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トークンリング

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
MAU経由けいゆしてトークンが周回しゅうかいする
ネットワーク障害しょうがい発生はっせいにMAUがリングを維持いじする

トークンリング (Token Ring) [1]は、LAN物理ぶつりそうおよびデータリンクそう規格きかくひとつ。 IBM開発かいはつしたもので、IEEE 802.5規格きかくされている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

1970年代ねんだい初頭しょとうには様々さまざまローカルエリアネットワークテクノロジー開発かいはつされた。 トークンパッシングリングトポロジーの1つであるケンブリッジリングえい: Cambridge Ring)は可能かのうせいたかく、世界中せかいじゅうおおくのチームが独自どくじ開発かいはつんだ。

1981ねんIBMチューリッヒ研究所けんきゅうじょでは、ウェルナーバックスとハンスミュラーがIBMトークンリングテクノロジーの設計せっけい開発かいはつ従事じゅうじし、MIT[2]での初期しょきみでProteon 10Mbit/s ProNet-10トークンリングが開発かいはつされた。同年どうねん、ワークステーションベンダーのアポロコンピュータが75オームのRG-6U同軸どうじくケーブルかいして独自どくじの12Mbit/s Apollo Token Ring(ATR)ネットワークを開発かいはつ。その、シールドなしのツイストペアケーブル動作どうさするProteon 16Mbit/sに進化しんかさせた。

1985ねん10月15にち、IBM独自どくじのトークンリング製品せいひん発売はつばい[3]。4Mbit/sで動作どうさし、メインフレームミッドレンジコンピュータIBM PCからの接続せつぞく可能かのうだった。その、IEEE 802.5として標準ひょうじゅんされた。

1988ねんに、IEEE 802.5委員いいんかいによって、より高速こうそくな16Mbit/sのトークンリングが標準ひょうじゅんされた。その、トークンリング衰退すいたいあいだに、100Mbit/sが標準ひょうじゅんされ販売はんばいしたが普及ふきゅうしなかった。

2001ねんに、1000Mbit/sの規格きかく承認しょうにんされたが市販しはんされず、すでにLANは100メガビット・イーサネットギガビットイーサネットおおくをめていた。

2002ねん1がつ31にち、IBMはトークンリング製品せいひん営業えいぎょう活動かつどう終了しゅうりょうした[4]

概要がいよう[編集へんしゅう]

通信つうしん速度そくどは4Mbpsおよび16Mbps。ノードがリングじょう接続せつぞくされているてん特徴とくちょう物理ぶつりてきに、基幹きかんMAUえい: Media Access Unit)とばれる集線しゅうせん装置そうちでリングがた構成こうせい支線しせんにはハブによるスターがた構成こうせいをとる。集線しゅうせん装置そうち IBM 8228 [5]はIBMデータコネクタ(コネクタ独特どくとく大型おおがたのもの)が使つかわれており、このコネクタにはオスメス区別くべつがなく、おながたの2つのコネクタを接続せつぞくするてん特徴とくちょうがある。また電力でんりょく不要ふよう動作どうさするのでコンセントのないエリアにも配置はいち可能かのうである。IBM 8226 [6]は、IBM 8228とはことなり、RJ45使用しようする集線しゅうせん装置そうち。 LEDが追加ついかされ、コンセントレータまたはスプリッタとしても動作どうさする。ただし、別途べっと電源でんげん必要ひつようである。

論理ろんりてきにはリングがたトポロジー構成こうせいされ、そのリングをトークンばれる信号しんごう高速こうそく周回しゅうかいしている(トークンパッシング)。

情報じょうほう送信そうしんけんはトークンをたノードがつ。したがって、物理ぶつりてきに「衝突しょうとつ」が発生はっせいしない。トークンばれるデータつねにリングじょうネットワークうえまわっているため、データが送受信そうじゅしんされていないときは、トークンは、ただネットワークじょうまわっているだけである。データを送信そうしんするノードはまずいているトークンをつかまえて、それをフレームえてデータを搭載とうさいしておくす。ノードではまわってくるフレームを監視かんししていて、フレーム・ヘッダに自分じぶんあてのアドレスが記載きさいされている場合ばあいにのみ、それを仕組しくみになっており、自分じぶんあてではないデータについては、そのままつぎのノードにまわしてしまう。情報じょうほうはトークンに付加ふかしてつぎのノードにわたす。受信じゅしんノードての情報じょうほうだけを受信じゅしんし、ノードあてのものはトークンごとのノードにまわす。データがこわれた場合ばあいなど、どのノードあて情報じょうほう不明ふめいのものが永久えいきゅうにネットワークをまわつづけるのをふせぐため、ペイロードはなんしゅうかしたのち破棄はきされるようになっている。したがって、ネットワークの帯域たいいき無駄むだなく使つかることができる。

ネットワークの高速こうそくのために、2つ以上いじょうのトークンを巡回じゅんかいさせることも可能かのうである。

通信つうしん速度そくどリングスピードという)の設定せっていあやまった機器きき接続せつぞくすると、ネットワーク全体ぜんたいがダウンしてしまうという欠点けってんがあった。

CSMA/CD方式ほうしきちがってパケットの衝突しょうとつ(コリジョン)がしょうじないため、初期しょきの10BASEイーサネットくらべると性能せいのう安定あんていせいめんすぐれていたが、イーサネットの高速こうそくてい価格かかくスイッチングハブ登場とうじょうにより優位ゆういせいうしなった。

日本にっぽんではIBM PCやLANの普及ふきゅうおくれたため、あまり使つかわれていない。

インターネット普及ふきゅうすすむにつれて、ほとんどのトークンリングがイーサネットに置換ちかんされた。したがって、世界せかいてきにも利用りようされなくなった技術ぎじゅつえる。

ケーブルとインターフェース[編集へんしゅう]

IBM独自どくじのケーブルシステムが採用さいようされている。ケーブルは2ついの150Ωおーむシールドきツイストペアケーブルで極太ごくぶとであった。特殊とくしゅエルマフロディット(雌雄しゆう同体どうたいのコネクタはIBMデータコネクタばれ、標準ひょうじゅんシールド8P8Cよりもすぐれたシールドをそなえていた。コネクタ部分ぶぶん非常ひじょうおおきく、3cmx3cmの接続せつぞく部分ぶぶん必要ひつようこわれやすいという欠点けってんもあった。コンピュータがわのインターフェースは通常つうじょうDE-9コネクタ(メス)である。

トークンリングとイーサネット接続せつぞく[編集へんしゅう]

トークンリングインターフェイスとイーサネットインターフェイスの両方りょうほう装備そうびするマルチプロトコルルーター(IBM 2210-24M)[7]は、トラフィックプロトコル、およびインターフェイスを動的どうてきフィルターする機能きのうがある。そのほかにもAT&T StarWAN 10:4ブリッジ、IBM 9208 LANブリッジ、Microcom LANブリッジがある。

比較ひかく[編集へんしゅう]

長所ちょうしょ[編集へんしゅう]

  • CSMA/CD方式ほうしきことなり、トークンリングはパケットの衝突しょうとつしょうじないため、とく複数ふくすう大量たいりょう伝送でんそう発生はっせいでも速度そくどちずに安定あんていし、ユーザーレスポンスが低下ていかしにくい。

欠点けってん[編集へんしゅう]

  • イーサネット比較ひかくして参入さんにゅうベンダーがすくなく高価こうかとなり、とく中小ちゅうしょう規模きぼ企業きぎょう事業じぎょうしょとうでは普及ふきゅうしなかった。
  • なお「配線はいせんがリングじょうのため、1だいのノードのダウンや1かしょ配線はいせんだんによりネットワーク全体ぜんたいがダウンする」との説明せつめい間違まちがいである。トークンリングはトポロジーはリングだが、物理ぶつり配線はいせんはスターがたで、1かしょ配線はいせんだんかえしがおこなわれるため、トークンの循環じゅんかんとデータ伝送でんそう継続けいぞくされる。(詳細しょうさい上述じょうじゅつ参照さんしょう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]