(Translated by https://www.hiragana.jp/)
Universal Mobile Telecommunications System - Wikipedia コンテンツにスキップ

Universal Mobile Telecommunications System

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
UMTSのネットワーク・アーキテクチャ

ユニバーサル移動いどうたい通信つうしんシステム(ユニバーサルいどうたいつうしんシステム)、Universal Mobile Telecommunications SystemUMTS)はだい3世代せだい (3G) 移動いどう通信つうしんテクノロジーの1つであり、同時どうじ4Gテクノロジーに発展はってんしつつある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

UMTSの最初さいしょ公開こうかいばんはリリース99 (R99) アーキテクチャである。3GPP策定さくていし、ITUIMT-2000規格きかく一部いちぶとなっている。UMTSのもっと一般いっぱんてき形態けいたい基盤きばんとなる無線むせんインタフェースW-CDMA (IMT Direct Spread) を使つかうものだが、ほかにもTD-CDMATD-SCDMAともに IMT CDMA TDD)もある。完全かんぜんなネットワークシステムとして、UMTSには無線むせんアクセスネットワークUMTS Terrestrial Radio Access Network)と基幹きかん回線かいせんもうMobile Application Part、MAP)もふくまれ、UIMカードによるユーザー認証にんしょうふくまれる。

EDGEGSMもとづく IMT Single-Carrier)やCDMA2000 (IMT Multi-Carrier) とはことなり、UMTSはあらたな基地きちきょくあらたな周波数しゅうはすうてを必要ひつようとする。しかし、概念的がいねんてき部分ぶぶんはGSMにもとづいているため、GSM/EDGE とはよくている。さらにUMTS端末たんまつおおくはGSMもサポートしており、シームレスにデュアルモード運用うんよう可能かのうとなっている。したがってUMTSはとき3GSMとして販売はんばいされ、GSMとの親和しんわせい強調きょうちょうすることがあった。

UMTSという名称めいしょう欧州おうしゅう電気でんき通信つうしん標準ひょうじゅん機構きこう (ETSI) がめたもので、ヨーロッパでおも使つかわれている。ヨーロッパ以外いがいでは、FOMA[1]あるいはW-CDMAなどとばれている[nb 1][2][1]。マーケティングじょうたん3G あるいは 3G+ばれることがおおい。

特徴とくちょう機能きのう[編集へんしゅう]

3GでのUMTSは、理論りろんじょう最大さいだいデータ転送てんそうレート 42 Mbit/s(HSPA+)までをサポートしているが[3]、R99規格きかく携帯けいたいでは実際じっさい転送てんそうレートは 384 kbit/sで、HSDPA規格きかく携帯けいたいではくだり 7.2 Mbit/s となっている。これでもGSMの単一たんいつあやま訂正ていせい回線かいせん交換こうかんタ通信たつうしんの 9.6 kbit/s やHSCSDの9.6kbit/s複数ふくすうチャネル(CDMAOneでは14.4kbit/s)より高速こうそくであり、CDMA2000無線むせんLANなどの競合きょうごうテクノロジーと同様どうようWorld Wide Web携帯けいたいようデータサービスへのアクセスを提供ていきょうする。

3G以前いぜんには GSMIS-95PDCCDMA PHSといった2G携帯けいたい電話でんわシステムやの2Gテクノロジーが各国かっこく使つかわれていた。GSM場合ばあい、2Gから2.5GともばれるGPRSへの移行いこうパスが用意よういされていた。GPRSではデータレートが拡大かくだいされ(理論りろんじょう最大さいだいは 140.8 kbit/s だが、典型てんけいてきなレートはやく 56 kbit/s)、回線かいせん交換こうかんというよりむしろパケット交換こうかんちかいものになっている。これがGSMを採用さいようしていた各地かくち展開てんかいされた。E-GPRSまたはEDGEはGPRSをさらに発展はってんさせたもので、よりあたらしい符号ふごう方式ほうしきもとづいている。EDGEでは実際じっさいのパケット転送てんそうレートはおおよそ 180 kbit/s である。EDGEシステムは2.75Gシステムともばれる。

2006ねん以降いこう、UMTSネットワークを採用さいようした各国かっこくHSDPA (High-Speed Downlink Packet Access) または3.5Gへのアップグレードをおこなってきた。現在げんざいではHSDPAのくだ転送てんそう速度そくど最大さいだい 21 Mbit/s にたっしている。のぼ方向ほうこう転送てんそう速度そくど改善かいぜんするHSUPA (High-Speed Uplink Packet Access) も導入どうにゅうされた。長期ちょうきてきには 3GPP Long Term Evolution プロジェクトでUMTSを4Gの速度そくどであるくだり 100Mbit/s、のぼり 50 Mbit/s まで移行いこうさせる計画けいかくであり、そのために直交ちょっこう周波数しゅうはすう分割ぶんかつ多重たじゅう方式ほうしきもとづく次世代じせだい無線むせんインタフェーステクノロジーを使用しようする。

国家こっか規模きぼのUMTSネットワークは2002ねん運用うんよう開始かいしされた。このとき、電話でんわ会社かいしゃ動画どうが配信はいしんテレビ電話でんわといったアプリケーションを強調きょうちょうしていた。UMTSのたかいデータ転送てんそう速度そくどおもにインターネットアクセスに利用りようされている。日本にっぽんでも国々くにぐにでもテレビ電話でんわ需要じゅようはあまりなく、電話でんわ会社かいしゃ提供ていきょうする音声おんせい/動画どうがより World Wide Web への高速こうそくアクセスの需要じゅようたかかった。これは、携帯けいたいのみでインターネットアクセスするだけでなく、なんらかの手段しゅだんBluetooth赤外線せきがいせんUSBなど)でパーソナルコンピュータに接続せつぞくして使つかうという形態けいたいふくまれる。

テクノロジー[編集へんしゅう]

UMTSは3種類しゅるい無線むせんインタフェース、GSMMobile Application Part (MAP) コア、GSMけい音声おんせいコーデックなどをまとめたものである。

無線むせんインタフェース[編集へんしゅう]

UMTSはいくつかの無線むせんインタフェース提供ていきょうしており、それらを UMTS Terrestrial Radio Access (UTRA) と[4]すべての無線むせんインタフェースはITUIMT-2000一部いちぶとなっている。現在げんざい携帯けいたい電話でんわもっとおお使つかわれているのは W-CDMA (IMT Direct Spread) である。

W-CDMA、TD-CDMA、TD-SCDMA という用語ようご誤解ごかいみやすい。これらはCDMAとあることから多元たげん接続せつぞく種類しゅるいおもわれがちだが、実際じっさいには無線むせんインタフェース規格きかく全体ぜんたい名称めいしょうである[5]

地上ちじょう (terrestrial) 以外いがい無線むせんアクセスネットワークについては、いま研究けんきゅうちゅうである。

W-CDMA (UTRA-FDD)[編集へんしゅう]

建物たてもの屋上おくじょう設置せっちされたUMTSトランスミッター

W-CDMAは、直接ちょくせつシーケンス方式ほうしきで5MHzのチャネルを2つ使用しようする。これにたいして競合きょうごうするCDMA2000は1つ以上いじょう任意にんいの1.25MHzチャネルをのぼりとくだ双方そうほう使用しようする。使用しようする周波数しゅうはすうたいひろてん欠点けってんとされており、アメリカのように周波数しゅうはすうたいてがっているくにでは採用さいようおくれた。

UMTS規格きかく元々もともと指定していしていた周波数しゅうはすうたいは、のぼように1885-2025MHz、くだように2110–2200MHzだった。アメリカでは1900MHzたいすで使つかわれていたため、わりに1710–1755MHzと2110–2155MHzを使つかうことにした[6]。UMTS2100はUMTSようもっとひろ使つかわれているが、くにによっては850MHzたいや1900MHzたいでUMTSを運用うんようしている(それぞれおな周波数しゅうはすうたいのぼりとくだりのチャネルがある)。たとえば、アメリカではAT&Tモビリティ、ニュージーランドのテレコム・ニュージーランド、オーストラリアのテルストラなどがそうした周波数しゅうはすうたい使つかっている。

W-CDMA は IMT-2000 では IMT Direct Spreadばれている。

UTRA-TDD HCR[編集へんしゅう]

UMTS-TDD無線むせんインタフェースはTD-CDMA方式ほうしきでチャネルを使用しようし、これを UTRA-TDD HCRしょうする。5MHzの周波数しゅうはすうたいを10msのフレームにけ、1フレームを15タイムスロットにけて使用しようする(毎秒まいびょう1500スロット)[7]。タイムスロットはある一定いってい割合わりあいのぼりとくだりにられる。TD-CDMAは複数ふくすう送受信そうじゅしん通信つうしん多重たじゅうするのに使つかわれる。W-CDMAとはことなり、のぼりとくだりの周波数しゅうはすうたいける必要ひつようはなく、よりせま帯域たいいき使用しようできる。

TD-CDMA は IMT-2000 では IMT CDMA TDDばれている。

TD-SCDMA (UTRA-TDD 1.28 Mcps Low Chip Rate)[編集へんしゅう]

TD-SCDMATDMA方式ほうしき同期どうきしきCDMAをわせたもので[8]、1.6MHzの周波数しゅうはすう帯域たいいき使用しようする。TD-CDMAよりさらにせま帯域たいいき利用りよう可能かのうである。しかし、この規格きかく中国ちゅうごく開発かいはつした背景はいけいには、中国人ちゅうごくじん以外いがい特許とっきょけん保有ほゆうしゃへのライセンスりょう支払しはらいをらすという目的もくてきがあった。無線むせんインタフェースとはことなり、TD-SCDMAはUMTSの一部いちぶではなかったが、Release 4 で仕様しようくわえられた。

TD-CDMA と同様どうよう、IMT-2000 では IMT CDMA TDDばれている。

無線むせんアクセスネットワーク[編集へんしゅう]

UMTSには、ことなる無線むせんインタフェースや周波数しゅうはすうたい使用しようした基地きちきょくぐん構成こうせいされる UMTS Terrestrial Radio Access Network (UTRAN) についても規定きていしている。

UMTSとGSM/EDGEはコアネットワーク(CN)を共有きょうゆうでき、GERAN(GSM/EDGEのRAN=無線むせんアクセスネットワーク)の代替だいたい無線むせんアクセスネットワークとしてUTRANが使つかえ、通信つうしん可能かのう範囲はんいとサービスのニーズによってRANあいだ透過とうかてきえが可能かのうである。このため、UMTSとGSM/EDGEの無線むせんアクセスネットワークは集合しゅうごうてきUTRAN/GERANばれることがある。

UMTSネットワークはGSM/EDGEと統合とうごうされていることがおおく、GSM/EDGEのネットワークもIMT-2000の一部いちぶとされている。

RAN(無線むせんアクセスネットワーク)のUE(ユーザー機器きき)インタフェースは、だいいちにRRC (Radio Resource Control)、RLC (Radio Link Control)、MAC (Media Access Control) というプロトコルぐんからる。RRCプロトコルは接続せつぞく確立かくりつ測定そくてい無線むせんベアラサービス、セキュリティ、ハンドオーバー決定けっていなどを処理しょりする。RLCプロトコルは Transparent Mode (TM)、Unacknowledge Mode (UM)、Acknowledge Mode (AM) の3つのモードにかれている。おおまかにえば、AMはTCPていて、UMはUDPている。TMモードでは上位じょういそうのSDU (Service Data Unit) にヘッダを追加ついかせずに下位かいそうわたす。MACは上位じょういそう(RRC)で設定せっていされたパラメータにしたがい、無線むせんインタフェースじょうのデータのスケジューリングを処理しょりする。

データ転送てんそう関連かんれんする属性ぞくせいぐんを Radio Bearer (RB) とぶ。この属性ぞくせいぐんはTTI (Transmission Time Interval) における最大さいだい許容きょようデータを決定けっていする。RBにはRLC情報じょうほうとRBマッピングがふくまれる。RBマッピングは「RB⇔論理ろんりチャネル⇔伝送でんそうチャネル」のマッピングを決定けっていする。信号しんごうメッセージは Signaling Radio Bearers (SRBs) じょうおくられ、データパケット(CSおよびPS)はデータRBじょうおくられる。RRCとNASメッセージはSRBじょうおくられる。

セキュリティとしては、完全かんぜんせい暗号あんごうの2つの手続てつづきがある。完全かんぜんせいとは、メッセージの資源しげん検証けんしょうし、第三者だいさんしゃ無線むせんインタフェースじょうでメッセージを改竄かいざんしていないことを保証ほしょうすることである。暗号あんごう無線むせんインタフェースじょうのデータを第三者だいさんしゃ盗聴とうちょうするのをふせぐ。SRBには完全かんぜんせい暗号あんごう両方りょうほう適用てきようされるが、データRBには暗号あんごうのみをほどこす。

コアネットワーク[編集へんしゅう]

Mobile Application Partともに、UMTSはGSM/EDGEとおなじコアネットワーク規格きかく採用さいようしている。そのため、既存きそんのGSM運用うんよう業者ぎょうしゃ移行いこう容易よういになっている。ただし、UMTSへの移行いこうにはコストがかかる。コア基盤きばんのほとんどはGSMと共通きょうつうだが、新規しんき周波数しゅうはすうたいのライセンス取得しゅとくなどにコストがかかる。

コアネットワーク (CN) はインターネットISDNなどの各種かくしゅバックボーンネットワークに接続せつぞく可能かのうである。UMTS(とGERAN)はOSI参照さんしょうモデル下位かい3そうふくんでいる。ネットワークそう(OSIだい3そう)には Radio Resource Management (RRM) プロトコルがあり、携帯けいたい電話でんわ固定こてい電話でんわあいだ通話つうわなどを管理かんりしている。

周波数しゅうはすう[編集へんしゅう]

2004ねん12がつ現在げんざいぜん世界せかいで130以上いじょう運用うんよう業者ぎょうしゃGSMもとづいたW-CDMA無線むせんアクセステクノロジーのライセンスが発行はっこうされている。ヨーロッパでは、ライセンス獲得かくとく一種いっしゅのテクノロジーバブルの末端まったん発生はっせいし、とくにイギリスやドイツではオリジナルの2100MHzの周波数しゅうはすうたいへの入札にゅうさつ殺到さっとうして、その価格かかく高騰こうとうした。ドイツでは6のライセンスに合計ごうけいで508おくユーロが支払しはらわれ、そのうち2購買こうばいしゃ(Mobilcomとソネラ/テレフォニカ)によってのちてられ、無効むこうになった。この高額こうがくのライセンスりょうは、ってみれば今後こんご携帯けいたい電話でんわサービスの収入しゅうにゅう前倒まえだおしでせられた税金ぜいきんのようなものである。ヨーロッパのいくつかの通信つうしん業者ぎょうしゃとくKPN)はこの高額こうがくのライセンスりょうによってほとんど破産はさんちか状態じょうたいまれた。それでも一部いちぶ通信つうしん業者ぎょうしゃ過去かこすうねんあいだにライセンスりょうのコストを収益しゅうえきもどしている。最近さいきんではフィンランドの通信つうしん業者ぎょうしゃが2GのGSM基地きちきょく共有きょうゆうするかたちで900MHzのUMTSを使つかいはじめており、この傾向けいこう今後こんご1-3ねんのヨーロッパで拡大かくだいするとられている。

ヨーロッパにてられた2100MHzのUMTSの周波数しゅうはすうたいは、すで北米ほくべい使つかわれている。1900MHzたい2G (PCS) サービスに使つかわれており、2100MHzたい衛星えいせい通信つうしん使つかわれている。しかし調整ちょうせいがわは2100MHzたい一部いちぶを3Gサービスに解放かいほうし、1700MHzたいをアップリンクよう解放かいほうした。北米ほくべいのUMTS運用うんよう業者ぎょうしゃはヨーロッパふうの2100/1900MHzシステムを実装じっそうしたいとかんがえており、そのためには1900MHzたい既存きそんの2Gサービスと周波数しゅうはすうたい共有きょうゆうする必要ひつようがある。

AT&Tワイヤレスは、2Gサービスようてられた1900MHzたいをつかったUMTSサービスを2004ねんまつ北米ほくべい開始かいしすることとした。2004ねん、AT&Tワイヤレスはシンギュラーに買収ばいしゅうされたが、実際じっさいにアメリカの主要しゅよう都市としでUMTSサービスを開始かいししている。シンギュラーはAT&Tモビリティ改称かいしょうし、さらにいくつかの都市としで850MHzたいでのUMTSサービスを開始かいしして既存きそんの1900MHzたいのUMTSを補完ほかんしている。このため携帯けいたい端末たんまつとしては850MHzと1900MHzの両方りょうほう対応たいおうしたものを販売はんばいしている。

TモバイルはアメリカでのUMTSに2100/1700MHzたい使つかっている。

カナダでは、Rogers、Bell、Telus が850MHzたいでUMTSサービスを提供ていきょうしている。最近さいきんではあらたなプロバイダーである Wind MobileMobilicity が2100/1700MHzたい運用うんよう開始かいしした。また、QuebecorShaw Communications もサービス開始かいし予定よていしている。

2008ねん、オーストラリアのテルストラ既存きそんのCDMAネットワークを国家こっかてき規模きぼの3Gネットワーク NextG置換ちかんし、850MHzたい運用うんようしている。テルストラは現在げんざいはこのネットワークでUMTSサービスを提供ていきょうしているが、3GISという企業きぎょう共同きょうどう所有しょゆうする2100MHzのUMTSネットワークでも運用うんようおこなっている。3GISには Hutchison 3G Australia参加さんかしており、このネットワークはおも同社どうしゃ顧客こきゃくけに使つかわれている。オプタス都市としでは2100MHzたい郊外こうがいでは900MHzたいで3Gネットワークを提供ていきょうしようとしている。Vodafone は900MHzたいで3Gネットワークを構築こうちくしている。

インドのBSNLは2009ねん10がつから大都市だいとしでの3Gサービスを開始かいしし、徐々じょじょちいさな都市とし拡大かくだいしている。850MHzや900MHzたいは1700/1900/2100MHzのネットワークよりもカバーできる範囲はんいひろく、基地きちきょく加入かにゅうしゃがまばらとなる郊外こうがいてきしている。

みなみアメリカでは850MHzのネットワークの展開てんかいすすんでいる。

相互そうご運用うんようせい国際こくさいてきローミング[編集へんしゅう]

UMTSの携帯けいたいはしまつ(およびデータカード)はたか相互そうご運用うんようせいっており、(プロバイダあいだでローミング契約けいやくむすばれていれば)のUMTSネットワークじょうでのローミング容易よういおこなえるように設計せっけいされている。さらにUMTS携帯けいたい端末たんまつはUMTS/GSMのデュアルモードであることがおおく、UMTSのサービス地域ちいきがいであっても透過とうかてきにGSMにハンドオフすることで通話つうわ続行ぞっこうできる場合ばあいもある。ただし、ローミング料金りょうきん通常つうじょう通話つうわ料金りょうきんよりもかなり高額こうがくである。

UMTSネットワークを運用うんようする通信つうしん業者ぎょうしゃにとって、透過とうかてきかつ国際こくさいてきローミング重要じゅうよう問題もんだいである。たか相互そうご運用うんようせい可能かのうにするため、UMTSの携帯けいたい端末たんまつはいくつかの周波数しゅうはすうたいをサポートし、同時どうじにGSMもサポートしていることがおおい。くにちがえばUMTSの周波数しゅうはすうたいことなる。ヨーロッパでは2100MHzだが、アメリカでは850MHzと1900MHzを使つかっている通信つうしん業者ぎょうしゃおおい。Tモバイルはアメリカで1700MHz(のぼり)/2100MHz(くだり)でネットワークを運用うんようしている。携帯けいたい端末たんまつとネットワークが共通きょうつう周波数しゅうはすうをサポートしていないと通信つうしんできない。周波数しゅうはすうたいことなっていたため、初期しょきのアメリカ国内こくないけのUMTS携帯けいたい海外かいがいでは使つかえず、ぎゃく同様どうようだった。いまでは、ぜん世界せかいで11種類しゅるい周波数しゅうはすう組合くみあわせがUMTSで使つかわれている。

UMTS携帯けいたい電話でんわGSMSIMカードもとづくUSIMカード使つかうが、GSMのSIMカードでも(UMTSサービスをふくめて)動作どうさする。これは認証にんしょう世界せかい標準ひょうじゅんであり、ネットワークは携帯けいたい電話でんわないの(U)SIMを識別しきべつ認証にんしょうすることができる。ネットワークあいだのローミングではえることで通話つうわ可能かのうにし、そのユーザーが利用りよう可能かのうなサービスの範囲はんい価格かかく決定けっていする。ユーザーの加入かにゅうしゃ情報じょうほう認証にんしょう情報じょうほうくわえて、(U)SIMは電話でんわちょうのためのストレージ領域りょういき提供ていきょうする。携帯けいたい電話でんわじょうのデータはべつのメモリに格納かくのうすることもできるし、(U)SIMカードに格納かくのうすることもできる(ただし電話でんわちょう格納かくのうかぎられている場合ばあいおおい)。(U)SIMをべつのUMTSまたはGSM方式ほうしき携帯けいたい電話でんわうつすことができ、そうすることで電話でんわ番号ばんごうなどの携帯けいたい電話でんわ固有こゆう情報じょうほうがそちらの携帯けいたい電話でんわうつされることになる。

日本にっぽんではいちはやく3Gテクノロジーが採用さいようされたが、それ以前いぜんはGSM方式ほうしきではなかったため、携帯けいたい電話でんわにGSMとの互換ごかん機能きのう必要ひつようがなく、他国たこくくらべると当初とうしょから小型こがた軽量けいりょうの3G携帯けいたい電話でんわ実現じつげんしていた。2002ねんNTTドコモはじめたFOMAは、世界せかいはつのUMTS仕様しよう完成かんせいまえ)に準拠じゅんきょした3Gネットワークだった[9]当初とうしょ細部さいぶでUMTS規格きかく互換ごかん部分ぶぶんもあったが、USIMカードを使つかっており、USIMカードによるローミングが可能かのうだった(海外かいがい旅行りょこうさいにUSIMカードをUMTSまたはGSM携帯けいたいえて利用りよう可能かのう)。NTTドコモもソフトバンクモバイル(2002ねん12月に3Gを開始かいし)もいまではUMTS規格きかくによるネットワークを運営うんえいしている。

携帯けいたい機器ききとモデム[編集へんしゅう]

Nokia 6280 はUMTS携帯けいたい電話でんわの1つ

大手おおて2G携帯けいたい電話でんわメーカーはすべて、いまでは3G携帯けいたい電話でんわ製造せいぞうしている。初期しょきの3G携帯けいたい電話でんわやモデムはそのくに使つかわれている周波数しゅうはすうたいだけに対応たいおうしており、ローミングで海外かいがい使つかおうとおもってもおな周波数しゅうはすうたい運用うんようしているくにでしか使つかえなかった。カナダとアメリカは周波数しゅうはすうたい共有きょうゆうしており、ヨーロッパ各国かっこくあいだでも同様どうようである。UMTSネットワークのうち、W-CDMA (UMTS-FDD) の周波数しゅうはすうたいについてはW-CDMA記事きじ概要がいようがある。

携帯けいたいがた無線むせんLANルーターやPCMCIAやUSBカードがたのモデムを使つかうと、任意にんいのコンピュータ(タブレットPCPDAなど)で3Gブロードバンドサービスにアクセスできる。モデムの場合ばあい必要ひつようなソフトウェアも自動的じどうてきにインストールするものもあり、とく知識ちしきがなくてもオンライン状態じょうたいにできる。Bluetooth 2.0 対応たいおうの3G携帯けいたい電話でんわ使つかえば、複数ふくすうだいの(Bluetooth対応たいおうの)コンピュータをインターネットに接続せつぞくできる。一部いちぶスマートフォン無線むせんLANのアクセスポイントとしても機能きのうする。

3Gのぜん周波数しゅうはすうたい(850/900/1700/1900/2100MHz)に対応たいおうした携帯けいたい電話でんわやモデムはほとんどない。しかし、複数ふくすう周波数しゅうはすうたい対応たいおうした携帯けいたい電話でんわおおく、ローミングにそのまま対応たいおうできる。たとえば、850/900/1900/2100MHzの4バンド対応たいおうのチップセットがAppleiPhone使つかわれており、UMTS-FDDの使つかわれているほとんどのくに利用りよう可能かのうとなっている。

競合きょうごう規格きかく[編集へんしゅう]

UMTSのおも競合きょうごう規格きかくCDMA2000 (IMT-MC) であり、3GPP2開発かいはつした。UMTSとはことなりCDMA2000は既存きそんの2G規格きかく CdmaOne進化しんかさせたもので、おな周波数しゅうはすうない共存きょうぞんできる。また、CDMA2000は必要ひつようとする周波数しゅうはすう帯域たいいきせまく、既存きそん周波数しゅうはすうたい配置はいちするのが容易よういである。すべてではないが一部いちぶのGSM運用うんよう業者ぎょうしゃは、UMTSかGSMのどちらか一方いっぽう実装じっそうするのにせいいっぱいな周波数しゅうはすうたいしかてられていない。たとえば、アメリカでは D、E、F という周波数しゅうはすうブロックはそれぞれ5MHzの周波数しゅうはすうたいしかてられていない[10]標準ひょうじゅんてきなUMTSシステムはその周波数しゅうはすうたい使つかってしまう。CDMA2000はUMTSと地域ちいきてき共存きょうぞんすることがおおい。しかしおな周波数しゅうはすうスライスをべつ方式ほうしき同時どうじにライセンスすることは法律ほうりつじょう問題もんだいもあり、共存きょうぞん問題もんだいはここではあまり関係かんけいない。

UMTSのもう1つの競合きょうごう規格きかくは2GのGSMシステムを進化しんかさせたEDGE (IMT-SC) であり、既存きそんのGSMの周波数しゅうはすうたい使用しようする。通信つうしん業者ぎょうしゃにとっては、UMTSのネットワークを構築こうちくするよりも、既存きそんのネットワークにEDGE機能きのう実装じっそうするほうがはるかに安価あんか素早すばや対応たいおう可能かのうである。しかし、UMTSもEDGEも3GPP策定さくていしたもので、しん競合きょうごう規格きかくではない。むしろUMTSのネットワークを展開てんかいするまでの一時いちじてき対策たいさくである。実際じっさい、GSM/EDGEとUMTSはコアネットワーク共通きょうつうであり、垂直すいちょくハンドオーバなどのデュアルモード運用うんよう可能かのうである。

中国ちゅうごくTD-SCDMAもしばしば競合きょうごう規格きかくとされる。TD-SCDMAは UMTS Release 4 で UTRA-TDD 1.28 Mcps Low Chip Rate (UTRA-TDD LCR) として追加ついかされた。W-CDMA (UTRA-FDD) と競合きょうごうする TD-CDMA (UTRA-TDD 3.84 Mcps High Chip Rate, UTRA-TDD HCR) とはことなり、マクロセル方式ほうしきにもマイクロセル方式ほうしきにもてきしている。しかし採用さいようベンダーがいないため、しん競合きょうごう規格きかくとはなっていない。

DECT人口じんこう過密かみつ都会とかいではUMTSなどと技術ぎじゅつてき競合きょうごうする可能かのうせいっている。DECTはコードレス電話でんわ規格きかくであり、家庭かていないなどのせまいネットワークを提供ていきょうする。

競合きょうごうするすべての規格きかくはITUがIMT-2000ファミリの一部いちぶとして承認しょうにんしている。

インターネットアクセスというめんでは、WiMAXFlash-OFDM競合きょうごう規格きかくといえる。

GPRSからUMTSへの移行いこう[編集へんしゅう]

GPRSネットワークからは、以下いかのネットワーク要素ようそがそのままさい利用りようできる。

GSMの無線むせんネットワークのうち、以下いか要素ようそさい利用りようできない。

  • Base Station Controller (BSC)
  • Base Transceiver Station (BTS)

これらはそのままネットワークじょうのこしておいて、2Gと3Gのネットワークを並存へいそんさせることで3Gへの移行いこうをスムーズにった。

UMTSであらたに必要ひつようとなったネットワーク要素ようそつぎとおりである(3GPPでの呼称こしょう)。

MSCとSGSNのにな機能きのうはUMTSに移行いこうすると変化へんかする。GSMでは、MSCがすべての回線かいせん交換こうかん操作そうさ制御せいぎょしていた。また、SGSNはすべてのパケット交換こうかん操作そうさとデータ転送てんそうあつかっていた。UMTSではメディアゲートウェイ(MGW)が回線かいせん交換こうかんでもパケット交換こうかんでもすべてのデータ転送てんそうあつかう。MSCとSGSNはMGWにたいする制御せいぎょつ。このため、これらのノードはMSCサーバ、SGSNサーバとばれるようになっている。

課題かだい[編集へんしゅう]

アメリカや日本にっぽんなどのくにでは、ITU勧告かんこくとはことなる周波数しゅうはすうてをしており、UMTSのもっと標準ひょうじゅんてき周波数しゅうはすうたい (UMTS-2100) が利用りよう可能かのうでない場合ばあいがある。それらのくにでは代替だいたい周波数しゅうはすうたい使つかわれているため既存きそんのUMTS-2100よう機器きき使つかえず、機器きき設計せっけい製造せいぞう変更へんこう要求ようきゅうされる。しかし、GSMにくらべればUMTSよう携帯けいたい端末たんまつはUMTSとGSMのりょうモードに対応たいおうしマルチバンド対応たいおうであることがおおいため、問題もんだいはそれほど深刻しんこくではない。4バンドのGSM機器きき(850、900、1800、1900MHz)や3バンドUMTS機器きき(850、1900、2100MHz)もめずらしくない状況じょうきょうになっている。

UMTSはおおくのくにでリリース初期しょき問題もんだい経験けいけんしている。まず携帯けいたいおもく、しかもバッテリー寿命じゅみょうみじかいという問題もんだいしょうじた。モトローラのA830という携帯けいたい重量じゅうりょうが200グラム以上いじょうで、重量じゅうりょう軽減けいげんするためにカメラを着脱ちゃくだつ可能かのうにしていた。もう1つのおおきな問題もんだいは、UMTSからGSMへのハンドオーバーのさい通話つうわ信頼しんらいせいだった。ハンドオーバーがUMTSからGSMへという一方向いちほうこうだったためにきた問題もんだいだったが、現在げんざいのネットワークではこの問題もんだいすで解決かいけつされている。

UMTSネットワークは当初とうしょ、GSMにくらべるとおおくの基地きちきょくみつ配置はいちする必要ひつようがあった。ビデオ・オン・デマンド機能きのう対応たいおうした本格ほんかくてきなUMTSでは、基地きちきょくは1kmから1.5km間隔かんかく配置はいちする必要ひつようがあった。これは2100MHzたいをつかう場合ばあいであって、850MHzや900MHzといったひく周波数しゅうはすうたいをつかう場合ばあいはそのかぎりではない。このため2006ねん以降いこうてい周波数しゅうはすうたいのネットワークの採用さいようえている。

てい周波数しゅうはすうたいであっても、UMTSはGSMよりも電力でんりょくおお消費しょうひする。Apple初代しょだい iPhoneEDGE採用さいようした理由りゆうとしてUMTSの電力でんりょく消費しょうひおおさをげた[11]。iPhone 3G のリリースにあたっては、UMTSを使つかったときの通話つうわ時間じかんはGSMのときの半分はんぶんになるとしていた。のメーカーはUMTSとGSMのバッテリー寿命じゅみょうについて、またちがった見解けんかいしめしている。バッテリー技術ぎじゅつとネットワーク技術ぎじゅつ進歩しんぽするにしたがって、この問題もんだい解消かいしょうされつつある。

リリース履歴りれき[編集へんしゅう]

UMTSは計画けいかくされたリリースにしたがって進歩しんぽしている。かくリリースで、しん機能きのう導入どうにゅうされ、既存きそん機能きのう改良かいりょうされていく。

Release '99[編集へんしゅう]

  • ベアラ・サービス
  • 回線かいせん交換こうかん 64 kbit/s
  • パケット交換こうかん 384 kbit/s
  • ロケーション・サービス
  • 電話でんわサービス - GSM互換ごかんUSIMカードベース。

Release 4[編集へんしゅう]

  • EDGEラジオ
  • マルチメディア・メッセージング
  • MExE (Mobile Execution Environment)
  • ロケーションサービスの改良かいりょう
  • IP Multimedia Services (IMS)

Release 5[編集へんしゅう]

Release 6[編集へんしゅう]

  • WLAN統合とうごう
  • マルチメディアのブロードキャストとマルチキャスト
  • IMSの改良かいりょう
  • HSUPA
  • Fractional DPCH

Release 7[編集へんしゅう]

  • Enhanced L2
  • 64 QAM , MIMO
  • VoIP over HSPA
  • CPC - Continuous Packet Connectivity
  • FRLC - Flexible RLC

Release 8[編集へんしゅう]

  • DC-HSPA
  • HSUPA 16QAM

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ W-CDMAという用語ようごは、通常つうじょうUMTSの主要しゅよう無線むせんインタフェース UTRA-FDD またはUTRA-FDDじょうでのみ運用うんようされるネットワークを意味いみする。しかし、これをUMTSそのものまたはUMTSの無線むせんインタフェースの意味いみ使つかうこともある。たとえば3GPPでもW-CDMAには「周波数しゅうはすう分割ぶんかつふくしん (FDD) と時分じぶんわりふくしん (TDD) のバリエーション」があるとしるしているが、これはUTRA-FDDとUTRA-TDDのことをしている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 3GPPは、「おなじシステムをあらわ様々さまざま名称めいしょう(FOMA、W-CDMA、UMTSなど)が存在そんざいしている」とべている; 3GPP. “Draft summary minutes, decisions and actions from 3GPP Organizational Partners Meeting#6, Tokyo, 9 October 2001” (PDF). pp. 7. 2010ねん8がつ10日とおか閲覧えつらん
  2. ^ 3GPP. “Keywords (WCDMA, HSPA, LTE, etc): W-CDMA”. 2009ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  3. ^ Tindal, Suzanne (2008ねん12月8にち). “Telstra boosts Next G to 21Mbps”. ZDNet Australia. 2009ねん3がつ16にち閲覧えつらん
  4. ^ 3GNewsroom.com (2003ねん11月29にち). “3G Glossary - UTRA”. 2009ねん2がつ16にち閲覧えつらん
  5. ^ ITU-D Study Group 2. “Guidelines on the smooth transition of existing mobile networks to IMT-2000 for developing countries (GST); Report on Question 18/2”. pp. 4, 25–28. 2009ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  6. ^ The FCC's Advanced Wireless Services bandplan
  7. ^ Forkel et al. (2002ねん). “Performance Comparison Between UTRA-TDD High Chip Rate And Low Chip Rate Operation”. 2009ねん2がつ16にち閲覧えつらん
  8. ^ Siemens (2004ねん6がつ10日とおか). “TD-SCDMA Whitepaper: the Solution for TDD bands” (pdf). TD Forum. pp. 6–9. 2009ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  9. ^ Hsiao-Hwa Chen (2007), John Wiley and Sons, pp. 105–106, ISBN 978-047002294-8 
  10. ^ FCC Broadband PCS Band Plan
  11. ^ iPhone 'Surfing' On AT&T Network Isn't Fast, Jobs Concedes

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Martin Sauter: Communication Systems for the Mobile Information Society, John Wiley, September 2006, ISBN 0-470-02676-6
  • Ahonen and Barrett (editors), Services for UMTS (Wiley, 2002) first book on the services for 3G, ISBN 978-0-471-48550-6
  • Holma and Toskala (editors), WCDMA for UMTS, (Wiley, 2000) first book dedicated to 3G technology, ISBN 978-0-471-72051-5
  • Kreher and Ruedebusch, UMTS Signaling: UMTS Interfaces, Protocols, Message Flows and Procedures Analyzed and Explained (Wiley 2007), ISBN 978-0-470-06533-4
  • Laiho, Wacker and Novosad, Radio Network Planning and Optimization for UMTS (Wiley, 2002) first book on radio network planning for 3G, ISBN 978-0-470-01575-9

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]