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System/370

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
IBM System/370

IBM System/370 (S/370システム/370、しすてむさんななまる)は、1970ねん6月30にちIBM発表はっぴょうしたメインフレームコンピュータのシリーズめいおよびコンピュータ・アーキテクチャで、System/360ファミリの後継こうけいである。

System/370は、System/360 との互換ごかんせいたもち、性能せいのう向上こうじょうくわえて商用しょうようはつ仮想かそう記憶きおくをサポートした。System/360につづくSystem/370の成功せいこうにより、コンピュータ市場いちばでのIBMの影響えいきょうりょく圧倒的あっとうてきとなった。

またSystem/370の後続こうぞくシリーズ(30x0、4300、9370)の上位じょういモデルでは、1981ねん拡張かくちょうアーキテクチャのSystem/370-XA発表はっぴょうされ、アドレス空間くうかん入出力にゅうしゅつりょく拡張かくちょうされた(31ビットアドレス空間くうかん動的どうてきチャネルサブシステム)。このアーキテクチャはのちにESA/370、ESA/390をて、現在げんざいz/Architectureへと発展はってんした。

概要がいよう

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System/370は、前身ぜんしんSystem/360から24ビットアドレッシング(最大さいだい仮想かそうメモリは16MB)をいで上位じょうい互換ごかんせいたもち、前身ぜんしんのSystem/360と同様どうよう互換ごかんせいのある複数ふくすうモデルによってコンピュータ・ファミリーを形成けいせいし、ユーザーの資産しさん(プログラム、周辺しゅうへん機器ききなど)を保護ほごした。

System/370は商用しょうようとしてはじめての仮想かそう記憶きおく実現じつげんしたため、ユーザーはよりひろいアドレス空間くうかん使用しようできるようになり、企業きぎょうにおけるデータベースオンライントランザクション処理しょり用途ようと拡大かくだいした。

System/360につづくSystem/370の成功せいこうにより、GEなどは撤退てったいし、System/360の互換ごかん製造せいぞうしていたメーカーは撤退てったいするか(RCAなど)System/370の互換ごかん開発かいはつする(日立製作所ひたちせいさくしょなど)ようになった。また1975ねんにはIBMから退職たいしょくしたアムダール富士通ふじつう提携ていけいしてプラグコンパチブルがた(IBMのオペレーティングシステム稼働かどうさせる)のSystem/370互換ごかん発表はっぴょうした。

System/370シリーズの後継こうけい製品せいひんは、大型おおがた水冷すいれい・スタンドアロン)の3030・3080・3090、中型ちゅうがた空冷くうれい・スタンドアロン)の4300シリーズ、小型こがた空冷くうれい・ラックマウント)の9370シリーズである。これらは正式せいしきにはSystem/370シリーズ(という製品せいひん名称めいしょう)ではなかったが、System/370アーキテクチャを継承けいしょうしたため、広義こうぎにはSystem/370とばれることがある。(このため本稿ほんこうでも記述きじゅつする。)

1981ねんには上位じょうい機種きしゅようSystem/370-XAアーキテクチャが発表はっぴょうされ、論理ろんりアドレッシングが31ビット最大さいだい仮想かそうメモリは2GB)に拡張かくちょうされ、I/OによるCPU負荷ふか軽減けいげんする動的どうてきチャネルサブシステムが採用さいようされた。なお、この技術ぎじゅつ特許とっきょ著作ちょさくけんまもられていたため互換ごかん対策たいさくともわれ、この技術ぎじゅつをめぐりIBM産業さんぎょうスパイ事件じけん発生はっせいした。System/370-XAアーキテクチャは、さらにハイパー空間くうかん64ビットアドレッシングのデータ専用せんようアドレス空間くうかん)などをESA/370アーキテクチャとなった。

1990ねんにはブランドめいがエンタープライズシステム(ES)と改称かいしょうされ、製品せいひんシリーズめいはES/3090、ES/4300、ES/9370に、アーキテクチャめいESA/390名称めいしょう変更へんこうされたのちしん後継こうけい製品せいひんであるES/9000シリーズにがれた。

特徴とくちょう

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System/370 はそのやく20ねん歴史れきしなかすうかいのアーキテクチャ改良かいりょうかさねてきた。最初さいしょもっとおおきな変更へんこう仮想かそう記憶きおく導入どうにゅうであり、1972ねん、IBM の "System/370 Advanced Function" の発表はっぴょうにより一般いっぱん公開こうかいされた。IBM は当初とうしょ、System/370 では何故なぜ仮想かそう記憶きおく採用さいようしなかった[1][2]。1972ねん発表はっぴょうには以下いか事項じこうふくまれていた。

  • ぜん System/370 機種きしゅへのアドレスさい配置はいちハードウェアの導入どうにゅう
  • あらたな System/370-158 と -168 の発表はっぴょう
  • あらたな4つのオペレーティングシステムの発表はっぴょう: DOS/VS(仮想かそう記憶きおくをサポートした DOS)、OS/VS1(仮想かそう記憶きおくをサポートした OS/MFT)、OS/VS2(仮想かそう記憶きおくをサポートした OS/MVT。のちに SVS と MVS へと進化しんか)、VM/370(CP/CMS のさい実装じっそう

仮想かそう記憶きおく実際じっさいにはこの発表はっぴょう以前いぜんに System/370 ハードウェアに導入どうにゅうされていた。

  • 1971ねん、System/370-145 で実装じっそうされた(同機どうき仮想かそう記憶きおく開発かいはつおこなった Cambridge Scientific Center に極秘ごくひうら搬入はんにゅうされた。この時期じきすでにアドレスさい配置はいちハードウェアが完成かんせいしていたとおもわれる)[3]
  • 1972ねん、System/370-155-II と System/370-165-II は即座そくざに System/370-158 と -168 に置換ちかんされた[4]

そののアーキテクチャじょう変更へんこうしゅ記憶きおく容量ようりょう拡張かくちょう物理ぶつりメモリと仮想かそうアドレス空間くうかん)が中心ちゅうしんとなった。これは、負荷ふか増大ぞうだい顧客こきゃく要望ようぼうにこたえるためであった。これはムーアの法則ほうそくしたがってメモリ単価たんか低下ていかしたことによる必然ひつぜんてき傾向けいこうであった。IBMのメインフレーム開発かいはつでは、基本きほんてき従来じゅうらい互換ごかんつねたもたれていた。

  • 1981ねん10がつ、3033 と 3081 プロセッサに "extended real addressing" が追加ついかされ、物理ぶつり記憶きおく装置そうちのアドレスが26ビットに拡張かくちょうされた(個々ここのアドレス空間くうかん依然いぜんとして24ビットであった)。この拡張かくちょうは 4381 や 3090 といったほかのシステムにも適用てきようされていった。
  • System/370-XA (eXtended Architecture)アーキテクチャ: 3081 と 3083 プロセッサで1983ねんはじめに利用りよう可能かのうとなった。アドレス空間くうかん24ビットから 31ビットへの拡張かくちょう、2つのアドレス空間くうかんあいだでデータを移動いどうさせる機能きのう入出力にゅうしゅつりょくアーキテクチャの完全かんぜんさい設計せっけい(動的どうてきチャネルサブシステム)などのおおきな改良かいりょうがなされた。
  • ESA/370 アーキテクチャ(Enterprise System Architecture、のちESA/390改称かいしょう)では、32ビットのアクセスレジスタ16ほん追加ついかし、アドレッシングモードを追加ついかし、複数ふくすうアドレス空間くうかん同時どうじあつか機能きのうがいくつか追加ついかされた。

System/370シリーズのなか特筆とくひつすべきマシンとして、IBM 3033、IBM 3090 がある。これらはオプションでベクター拡張かくちょう機構きこう装備そうびスーパーコンピュータとしても使用しようできた。また、中小ちゅうしょう規模きぼてい価格かかくな IBM 9370 もある。

System/370で話題わだいにするべきトピックに仮想かそう計算けいさん(VM)がある。仮想かそう記憶きおくという概念がいねんをコンピュータのほかの部分ぶぶんにも適用てきようした概念がいねんで、いちだい物理ぶつりマシンのうえ複数ふくすうだい仮想かそうコンピュータを実現じつげんした。当時とうじ、コンピュータにOSをインストールするためには数日すうじつようしていた。そのあいだ、エンドユーザーはコンピュータを使つかうことが出来できなかった。商用しょうよう利用りようでマシンタイムいち分間ふんかんすうひゃくえん時代じだいであるにもかかわらず。仮想かそう計算けいさんはこの作業さぎょうを、エンドユーザーの利用りよう並行へいこうしておこなうことができ、最後さいごDASD(Direct Access Storage Device, つまりハードディスク)をテープにげ、物理ぶつりマシンのDASDにもどなおせばよくなった。エンドユーザーが使つかえない時間じかん数時間すうじかんにまでった。

アドレス空間くうかん拡張かくちょう

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上述じょうじゅつとおり、System/370 でのおおきなアーキテクチャじょう変化へんかとして、アドレス空間くうかん24ビットから 31ビット拡張かくちょうされた。

System/370 のアドレッシングの拡張かくちょうは、24ビット論理ろんりアドレスに依存いぞんしている System/360 命令めいれいセット設計せっけいとそれを使つかった大量たいりょうのコードベースのために複雑ふくざつした。とくによく使つかわれる命令めいれい "Load Address" (LA) はアドレスをレジスタにくときに上位じょうい8ビットを明示めいじてきにクリアしていた。このため、既存きそんソフトウェアの移行いこうおおきな問題もんだいとなった。

アドレッシングの拡張かくちょう実装じっそう以下いかの3段階だんかいおこな戦略せんりゃくがとられた。

  1. だいいち物理ぶつりレベルで拡張かくちょう(システムたりのメモリ搭載とうさいりょうやす)
  2. つぎにオペレーティングシステムレベルで拡張かくちょう(システムソフトウェアが複数ふくすうのアドレス空間くうかんにアクセスし、よりおおきなアドレス空間くうかん利用りよう可能かのうとする)
  3. 最後さいごにアプリケーションレベルで拡張かくちょうあたらしいアプリケーションがよりおおきなアドレス空間くうかんにアクセス可能かのうとする)

System/360 の命令めいれいセット中核ちゅうかくは 24ビット論理ろんりアドレスのままとされたため、このだいさんのステップは「現状げんじょう」のあきらかな打破だは要求ようきゅうした。既存きそんアセンブリ言語げんごアプリケーションはもちろんえないかぎ移行いこうできないし、アセンブラでないアプリケーションもあらたなコンパイラを使つかわないと対応たいおうできない。このため、高性能こうせいのうな31ビットの環境かんきょうで24ビットアプリケーションを動作どうささせる状況じょうきょうがしばらくつづいたユーザーがおおかった。

31ビットと32ビット

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IBM が 32ビットではなく 31ビットえらんだ理由りゆうはいくつかある。System/360 Model 67 は完全かんぜんな 32ビットアドレッシングモードをっていたが、この機能きのうは System/370 には反映はんえいされず、当初とうしょは 24ビットとなった。System/370-XA でアドレス空間くうかんを 31ビットとしたのには、以下いかのような理由りゆうがあった。

  1. さい上位じょういビットを "control or escape bit" としてのこしたいという意見いけんがあった[5]
  2. 32ビットアドレスと引数ひきすう符号ふごうづけ数値すうちとしてあつかう2つの命令めいれい(BXH と BXLE)の相互そうご作用さよう問題もんだい(また、このために System/360 Model 67 での TSS でも 31ビットアドレッシングが使つかわれた)。[6]
  3. システム設計せっけい段階だんかいで、System/360 Model 67 を使つかっていたおもなサイトから 31ビットにすべきという意見いけんがあった。[7]

下表かひょうでは System/370 のおもなシリーズと機種きしゅをまとめている。アーキテクチャらんかくシリーズの主要しゅようアーキテクチャをしめしている。おおくの機種きしゅ複数ふくすうのアーキテクチャがサポートされていた。たとえば 308x は当初とうしょ System/370 アーキテクチャとして出荷しゅっかされたが、のちに XA も提供ていきょうされた。4381 などのおおくのプロセッサで、マイクロプログラムのえが可能かのうとなっており、ユーザーがアーキテクチャを選択せんたく可能かのうになっていた。

以下いかで "System/370-compatible" という用語ようごてくるのは、IBM の文書ぶんしょがこの用語ようご使つかっているためである。IBM 以外いがいでは、この用語ようごアムダール日立製作所ひたちせいさくしょなどのIBM以外いがいの System/370互換ごかんすのが一般いっぱんてきである。

System/370-145 のシステムコンソール(写真しゃしんではない)
出荷しゅっか開始かいし アーキテクチャ 機種きしゅ
1970ねん System/370 370-xxx シリーズ (370-115 - 370-195)
1977ねん System/370-compatible[8] 303x シリーズ (3031, 3032, 3033)
1979ねん System/370-compatible 43xx シリーズ (4331, 4341, 4361)
1980ねん System/370-compatible 308x シリーズ (3081, 3083, 3084)
1981ねん System/370-XA 308x シリーズ (3081, 3083, 3084)
1983ねん System/370-XA 4381
1986ねん System/370-XA 3090 シリーズ (120 - 600)
1986ねん System/370-compatible[9] 937x シリーズ
1988ねん ESA/370 ES/3090 と ES/4381

アーキテクチャ

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System/370 はコンピュータ・アーキテクチャ仕様しようであり[10]、System/360 アーキテクチャとの互換ごかんせいたもった改良かいりょうばんであり[11][12]おおくのてん共通きょうつうしている。アーキテクチャには、あらゆる実装じっそう使用しよう可能かのう必須ひっすインタフェースとつね実装じっそうされるとはかぎらないオプションインタフェースから構成こうせいされる。

アーキテクチャじょうおも特徴とくちょうつぎとおり。

  • プロセッサ(1個いっこ以上いじょう
    • 汎用はんようレジスタ 16ほん
    • 制御せいぎょレジスタ 16ほん
    • ステータスレジスタ (PSW; program status word) では、以下いかのような情報じょうほうしめされる
      • マスク
      • 特権とっけん状態じょうたい
      • 条件じょうけんコード
      • 命令めいれいアドレス(プログラムカウンタ)
    • タイミング機能きのう(カレンダクロック、インターバルタイマ、CPUタイマ、クロック比較ひかく
    • 機構きこう: マスクみとマスク不可ふかみ、クラスけされている。
    • 命令めいれいセット: かく命令めいれい完全かんぜん説明せつめいとプログラムみとばれる例外れいがい動作どうさ定義ていぎされている。
  • しゅ記憶きおく装置そうち
  • 手動しゅどう制御せいぎょ操作そうさにより、以下いかのことが可能かのう
    • ブートプロセス(Initial Program Load、IPL)
    • オペレータによる
    • システムのリセット
    • 基本きほんデバッグ機能きのう
    • システム状態じょうたい(メモリとプロセッサ)を表示ひょうじして手動しゅどう変更へんこう可能かのう
  • 入出力にゅうしゅつりょく機構きこう: 周辺しゅうへん機器ききそのものを記述きじゅつしているわけではない。

おもなオプション機能きのう以下いかとおり。

インタフェース仕様しよう拡張かくちょう可能かのうであるため、初期しょきのインタフェースに影響えいきょうあたえることなくあらたなインタフェースを追加ついか可能かのうである。そのようなれいとしてつぎ拡張かくちょうがあった。

  • ECPS:VM (VM/370 オペレーティングシステムをサポートするための機能きのう
  • ECPS:VSE (DOS オペレーティングシステムをサポートするための機能きのう

アーキテクチャに修正しゅうせいくわえるさいには、互換ごかんせい保持ほじすることに多大ただい労力ろうりょくついやした。とくに、最低さいていでも特権とっけんプログラムの互換ごかんせいだけは確保かくほされた。この方針ほうしんは System/360 のころからのものである。互換ごかんせいたもつためのかぎとなった方針ほうしんとして、使用しようフィールドをあらかじまった通常つうじょう 0)にセットしておいたてんがある。そして、それ以外いがいになっていると例外れいがいとして認識にんしきされる。インタフェースを変更へんこうするとき、この使用しようフィールドをあらたな目的もくてき使用しようすることができる。行儀ぎょうぎいプログラムなら、あらたなインタフェースを実装じっそうしたシステムじょうでも実行じっこう可能かのうであることが期待きたいできる。たとえば、64ビットの PSW レジスタのビット番号ばんごう 32 は使用しようであり、0 でないときは例外れいがい発生はっせいすることになっていた。のちに System/370 XA アーキテクチャが定義ていぎされ、そのビットで 24ビットアドレスなのか31ビットアドレスなのかを識別しきべつするようになった。したがって、24ビットアーキテクチャじょう動作どうさしていたほとんどのプログラムはあらたな31ビットシステムでも64ビットシステムでも動作どうさ可能かのうである。しかし、すべてのインタフェースの互換ごかんせいたもたれたわけではない。たとえば、入出力にゅうしゅつりょくインタフェースは System/370 XA で互換ごかんになっている。このため、オペレーティングシステムデバイスドライバ相当そうとう部分ぶぶん)は移植いしょく必要ひつようであった。

オペレーティングシステム

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System/370の仮想かそう記憶きおくをサポートするオペレーティングシステムには、小規模しょうきぼけの DOS/VS (のDOS/VSE、現在げんざいのz/VSE)、だい規模きぼけの OS/VS(の OS/VS1、OS/VS2、MVS、OS/390、現在げんざいのz/OS)、仮想かそうOSのVM/370などが使用しようできた。

またGNUコンパイラコレクションには System/370 けのバックエンドがあったが、更新こうしんされることなく最後さいごには System/390 ようバックエンドに置換ちかんされた。System/370 と System/390 の命令めいれいセットは基本きほんてきにはおなじで System/360 以来いらい一貫いっかんせい保持ほじしているが、gcc におけるふるいシステムのサポートは重視じゅうしされなかった。現在げんざいサポートされているのは、System/390 Generation 5 (G5) のぜん命令めいれいセットをサポートしたマシンであり、そのハードウェアプラットフォームで Linux/390 がリリースされた。

後継こうけい

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System/370 は1990年代ねんだいSystem/390えられた。ただし、当初とうしょはマーケティングのための製品せいひんラインの改称かいしょうでしかなかった。2000ねんzSeries後継こうけいとして登場とうじょう。zSeries では64ビットのアーキテクチャが導入どうにゅうされており、31ビット以来いらいおおきな変化へんかとなった。アーキテクチャてきにも命令めいれいセットてきにも System/360 からの互換ごかんせい基本きほんてきたもたれている。

その

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System/360では設計せっけい責任せきにんしゃをつとめたジーン・アムダールはSystem/370の設計せっけいさいしん技術ぎじゅつ導入どうにゅうについて積極せっきょくあん主張しゅちょうしたが、すでにSystem/360がだい成功せいこうして多数たすう顧客こきゃく稼働かどうちゅうのため互換ごかんせい重視じゅうしする経営けいえいそうにより却下きゃっかされた。そのためアムダールは1970ねんにIBMを退社たいしゃアムダールしゃ設立せつりつした。アムダールはIBMにたいしてプラグコンパチブル(互換ごかん参照さんしょう)で、かつIBMより「小回こまわりのく」開発かいはつ体制たいせい可能かのうにするしん技術ぎじゅつ採用さいようによる高性能こうせいのう実現じつげんし、IBMにたたかいをいどんだ。初号しょごうモデルの470V/6の開発かいはつ難航なんこうしたが、提携ていけいした富士通ふじつうからの支援しえんもあって無事ぶじ完成かんせい出荷しゅっか(1975ねん)され、そのはIBMとはげしいあらそいをえんじた。

1997ねんにアムダールは富士通ふじつう吸収きゅうしゅうされ、日立製作所ひたちせいさくしょは2000ねん北米ほくべい市場いちばから撤退てったいした。その日立ひたちはメインフレームのハードウェアから撤退てったいし、富士通ふじつうはメインフレームからの撤退てったい表明ひょうめいした。

なおSystem/370の命令めいれい実行じっこうできるワークステーション存在そんざいした。1980ねんMC68000出荷しゅっかされ、それを搭載とうさいしたアポロコンピュータのワークステーションが市場いちば席巻せっけんし、1982ねん創立そうりつサン・マイクロシステムズSPARCプロセッサによりきゅう成長せいちょうすると、IBMもPOWERプロセッサ、IBMばんUNIXのAIX開発かいはつし、RT-PCRS/6000とUnixワークステーションにしたが、MC68000の改造かいぞうチップをみIBM PC/XTでSystem/370の命令めいれい実行じっこうできるシステムも出現しゅつげんした。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Pugh, E.W.; L.R. Johnson, John H. Palmer. IBM's 360 and early 370 systems. MIT Press. ISBN 0-262-16123-0 
  2. ^ Information technology industry timeline, 1964-1974”. 2008ねん2がつ26にち閲覧えつらん
  3. ^ Varian, op. cit., p. 29 – security over delivery of relocating 145 to CSC
  4. ^ A. Padegs (1981ねん9がつ). “System/360 and Beyond”. IBM Journal of Research & Development (IBM) 25 (5): 377–390.  [オンラインばんwww.research.ibm.com – Table 1 として機種きしゅ一覧いちらんひょう、Table 2 として発表はっぴょうひょうがある。S/370-155-II と -165-II は前者ぜんしゃにはあるが後者こうしゃにはない。つまり、これらの改良かいりょうばん機種きしゅ正式せいしきには発表はっぴょうされなかったと推測すいそくされる。"System/370 Advanced Function" の発表はっぴょうでは、-158 と -168 の発表はっぴょう重要じゅうよう項目こうもくであった。
  5. ^ A. Padegs (1983ねん5がつ). “System/370 Extended Architecture: design considerations”. IBM Journal of Research & Development (IBM) 27 (3): 198-205.  [オンラインばんwww.research.ibm.comとくに201ページからの "31-bit addressing" を参照さんしょう
  6. ^ Melinda Varian, VM and the VM community, past present, and future, SHARE 89 Sessions 9059-9061, 1977, p. 26, note 85; available online at www.princeton.edu/~melinda
  7. ^ Varian, op. cit., pp. 8-9, note 21; includes other comments about the "Inner Six" 360-67 design disclosees
  8. ^ IBM timeline of S/370 series”. 2008ねん2がつ26にち閲覧えつらん 3xxx と 4xxx シリーズに 'System/370-compatible' という用語ようご使つかわれている
  9. ^ IBM 9370 announcement letter”. 2014ねん1がつ14にち閲覧えつらん 9370 が System/370 compatible system に分類ぶんるいされている理由りゆう説明せつめいされている。
  10. ^ GA22-7000: System/370 principles of operation
  11. ^ A22-6821: System/360 principles of operation
  12. ^ GA22-7000-4: System/370 principles of operation, p. 9, chapter 1 – describes philosophy of evolution from S/360 to S/370

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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IBMメインフレーム
とし シリーズめい アーキテクチャ おもなモデル おもなOS おも特徴とくちょう
1952 701シリーズ - 701, 704, 709, 7090, 7040, 7094 - 科学かがく技術ぎじゅつけい算用さんよう真空しんくうかん/トランジスタ
1953 702シリーズ - 702, 705, 7080 - 真空しんくうかん/トランジスタ
1953 650シリーズ - 650, 7070, 7074, 7072 - 科学かがく技術ぎじゅつけい算用さんよう真空しんくうかん/トランジスタ
1959 1401シリーズ - 1401, 1410, 1440, 7010, 1460 - 商用しょうようけい算用さんよう、オールトランジスタ
1961 その - 305(RAMAC), 7030(Stretch) - ディスク装置そうち(RAMAC)、マルチタスク(Stretch)
1964 System/360 S/360 20 - 195 OS/360, DOS/360, CP-67/CMS 汎用はんようアーキテクチャIC24ビットアドレッシング、仮想かそう機械きかい
1970 System/370 S/370 115 - 195 OS/VS(MVS), DOS/VS, VM/370 仮想かそう記憶きおくマルチプロセッサPPAR
1977 30x0, 4300, 9370 S/370, S/370-XA 303x/308x/3090, 43x1, 937x MVS/XA, DOS/VSE, VM/XA 31ビットアドレッシング・動的どうてきチャネルサブシステム(S/370-XA)
1990 ES/9000 S/390, ESA/390 9021, 9121, 9221 MVS/ESA, VSE/ESA, VM/ESA, AIX/ESA 64ビットデータ空間くうかん拡張かくちょうストレージ(ES)、LPARESCONFICON
1994 S/390 ESA/390 9672/9674(G1 - G6), IBM Multiprise 2000/3000 OS/390, VSE/ESA, VM/ESA, Linux CMOS, 並列へいれつシスプレックス, UNIX互換ごかん環境かんきょう(OS/390 USS)、Linuxサポート
2000 eServer zSeries z/Architecture z800/z900, z890/z990 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux 64ビットアドレッシング、IFL、zAAP、zIIP、IPv6
2005 System z z/Architecture z9, z10 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux IRD
2010 zEnterprise z/Architecture z114/z196, z12 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux ブレード拡張かくちょう(POWER, x86)
2015 z System z/Architecture z13, LinuxOne (z13)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux
(LinuxOne) Linux, z/VM
2017 IBM Z z/Architecture z14, LinuxOne II (z14)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux
(LinuxOne) Linux, z/VM
暗号あんごうzHyperLink
2019 IBM Z z/Architecture z15, LinuxOne III (z15)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux
(LinuxOne) Linux, z/VM
ぜん方位ほういがた暗号あんごう技術ぎじゅつ、Data Privacy Passports、OpenShift
2022 IBM Z z/Architecture z16 (z16)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux IBM Telumプロセッサー、オンチップのAIアクセラレーター、たい量子りょうし暗号あんごう