IBM System/370
IBM System/370 (S/370 、システム/370 、しすてむさんななまる)は、1970年 ねん 6月30日 にち にIBM が発表 はっぴょう したメインフレーム ・コンピュータ のシリーズ名 めい およびコンピュータ・アーキテクチャ 名 な で、System/360 ファミリの後継 こうけい である。
System/370は、System/360 との互換 ごかん 性 せい を保 たも ち、性能 せいのう 向上 こうじょう に加 くわ えて商用 しょうよう 初 はつ の仮想 かそう 記憶 きおく をサポートした。System/360に続 つづ くSystem/370の成功 せいこう により、コンピュータ市場 いちば でのIBMの影響 えいきょう 力 りょく は圧倒的 あっとうてき となった。
またSystem/370の後続 こうぞく シリーズ(30x0、4300、9370)の上位 じょうい モデルでは、1981年 ねん に拡張 かくちょう アーキテクチャのSystem/370-XA が発表 はっぴょう され、アドレス空間 くうかん と入出力 にゅうしゅつりょく が拡張 かくちょう された(31ビット アドレス空間 くうかん 、動的 どうてき チャネルサブシステム)。このアーキテクチャは後 のち にESA/370、ESA/390を経 へ て、現在 げんざい のz/Architecture へと発展 はってん した。
System/370は、前身 ぜんしん のSystem/360 から24ビット アドレッシング(最大 さいだい 仮想 かそう メモリは16MB)を引 ひ き継 つ いで上位 じょうい 互換 ごかん 性 せい を保 たも ち、前身 ぜんしん のSystem/360と同様 どうよう に互換 ごかん 性 せい のある複数 ふくすう モデルによってコンピュータ・ファミリーを形成 けいせい し、ユーザーの資産 しさん (プログラム、周辺 しゅうへん 機器 きき など)を保護 ほご した。
System/370は商用 しょうよう として初 はじ めての仮想 かそう 記憶 きおく を実現 じつげん したため、ユーザーはより広 ひろ いアドレス空間 くうかん を使用 しよう できるようになり、企業 きぎょう におけるデータベース やオンライン ・トランザクション処理 しょり の用途 ようと が拡大 かくだい した。
System/360に続 つづ くSystem/370の成功 せいこう により、GE などは撤退 てったい し、System/360の互換 ごかん 機 き を製造 せいぞう していたメーカーは撤退 てったい するか(RCA など)System/370の互換 ごかん 機 き を開発 かいはつ する(日立製作所 ひたちせいさくしょ など)ようになった。また1975年 ねん にはIBMから退職 たいしょく したアムダール が富士通 ふじつう と提携 ていけい してプラグコンパチブル型 がた (IBMのオペレーティングシステム を稼働 かどう させる)のSystem/370互換 ごかん 機 き を発表 はっぴょう した。
System/370シリーズの後継 こうけい 製品 せいひん は、大型 おおがた (水冷 すいれい ・スタンドアロン)の3030・3080・3090、中型 ちゅうがた (空冷 くうれい ・スタンドアロン)の4300 シリーズ、小型 こがた (空冷 くうれい ・ラックマウント)の9370 シリーズである。これらは正式 せいしき にはSystem/370シリーズ(という製品 せいひん 名称 めいしょう )ではなかったが、System/370アーキテクチャを継承 けいしょう したため、広義 こうぎ にはSystem/370と呼 よ ばれる事 こと がある。(このため本稿 ほんこう でも記述 きじゅつ する。)
1981年 ねん には上位 じょうい 機種 きしゅ 用 よう にSystem/370-XA アーキテクチャが発表 はっぴょう され、論理 ろんり アドレッシングが31ビット (最大 さいだい 仮想 かそう メモリは2GB)に拡張 かくちょう され、I/O によるCPU 負荷 ふか を軽減 けいげん する動的 どうてき チャネルサブシステムが採用 さいよう された。なお、この技術 ぎじゅつ は特許 とっきょ と著作 ちょさく 権 けん で守 まも られていたため互換 ごかん 機 き 対策 たいさく とも言 い われ、この技術 ぎじゅつ をめぐりIBM産業 さんぎょう スパイ事件 じけん も発生 はっせい した。System/370-XAアーキテクチャは、更 さら にハイパー空間 くうかん (64ビット アドレッシングのデータ専用 せんよう アドレス空間 くうかん )などを持 も つESA/370 アーキテクチャとなった。
1990年 ねん にはブランド名 めい がエンタープライズシステム(ES)と改称 かいしょう され、製品 せいひん シリーズ名 めい はES/3090、ES/4300、ES/9370に、アーキテクチャ名 めい はESA/390 と名称 めいしょう 変更 へんこう された後 のち 、真 しん の後継 こうけい 製品 せいひん であるES/9000 シリーズに引 ひ き継 つ がれた。
System/370 はその約 やく 20年 ねん の歴史 れきし の中 なか で数 すう 回 かい のアーキテクチャ改良 かいりょう を重 かさ ねてきた。最初 さいしょ の最 もっと も大 おお きな変更 へんこう は仮想 かそう 記憶 きおく の導入 どうにゅう であり、1972年 ねん 、IBM の "System/370 Advanced Function" の発表 はっぴょう により一般 いっぱん に公開 こうかい された。IBM は当初 とうしょ 、System/370 では何故 なぜ か仮想 かそう 記憶 きおく を採用 さいよう しなかった[ 1] [ 2] 。1972年 ねん の発表 はっぴょう には以下 いか の事項 じこう が含 ふく まれていた。
全 ぜん System/370 機種 きしゅ へのアドレス再 さい 配置 はいち ハードウェアの導入 どうにゅう
新 あら たな System/370-158 と -168 の発表 はっぴょう
新 あら たな4つのオペレーティングシステムの発表 はっぴょう : DOS/VS(仮想 かそう 記憶 きおく をサポートした DOS)、OS/VS1(仮想 かそう 記憶 きおく をサポートした OS/MFT)、OS/VS2(仮想 かそう 記憶 きおく をサポートした OS/MVT。後 のち に SVS と MVS へと進化 しんか )、VM/370(CP/CMS の再 さい 実装 じっそう )
仮想 かそう 記憶 きおく は実際 じっさい にはこの発表 はっぴょう 以前 いぜん に System/370 ハードウェアに導入 どうにゅう されていた。
1971年 ねん 、System/370-145 で実装 じっそう された(同機 どうき は仮想 かそう 記憶 きおく 開発 かいはつ を行 おこな った Cambridge Scientific Center に極秘 ごくひ 裏 うら に搬入 はんにゅう された。この時期 じき 既 すで にアドレス再 さい 配置 はいち ハードウェアが完成 かんせい していたと思 おも われる)[ 3]
1972年 ねん 、System/370-155-II と System/370-165-II は即座 そくざ に System/370-158 と -168 に置換 ちかん された[ 4]
その後 ご のアーキテクチャ上 じょう の変更 へんこう は主 しゅ 記憶 きおく 容量 ようりょう の拡張 かくちょう (物理 ぶつり メモリと仮想 かそう アドレス空間 くうかん )が中心 ちゅうしん となった。これは、負荷 ふか の増大 ぞうだい と顧客 こきゃく の要望 ようぼう にこたえるためであった。これはムーアの法則 ほうそく に従 したが ってメモリ単価 たんか が低下 ていか したことによる必然 ひつぜん 的 てき 傾向 けいこう であった。IBMのメインフレーム開発 かいはつ では、基本 きほん 的 てき に従来 じゅうらい 互換 ごかん は常 つね に保 たも たれていた。
1981年 ねん 10月 がつ 、3033 と 3081 プロセッサに "extended real addressing" が追加 ついか され、物理 ぶつり 記憶 きおく 装置 そうち のアドレスが26ビットに拡張 かくちょう された(個々 ここ のアドレス空間 くうかん は依然 いぜん として24ビットであった)。この拡張 かくちょう は 4381 や 3090 といった他 ほか のシステムにも適用 てきよう されていった。
System/370-XA (eXtended Architecture)アーキテクチャ: 3081 と 3083 プロセッサで1983年 ねん 初 はじ めに利用 りよう 可能 かのう となった。アドレス空間 くうかん の 24ビット から 31ビット への拡張 かくちょう 、2つのアドレス空間 くうかん の間 あいだ でデータを移動 いどう させる機能 きのう 、入出力 にゅうしゅつりょく アーキテクチャの完全 かんぜん な再 さい 設計 せっけい (動的 どうてき チャネルサブシステム)などの大 おお きな改良 かいりょう がなされた。
ESA/370 アーキテクチャ(Enterprise System Architecture、後 のち に ESA/390 と改称 かいしょう )では、32ビットのアクセスレジスタ16本 ほん を追加 ついか し、アドレッシングモードを追加 ついか し、複数 ふくすう アドレス空間 くうかん を同時 どうじ に扱 あつか う機能 きのう がいくつか追加 ついか された。
System/370シリーズの中 なか で特筆 とくひつ すべきマシンとして、IBM 3033、IBM 3090 がある。これらはオプションでベクター 拡張 かくちょう 機構 きこう を装備 そうび しスーパーコンピュータ としても使用 しよう できた。また、中小 ちゅうしょう 規模 きぼ の低 てい 価格 かかく な IBM 9370 もある。
System/370で話題 わだい にするべきトピックに仮想 かそう 計算 けいさん 機 き (VM)がある。仮想 かそう 記憶 きおく という概念 がいねん をコンピュータのほかの部分 ぶぶん にも適用 てきよう した概念 がいねん で、一 いち 台 だい の物理 ぶつり マシンの上 うえ に複数 ふくすう 台 だい の仮想 かそう コンピュータを実現 じつげん した。当時 とうじ 、コンピュータにOSをインストールするためには数日 すうじつ を要 よう していた。その間 あいだ 、エンドユーザーはコンピュータを使 つか うことが出来 でき なかった。商用 しょうよう 利用 りよう でマシンタイム一 いち 分間 ふんかん 数 すう 百 ひゃく 円 えん の時代 じだい であるにも係 かか わらず。仮想 かそう 計算 けいさん 機 き はこの作業 さぎょう を、エンドユーザーの利用 りよう と並行 へいこう して行 おこな うことができ、最後 さいご にDASD (Direct Access Storage Device, つまりハードディスク )をテープに吸 す い上 あ げ、物理 ぶつり マシンのDASDに戻 もど し直 なお せばよくなった。エンドユーザーが使 つか えない時間 じかん は数時間 すうじかん にまで減 へ った。
上述 じょうじゅつ の通 とお り、System/370 での大 おお きなアーキテクチャ上 じょう の変化 へんか として、アドレス空間 くうかん が 24ビット から 31ビット に拡張 かくちょう された。
System/370 のアドレッシングの拡張 かくちょう は、24ビット論理 ろんり アドレスに依存 いぞん している System/360 命令 めいれい セット設計 せっけい とそれを使 つか った大量 たいりょう のコードベースのために複雑 ふくざつ 化 か した。特 とく によく使 つか われる命令 めいれい "Load Address" (LA) はアドレスをレジスタに置 お くときに上位 じょうい 8ビットを明示 めいじ 的 てき にクリアしていた。このため、既存 きそん ソフトウェアの移行 いこう 時 じ に大 おお きな問題 もんだい となった。
アドレッシングの拡張 かくちょう の実装 じっそう は以下 いか の3段階 だんかい で行 おこな う戦略 せんりゃく がとられた。
第 だい 一 いち に物理 ぶつり レベルで拡張 かくちょう (システム当 あ たりのメモリ搭載 とうさい 量 りょう を増 ふ やす)
次 つぎ にオペレーティングシステムレベルで拡張 かくちょう (システムソフトウェアが複数 ふくすう のアドレス空間 くうかん にアクセスし、より大 おお きなアドレス空間 くうかん を利用 りよう 可能 かのう とする)
最後 さいご にアプリケーションレベルで拡張 かくちょう (新 あたら しいアプリケーションがより大 おお きなアドレス空間 くうかん にアクセス可能 かのう とする)
System/360 の命令 めいれい セット中核 ちゅうかく 部 ぶ は 24ビット論理 ろんり アドレスのままとされたため、この第 だい 三 さん のステップは「現状 げんじょう 」の明 あき らかな打破 だは を要求 ようきゅう した。既存 きそん のアセンブリ言語 げんご アプリケーションはもちろん書 か き換 か えない限 かぎ り移行 いこう できないし、アセンブラでないアプリケーションも新 あら たなコンパイラを使 つか わないと対応 たいおう できない。このため、高性能 こうせいのう な31ビットの環境 かんきょう で24ビットアプリケーションを動作 どうさ させる状況 じょうきょう がしばらく続 つづ いたユーザーが多 おお かった。
IBM が 32ビット ではなく 31ビット を選 えら んだ理由 りゆう はいくつかある。System/360 Model 67 は完全 かんぜん な 32ビットアドレッシングモードを持 も っていたが、この機能 きのう は System/370 には反映 はんえい されず、当初 とうしょ は 24ビットとなった。System/370-XA でアドレス空間 くうかん を 31ビットとしたのには、以下 いか のような理由 りゆう があった。
最 さい 上位 じょうい ビットを "control or escape bit" として残 のこ したいという意見 いけん があった[ 5]
32ビットアドレスと引数 ひきすう を符号 ふごう 付 づけ 数値 すうち として扱 あつか う2つの命令 めいれい (BXH と BXLE)の相互 そうご 作用 さよう の問題 もんだい (また、このために System/360 Model 67 での TSS でも 31ビットアドレッシングが使 つか われた)。[ 6]
システム設計 せっけい 段階 だんかい で、System/360 Model 67 を使 つか っていた主 おも なサイトから 31ビットにすべきという意見 いけん があった。[ 7]
下表 かひょう では System/370 の主 おも なシリーズと機種 きしゅ をまとめている。アーキテクチャ欄 らん で各 かく シリーズの主要 しゅよう アーキテクチャを示 しめ している。多 おお くの機種 きしゅ で複数 ふくすう のアーキテクチャがサポートされていた。例 たと えば 308x は当初 とうしょ System/370 アーキテクチャとして出荷 しゅっか されたが、後 のち に XA も提供 ていきょう された。4381 などの多 おお くのプロセッサで、マイクロプログラムの置 お き換 か えが可能 かのう となっており、ユーザーがアーキテクチャを選択 せんたく 可能 かのう になっていた。
以下 いか で "System/370-compatible" という用語 ようご が出 で てくるのは、IBM の文書 ぶんしょ がこの用語 ようご を使 つか っているためである。IBM 以外 いがい では、この用語 ようご はアムダール や日立製作所 ひたちせいさくしょ などのIBM以外 いがい の System/370互換 ごかん 機 き を指 さ すのが一般 いっぱん 的 てき である。
System/370-145 のシステムコンソール(写真 しゃしん ではない)
出荷 しゅっか 開始 かいし
アーキテクチャ
機種 きしゅ
1970年 ねん
System/370
370-xxx シリーズ (370-115 - 370-195)
1977年 ねん
System/370-compatible[ 8]
303x シリーズ (3031, 3032, 3033)
1979年 ねん
System/370-compatible
43xx シリーズ (4331, 4341, 4361)
1980年 ねん
System/370-compatible
308x シリーズ (3081, 3083, 3084)
1981年 ねん
System/370-XA
308x シリーズ (3081, 3083, 3084)
1983年 ねん
System/370-XA
4381
1986年 ねん
System/370-XA
3090 シリーズ (120 - 600)
1986年 ねん
System/370-compatible[ 9]
937x シリーズ
1988年 ねん
ESA/370
ES/3090 と ES/4381
System/370 はコンピュータ・アーキテクチャ 仕様 しよう であり[ 10] 、System/360 アーキテクチャとの互換 ごかん 性 せい を保 たも った改良 かいりょう 版 ばん であり[ 11] [ 12] 、多 おお くの点 てん で共通 きょうつう している。アーキテクチャには、あらゆる実装 じっそう で使用 しよう 可能 かのう な必須 ひっす インタフェースと常 つね に実装 じっそう されるとは限 かぎ らないオプションインタフェースから構成 こうせい される。
アーキテクチャ上 じょう の主 おも な特徴 とくちょう は次 つぎ の通 とお り。
プロセッサ(1個 いっこ 以上 いじょう )
汎用 はんよう レジスタ 16本 ほん
制御 せいぎょ レジスタ 16本 ほん
ステータスレジスタ (PSW; program status word) では、以下 いか のような情報 じょうほう が示 しめ される
割 わ り込 こ み マスク
特権 とっけん 状態 じょうたい
条件 じょうけん コード
命令 めいれい アドレス(プログラムカウンタ)
タイミング機能 きのう (カレンダクロック、インターバルタイマ、CPUタイマ、クロック比較 ひかく 器 き )
割 わ り込 こ み機構 きこう : マスク可 か 割 わ り込 こ みとマスク不可 ふか 割 わ り込 こ み、クラス分 わ けされている。
命令 めいれい セット : 各 かく 命令 めいれい の完全 かんぜん な説明 せつめい とプログラム割 わ り込 こ みと呼 よ ばれる例外 れいがい 時 じ の動作 どうさ も定義 ていぎ されている。
主 しゅ 記憶 きおく 装置 そうち
1バイトは8ビット
特殊 とくしゅ なプロセッサ通信 つうしん 領域 りょういき がアドレス0にある。
キーによるメモリ保護 ほご 機能 きのう
手動 しゅどう 制御 せいぎょ 操作 そうさ により、以下 いか のことが可能 かのう
ブート プロセス(Initial Program Load、IPL)
オペレータによる割 わ り込 こ み
システムのリセット
基本 きほん デバッグ 機能 きのう
システム状態 じょうたい (メモリとプロセッサ)を表示 ひょうじ して手動 しゅどう 変更 へんこう 可能 かのう
入出力 にゅうしゅつりょく 機構 きこう : 周辺 しゅうへん 機器 きき そのものを記述 きじゅつ しているわけではない。
主 おも なオプション機能 きのう は以下 いか の通 とお り。
インタフェース仕様 しよう は拡張 かくちょう 可能 かのう であるため、初期 しょき のインタフェースに影響 えいきょう を与 あた えることなく新 あら たなインタフェースを追加 ついか 可能 かのう である。そのような例 れい として次 つぎ の拡張 かくちょう があった。
ECPS:VM (VM/370 オペレーティングシステムをサポートするための機能 きのう )
ECPS:VSE (DOS オペレーティングシステムをサポートするための機能 きのう )
アーキテクチャに修正 しゅうせい を加 くわ える際 さい には、互換 ごかん 性 せい を保持 ほじ することに多大 ただい な労力 ろうりょく を費 つい やした。特 とく に、最低 さいてい でも非 ひ 特権 とっけん プログラムの互換 ごかん 性 せい だけは確保 かくほ された。この方針 ほうしん は System/360 のころからのものである。互換 ごかん 性 せい を保 たも つための鍵 かぎ となった方針 ほうしん として、未 み 使用 しよう フィールドを予 あらかじ め決 き まった値 ね (通常 つうじょう 0)にセットしておいた点 てん がある。そして、それ以外 いがい の値 ね になっていると例外 れいがい として認識 にんしき される。インタフェースを変更 へんこう するとき、この未 み 使用 しよう フィールドを新 あら たな目的 もくてき で使用 しよう することができる。行儀 ぎょうぎ の良 よ いプログラムなら、新 あら たなインタフェースを実装 じっそう したシステム上 じょう でも実行 じっこう 可能 かのう であることが期待 きたい できる。例 たと えば、64ビットの PSW レジスタのビット番号 ばんごう 32 は未 み 使用 しよう であり、0 でないときは例外 れいがい が発生 はっせい することになっていた。後 のち に System/370 XA アーキテクチャが定義 ていぎ され、そのビットで 24ビットアドレスなのか31ビットアドレスなのかを識別 しきべつ するようになった。従 したが って、24ビットアーキテクチャ上 じょう で動作 どうさ していたほとんどのプログラムは新 あら たな31ビットシステムでも64ビットシステムでも動作 どうさ 可能 かのう である。しかし、全 すべ てのインタフェースの互換 ごかん 性 せい が保 たも たれたわけではない。例 たと えば、入出力 にゅうしゅつりょく インタフェースは System/370 XA で非 ひ 互換 ごかん になっている。このため、オペレーティングシステム (デバイスドライバ 相当 そうとう 部分 ぶぶん )は移植 いしょく が必要 ひつよう であった。
System/370の仮想 かそう 記憶 きおく をサポートするオペレーティングシステムには、小規模 しょうきぼ 向 む けの DOS/VS (後 ご のDOS/VSE、現在 げんざい のz/VSE)、大 だい 規模 きぼ 向 む けの OS/VS(後 ご の OS/VS1、OS/VS2、MVS、OS/390、現在 げんざい のz/OS)、仮想 かそう 化 か OSのVM/370などが使用 しよう できた。
またGNUコンパイラコレクション には System/370 向 む けのバックエンドがあったが、更新 こうしん されることなく最後 さいご には System/390 用 よう バックエンドに置換 ちかん された。System/370 と System/390 の命令 めいれい セットは基本 きほん 的 てき には同 おな じで System/360 以来 いらい の一貫 いっかん 性 せい を保持 ほじ しているが、gcc における古 ふる いシステムのサポートは重視 じゅうし されなかった。現在 げんざい サポートされているのは、System/390 Generation 5 (G5) の全 ぜん 命令 めいれい セットをサポートしたマシンであり、そのハードウェアプラットフォームで Linux/390 がリリースされた。
System/370 は1990年代 ねんだい に System/390 に置 お き換 か えられた。ただし、当初 とうしょ はマーケティングのための製品 せいひん ラインの改称 かいしょう でしかなかった。2000年 ねん 、zSeries が後継 こうけい として登場 とうじょう 。zSeries では64ビット のアーキテクチャが導入 どうにゅう されており、31ビット化 か 以来 いらい の大 おお きな変化 へんか となった。アーキテクチャ的 てき にも命令 めいれい セット的 てき にも System/360 からの互換 ごかん 性 せい は基本 きほん 的 てき に保 たも たれている。
System/360では設計 せっけい 責任 せきにん 者 しゃ をつとめたジーン・アムダール はSystem/370の設計 せっけい の際 さい に新 しん 技術 ぎじゅつ の導入 どうにゅう について積極 せっきょく 案 あん を主張 しゅちょう したが、既 すで にSystem/360が大 だい 成功 せいこう して多数 たすう の顧客 こきゃく で稼働 かどう 中 ちゅう のため互換 ごかん 性 せい を重視 じゅうし する経営 けいえい 層 そう により却下 きゃっか された。そのためアムダールは1970年 ねん にIBMを退社 たいしゃ 、アムダール 社 しゃ を設立 せつりつ した。アムダールはIBMに対 たい してプラグコンパチブル(互換 ごかん 機 き を参照 さんしょう )で、かつIBMより「小回 こまわ りの利 き く」開発 かいはつ 体制 たいせい が可能 かのう にする新 しん 技術 ぎじゅつ の採用 さいよう による高性能 こうせいのう を実現 じつげん し、IBMに戦 たたか いを挑 いど んだ。初号 しょごう モデルの470V/6の開発 かいはつ は難航 なんこう したが、提携 ていけい した富士通 ふじつう からの支援 しえん もあって無事 ぶじ 完成 かんせい 、出荷 しゅっか (1975年 ねん )され、その後 ご はIBMと激 はげ しい争 あらそ いを演 えん じた。
1997年 ねん にアムダールは富士通 ふじつう に吸収 きゅうしゅう され、日立製作所 ひたちせいさくしょ は2000年 ねん に北米 ほくべい 市場 いちば から撤退 てったい した。その後 ご 、日立 ひたち はメインフレームのハードウェアから撤退 てったい し、富士通 ふじつう はメインフレームからの撤退 てったい を表明 ひょうめい した。
なおSystem/370の命令 めいれい が実行 じっこう できるワークステーション も存在 そんざい した。1980年 ねん にMC68000 が出荷 しゅっか され、それを搭載 とうさい したアポロコンピュータ のワークステーションが市場 いちば を席巻 せっけん し、1982年 ねん 創立 そうりつ のサン・マイクロシステムズ がSPARC プロセッサにより急 きゅう 成長 せいちょう すると、IBMもPOWER プロセッサ、IBM版 ばん UNIXのAIX を開発 かいはつ し、RT-PC ・RS/6000 とUnixワークステーションに乗 の り出 だ したが、MC68000の改造 かいぞう チップを積 つ みIBM PC/XT でSystem/370の命令 めいれい が実行 じっこう できるシステムも出現 しゅつげん した。
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IBMメインフレーム
年 とし
シリーズ名 めい
アーキテクチャ
主 おも なモデル
主 おも なOS
主 おも な特徴 とくちょう
1952
701シリーズ
-
701 , 704 , 709 , 7090 , 7040 , 7094
-
科学 かがく 技術 ぎじゅつ 計 けい 算用 さんよう 、真空 しんくう 管 かん /トランジスタ
1953
702シリーズ
-
702 , 705 , 7080
-
真空 しんくう 管 かん /トランジスタ
1953
650シリーズ
-
650 , 7070 , 7074 , 7072
-
科学 かがく 技術 ぎじゅつ 計 けい 算用 さんよう 、真空 しんくう 管 かん /トランジスタ
1959
1401シリーズ
-
1401 , 1410 , 1440 , 7010 , 1460
-
商用 しょうよう 計 けい 算用 さんよう 、オールトランジスタ
1961
その他 た
-
305(RAMAC) , 7030(Stretch)
-
ディスク装置 そうち (RAMAC)、マルチタスク (Stretch)
1964
System/360
S/360
20 - 195
OS/360 , DOS/360, CP-67/CMS
汎用 はんよう 機 き 、アーキテクチャ 、IC 、24ビット アドレッシング、仮想 かそう 機械 きかい
1970
System/370
S/370
115 - 195
OS/VS(MVS) , DOS/VS, VM/370
仮想 かそう 記憶 きおく 、マルチプロセッサ 、PPAR
1977
30x0, 4300 , 9370
S/370, S/370-XA
303x/308x/3090, 43x1, 937x
MVS/XA, DOS/VSE, VM/XA
31ビット アドレッシング・動的 どうてき チャネルサブシステム(S/370-XA)
1990
ES/9000
S/390 , ESA/390
9021, 9121, 9221
MVS/ESA, VSE/ESA, VM/ESA, AIX/ESA
64ビット データ空間 くうかん 、拡張 かくちょう ストレージ(ES)、LPAR 、ESCON 、FICON
1994
S/390
ESA/390
9672/9674(G1 - G6), IBM Multiprise 2000/3000
OS/390 , VSE/ESA, VM/ESA, Linux
CMOS , 並列 へいれつ シスプレックス , UNIX 互換 ごかん 環境 かんきょう (OS/390 USS)、Linuxサポート
2000
eServer zSeries
z/Architecture
z800/z900, z890/z990
z/OS , z/VSE , z/VM , Linux
64ビット アドレッシング、IFL、zAAP、zIIP、IPv6
2005
System z
z/Architecture
z9, z10
z/OS , z/VSE , z/VM , Linux
IRD
2010
zEnterprise
z/Architecture
z114/z196, z12
z/OS , z/VSE , z/VM , Linux
ブレード拡張 かくちょう (POWER , x86 )
2015
z System
z/Architecture
z13, LinuxOne
(z13)z/OS , z/VSE , z/VM , Linux (LinuxOne) Linux, z/VM
2017
IBM Z
z/Architecture
z14, LinuxOne II
(z14)z/OS , z/VSE , z/VM , Linux (LinuxOne) Linux, z/VM
暗号 あんごう 化 か 、zHyperLink
2019
IBM Z
z/Architecture
z15, LinuxOne III
(z15)z/OS , z/VSE , z/VM , Linux (LinuxOne) Linux, z/VM
全 ぜん 方位 ほうい 型 がた 暗号 あんごう 化 か 技術 ぎじゅつ 、Data Privacy Passports、OpenShift
2022
IBM Z
z/Architecture
z16
(z16)z/OS , z/VSE , z/VM , Linux
IBM Telum プロセッサー、オンチップのAIアクセラレーター、耐 たい 量子 りょうし 暗号 あんごう