もう

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日本語にほんご

副詞ふくし1

もう

1. 〔完了かんりょうしたことや状態じょうたいが変化へんかしてしまっていることを表あらわす〕 もはや。すでに。
   • 社長しゃちょうはもう帰かえりました。
   • もう学生がくせいではない。
2. 〔話者わしゃから見みて時期じき尚早しょうそうであると感かんじられる様ようを表あらわす〕はやくも。強つよ勢ぜいを置おいて発音はつおんされる。
   • もう行いってしまうの？
   • 三さん時じに行いったらもう閉しまっていた。
   • いま泣ないたカラスがもう笑わらった。
3. 〔近接きんせつ未来みらいや、近ちかい将来しょうらいの事象じしょうに関かんする推測すいそくを表あらわす〕 まもなく。じきに。もうすぐ。
   • もうお車くるまが参まいりますのでここでお待まち下ください。
   • それではもう始はじめましょうか。
   • もう着つくだろう、もう着つくだろうとはらはらしながら待まっていた。
4. 〔遠とおい過去かこであることを表あらわす〕
   • もうはるか昔むかしのことだ。
   • もう百ひゃく年ねんも前まえの話はなしだ。
5. 〔基準きじゅんなどを満みたす状態じょうたいになっていることを表あらわす〕
   • もう十分じゅうぶん稼かせいだでしょう。
   • もう相当そうとうに上達じょうたつしていると思おもう。
   • もう大丈夫だいじょうぶ。もう安心あんしん。
6. 〔数量すうりょうが少すくないことや皆無かいむであることを表あらわす〕
   • もうこれだけしかない。
   • もうすっかりなくなってしまった。
7. 〔限定げんていを表あらわす〕
   • 理由りゆうは、やる気きが出でなかった。もうただそれだけのことです。
   • もうひたすら歩あるくしかなかった。
8. 〔判断はんだんがほぼ固かたまったことを表あらわす〕 ほとんど。
   • これだけ点差てんさが開あけば勝利しょうりはもう確実かくじつだ。
   • 犯人はんにんはあいつでもう間違まちがいない。
   • これはもう反則はんそくレベルでしょう。
9. 〔これ以上いじょうしたくない、できない、やめる、というニュアンスを表あらわす〕
   • もうやめた。もう二度にどとしない。これ以上いじょうはもう無理むり。もう限界げんかい。もうゆるして。もういい。もういらない。もうたくさん。もう結構けっこう。もうしかたがない。オラもう疲つかれた。
   • もう我慢がまんできない。もうとまらない。もう許ゆるさない。
   • もうやめてくれ。もうそれだけにして。
10. 〔叱責しっせき、譴責けんせきを表あらわす〕
    • もういい加減かげんにして。何なにやってんのもう。
11. 〔肯定こうてい的てきな感情かんじょうを表あらわす〕
    • もう楽たのしくて楽たのしくて。もう最高さいこう。そりゃもう大騒おおさわぎさ。
12. 〔否定ひてい的てきな感情かんじょうを表あらわす〕
    • もういやだ。もううんざり。もうめちゃくちゃ。もうどうにもならない。もうだめだ。何なにもかももうおしまいだ。
13. 〔驚おどろきや、苦労くろう、困難こんなんといったニュアンスを表あらわす。特とくに数量すうりょうや程度ていどがはなはだしいことを表あらわす〕
    • 僕ぼくは、もう眠ねむくてかなわぬ。これから、蘆花ろかの思おもい出での記きを少すこし読よんで、眠ねむるつもりだ。（太宰だざい治おさむ『正義せいぎと微笑びしょう』）〔1942年ねん〕
    • もうすごいのなんのって。もう必死ひっし。もう大変たいへんなんすから。それはもう頑張がんばった。
    • もうぎりぎり一いち杯はいのところでやっていて全然ぜんぜん余裕よゆうがない。
    • もう荷物にもつが多おおくて多おおくて整理せいりが大変たいへんだ。
    • もうあっちもこっちも人ひとだらけだった。
    • 同様どうようの例れいはもう枚挙まいきょに暇ひまがない。
    • 会場かいじょうはもう熱狂ねっきょうの嵐あらしだった。
    • もうあっという間まにいなくなった。
    • もうそっくりで見分みわけがつかないほど。

発音はつおん^(?)

東京とうきょうアクセント

• (東京とうきょう式しき) も​ー [móꜜò] (頭あたま高だか型がた – [1]) (other senses)
• (東京とうきょう式しき) もー [mòó] (平板へいばん型がた – [0]) (sense "more, further")
• IPA^(?): [mo̞ː]

対義語たいぎご

語義ごぎ1:

• まだ

成句せいく

• もうは未いまだなり、未いまだはもうなり

関連かんれん語ご

• もうもう

翻訳ほんやく

語義ごぎ1

• イタリア語ご: già ^(it)
• 英語えいご: already ^(en)
• スウェーデン語ご: redan ^(sv), ren ^(sv)
• スペイン語ご: ya ^(es)
• チェコ語ご: už ^(cs), již ^(cs); (古風こふう、方言ほうげん) juž ^(cs)
• ツォツィル語ご: xa
• ドイツ語ご: schon ^(de)
• ハンガリー語ご: már ^(hu)
• フランス語ふらんすご: déjà ^(fr)
• ポーランド語ご: już ^(pl)
• ポルトガル語ご: já ^(pt)
• ラトヴィア語ご: jau ^(lv)
• リトアニア語ご: jaũ ^(lt)

語義ごぎ2

• ツォツィル語ご: xa

副詞ふくし2

もう

1. 〔二ふたつあるうちの他方たほう〕 のこる。また。
   • もう一人ひとりはどこに行いった。
   • もう一方いっぽうの説せつでは彼かれはそこを偶然ぐうぜん通どおりかかった単たんなる通行人つうこうにんだという。
   • 靴くつのもう片方かたがたが見当みあたらない。
2. 〔後のちに数量すうりょうや程度ていどを表あらわす表現ひょうげんを伴ともなって〕 このうえ。なお。さらに。
   • もう二にヶ月かげつ待まてばあなたは帰かえりつて来くる。 （伊藤いとう野枝のえ『遺書いしょの一部いちぶより』）〔1914年ねん〕
   • もう少すこしだけ待まとう。
   • もうちょっとで手遅ておくれでしたよ。
   • もう一度いちど繰くり返かえした。
3. 〔一部いちぶの副詞ふくしに付ついてやや幅はばのある意味いみを付加ふかする〕
   • もうすぐ。もうそろそろ。もうまもなく。

発音はつおん^(?)

東京とうきょうアクセント

も↗ー

翻訳ほんやく

語義ごぎ2

• 英語えいご: even ^(en)
• スウェーデン語ご: till ^(sv)
• ドイツ語ご: noch ^(de)
• ポーランド語ご: jeszcze ^(pl)
• リトアニア語ご: dar ^(lt)

感動かんどう詞し

もう（異い表記ひょうき:もー）

1. うんざりしていることやいら立だっていることを表現ひょうげんする言葉ことば。
   • 1925年ねん、国枝くにえだ史郎しろう「善悪ぜんあく両面りょうめん鼠ねずみ小僧こぞう」

     ピッシリと雨戸あまどが締しまっている。「もー、お起おきなさいよ起おきなさいよ。お日様ひさまが出でたじゃありませんか」トントントンと戸とを叩たたいた。「おお、お松まつか、やけに叩たたくなア。まあもう少すこし寝ねかせてくれ」内ないから次郎吉じろきちの声こえがする。

   • 1940年ねん、太宰だざい治おさむ「駈か込こみ訴うったえ」

     それなのに私わたしはきょう迄まであの人ひとに、どれほど意地いじ悪わるくこき使つかわれて来きたことか。どんなに嘲弄ちょうろうされて来きたことか。ああ、もう、いやだ。堪こたえられるところ迄までは、堪こたえて来きたのだ。

翻訳ほんやく

語義ごぎ1

• 英語えいご: damn, dammit, bother, bother it

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参考さんこう文献ぶんけん

• 下中しもなか弥三郎やさぶろう編へん『大だい辞典じてん』 平凡社へいぼんしゃ、第だい24巻かん、1936年ねん8月がつ30日にち、紙面しめん381ページ、デジタル196ページ、全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう：67012501、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルライブラリー pid 1873588/196