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TI-99/4A

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
TI-99/4A
TI-99/4A
製造元せいぞうもと テキサス・インスツルメンツ
姉妹しまい機種きしゅ TI-99/4
種別しゅべつ ホームコンピュータ
発売はつばい 1981ねん6がつ(99/4は1979ねん6がつ
販売はんばい終了しゅうりょう 1983ねん10がつ
OS TI BASIC
CPU TI TMS9900 @ 3.0 MHz
メモリ 256バイトの「スクラッチパッド」RAM + 16KB VDP(グラフィックRAM
TI-99/4

TI-99/4Aテキサス・インスツルメンツ (TI) が1981ねん1がつにリリースした初期しょきホームコンピュータである。

リリース当初とうしょ価格かかくは525USドルであった。TI-99/4Aは1979ねんに1,150ドルでリリースされたTI-99/4拡張かくちょうばん。TI-99/4は電卓でんたくかたチクレットキーボード小文字こもじ使つかえなかったが、TI-99/4Aではグラフィックモードとフルキーボードが追加ついかされ小文字こもじ使つかえる。

機能きのう特徴とくちょう[編集へんしゅう]

TI-99/4Aは、CPUマザーボードカートリッジスロット、キーボード一体いったいになった形状けいじょうである。電源でんげん回路かいろ基板きばんはカートリッジスロットのしたのスロープになった部分ぶぶん格納かくのうされている。そのためその部分ぶぶんあつくなるので、ユーザーは「コーヒーカップ・ウォーマー」などとんだ。アメリカ以外いがい電源でんげん電圧でんあつことなる場合ばあいはACアダプタが付属ふぞくしたが、それはたんなる変圧へんあつだった。

周辺しゅうへん機器ききとしては、5.25インチFDD、2シリアルポートと1パラレルポートのあるRS-232カード、PascalようP-codeカード、サーマルプリンター音響おんきょうカプラデータレコーダ、32KBメモリ拡張かくちょうカードなどがある。RFアダプタがFCCの認可にんかけられなかったので、TI-99/4は当初とうしょモニター(ゼニスせい13インチテレビを改造かいぞうしたもの)をどうこりしていた。

1980年代ねんだいはじめ、TIは音声おんせい合成ごうせい先駆せんくしゃとしてられており、TI-99/4 (A) にも音声おんせい合成ごうせいモジュールが接続せつぞく可能かのうだった。多数たすうのカートリッジを購入こうにゅうすると音声おんせい合成ごうせいモジュールが無料むりょうでついてくるプロモーションがおこなわれ、TI自身じしんがそれを使つかってしゃべるゲームを多数たすう発売はつばいした。線形せんけい予測よそく符号ふごう一種いっしゅ音声おんせい合成ごうせい使つかっており、語彙ごい若干じゃっかんまれている。当初とうしょ音声おんせい合成ごうせいモジュールにちいさなカートリッジをすと語彙ごいえるという方式ほうしきかんがえていたが、Terminal Emulator IIというROMカートリッジでソフトウェアによる音声おんせい合成ごうせい(テキストげ)がうまくいったため、計画けいかく中止ちゅうしされた。おおくの音声おんせい合成ごうせいモジュールは語彙ごいカートリッジをすためのあないた状態じょうたい出荷しゅっかされたが、なかにコネクタが設置せっちされていないことがおおい。音声おんせい合成ごうせいモジュールのはっするこえ比較的ひかくてきリアルで、たとえばAlpinerというゲームでは男性だんせい女性じょせいこえ使つかっているが、プレイヤーが間違まちがったうごきをすると皮肉ひにくなニュアンスのこもった音声おんせいはっした。

1979ねんのTI-99/4に周辺しゅうへん機器きき数珠繋じゅずつなぎに接続せつぞくした様子ようす
TI-99/4ようPEB (Peripheral Expansion Box)

TI-99/4Aは当初とうしょ本体ほんたい周辺しゅうへん機器ききいちれつ数珠繋じゅずつなぎ(デイジーチェーン)のように拡張かくちょうしていくというコンセプトだった。しかし、こうするとつくえはば接続せつぞくできる周辺しゅうへん機器ききかぎられるという問題もんだいがあった。

あいだもなく、拡張かくちょうカードを使つかった拡張かくちょうほう転換てんかん。5.25インチFDDと電源でんげん回路かいろそなえたPEB (Peripheral Expansion Box) とばれる拡張かくちょうボックスが用意よういされた。拡張かくちょうカードようスロットを8装備そうびしている[1]かくカードにはLEDいていて、ソフトウェアがそのカードを使つかったときに点滅てんめつする。初期しょきS-100バス同様どうよう拡張かくちょうカードがわにレギュレータを搭載とうさいして必要ひつよう電源でんげん電圧でんあつつくらなければならない。

さらに拡張かくちょうバスにはアナログ音声おんせい信号しんごうながせんがある。これを使つかって音声おんせい合成ごうせいモジュールの合成ごうせいした音声おんせい本体ほんたい経由けいゆでモニターにわたすことができる。音声おんせい信号しんごうはケーブル経由けいゆでPEBにもわたせるので、音声おんせい合成ごうせいモジュールをPEBに接続せつぞくしたり、本体ほんたいのサウンド機能きのう以上いじょう機能きのう提供ていきょうするサウンドカードを提供ていきょうする可能かのうせい考慮こうりょしていた。

TI-99/4には電卓でんたく機能きのうまれていたが、TI-99/4Aでははぶかれている。どちらもANSIBASIC規格きかく準拠じゅんきょしたTI BASICというBASICプログラミング言語げんごインタプリタ搭載とうさいされている。一般いっぱんてきMicrosoft BASICとはかなりの部分ぶぶん互換ごかんである。後期こうきのモデルではタイトル画面がめんに"2.2"と表示ひょうじされ、アタリのようなサードパーティーのライセンスをていないROMカートリッジが使つかえないようになっている。

専用せんようポートで2だいデータレコーダ接続せつぞくし、セーブとロードが可能かのうである。またジョイスティックようポートもあり、2のデジタルジョイスティックを接続せつぞくできる。ジョイスティックポートは1つ(9ピン)で、そこに2のジョイスティックを接続せつぞくするようになっており、TIせいのものしか使つかえない。サードパーティからアタリ互換ごかんジョイスティックを2接続せつぞくできるアダプタが発売はつばいされた。NTSC場合ばあいコンポジット映像えいぞう信号しんごう音響おんきょう信号しんごう別々べつべつのポートから出力しゅつりょくされ、外部がいぶRFアダプタでそれらを混合こんごうしてテレビにおくるようになっている。PAL場合ばあいはやや複雑ふくざつなYUV信号しんごう出力しゅつりょくし、それをRFアダプタで変調へんちょうしている。

16ビットCPUを採用さいようしたはつ家庭かていようコンピュータ[編集へんしゅう]

TI-99/4シリーズははつ16ビットパーソナルコンピュータである。TI-99/4AのCPUは16ビットのTMS9900で、3.0MHz動作どうさする。TMS9900はTIのミニコンピュータ TI-990英語えいごばんもとづいた設計せっけいである。命令めいれいセット豊富ほうふで、個々ここ命令めいれい高機能こうきのうでサイズも様々さまざまで、アドレッシングモード豊富ほうふである。TMS9900にはIBM System/370にもられたEXECUTE命令めいれいがあり、命令めいれいオペランド指定していされるアドレスにある命令めいれい実行じっこうできる。

基本きほんてきにはCISCだが、RISCおもわせる特徴とくちょうとして「ワークスペース」の概念がいねんがある。チップじょうには、プログラムカウンタステータスレジスタ、ワークスペースポインタの3つのレジスタしかなく、すべてのほかのレジスタはワークスペースポインタがRAMうえかれている。ワークスペースには16ほんのレジスタがあり、コンテキストスイッチときにはワークスペースポインタをえるだけでよい。TI-99/4 (A)がCPU RAMとしてつのはたった256バイトの「スクラッチパッド」メモリであり、これがワークスペースとして使つかわれる。16ビットバスに直接ちょくせつ接続せつぞくされていてウェイトなしでアクセスでき、システムないほかのメモリより高速こうそくである。

CPUは16ビットだが、16ビットバスじょう直接ちょくせつ接続せつぞくされているのはシステムROMとスクラッチパッドRAMだけである。のメモリと周辺しゅうへん機器ききは16ビット→8ビットマルチプレクサかいしてCPUに接続せつぞくするので、あらゆるアクセスに2サイクルかかり、さらに追加ついかの4サイクルのウェイト状態じょうたい必要ひつようになっている。システムROMにピギーバック方式ほうしきSRAM追加ついかすることでメモリを拡張かくちょうするという改造かいぞうがよくおこなわれた。これによりおおくのアプリケーションで30%ほど性能せいのう向上こうじょうしたという。

当時とうじおおくのマシンと同様どうよう、TI-99シリーズもVDP(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサ)に画面がめん表示ひょうじまかせていた。TI-99/4のVDPはTMS9918である。これにはビットマップモードがなく、TI-99/4Aで追加ついかされた。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくないのTI-99/4AのVDPはTMS9918Aであり、MSXでも使つかわれた。欧州おうしゅうけのPAL仕様しようのマシンではTMS9929Aが使つかわれている。

これらVDPのユニークな機能きのうとして、のビデオ信号しんごうじょうにグラフィックスをスーパーインポーズする機能きのうをハードウェアでサポートしていた。VDPシステムへのアクセスはつねに8ビット単位たんいである。このため性能せいのう制限せいげんされる反面はんめん、VDPのアップグレードも容易よういになった。ヤマハがTMS9918と上位じょうい互換ごかんV9938をリリースしており、これを利用りようして80けた表示ひょうじおこな拡張かくちょうカードがMechatronicsなどからリリースされている。これを使つかうと512×424ピクセルで16しょくか、256×424ピクセルで256しょくのグラフィック表示ひょうじ可能かのうとなる。このカードは VDP RAM を16Kバイトから最大さいだい192Kバイトに拡張かくちょうするが、V9938けにかれたソフトウェアでないとその利点りてんかせない。

TI-99/4シリーズの独特どくとくなアーキテクチャは、このマシンけに開発かいはつされていた8ビットプロセッサ9985の失敗しっぱい起因きいんするとされている。9985開発かいはつ中止ちゅうしされたとき、16ビットの9900を代替だいたいとして採用さいようしたため、既存きそんのシステム設計せっけいに9900に適合てきごうさせるのに苦労くろうし、9900のさをかすような変更へんこうがなされなかった。

「プラグアンドプレイ」ハードウェアサポート[編集へんしゅう]

HexBus にデイジーチェーン接続せつぞくされる周辺しゅうへん機器ききぐん

TI-99シリーズのマシンは、初期しょきのTI-99/4からリリースされなかったTI-99/2やTI-99/8まで、ぜん周辺しゅうへん機器ききの「プラグアンドプレイ」をサポートしていた。デバイスドライバ("Device Service Routines"、DSRと呼称こしょう)はかく機器ききのROMにまれており、あらたなカードを挿入そうにゅうすると即座そくざ使つかえるようになる。あらゆるデバイスはファイルがたのI/O機構きこう採用さいようしており、それを使つかがわのソフトウェアを更新こうしんしなくともあらたな周辺しゅうへん機器きき使つかうことが可能かのうである。CRU (Communications Register Unit) は4096のデバイスをあつかえるが、TIせい拡張かくちょうカードはそれぞれCRUバスじょう固定こていアドレスを使つかっており、おな種類しゅるいのカードをどういちシステムない使つかうにはなんらかの細工ざいく必要ひつようとした。細工ざいくなしでふくすうまい使つかえるカードとしてはRS-232カードがあり、2つのベースアドレスをえることができた。このためRS-232ポートを4つ、パラレルプリンターポートを2つつことができた。

Hexbusインタフェースは1982ねん設計せっけいされ、1983ねん後半こうはん一般いっぱんにリリースされる予定よていだった。これは周辺しゅうへん機器きき高速こうそくシリアルリンクで接続せつぞくするものである。USBにもているが、実際じっさいにリリースされることはなく、一部いちぶのコレクターがTIが撤退てったいしたのちでプロトタイプひん入手にゅうしゅしただけである。Hexbus仕様しよう周辺しゅうへん機器ききがいくつか計画けいかくされ生産せいさんされている。WaferTape装置そうちはテープの信頼しんらいせい問題もんだいがあるためプロトタイプのいきだっしていなかった。両面りょうめんばいみつ5.25インチFDDはちゃんと動作どうさしていたが、やはりプロトタイプまりだった[2][3]。Hexbusは TI CC-40 というバッテリ駆動くどう携帯けいたいがたコンピュータにも採用さいようされており、CC-40けにHexbus対応たいおう周辺しゅうへん機器ききがいくつか出荷しゅっかされた。

CPU RAMとスクラッチパッド[編集へんしゅう]

TIせいミニコンピュータを起源きげんとするTMS9900シリーズのアーキテクチャでは、「ワークスペース」とばれるレジスタぐんがメインメモリじょうかれる。1980年代ねんだいはじめごろにはSRAMも高価こうかだったので、TI-99/4Aはワークスペースようにたった256バイトの「スクラッチパッド」RAMしか装備そうびしなかった。

本来ほんらいはCPU内部ないぶに256バイトのRAMを実装じっそうすることを意図いとしていたが、9900はレジスタとして外部がいぶメモリを必要ひつようとするかたちになった。いずれにしてもスクラッチパッドRAMがなければ性能せいのう大幅おおはば低下ていかしていた。一部いちぶのソフトウェアはちいさいループをスクラッチパッドRAMにコピーし、高速こうそくはかっている。

VDP RAMとGraphics Programming Language[編集へんしゅう]

マシンはシステムRAMとして256バイトしかアクセスできないため、TIの技術ぎじゅつしゃはTI-99/4AのグラフィックコプロセッサTMS9918A別途べっと記憶きおく領域りょういきとして16KバイトのVDP RAMをたせた。VDP RAMはDRAMであり、VDPがリフレッシュをおこなう。

VDP RAM一時いちじてきにユーザが作成さくせいしたBASICプログラムのコードとデータを格納かくのうするのにももちいられた。BASICはTI-99シリーズではインタプリタ言語げんご Graphics Programming Language (GPL) を使つかって実装じっそうされている。GPLインタプリタはROMないにあり、電源でんげんはいるとまずGPLインタプリタに制御せいぎょわたる。GPLはTI-990シリーズ(ミニコンピュータ)の機械きかいによくたコードであり、TI-99/4Aのアーキテクチャにわせていろいろなタイプのメモリに統合とうごうてきにアクセスする機能きのうやメモリコピーやディスプレイのフォーマットなどの機能きのうっていた。BASICプログラムをくとそのコードとデータはVDP RAMじょう領域りょういきかれ、実行じっこうにはGPLインタプリタがそれにアクセスして解釈かいしゃくする。したがって、TI BASICではVDP RAMをフルに使用しようする表示ひょうじモードを使つかえない。拡張かくちょうメモリを追加ついかした場合ばあい、VDP RAMのわりにそちらを使用しようする拡張かくちょうBASICにアップグレードする必要ひつようがあった。

おなじ VDP TMS9918 がMSXコレコビジョンのマシンでも使つかわれていた。V9938やV9958はTMS9918の機能きのう仕様しよう包含ほうがんするかたちヤマハ設計せっけい製造せいぞうしている。TI-99/4Aの基板きばんはVDPをえることを考慮こうりょした設計せっけいになっており、それによってグラフィック能力のうりょく向上こうじょうさせることができる。V9938では、512×424ピクセルで16しょく表示ひょうじまたは256×256ピクセルで256しょく表示ひょうじ可能かのうたんにチップをえればアップグレード可能かのうというわけではなく、VDPと通常つうじょう128Kバイトの VDP RAM を搭載とうさいしたドーターボードを必要ひつようとする。これらのVDPはソフトウェアてきにはほぼ互換ごかんだが、ROMないのバグが互換ごかん発生はっせいさせているという問題もんだいがある。たとえば、Mechatronicせいの80けた表示ひょうじカードはV9938を使つかっており、TI BASIC にはいさいにあるボタンを必要ひつようがあった。こういった80けた表示ひょうじカードはひろ使つかわれていた。

GROM[編集へんしゅう]

Graphics Read-Only Memory (GROM) はもう1つのメモリで、専用せんようメモリポート経由けいゆで1バイトずつアクセスされ、自動的じどうてきにアドレスをひとつずつずらしてむデバイスとみなされる。TIせいカートリッジのおおく(Disk Manager 2、Editor/Assembler、TI Writer、おおくのゲーム)が本体ほんたい内蔵ないぞうのTI-BASICと同様どうようにこのシステムを利用りようしている。本体ほんたいないのTI-BASICのGROMをきなROMカートリッジのGROMとえると、そのカートリッジのソフトウェアをブートのメニューから直接ちょくせつ選択せんたくできる。

BASICのプログラムはVDP RAMやGROMにけるが、機械きかいのプログラムはCPUが直接ちょくせつアドレス指定していできる空間くうかん必要ひつようがある。このため機械きかいプログラムをつくるならRAMを拡張かくちょうする必要ひつようがあった。32Kバイトの拡張かくちょうRAMカードと4Kバイトの「ミニメモリ」モジュールの価格かかくがったことでこの制限せいげん緩和かんわされたが、そのころには市場いちばのコンピュータが主導しゅどうするようになっていた。

一部いちぶ洗練せんれんされたカートリッジ(ゲームのParsecやAlpiner、TI LOGO、TI拡張かくちょうBASIC)にはGROMではなくアドレス指定してい可能かのうなROMが搭載とうさいされており、機械きかいコードを使つかって高速こうそくしていた。一般いっぱんにカートリッジないのGROMようICは14ピンで、アドレス指定してい可能かのうROMのICは28ピンだった。一部いちぶカートリッジはしょう容量ようりょうのRAMも搭載とうさいしていた。このようなメモリの制限せいげん解決かいけつする技法ぎほうとして、本体ほんたいわき周辺しゅうへん機器ききをデイジーチェーン接続せつぞくするポートに接続せつぞくするかたちのROMカートリッジをつくった企業きぎょうもある[4]

バスが16ビットから8ビットに変換へんかんされているために性能せいのうおさえられていること、BASICが2段階だんかいのインタプリタになっていることから、TI-99シリーズはきわめてくせのあるマシンといううわさがたち、一部いちぶ熱狂ねっきょうてきなファンをんだ。TI BASICしか使つかったことのないひとにはその性能せいのうひくいことはかんじられていたが、アセンブリ言語げんごのプログラムは高速こうそく動作どうさした。

歴史れきし[編集へんしゅう]

1979ねん登場とうじょうしたTI-99/4(本体ほんたいのほかにRFアダプタ音声おんせい合成ごうせいモジュール、キーボードようオーバーレイシート、カートリッジ)

当初とうしょTI-99/4Aは成功せいこうし、一時いちじはホームコンピュータ市場いちばの35%のシェアを獲得かくとくした。しかし、コモドールとの価格かかく競争きょうそうはじまり、対抗たいこうするために価格かかくげることを余儀よぎなくされた。1982ねん8がつ、TIは100ドルのキャッシュバックキャンペーンを展開てんかいし、ビル・コスビーは「コンピュータをるのは簡単かんたんさ。ひとに100ドルずつくばればいい」と揶揄やゆした。

TI-99/4AはVIC-20くらべて製造せいぞうコストがたかいにもかかわらず、おな値段ねだん競争きょうそうすることを余儀よぎなくされた。TIもコモドールも自前じまえIC工場こうじょうっていたが、コモドールがカスタムICをつくってコスト削減さくげんつとめたのにたいし、TIは市販しはんひん使つかつづけ、マザーボードにもほとんど変更へんこうくわえなかった。またコモドールはル紙るがみをアルミホイルでおおったものを電磁波でんじはシールドに使つかってコスト削減さくげんしていた[5]。TIはそのようなうごきに追随ついずいしようとせず、こう品質ひんしつ部品ぶひん使つかつづけ、市場いちばがそのちがいを理解りかいしてくれることを期待きたいした。

1983ねん2がつ、TIは価格かかくを150ドルにげ、赤字あかじ覚悟かくごでマシンをつづけた。そして1983ねん6がつ、TIはあらたに設計せっけいした廉価れんかばん外観がいかんがベージュしょく)をやはり赤字あかじ覚悟かくごで99ドルで販売はんばいした。TIは1983ねんだい2四半期しはんきに1おくドルの損失そんしつ計上けいじょうし、だい3四半期しはんきに3.3おくドルの損失そんしつ計上けいじょうした。1983ねん10がつ、TIはホームコンピュータ市場いちばから撤退てったいすることを発表はっぴょうした。

1984ねん3がつ出荷しゅっか停止ていしとなるまでにTI-99/4Aは累計るいけい280まんだい出荷しゅっかされた。

TI-99/4AはコモドールVIC-20くらべてメモリもおおくグラフィックもすすんでいたし、ある意味いみではコモドール64比較ひかくしても遜色そんしょくなかった。しかし、その設計せっけいには批判ひはんおおかった。たとえば、(高価こうかおも周辺しゅうへん拡張かくちょうボックスをわないかぎり)すべての周辺しゅうへん装置そうち本体ほんたい右側みぎがわ数珠じゅずつなぎに接続せつぞくされるため、テープ装置そうちやプリンタなどいろいろな周辺しゅうへん機器ききそろえるとつくえうえけなくなってしまった。また、48キーのキーボード配列はいれつ一般いっぱんてきなものではなかった。80けた表示ひょうじのオプションも当時とうじ存在そんざいしなかった。これらキーボードとディスプレイの制限せいげんにより、ワードプロセッサとしてもほとんど使つかわれなかった。

しかし、99/4Aのもっとおおきな問題もんだいてんはソフトウェアライブラリの制限せいげんだった。TIはソフトウェアとハードウェアの製品せいひん制限せいげんくわえたため、ソフトウェアは300タイトルにまり、少数しょうすうのヒットタイトルは当時とうじのマシンでも動作どうさしていた。"Editor/Assembler" でアセンブリ言語げんご開発かいはつスイートが1981ねんにリリースされるまで、技術ぎじゅつ文書ぶんしょまった公開こうかいされず、詳細しょうさい仕様しよう公開こうかいされたのはTIが市場いちばから撤退てったいしたのちのことだった。これとは対照たいしょうてきにVIC-20けのハードウェアおよびソフトウェア開発かいはつ完全かんぜんのオープンだった。コモドールはマニュアルにシステムの回路かいろ略図りゃくず掲載けいさいし、一連いちれんのプログラマ書籍しょせき出版しゅっぱんし、だれでも周辺しゅうへん機器ききやソフトウェアを開発かいはつできる環境かんきょうととのえた。VIC-20では700タイトル以上いじょうのソフトウェアがリリースされている。

TI-99/4Aは市場いちばからくなったのち熱狂ねっきょうてき信者しんじゃささえられてきた。2004ねんにもPEBけにUSBカードとIDEハードディスクようATAコントローラがリリースされている。また、Chicago TI Fair毎年まいとし開催かいさいされている。また、エミュレータもいくつか存在そんざいする。

TI-99/4Aと関係かんけいふか携帯けいたいがたコンピュータTI CC-40が1983ねん3がつにリリースされている。バッテリ駆動くどうで、液晶えきしょうディスプレイをそなえ、べつバージョンのTI BASICが動作どうさする。またHexBusを採用さいようしており、周辺しゅうへん機器ききをTI-99/4Aに流用りゅうよう可能かのうだった。

後継こうけいとクローン[編集へんしゅう]

市場いちば撤退てったいしたころ、TIはTI-99/4Aの後継こうけい機種きしゅを2つ開発かいはつちゅうだった。どちらも生産せいさんされなかったが、いくつかのプロトタイプがコレクターのわたっている。TMS9900の後継こうけいであるTMS9995をCPUに採用さいようしているため高速こうそくされていて、HexBusを採用さいようしている。

  • TI-99/2 - てい価格かかくなモノクロ表示ひょうじでサウンド機能きのうのない機種きしゅシンクレア ZX81などをおもこさせる。
  • TI-99/8 - 上位じょうい後継こうけいで、キーボードがおおきくなり、RAMは標準ひょうじゅん64Kバイトで最大さいだい15メガバイトまで拡張かくちょう可能かのう音声おんせい合成ごうせい機能きのうUCSD Pascal環境かんきょう内蔵ないぞうし、16ビットバスが直接ちょくせつ拡張かくちょうポートにている。プロトタイプがいくつか現存げんそんしており、コレクターあいだでかなり高額こうがく取引とりひきされている。
  • ぴゅうふとし - 1982ねん日本にっぽん玩具おもちゃメーカートミー発売はつばい。アーキテクチャとファームウェアはTI-99/8によくているが、しゅ記憶きおくはVDP RAM兼用けんようでTI-99/4Aにちかい。海外かいがいでは Tomy Tutor の発売はつばいしたが、日本にっぽん以外いがいではほとんどれなかった。
  • Myarc Geneve 9640 - 1987ねんにリリースされたPEBよう拡張かくちょうカードのかたちでTI-99/4Aを拡張かくちょうするクローン。IBM PC/XTのキーボードを流用りゅうよう可能かのう。TI-99/8 によくている。プロセッサは12MHzのTMS9995で、V9938で80けた表示ひょうじ可能かのうであり、16ビットバスでRAMを接続せつぞくしている。OSは独自どくじのMDOS (Myarc Disk Operating System) で、TI-99/4Aけソフトウェアとハードウェアのおおくをそのまま使つかえる。PEBにトグルスイッチを追加ついかして、オリジナルとおな性能せいのうになるようウェイトをれることもできる。
  • Phoenix G2 - イギリスのユーザーグループの1人ひとりGary Smithが2010ねん設計せっけい。Myarc Geneve 9640とTMS9995マイクロプロセッサを2FPGAでエミュレートすることで、すで製造せいぞうされていないICの在庫ざいこひんたよらないようにしている。また、SDカードリーダ、イーサネット、VGA出力しゅつりょく、64MBメモリなどあたらしい技術ぎじゅつれている。

特長とくちょう[編集へんしゅう]

  • CPU: TI TMS9900 3.0MHz。16ビット
  • メモリ: 16KバイトVDP RAM標準ひょうじゅんのアップグレードではないが、V9938を使つかえば192Kバイトまで拡張かくちょう可能かのう)、256バイト CPU「スクラッチパッド」RAM(TMS9900のレジスタがかれるワークスペースよう)。また、8Kバイトまたは32KバイトのRAMと Editor/Assember GROMを搭載とうさいしたカートリッジがある。
  • キーボード: フルキーボード。TI-99/4では電卓でんたくかたキーボードだった。
  • ビデオ制御せいぎょ: TI TMS9918A VDP(TI-99/4では TMS9918、PALばんではTMS9929/9929A)
    • テキストモード: 40文字もじ×24ぎょう(256の6×8のユーザー定義ていぎ文字もじ、スプライト不可ふか背景はいけいしょく文字もじしょくの2しょくのみ、BASICからはアクセス不可ふか
    • グラフィックモード: 32文字もじ×24ぎょう文字もじ(256の8×8のユーザー定義ていぎ文字もじ、15しょく透明とうめいしょくだが配置はいち制限せいげんあり)と32のスプライト(BASICではこのモードのみ使用しよう可能かのう。スプライトを使つかうには拡張かくちょうBASICが必要ひつようで、28までしか使つかえない)
    • ビットマップモード: 256×192ピクセル(16しょくだが、よこ8ピクセルないは2しょくのみ。32のスプライトが可能かのうだが、メモリレイアウトの関係かんけいでROMのみルーチンによる自動じどう動作どうさ不可ふか。BASICでは不可ふか初期しょきの9918でも不可ふか)。あまりメモリを使つかわない「ハーフビットマップ」モードとばれるモードぐんもあり、いろ配置はいちはビットマップモードみである(これらのモードはVDPの説明せつめいしょにはないが、ビットマップモードをたんかしこ活用かつようしたものである)。
    • マルチカラーモード: 64×48ピクセル(かくピクセルに任意にんいいろ配置はいち可能かのう、32のスプライトが可能かのう
    • これらのモードは36のレイヤーを使つかっている。ビデオ・オーバーレイ入力にゅうりょくのレイヤー、背景はいけいしょくのレイヤー、2つのグラフィックモードレイヤー、32のスプライトようレイヤーである。よりたかいレイヤーが透明とうめいでないかぎり、下位かいのレイヤーを隠蔽いんぺいする処理しょりがハードウェアでおこなわれる。
    • 16しょく(うち1しょく透明とうめい
    • 32単色たんしょくスプライト。レイヤーを指定していでき、こうレイヤーのスプライトはていレイヤーのスプライトのうえ通過つうかできる。8×8ピクセルと16×16ピクセルがあり、2ばい拡大かくだい表示ひょうじする機能きのうもある。衝突しょうとつ判定はんてい機能きのうもある。ROMないみルーチンでスプライトを自動的じどうてきうごかす機能きのうがある。水平すいへい方向ほうこうに4つよりおおくのスプライトを表示ひょうじできない。
  • サウンド: TI TMS9919。のちにSN94624が使つかわれている(のシステムでよく使つかわれたSN76489同一どういつ)。
    • 3和音わおん+1ノイズ(ホワイトノイズまたは周期しゅうきてきノイズ)
    • 和音わおんは110Hzへるつから115Hzへるつ矩形くけい

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

  • TI Webring - TI-99/4A 関連かんれんサイトのウェブリング
  • TI-99/4A Old Computer Museum
エミュレータ
  • Classic99 - Windows
  • Win994a Emulator - Windows
  • TI-99/Sim - Linux (GPL)
  • PC99 - DOS(有償ゆうしょう、TIがROM販売はんばいのためライセンスしている)
  • MESS - クロスプラットフォーム。TI-99/4Aせんもんではない。
音楽おんがく
  • シンガーソングライターのオーウェン・ブランドがシカゴTIフェアのために作曲さっきょくしたうたがあり 動画どうがになっている。