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IBM RT-PC

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

IBM RTは、ISAバスとIBM 801からの派生はせいひんであるROMPマイクロプロセッサ使つかったコンピュータシステムである。このシステムは1986ねんRT PC(RISC Technology Personal Computer)として最初さいしょ登場とうじょうし、AIX 1.x, 2.x またはAOS(Academic Operating System)か Pick operating system が動作どうさした。一般いっぱん間違まちがってPC RTおぼえているひとおおいので注意ちゅういのちにIBMは名前なまえ単純たんじゅんした。このマシンはあまり成功せいこうせず、すべての機種きしゅ1991ねん値下ねさげされた。しかし開発かいはつ拍車はくしゃがかかり、のちRS/6000POWERのシリーズにがれ、PowerPCへとつながっていくのである。

ハードウェア

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RTには3つの機種きしゅ製造せいぞうされた。615061516152である。マシンの形状けいじょうはいわゆるタワーがた(6150)とデスクトップがた(6151)である。これらの機種きしゅのプロセッサカードは特殊とくしゅ形状けいじょうだった。

6150/6151のプロセッサカードには3つのバージョンがある。標準ひょうじゅんてきな032プロセッサカードは170nsのプロセッササイクル時間じかんで、1Mバイトの標準ひょうじゅんメモリ(1Mバイト、2Mバイト、4Mバイトメモリカードで拡張かくちょう可能かのう)とオプションの浮動ふどう小数点しょうすうてんアクセラレータを搭載とうさい可能かのうだった。改良かいりょうがたプロセッサカードでは100nsプロセッササイクルで、4MバイトメモリかECCつき4Mバイトメモリを搭載とうさいし、20MHzのMC68881浮動ふどう小数点しょうすうてんプロセッサを搭載とうさいしていた。拡張かくちょう改良かいりょうがたプロセッサカードではサイクル時間じかんは80ns、16Mバイトメモリ、さらに標準ひょうじゅん改良かいりょうされた浮動ふどう小数点しょうすうてんアクセラレータが搭載とうさいされていた。

6152という番号ばんごうのマシンは IBM PS/2 model 60 とマイクロチャネルボードバージョンの032プロセッサのハイブリッドで、そのボードは"クロスボウボード"とあだされた。こちらはAOSだけが動作どうさし、AOSの動作どうさしている6150か6151からLANかいしてTCP/IPプロトコルでOSをダウンロードして動作どうさした。

典型てんけいてき構成こうせいとしては、ハードディスクドライブが 20MB から 80MB で、1024×1024 ピクセルの 8ビットグレイスケールのグラフィックスプロセッサ、4MB/s トークンリングアダプターか 10Mbit/s イーサネット(10Base2)アダプターが装備そうびされていた。

ソフトウェア

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RT での特筆とくひつすべきてんは、マイクロカーネル採用さいようであった。キーボード、マウス、ディスプレイ、ディスク装置そうち、ネットワークはすべてマイクロカーネルで制御せいぎょされ、そのうえ複数ふくすうOS同時どうじ動作どうささせることが可能かのうであった。特殊とくしゅなキー操作そうさでOSからOSへ移動いどうすることが可能かのうであった。それによって、かくOSはキーボードとマウスとディスプレイの制御せいぎょけんる。AIX バージョン 2 と Pick OS がマイクロカーネルじょう移植いしょくされた。

RT のしゅたるOSは AIX バージョン 2 であった。AIX v2 のカーネルだい部分ぶぶんPL/I言語げんごかれており、AIX v3 への移行いこう問題もんだいとなった。AIX v2 は TCP/IP完全かんぜんサポートしており、同時どうじSNA、2種類しゅるい分散ぶんさんファイルシステムNFS と Distributed Services)をサポートしている。Distributed Services (DS) は SNA じょう構築こうちくされた分散ぶんさんファイルシステムであり、AS/400 や IBM のメインフレームとの連携れんけい可能かのうであった。GUI としては、X10.3、X10.4、X11 の X Window System採用さいようしていた。コンパイラとしてはFORTRANC言語げんご用意よういされていた。デスクトップアプリケーションとしては、Adobe PageMaker などが存在そんざいした。

RTはX Window System開発かいはつにも重要じゅうよう役割やくわりたしている。ブラウン大学だいがくのグループが X バージョン 9 を RT に移植いしょくしたさいに、整列せいれつされていないデータが RT じょう障害しょうがいこし、それががねとなってバージョン 10 でプロトコル互換ごかんともなうバージョンアップをすることになったのである(1985ねん)。

市場いちばでの状況じょうきょう

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IBM RTは当初とうしょ発表はっぴょうからは、かなりの変化へんか経験けいけんした。おおくの業界ぎょうかい関係かんけいしゃにはRTはパワーがりず、価格かかくたかく、性能せいのうわるいとわれ、おおくのひとがRTを IBM PCいち機種きしゅであるとおもっていた。この混乱こんらんはその最初さいしょ名前なまえ("IBM RT PC")にある。当初とうしょ人々ひとびとは(IBM自身じしんも)これがハイエンドのパーソナルコンピュータだとかんがえていたようにおもわれる。そのためIBMのマシンとしてはおどろくほどサポートがかった。IBM のセールスマンが歩合ぶあいは PC とほとんどおなじであった。典型てんけいてき構成こうせいで 2まんドルであって、販売はんばい容易よういではない。したがって、販売はんばい部門ぶもんは RT の販促はんそく消極しょうきょくてきであった。

RTシステムのひかえめな性能せいのうおなねん発表はっぴょうされた他社たしゃのワークステーションを比較ひかくして、業界ぎょうかい関係かんけいしゃはIBMの方向ほうこうせい疑問ぎもんいた。RT けの AIX は IBM にとってはじめての UNIX への進出しんしゅつであった。ソフトウェアパッケージがく、IBM自身じしんもあまりAIXのサポートに熱心ねっしんでなく、伝統でんとうてきな UNIX の業界ぎょうかい標準ひょうじゅんではられない改造かいぞうがいくつかほどこしてあったため、ソフトウェアベンダーもRTとAIXのサポートにはあまりではなかった。RTは CADきゃど/CAMCATIA市場いちば活路かつろ見出みいだし、科学かがく技術ぎじゅつ計算けいさん教育きょういく分野ぶんやにも若干じゃっかん進出しんしゅつできた。AOS と教育きょういく機関きかんけの割引わりびき発表はっぴょうしてからはとくにその傾向けいこうがある。Pick OS を搭載とうさいしたRTは、小売こうり店舗てんぽ制御せいぎょシステムやIBMのメインフレームとPOS端末たんまつ中継ちゅうけいなどでもある程度ていどれた。

RT のそう出荷しゅっか台数だいすうやく23000だいで、うち4000だいはIBM社内しゃない使つかわれた。Pick OS を搭載とうさいして出荷しゅっかされたのはやく4000だいであった。

イースター・エッグ

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これらのシステムにはイースター・エッグ存在そんざいした。デバッガでCPUのレジスタをたとき、すべての初期しょきされていないレジスタの内容ないよう16しんマジックナンバー 0xdeadbeef表示ひょうじされる。

外部がいぶリンク

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この文書ぶんしょRT/PC FAQ から英語えいごばんWikipediaに掲載けいさいされたものを翻訳ほんやくしたものです。