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IBM 1400

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
IBM 1401 Data Processing System. ひだりから、1402 カードリーダ/パンチ、1401処理しょり装置そうち、1403プリンター

IBM 1400シリーズは、IBMが1960年代ねんだい初頭しょとう販売はんばいしただい2世代せだい (トランジスタ) の中規模ちゅうきぼ商用しょうよう10しんコンピュータ英語えいごばんである。このコンピュータは、IBM 407英語えいごばんのような作表さくひょうわるものとして提供ていきょうされた。

1400シリーズのマシンは、「ワードマーク」とばれる特殊とくしゅなビットで区切くぎられた可変長かへんちょう文字もじれつとして磁気じきコアメモリ情報じょうほう格納かくのうし、左側ひだりがわには「ワードマーク」、右側みぎがわには「レコードマーク」とばれる特殊とくしゅなビットで区切くぎられていた。演算えんざんは1けたずつ実行じっこうされた。入出力にゅうしゅつりょくには、パンチカード磁気じきテープ高速こうそくラインプリンタなどに対応たいおうしていた。ディスクストレージ用意よういされていた。

このシリーズのおおくのメンバーは、独立どくりつしたシステムとして、あるいはIBMのパンチカード装置そうち拡張かくちょう装置そうちとして、あるいはのコンピュータシステムの補助ほじょ装置そうちとして使用しようできた。ただし、特定とくてい用途ようと目的もくてきとしたものや、独立どくりつしたシステムとしてしか経済けいざいてきではないものもあった。

日本にっぽんでは、とくIBM 1440電子でんし計算けいさん輸入ゆにゅう制限せいげん時代じだい日本にっぽんIBMにより国産こくさんされて、日本にっぽんでも多量たりょう利用りようされた。

歴史れきし

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1959ねん10がつ5にち発表はっぴょうされたIBM 1401は、IBM1400シリーズの最初さいしょのメンバーであった。これは10,000だい以上いじょうのユニットを展開てんかいした最初さいしょのコンピュータであった[1]IBM 1410同様どうよう設計せっけいであるが、アドレス空間くうかんおおきくなっている。IBM 1460は、論理ろんりてきには16,000文字もじのメモリをそなえ、2ばい速度そくどっていたフルオプションの1401だが、物理ぶつりてきにはおなじではなかった。IBM 1240は、磁気じきインク文字もじ認識にんしき(MICR)をサポートする1440システムと同等どうとう銀行ぎんこうシステムであった。IBM 7010は、論理ろんりてきには1410で、物理ぶつりてきにはおなじではなかったが、2ばいはやさであった。

1400シリーズのメンバーにはつぎのようなものがある。

1400シリーズで使用しようされている周辺しゅうへん機器きき

  • カードり・穿孔せんこう装置そうち: IBM 1402, IBM 1442
  • プリンター: IBM 1403, IBM 1443
  • 7トラック磁気じきテープ装置そうち: IBM 729, IBM 7330
  • ディスク記憶きおく装置そうち: IBM 1301, IBM 1311
  • 小切手こぎって装置そうち: IBM 1210
  • かみテープり/穿孔せんこう装置そうち

システム互換ごかんせい

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IBMは、1401と互換ごかんせいのある (あるいはほぼ互換ごかんせいのある) いくつかのモデルを提供ていきょうした。

  • 1460は2ばい高速こうそくで、1401のおおくの特殊とくしゅ機能きのう標準ひょうじゅん装備そうびされていた。
  • 1440は、1401との完全かんぜん互換ごかんせいはないが、てい価格かかく代替だいたいとして人気にんきがあった。
  • 1240、1420、1450は銀行ぎんこうけに特別とくべつ設計せっけいされたシステムだった。
  • 1410は、1401とおな意図いとをもったはるかに高速こうそくなシステムだが、メモリのだい容量ようりょう (最大さいだい10まん文字もじ)、インデックスレジスタの増加ぞうか (15)、命令めいれい追加ついかなどのおおきなちがいがあった。マイクロプログラミング以前いぜん時代じだい注目ちゅうもくすべき機能きのうは、1401のプログラムをそのまま実行じっこうできる「互換ごかんモード」スイッチであった。
  • 7010は、1410のより高速こうそく正確せいかく互換ごかんせいのあるバージョンだった。
  • IBM System/360 Model 30は、1401互換ごかんマイクロプログラム機能きのう注文ちゅうもんすることができた。いくつかの1400シリーズの周辺しゅうへん機器ききは、System/360での使用しよう適応てきおうしていた。

HoneywellのHoneywell 200は、アーキテクチャの類似るいじせいとソフトウェアサポートのわせにより、1401とほぼ互換ごかんせい提供ていきょうした。

フィールドと文字もじのコーディング

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1400シリーズでは、コアストレージなかのアドレス指定してい可能かのう最小さいしょう単位たんい文字もじ(キャラクタ)とばれた。1400 は、BA8421とばれる6ビットにまたがる 進化しんかじゅう進数しんすう (BCD) 形式けいしき英数字えいすうじ内部ないぶ格納かくのうする。文字もじがオペコードまたはフィールドの最初さいしょ文字もじである場合ばあい、「ワードマーク」とばれるべつのビットがふくまれる。また「C」とばれる奇数きすうパリティビットふくまれていた。

算術さんじゅつ演算えんざん基数きすうが10で、1の位置いち高位こういアドレスで、さい上位じょういの10進数しんすうけた複数ふくすうけたのフィールドの低位ていいアドレスはしにあるため「ビッグエンディアン」(big-endian)スタイルになる。これは、オペランドのアクセスのための (インデックスけされた) アドレス計算けいさんと、算術さんじゅつ命令めいれい様々さまざまなオペランドの両方りょうほう関係かんけいしている。オペランドを指定していする命令めいれいないのアドレス・フィールドが固定こていちょうであるのにたいし (これはストレージのサイズに依存いぞんしてことなる)、算術さんじゅつ命令めいれい数値すうちオペランドは任意にんいの(せいの)ながさである。ワードマークアプローチにより、1410は、(実行じっこうされる命令めいれいおうじて)フィールドのりょうはしにアクセスできるため、もっと効率こうりつてきなアクセスを選択せんたくできる。このようにして、高級こうきゅうプログラミング言語げんごのコンパイラは、たとえば、加算かさん命令めいれい減算げんざん命令めいれい、または乗算じょうざん命令めいれいのために、オペランドアドレスの初期しょきぞうぶん (オペランドちょうから1をいたながさによる) を処理しょりする必要ひつようがある[5]

プログラミング言語げんご

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1400シリーズのプログラミング言語げんごには、Symbolic Programming System英語えいごばん (SPS、アセンブリ言語げんご)、Autocoder英語えいごばん(より完全かんぜん機能きのうそなえたアセンブリ言語げんご)、COBOLFORTRANReport Program Generator (RPG)、およびFARGO英語えいごばんふくまれていた。またIBMのユーザー団体だんたいのシェア(SHARE)などの登録とうろくソフトウェアをIBMが配布はいふするものもあった。

退役たいえき

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IBM 1400シリーズは1970年代ねんだいには販売はんばい中止ちゅうしされて、中位ちゅうい機種きしゅはIBM System/360下位かい機種きしゅ(モデル40、モデル30など)に移行いこうしてゆく。System/360のモデル30にはオプションで、IBM 1401のエミュレーターけることができて、これを利用りようしたユーザーもおおい。下位かい機種きしゅSystem/3System/32System/34System/36System/38AS/400などのローエンドマシンにえられた。

1400シリーズは、1970年代ねんだい初頭しょとう正式せいしき撤退てったいしたが、1400シリーズの周辺しゅうへん機器きき一部いちぶ依然いぜんとしてだい3世代せだいのシステムで販売はんばいされていた。

代表だいひょうてきなシステム

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シリーズではじめて1959ねん発売はつばいされたもので、磁気じきテープ主要しゅよう媒体ばいたいとするシステムであった。つぎのような装置そうちから構成こうせいされている。

  • IBM 1401 中央ちゅうおう演算えんざん処理しょり装置そうち(Central Processing Unit、略称りゃくしょう:CPU)オペレーター・コンソール
  • IBM 1402 カード読取よみとり・穿孔せんこう(さんこう)装置そうち (Card Reader/Punch)
  • IBM 1403 印刷いんさつ装置そうち(Printer)
  • IBM 729 磁気じきテープ駆動くどう装置そうち(DMagnetic Tape Drive)

米国べいこくではIBM 1400シシーズのなかでももっとおお使つかわれた。だい企業きぎょうではこれを支店してんなどでの「入出力にゅうしゅつりょく」(パンチカードから磁気じきテープ入力にゅうりょく磁気じきテープからプリンター出力しゅつりょく)として使つかい、本社ほんしゃなどでのIBM 7000主要しゅよう計算けいさんをするというれいおおかった。

米国べいこくカリフォルニアしゅうコンピューター歴史れきし博物館はくぶつかん(Computer History Museum)に実物じつぶつモデルが稼動かどうしている[6]

1960ねん発表はっぴょうされて、IBM 1401よりアドレス空間くうかんやして5文字もじまでとして、メモリーを80,000えいすう文字もじまであつかえるようにしている。つぎのような装置そうちから構成こうせいされている。

  • IBM 1411 Processing Unit
  • IBM 1415 Console
  • IBM 1402 Card Reader/Punch
  • IBM 1403 Printer
  • IBM 1011 Paper Tape Reader
  • IBM 1412 Magnetic Character Reader
  • IBM 1414 Input/Output Synchronizer, Model 3 or 4
    • IBM 729 II Magnetic Tape Units
    • IBM 729 IV Magnetic Tape Units
    • IBM 7330 Magnetic Tape Units
  • IBM 1405 Disk Storage
  • IBM 7750 Programmed Transmission Control Unit

1964ねん には東京とうきょうオリンピックにてオリンピック史上しじょうはつのオンラインシステム実現じつげんしたが、これはIBM 1410 - IBM 1440コンビネーションのデュアルシステムとIBM 1050タ通信システムたつうしんしすてむ使用しようされた。[7] 

よく1965ねんには日本にっぽんはつ銀行ぎんこうオンラインシステム三井みつい銀行ぎんこう実現じつげんしたが、これは日本にっぽんIBM東京とうきょうオリンピックから転用てんようしたIBM 1410 - IBM 1440コンビネーションのデュアルシステムを中央ちゅうおうき、60支店してん配置はいちされたIBM 1060銀行ぎんこう専用せんよう端末たんまつとをむすんだ構成こうせいであった。

1962ねん発表はっぴょうされた磁気じきディスク主要しゅよう媒体ばいたいとするシステムで、磁気じきコア・メモリーの記憶きおく容量ようりょう最高さいこう16,000英数字えいすうじ文字もじまで。つぎのような装置そうちから構成こうせいされている。

  • IBM 1441 中央ちゅうおう演算えんざん処理しょり装置そうち(CPU)
  • IBM 1447 コンソール(Operator's Console)
  • IBM 1442 カード読取よみとり・穿孔せんこう(さんこう)装置そうち (Card Reader/Punch)
  • IBM 1443 印刷いんさつ装置そうち(Printer)
  • IBM 1311 磁気じきディスク駆動くどう装置そうち(Magnetic Disk Drive)

IBM 1440は電子でんし計算けいさん輸入ゆにゅう制限せいげん時代じだい日本にっぽんIBMにより国産こくさんされて、日本にっぽんでも多量たりょう利用りようされた。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ da Cruz, Frank (7 September 2015). “The IBM 1401”. Columbia University Computing History. Columbia University. 11 September 2017閲覧えつらん
  2. ^ 1963”. IBM Archives : History of IBM. IBM (23 January 2003). 11 September 2017閲覧えつらん
  3. ^ The Bank in the 1960s”. A history of the Federal Reserve Bank of Atlanta, 1914–1989. Federal Reserve Bank of Atlanta. 11 September 2017閲覧えつらん
  4. ^ DPD chronology”. IBM Archives : The IBM Data Processing Division. IBM (23 January 2003). 11 September 2017閲覧えつらん
  5. ^ IBM 1410 Principles of Operation (PDF) (Technical report). IBM Systems Reference Library. Vol. Form A22-0526. International Business Machines Corporation. 1 May 1963.
  6. ^ IBM 1401 at Computer History Museum
  7. ^ オリンピック史上しじょうはじめてのオンラインシステム

外部がいぶリンク

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