PC-Demo: Interceptor by Black Maiden
デモ (demo) は、主 おも に音楽 おんがく を伴 ともな った美 うつく しいCG アニメーション をリアルタイムに表示 ひょうじ するプログラム のことである。
デモシーン (demoscene)は、デモ 、デモを作成 さくせい するデモグループ 、デモの見 み せ合 あ いの場 ば であるデモパーティ 、デモの分類 ぶんるい のひとつでありそれぞれが特筆 とくひつ すべき歴史 れきし を背負 せお ったイントロ やメガデモ などの諸 しょ 要素 ようそ を総合 そうごう した文化 ぶんか のことである。
この項目 こうもく では「デモ」と「デモシーン」をあわせて記述 きじゅつ する。
デモおよびデモシーンはサブカルチャー のひとつであり、デモはデモグループと呼 よ ばれる高度 こうど な技術 ぎじゅつ を持 も った人々 ひとびと の集 あつ まりによって作 つく られる。デモグループは少 すく なくともプログラミングを担当 たんとう するコーダー、CGを担当 たんとう するグラフィッカー、音楽 おんがく を担当 たんとう する作曲 さっきょく 者 しゃ で構成 こうせい される。また、個人 こじん で製作 せいさく を行 おこな う場合 ばあい もあり、その場合 ばあい はデモメーカー と呼 よ ばれる。ヨーロッパではこのデモシーンにおいて際立 きわだ った技術 ぎじゅつ 力 りょく を持 も った人 ひと がコンピュータ 業界 ぎょうかい (特 とく にコンピュータゲーム 業界 ぎょうかい )に就職 しゅうしょく して活躍 かつやく することもある。
デモの源流 げんりゅう は1950年代 ねんだい に行 おこな われたDisplay hack にまで遡 さかのぼ ることが出来 でき るが、この文化 ぶんか の直接的 ちょくせつてき な起源 きげん は、8ビット ホビーパソコン の販売 はんばい が開始 かいし された1970年代 ねんだい 末 すえ ごろから、8ビットホビーパソコン全盛期 ぜんせいき となった1980年代 ねんだい 初期 しょき にかけて起 お こった。寒 さむ い気候 きこう のために家庭 かてい 内 ない でコンピューターで遊 あそ ぶことが多 おお い北欧 ほくおう の若者 わかもの たちの間 あいだ で、Apple II やコモドール64 をはじめとするコンピューター用 よう のソフトウェア (特 とく にゲーム ソフト)のクレジット 表示 ひょうじ を自 みずか らの署名 しょめい に書 か き換 か え、友人 ゆうじん 間 あいだ で見 み せ合 あ うクラッキング が1980年代 ねんだい 前半 ぜんはん まで流行 はや った。この「署名 しょめい 」は時代 じだい が下 くだ るにつれ徐々 じょじょ に高度 こうど なプログラミングテクニックを用 もち いるようになり、後 のち に「イントロ」と呼 よ ばれるデモの一 いち 要素 ようそ に発展 はってん する。また「見 み せ合 あ い」は後 のち にデモパーティーに発展 はってん することになる。この当時 とうじ 、ディスクを挿入 そうにゅう したときに最初 さいしょ に読 よ み込 こ まれるイントロ部分 ぶぶん は512バイトから4096バイト程度 ていど なのが普通 ふつう であり、クラッカーはその容量 ようりょう の範囲 はんい でクラックトロ(クラックされたイントロ)を作成 さくせい していた。
その後 ご 、クラッキングとは別 べつ に自 みずか らオリジナルのグラフィックや音楽 おんがく を作成 さくせい した上 うえ で署名 しょめい を入 い れたものが作 つく られるようになる。この頃 ころ はグラフィックは2D であり、単純 たんじゅん にスクロールや簡単 かんたん なラスター画像 がぞう を表示 ひょうじ するものであった。
1980年代 ねんだい 後半 こうはん にはAmiga やAtari ST などの高性能 こうせいのう な16ビット機 き が発売 はつばい され、利用 りよう できるメモリやファイルサイズも増大 ぞうだい してより高度 こうど なデモが作 つく られるようになる。これらを称 しょう して「メガデモ」と呼 よ ばれるようになった。『State of the Art 』(1992年度 ねんど 「The Party 」優勝 ゆうしょう 作品 さくひん )などがメガデモの傑作 けっさく として知 し られている。
1990年代 ねんだい に入 はい り、パーソナルコンピュータ の性能 せいのう が上 あ がるにつれ、3Dグラフィックスを取 と り入 い れた作品 さくひん が登場 とうじょう するようになる。また、IBM PC 互換 ごかん 機 き の性能 せいのう が向上 こうじょう し、MS-DOS 上 うえ で動 うご く「PC demo」が「Amiga demo」や「Atari demo」に代 か わってデモシーンの主流 しゅりゅう となった。『Second Reality 』(1993年度 ねんど 「Assembly 」優勝 ゆうしょう 作品 さくひん )などがPC-demoの傑作 けっさく として知 し られている。
その後 ご はWindows を搭載 とうさい したIBM PC互換 ごかん 機 き がパソコン市場 いちば を寡占 かせん したことや、高性能 こうせいのう なGPUが普及 ふきゅう したため、それらの環境 かんきょう の上 うえ で動 うご くデモが標準 ひょうじゅん となっている(わざわざ「PC-demo」と呼 よ ぶこともなくなっている)。現在 げんざい でもデモの主流 しゅりゅう は3Dグラフィックであるが、かつての2Dグラフィックによる表現 ひょうげん 方法 ほうほう を好 この む人 ひと も多 おお く、そのような作品 さくひん は"Oldschool"と呼 よ ばれている。また、今 いま もなおコモドール64 やAmiga など旧 きゅう 機種 きしゅ のデモを製作 せいさく しているデモグループも存在 そんざい する。
日本 にっぽん ではデモシーンのような文化 ぶんか は発生 はっせい しなかった。デモシーンの中心 ちゅうしん 地 ち は欧州 おうしゅう であるが、初期 しょき のデモはコモドール64 やApple II やZX Spectrum 等 ひとし の、日本 にっぽん で全 まった く普及 ふきゅう していない海外 かいがい 製 せい ホビーパソコンで開発 かいはつ されていた。当時 とうじ の日本 にっぽん はNECのPC-8801 シリーズやPC-9801 シリーズなど日本 にっぽん でしか普及 ふきゅう していないパソコン御三家 ごさんけ が主流 しゅりゅう であり、また日本 にっぽん 発 はつ の国際 こくさい 標準 ひょうじゅん 規格 きかく であるMSX は国外 こくがい どころか日本 にっぽん でも主流 しゅりゅう たりえていないという状況 じょうきょう で、1980年代 ねんだい 中盤 ちゅうばん 以前 いぜん の日本 にっぽん には海外 かいがい 製 せい デモを閲覧 えつらん する環境 かんきょう は無 な く、従 したが って欧州 おうしゅう のデモシーンの動 うご きが日本 にっぽん まで知 し られる事 こと もなかった。
しかし1985年 ねん に発売 はつばい され、欧州 おうしゅう のデモシーンを席巻 せっけん したAmiga は日本人 にっぽんじん のアーティストらを中心 ちゅうしん にいくらか普及 ふきゅう したため、彼 かれ らを通 つう じてAmiga用 よう の「メガデモ」が1980年代 ねんだい 末 まつ ごろに日本 にっぽん に流入 りゅうにゅう した。Amigaの熱狂 ねっきょう 的 てき なファンとして知 し られる平沢 ひらさわ 進 すすむ は80年代 ねんだい 後半 こうはん ごろから秋元 あきもと きつね ら周囲 しゅうい の人 ひと に『Jaggler』などのメガデモを見 み せびらかしており[要 よう 出典 しゅってん ] 、1990年代 ねんだい 中番 なかのばん にはビデオジョッキー の藤原 ふじわら ヒロシ がスペースシャワーTV の番組 ばんぐみ 「BUM」で『State of the Art』などの著名 ちょめい なメガデモをいくつか紹介 しょうかい するなどしている。[要 よう 出典 しゅってん ] PC-demoがインターネットを通 つう じて流通 りゅうつう するようになった現在 げんざい でも、その頃 ころ の名残 なごり でデモ全般 ぜんぱん を「メガデモ」と呼 よ ぶことも多 おお い。
1983年 ねん ヨーロッパ最大 さいだい の家電 かでん メーカーであるオランダのフィリップス がMSX をニューメディアと位置 いち づけ販売 はんばい を開始 かいし した。その為 ため 、オランダ やスペイン やブラジル を中心 ちゅうしん にヨーロッパや南米 なんべい でMSXは普及 ふきゅう した。特 とく に1980年代 ねんだい 、MSXはオランダで最 もっと も人気 にんき のあったコンピューターであり、コモドール社 しゃ のコモドール64やシンクレア社 しゃ の ZX Spectrum よりも人気 にんき があった[1] 。ヨーロッパでメガデモのブームがおこると、ヨーロッパのMSXクリエイターも各種 かくしゅ メガデモを開発 かいはつ した。MSX Club GHQという同人 どうじん サークルが1980年代 ねんだい 後半 こうはん に会報 かいほう 誌 し や「MSX・FAN 」や「MSXマガジン 」などの雑誌 ざっし を通 つう じて欧州 おうしゅう 製 せい MSXのメガデモを紹介 しょうかい したり「ソフトベンダーTAKERU 」にて同人 どうじん ソフトの扱 あつか いで販売 はんばい したりもしていた。特 とく に「MSX・FAN」誌 し では海外 かいがい MSXシーンの動向 どうこう を紹介 しょうかい する「KOKUSAIKA」と言 い うコーナーでこのサークルの活動 かつどう がしばしば取 と り上 あ げられ、さらには「MSX・FAN」1992年 ねん 11月 がつ 号 ごう の付録 ふろく ディスクとして、MSX Club GHQによる『ANMA'S AMUSEMENT DISK』が収録 しゅうろく されるといった動 うご きがあった。『ANMA'S AMUSEMENT DISK』は後 のち にパソコン通信 つうしん 上 じょう に流出 りゅうしゅつ して広 ひろ く閲覧 えつらん された。当時 とうじ まだラスタースクロールなどの技術 ぎじゅつ が日本 にっぽん では知 し られていなかった為 ため 、日本 にっぽん のMSXユーザーを大 おお いに驚 おどろ かせた。MSX発祥 はっしょう の地 ち である日本 にっぽん ですら、MSX用 よう デモよりAmiga用 よう デモの方 ほう が有名 ゆうめい であることは『MSXマガジン』の編集 へんしゅう 者 しゃ も認 みと めるところであるが[2] 、MSX20周年 しゅうねん である2003年 ねん にはオランダでなおも活動 かつどう するデモグループによる『MSX 20th Anniversary Demo』が『MSXマガジン』によって日本 にっぽん に紹介 しょうかい され、その健在 けんざい 振 ふ りを示 しめ した[2] 。
現在 げんざい の日本 にっぽん では動画 どうが 共有 きょうゆう サイト の存在 そんざい によって実機 じっき を所有 しょゆう していなくともデモを閲覧 えつらん することが可能 かのう である。またネット掲示板 けいじばん やtwitter の存在 そんざい によってデモ製作 せいさく 者 しゃ 同士 どうし の連携 れんけい も容易 ようい となっている。2ちゃんねる 掲示板 けいじばん にはデモシーンに関 かん するスレッドがあり、2009年 ねん には有志 ゆうし によってオンラインでのデモパーティ「2chparty」が開 ひら かれた。2011年 ねん にはついにオフラインにて、日本 にっぽん 初 はつ の本格 ほんかく 的 てき なデモパーティとなる「Tokyo Demo Fest」が開 ひら かれた。
デモ (Demo)
リアルタイムに美 うつく しいグラフィックを音楽 おんがく とともに表示 ひょうじ するもの。
メガデモ (Megademo)
ファイルサイズが1MB以内 いない のものはメガデモと呼 よ ばれることがある。これは、1MB足 た らず(880KB)であったAmiga の標準 ひょうじゅん フロッピーディスク に秀逸 しゅういつ なデモを収 おさ めたことに由来 ゆらい すると言 い われている(英語 えいご 版 ばん 記事 きじ 参照 さんしょう )。メガデモと言 い えばAmigaのものが有名 ゆうめい だが、実際 じっさい は機種 きしゅ に関係 かんけい なく、例 たと えばメモリが64KB以下 いか の8ビット機 き でもデータのマルチロードやディスク分割 ぶんかつ などを用 もち いて無理 むり やりメガバイト級 きゅう のデモを走 はし らせることが可能 かのう であり、これもメガデモという。そこまで大 おお きくなくても、8bit機 き 用 よう のデモでは100KB程度 ていど でも重量 じゅうりょう 級 きゅう と言 い う意味 いみ でメガデモを称 しょう することがある。また、Amiga後期 こうき にはディスク分割 ぶんかつ を用 もち いて1MBを遥 はる かに超 こ える作品 さくひん が登場 とうじょう したが、これもメガデモと言 い う。日本 にっぽん ではファイルサイズや機種 きしゅ に関係 かんけい なくデモそのものをメガデモと呼 よ ぶことがある。
イントロ (Intro)
デモにファイルサイズの制限 せいげん を加 くわ えたもの。64kバイト 、4kバイト、1kバイト、256バイト、128バイトなど。1kバイト未満 みまん では音楽 おんがく を加 くわ えるのは難 むずか しいとされる。
クラックトロ (Cracktro)
市販 しはん されているソフトウェアにコピープロテクト を解除 かいじょ するなどの改造 かいぞう を加 くわ えたもの。署名 しょめい が加 くわ わる場合 ばあい もある。
トラックモ (Trackmo)
サウンドトラックを重視 じゅうし した、ミュージックビデオのようなデモ。
ワイルドデモ (Wild Demo)
主 おも にデモシーンやコンピュータ文化 ぶんか に関 かん する映像 えいぞう 作品 さくひん 。
他 た 産業 さんぎょう への影響 えいきょう [ 編集 へんしゅう ]
デモは既 すで にコミュニティが高度 こうど に発達 はったつ している地域 ちいき においても曖昧 あいまい な芸術 げいじゅつ 表現 ひょうげん の手段 しゅだん であるが、コンピューターゲーム 業界 ぎょうかい やメディアアート の分野 ぶんや に多大 ただい な影響 えいきょう を与 あた えている。
今日 きょう も多 おお くのヨーロッパのゲームプログラマー、アーティストやミュージシャンがデモシーン業界 ぎょうかい から輩出 はいしゅつ されている。たとえば、Max Payne で知 し られるフィンランドのRemedy entertainment(Remedy Entertainment )は、フィンランドで非常 ひじょう にアクティブであった、Future Crew(Future Crew )のメンバーらが結成 けっせい した[3] 。
デモが作 つく られるプラットフォーム [ 編集 へんしゅう ]
デモはさまざまなプラットフォームを対象 たいしょう にして作 つく られる。
単 たん にパーティと呼 よ ばれることがある。前述 ぜんじゅつ どおり「見 み せ合 あ い」からの発展形 はってんけい で、複数 ふくすう のグループ(個人 こじん 参加 さんか もある)が集 あつ まり、作品 さくひん の発表 はっぴょう を行 おこな う。複数 ふくすう 日 び (通常 つうじょう 2~4日間 にちかん )にわたり夜通 よどお し行 おこな われ、さまざまな「コンポ(Compo、Competitionの略 りゃく )」が行 おこな われる。会場 かいじょう の参加 さんか 者 しゃ により投票 とうひょう が行 おこな われ、最優秀 さいゆうしゅう 作品 さくひん が決定 けってい される。カテゴリーはおおよそ「デモの種類 しゅるい 」と同様 どうよう になるが、さらに分 わ かれるときがある。大 だい 規模 きぼ なデモパーティでは大手 おおて IT企業 きぎょう がスポンサーに付 つ き、有能 ゆうのう な若者 わかもの のヘッドハントが行 おこな われるほか、デモパーティに参加 さんか するために集 あつ まったグループがそのままゲーム会社 かいしゃ などを興 おこ す事 こと もある。
ネットレーベル
ファクター5 - 5人組 にんぐみ のデモグループから大手 おおて デベロッパーに成 な り上 あ がった。
Futuremark - 有名 ゆうめい なPCデモ『Second Reality』を開発 かいはつ したデモグループ「Future Crew」を母体 ぼたい とする企業 きぎょう 。3Dベンチマークソフト「3DMark 」の開発元 かいはつもと 。