita 1.4」の公式こうしきリリースがおこなわれた。

2005ねんにKritaにCMYK、Lab、YCbCr、XYZしょくモデルとこう深度しんどチャンネルのサポート、OpenGLのサポートなど、KDE標準ひょうじゅん画像がぞう編集へんしゅうソフトとしていちとおりの機能きのう実装じっそうされた。GIMPとの差別さべつのため、GIMPに搭載とうさいされていない画像がぞう編集へんしゅう機能きのう中心ちゅうしんとして強化きょうかおこなわれた。

2004ねんから2009ねんにかけてのKritaは、PhotoshopやGIMPのような一般いっぱんてき画像がぞう編集へんしゅう/お絵描えか兼用けんようのソフトを目指めざ方向ほうこうせい開発かいはつおこなわれていた。しかし当時とうじのKritaは弱小じゃくしょうソフトであったため、いくらKDEプロジェクトの庇護ひごけているとっても、GIMPおな方向ほうこうせいでは有名ゆうめいソフトであるGIMPのかげかくれるかたちとなるのはどうしてもいなめなかった。そのため、2010ねんにオランダのデーフェンテルだい規模きぼスプリント開催かいさいし、自己じこのありかたさい定義ていぎCorel PainterSAIのような「お絵描えかきソフト」を目指めざ方向ほうこうせい明確めいかくにし、漫画まんがやイラストレーターなどにも使つかってもらえるように、多様たようなブラシエンジンを搭載とうさいするなど、おかき機能きのう強化きょうか開始かいしした。

2009ねん、KOffice 2.0のリリースにわせ、KDE Software Compilation 4対応たいおうしたKrita 2.0がリリースされたが、正式せいしき対応たいおうしたとは到底とうていえない不安定ふあんていさで、のKDEプロジェクトのソフトとくらべて開発かいはつりょくひくさが目立めだった。そこで、当時とうじ100,000ドルの寄付きふ獲得かくとくして急速きゅうそく機能きのう向上こうじょうさせていたBlender見習みならって、Kritaも寄付きふつのり、開発かいはつしゃ賃金ちんぎんはらうことで開発かいはつりょくたかめる方向ほうこうせいることにする[9]。2009年度ねんどGoogle Summer of Codeによる資金しきん提供ていきょうけてKrita 2.1ようしんブラシエンジンの開発かいはつ完了かんりょうしたばかりの学生がくせいアルバイトを、「Krita基金ききんコミュニティ」のメンバーとして正式せいしき雇用こようし、賃金ちんぎんはらってフルタイムでKritaの開発かいはつたらせるなどした結果けっか開発かいはつがスピードアップした。

2013ねんにKritaの開発かいはつおよびサポートをおこなうための「Krita財団ざいだん」が設立せつりつされた。2014ねんよりKickstarterプロジェクトを開始かいしし、資金しきんつのっている。

2010ねんこったKOfficeの内紛ないふんにおいては、主要しゅようなKOfficeのアプリケーションと一緒いっしょあらたなオフィススイートであるCalligra Suite移行いこうしたが、もはや一介いっかいのオフィススイートの一員いちいんまらないほどプロジェクトが巨大きょだいしていることから、2015ねんリリースのCalligra Suite 2.9/Krita 2.9を最後さいごにCalligra Suiteプロジェクトから離脱りだつした。

2016ねんリリースのKrita 3.0以降いこうは、Kritaは独立どくりつしたリポジトリにコードき、Krita財団ざいだん単独たんどくでメンテナンスをおこなっている。Krita 3.0ではコードを整理せいりするとともに、将来しょうらいのメンテナンスを考慮こうりょして、Qt5およびKF5(KDE Frameworks 5)に移植いしょくされた。しん機能きのうとしてはアニメーション製作せいさく機能きのう実装じっそうされたほか、複数ふくすうレイヤーのグループ実装じっそうされるなどレイヤー機能きのう強化きょうかされた[10]

2018ねんにはSVGベースのベクターツールやPythonスクリプト機能きのうなどを搭載とうさいしたKrita 4.0がリリースされた。SVG形式けいしき採用さいようにより、OpenDocument Graphics(ODG)形式けいしき採用さいようしていたKrita3以前いぜんとの互換ごかんせいうしなわれた。ODG形式けいしき採用さいようするCalligra Suiteとの連携れんけいれなくなった一方いっぽうで、InkscapeのSVG画像がぞうをそのままKritaにコピペできるなど、Inkscapeとの連携れんけいれるようになった。また、Calligraプロジェクトで共用きょうようのワープロツールをベースとするテキストツールを廃止はいしし、SVGベースのあらたなテキストツールを採用さいようしたことによって、(Krita 4.0の時点じてんではまだ実現じつげんできていないものの)アジアけん言語げんごけで必要ひつようとなる「たてき」など、将来しょうらいてき漫画まんが組版くみはん実現じつげんけての拡張かくちょうせい考慮こうりょしたシステムとなった[11][12]

2015ねんよりはじまったリソースシステムの刷新さっしんが2021ねん完了かんりょうし、2021ねんまつにKrita 5.0がリリースされた。SQLiteを使用しようしたリソース管理かんりによって、リソースのしょにUSBメモリを指定していできるなど柔軟じゅうなんになり、また起動きどうにすべてのリソースをまなくてよくなったので、Krita自体じたい高速こうそく軽量けいりょうされた。また、Krita 5.0では、グラデーション機能きのう刷新さっしんされ、8bitカラーのグラデーションがディザリングの実装じっそうによってきれいになり、また16bit/32bitのこうビット深度しんどグラデーションではこういろいきかつ制限せいげんいろのグラデーションをせるようになった。ブラシにかんしては、カラースマッジブラシエンジンが全面ぜんめんてきなおされ、またMyPaintブラシエンジンがKritaに統合とうごうされた。アニメーション機能きのう刷新さっしんされ、Clone Frames(アニメ用語ようごでいうところの「バンク」、おなじシーンの使つかいまわし)やTransform Mask Animation(自動じどうちゅうり)が実装じっそうされた。またStoryboard(コンテ)ドッカーの搭載とうさいによってレイアウトがりやすくなり、レコーダードッカーの搭載とうさいによってお絵描えか動画どうが録画ろくができるようになった。その、ユーザーインターフェースの改良かいりょう補助ほじょせんツール(CLIP STUDIOのパース定規じょうぎ相当そうとう)にてん透視とうし搭載とうさいするなどといった、おおくの機能きのうまれた。

特徴とくちょう

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絵描えかきしやすいユーザーインターフェイス

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2010ねんごろまでは野暮やぼったいデザインだったが、2010年代ねんだい前半ぜんはんのKrita ver.2系列けいれつ時代じだいにおかきソフトとしてのアイデンティティを確立かくりつし、お絵描えかきにとくしたデザインに洗練せんれんされた。

「ポップアップパレット」と機能きのうがあり、「カラーセレクタ」「ブラシのえ」「画面がめん拡大かくだい表示ひょうじ」「画面がめん反転はんてん表示ひょうじ」などの機能きのうが1つのポップアップ画面がめん集約しゅうやくされているので便利べんりである。

2010ねんリリースのKrita 2.3で「キャンバスの回転かいてん」を実装じっそう。(おかきソフトで必須ひっすとなる「キャンバスの回転かいてん」の実装じっそう意外いがいむずかしく、たとえばPhotoshopに「キャンバスの回転かいてん」が実装じっそうされたのは2008ねんリリースのPhotoshop CS4である。)

豊富ほうふなブラシ

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豊富ほうふなブラシエンジン(Krita 5.0の時点じてんで9種類しゅるい)をち、ブラシの描点や描写びょうしゃモードをカスタマイズすることもできる。

補正ほせい」「パース定規じょうぎ」などのブラシ補助ほじょ機能きのうつ。

ベクターグラフィクス機能きのう

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Kritaはベクターグラフィックス機能きのう提供ていきょうしている[13]

ベクター要素ようそのみを格納かくのうするベクターレイヤー利用りようすることでベクター画像がぞう生成せいせい編集へんしゅう可能かのうである[13][14]。ベクターレイヤーはラスターレイヤーとは独立どくりつしているが、りょうレイヤー混在こんざい画像がぞうをラスターとして最終さいしゅう出力しゅつりょくするさいには適切てきせつに(ラスターとして)描画びょうが・マージされる。インポート/エクスポートはSVGをサポートしている(ベクター画像がぞう出力しゅつりょくするのでエクスポート対象たいしょうはSVGレイヤーのみ)[15]

ベクターの生成せいせいにはラスターとほぼおなじツールぐん利用りようできる。矩形くけいツールと楕円だえんツールはSVGの基本きほん図形ずけい相当そうとうのベクターを生成せいせいする。その図形ずけいツール(直線ちょくせんせん多角たかくがた・ベジェ曲線きょくせん・フリーハンドパス)はSVGのパス相当そうとうのベクターを生成せいせいする。フリーハンドパスツールではフリーハンドでいたせんをよく近似きんじするパスが自動じどう生成せいせいされる。せんふとさはパスない一定いっていである(ふとさのはいきをたんなるせんでは表現ひょうげんできない)[16]擬似ぎじてき可変かへんはばせんはカリグラフィーツールをもちいて生成せいせいできる[17]実体じったい縁取へりとりパス+フィル)。またブーリアンによるベクター図形ずけい演算えんざん可能かのうである。

Krita内部ないぶにおいてベクターデータはSVG形式けいしき管理かんりされている[18][19].kra ファイルをZIP解凍かいとうすることでこれを確認かくにんできる。

レイヤー機能きのう

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Photoshopの「調整ちょうせいレイヤー」やClip Studio Paintの「トーンレイヤー」に相当そうとうする「フィルターレイヤー」の機能きのうち、画像がぞう非破壊ひはかいてき編集へんしゅうできる。

Photoshopけいソフトの「レイヤーグループ」に相当そうとうする「グループレイヤー」の機能きのうつ。「グループレイヤー」の構造こうぞうることができ、特定とくていのグループレイヤーにフィルターレイヤーでフィルター効果こうかをかけることができる。この「グループレイヤー」に、Krita独自どくじ機能きのうである「クリッピングマスク」と「アルファ継承けいしょう」をわせて使つかうのが、Kritaで想定そうていされたワークフローである。

2015ねんリリースのKrita 2.9でPhotoshop標準ひょうじゅんのPSDファイルのレイヤー形式けいしきとの互換ごかんせい強化きょうかし、PSDの「レイヤースタイル」や「レイヤーグループ」に対応たいおう。しかしKritaの「グループレイヤー」はKrita独自どくじ機能きのうち、Photoshopけいソフトの「レイヤーグループ」とはことなる実装じっそうであるため、完全かんぜん互換ごかんせいれないし、るつもりもない。KritaはAdobeしゃのクローズドなファイル形式けいしきであるPSD形式けいしきえるべく、オープンなファイル形式けいしきであるOpenRaster形式けいしき(ora形式けいしき)の策定さくていおこなっており、レイヤーをふくんだ画像がぞうデータを外部がいぶのソフトとやりりするさいはOpenRaster形式けいしき保存ほぞんすることをすすめているが、OpenRaster形式けいしき対応たいおうした有名ゆうめいソフトはKritaとGIMPくらいであるため、あまり普及ふきゅうしていない(KritaはPSDによわいため、Photoshopけいソフトとやりりするさいはいったんora形式けいしきでGIMPにんでPSDに変換へんかんするうらわざもある)。

アニメ制作せいさく機能きのう

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2016ねんリリースのKrita 3.0より搭載とうさいされた、アニメーション作成さくせい機能きのう

2016ねんリリースのKrita 3.0で、「アニメーション」(アニメの再生さいせい静止せいしをしたりする、メインのパネル)、「タイムライン」(キーフレームを設定せっていして、かくフレームのならとう操作そうさおこなえる)、「オニオンスキン」(前後ぜんごのフレームをかさねて表示ひょうじする機能きのうで、ちゅうりの作成さくせい便利べんり)の3つのパネルが搭載とうさいされた。この時点じてんでは、古典こてんてきな「コマアニメ」(ぞくう「パラパラマンガ」)方式ほうしきで、フレームごとにレイヤーをつくってちゅうりも全部ぜんぶ自分じぶんえが必要ひつようがあった。Krita 3.1で「アニメーションカーブ」(キーフレームを設定せっていすると、そのあいだの「ちゅうり(tweening)」をカーブで補間ほかんして自動じどう生成せいせいしてくれる「自動じどうちゅうり」機能きのう)パネルが搭載とうさいされ、キーフレームあいだで「不透明ふとうめい」の補間ほかんができるようになった。

2021ねんリリースのKrita 5.0でアニメ機能きのうさい設計せっけいされ、これまでの「アニメーション」ドッカーと「タイムライン」ドッカーが統合とうごうされた「アニメーションタイムライン」となり、キーフレームの移動いどうやグラフ編集へんしゅうがしやすくなった。「アニメーションタイムライン」「アニメーションカーブ」「オニオンスキン」のドッカーにくわえて「ストーリーボード」(「コンテ作成さくせい機能きのう)のドッカーが搭載とうさいされた。また、「クローンフレーム」(日本にっぽんのアニメ業界ぎょうかい用語ようごでいうと「バンク」、おなじカットの使つかまわし)機能きのうや「トランスフォームマスクアニメーション」(「アニメーションカーブ」が「変形へんけいマスク」に対応たいおうし、「位置いち」「回転かいてん」「スケール(拡大かくだい縮小しゅくしょう)」「シアー(剪断)」の補間ほかん出来できるようになった)機能きのう搭載とうさいしたことで、「自動じどうちゅうり」が実用じつようてきになり、かなり本格ほんかくてきなアニメ制作せいさくソフトとなった。

カラーマネジメント機能きのう

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Kritaがver.1系列けいれつころからちかられている機能きのう。2004ねんリリースの初版しょはんであるKrita 1.4よりRGB/CMYK/YCbC/L*a*bのかくカラーモードをサポートしている。2000年代ねんだいのKritaはGIMPをライバルとしており、GIMPがweb画像がぞう編集へんしゅう前提ぜんていとする(そのためRGB/グレースケール/インデックスカラー以外いがいのカラーモードを考慮こうりょする必要ひつようい)のに対抗たいこうする意味合いみあいがあった。

Kritaにおいて、あつか画像がぞうのカラーマネジメントをしないという選択肢せんたくし存在そんざいせず、画像がぞう新規しんき作成さくせいかならずカラープロファイルを設定せっていしないといけない。

2016ねんリリースのKrita 3.0.1で「いろ域外いきがい警告けいこく」(印刷いんさつさいしてRGBからCMYKに変換へんかんしたときんでしまういろ警告けいこくする)などのソフトプルーフ機能きのう実装じっそう(Google Summer of Code 2016の成果せいか)。

16bit、32bitのいろ深度しんど対応たいおうし、HDR画像がぞう編集へんしゅうおこなえる。2019ねんリリースのKrita 4.2.0ではHDRディスプレイをサポートし、「WindowsでHDRペイントをサポートする最初さいしょのペイントアプリケーション」[20]豪語ごうごする。

AndroidおよびChromeOSへの対応たいおう

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2020ねん6がつ18にちにリリースされたバージョン4.3.0にて、AndroidとChromeOSようのベータばんがリリースされた。[21][22]

関連かんれん項目こうもく

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  • ペイントツールSAI - Kritaが開発かいはつ方向ほうこうせい明確めいかくにした2008ねん当時とうじ手本てほんにしたソフトウェアのひとつで、そのためKritaにはSAI互換ごかんのショートカット設定せってい搭載とうさいされている。2008ねん当時とうじのSAIは「試用しようばん」(製品せいひん以前いぜんベータばん)としてネットで無料むりょう配布はいふされながら、ゆたかなブラシ機能きのうでプロにも愛用あいようしゃおおかった。
  • CLIP STUDIO PAINT - 2012ねん初版しょはん発売はつばいされたKritaの競合きょうごうソフトで、通称つうしょう「クリスタ」。名前なまえているがKritaのほうがふるい。2015ねんにアニメ制作せいさく機能きのう統合とうごうするなど、イラスト・漫画まんが・アニメーションを一本いっぽんまかなえる統合とうごうがたかきソフトとして、Kritaと開発かいはつ方向ほうこうせいおなじくしている。
  • GIMP - GNOME標準ひょうじゅんのグラフィックソフトで、GNOME標準ひょうじゅんのツールキットであるGTK(The GIMP Toolkit)のもとにもなった。2004ねんリリースのGIMP2の時代じだいは、GNOMEのみならずLinuxを代表だいひょうするソフトともされるほど有名ゆうめいで、当時とうじはKritaもGIMPを目標もくひょうとして開発かいはつしていた。2010年代ねんだい以降いこう開発かいはつ加速かそくさせたKritaにたいし、GIMPは開発かいはつ大幅おおはば停滞ていたいし、2011ねんリリースのGTK3に対応たいおうしたGIMP3の開発かいはつ完了かんりょうしないまま、2020ねんにはGTK4がリリースされるとともにGTK2のサポートがられてしまった。

参考さんこう文献ぶんけん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ "Krita 5.2.6 Released!"; 作品さくひんまたは名前なまえ言語げんご: 英語えいご; 出版しゅっぱん: 2024ねん10がつ1にち; 閲覧えつらん: 2024ねん10がつ1にち.
  2. ^ よくある質問しつもん Kritaのかたがケリッタって本当ほんとうですか?”. Krita. 2018ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  3. ^ 広報こうほう Krita公式こうしきサイト
  4. ^ よくある質問しつもん なぜKritaはCalligra Suiteの一部いちぶなのですか?”. Krita. 2018ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  5. ^ Krita初期しょき開発かいはつ:GIMPをめぐるKDE・Gnome戦争せんそうからながきにわたる開発かいはつ停滞ていたい、そこからの復活ふっかつまで - Togetter
  6. ^ Kritaの歴史れきし - 公式こうしきサイト
  7. ^ Bumping the Store Prices for Krita 5.0 Krita
  8. ^ Kritaの歴史れきし Krita公式こうしきサイト
  9. ^ Want to See Krita Improve... FAST? Krita
  10. ^ Krita 3.0リリースノート | Krita
  11. ^ Krita 4.0 リリースノート | Krita
  12. ^ Krita 4.0.0がリリースされました! | Krita
  13. ^ a b "「Krita」はペイントソフトだが、図形ずけいやテキストなどをベクターレイヤーであつかうこともできる。" 樽井たるい 2018 より引用いんよう
  14. ^ "You can start making vector graphics by first making a vector layer" KRITA. Docs » User Manual » Vector Graphics. Krita Docs Revision 9cabb0e. 2024-09-09閲覧えつらん.
  15. ^ "Krita 2.9 to 3.3 supports importing SVG via the add shape docker. Since Krita 4.0, SVGs can be properly imported, and you can export singlevector layers" 以下いかより引用いんよう。KRITA. Docs - General Concepts - File Formats - *.svg. Krita Docs Revision 9cabb0e. 2024-09-09閲覧えつらん.
  16. ^ "ペイントツール SAI にくらべて Krita にけているものは? ベクターせん可変かへんはば" . KRITA. Docs » ユーザーマニュアル » のソフトからひとへの紹介しょうかい » ペイントツール SAI からひとのための Krita の紹介しょうかい. Krita Docs Revision 9cabb0e. 2024-09-09閲覧えつらん.
  17. ^ "The Calligraphy tool allows for variable width lines" KRITA. Docs » Reference Manual » Tools » Calligraphy Tool. Krita Docs Revision 9cabb0e. 2024-09-10閲覧えつらん.
  18. ^ "「Krita 4」では、ベクターデータをSVG形式けいしき管理かんりするようにあらためられた。" 樽井たるい 2018 より引用いんよう
  19. ^ "For 4.0, Krita will also use SVG to save vector data into its internal format." 以下いかより引用いんよう。KRITA. Docs - General Concepts - File Formats - *.svg. Krita Docs Revision 9cabb0e. 2024-09-09閲覧えつらん.
  20. ^ Krita 4.2.0: WindowsでHDRペイントをサポートする最初さいしょのペイントアプリケーション Krita
  21. ^ Release History Krita
  22. ^ https://krita.org/en/item/krita-4-3-0-released/ Krita 4.3.0 Released] Krita

外部がいぶリンク

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