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大衆(タイシュウ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

大衆たいしゅうみ)タイシュウ英語えいご表記ひょうき)mass 英語えいご

デジタル大辞泉だいじせん大衆たいしゅう」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

たい‐しゅう【大衆たいしゅう

おおくのひとしゅう
社会しゃかいだい部分ぶぶんめる一般いっぱん人々ひとびととくに、労働ろうどうしゃ農民のうみんなどの勤労きんろう階級かいきゅう民衆みんしゅう。「大衆たいしゅう支持しじる」「一般いっぱん大衆たいしゅう
社会しゃかいがくで、孤立こりつして相互そうごむすびつきをたず、疎外そがいせい匿名とくめいせい暗示あんじせい関心かんしんなどを特徴とくちょうとする集合しゅうごうてき存在そんざいをいう。
[類語るいご](2民衆みんしゅう公衆こうしゅうみんたみ庶民しょみん平民へいみん常民じょうみん人民じんみん市民しみん勤労きんろうしゃ生活せいかつしゃ一般人いっぱんじん市井しせいしせいひと世人せじんせじんぞくしゅ群衆ぐんしゅうマス

だい‐しゅ【大衆たいしゅう

おおくのそうあつまり。また、そのそうたち。衆徒しゅと。だいす。
山門さんもんの―におおせて、平家へいけ追討ついとうせらるべし」〈平家ひらかいち

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん大衆たいしゅう」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

たい‐しゅう【大衆たいしゅう

  1. 名詞めいし ( 「たい」「しゅう」はそれぞれだい」「しゅう」の漢音かんおん )
  2. ( ━する ) 多数たすうひと。おおぜいのひとびと。民衆みんしゅう。また、ひとおおあつまること。〔いろるいしょう(1177‐81)〕
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「此の大衆たいしゅう(タイシウ)せる人数にんずうみな親方おやかたなるものに隷属れいぞくして勝手かって就業しゅうぎょうするをゆるされず」(出典しゅってんさい暗黒あんこく東京とうきょう(1893)〈松原まつばら岩五郎いわごろうさんさん)
    2. 大衆たいしゅうあせおさまりしおうぎかな〈さくら磈子〉」(出典しゅってんぞく春夏秋冬しゅんかしゅうとう(1906‐07)〈河東かわとう碧梧桐へきごとうせんなつ)
    3. [その文献ぶんけん]〔れいつきれい
  3. 特殊とくしゅ立場たちばにいない一般いっぱん勤労きんろう階級かいきゅうのひとびと。社会しゃかいだい多数たすうをしめる労働ろうどうしゃ農民のうみんなどの勤労きんろう階級かいきゅう民衆みんしゅう。→公衆こうしゅう
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「工場こうじょうなかにも、およ大衆たいしゅう熱鬧ねっとう事務じむまがえしげるなるしょ」(出典しゅってん西国さいごく立志りっしへん(1870‐71)〈中村なかむら正直まさなおやくいち)
  4. だいしゅ(大衆たいしゅう

だい‐しゅ【大衆たいしゅう

  1. 名詞めいし ( 「だい」「しゅ」はそれぞれ「だい」「しゅう」の呉音ごおん。[梵語ぼんご] mahasamgha 訶僧とぎ訳語やくご ) 仏語ふつご比丘びく多数たすうあつまっているものをいう。僧団そうだん呼称こしょう。また、長老ちょうろうたいしてほう(ほうろう)すくないものをいう。衆徒しゅと。だいす。〔法華ほっけよし(7Cまえ)〕
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「南北なんぼくきょう大衆たいしゅう(ダイシュ)ことごとく供奉ぐぶして」(出典しゅってん高野たかのほん平家へいけ(13Cまえいち)

だい‐す【大衆たいしゅう

  1. 名詞めいしだいしゅ(大衆たいしゅう
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「おおすにまじらはんに、おもだたしくはべるべきもなく」(出典しゅってん宇津うつたもつ物語ものがたり(970‐999ごろこくゆずるじょう)

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)大衆たいしゅう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

大衆たいしゅう
たいしゅう
mass 英語えいご
Masse ドイツ
masse フランス語ふらんすご

階級かいきゅう社会しゃかいてき地位ちい職業しょくぎょう学歴がくれきなどの社会しゃかいてき属性ぞくせいえた異質いしつ特定とくてい多数たすう人々ひとびとから構成こうせいされた集合しゅうごうたいである。おたがいは未知みち関係かんけいで、間接かんせつてき人格じんかくてき関係かんけいからなる匿名とくめいてき集団しゅうだんである。アメリカの社会しゃかい学者がくしゃブルーマーHerbert George Blumer(1900―1987)は、大衆たいしゅうを、〔1〕構成こうせいいん異質いしつせい、〔2〕構成こうせいいん匿名とくめいせい、〔3〕構成こうせいいん相互そうご交流こうりゅうせい、〔4〕組織そしきせい、のよっつから定義ていぎづけている。

川本かわもと かち

大衆たいしゅう登場とうじょう

19世紀せいきまつから20世紀せいきにかけて進行しんこうした産業さんぎょう都市としは、社会しゃかい構造こうぞう変化へんかさせ、多数たすう労働ろうどうしゃ階層かいそうした。また、その過程かていしょうじた中間ちゅうかん集団しゅうだん解体かいたい官僚かんりょうせい組織そしき進展しんてん選挙せんきょけん拡大かくだい民主みんしゅ進展しんてん教育きょういく普及ふきゅう、マス・メディアの発達はったつなどにより、それまでの民主みんしゅ主義しゅぎになとして理念りねんされていた公衆こうしゅうpublicにかわって、大衆たいしゅう社会しゃかいささえる大衆たいしゅう登場とうじょうしたのである。

 アメリカの社会しゃかい学者がくしゃC・W・ミルズは、公衆こうしゅう大衆たいしゅうつぎのように区別くべつした。

 公衆こうしゅうは、(1)意見いけんとほとんどどう程度ていど多数たすう意見いけんおくしゅがおり、(2)公衆こうしゅうたいして表明ひょうめいされた意見いけんに、効果こうかてき反応はんのうしめ機会きかい保障ほしょうする公的こうてきコミュニケーション存在そんざいし、(3)そのような討論とうろんつうじて形成けいせいされた意見いけん効果こうかてき行動こうどうとして実現じつげんされる通路つうろ容易よういにみいだされ、(4)制度せいどされた権威けんい公衆こうしゅう浸透しんとうしておらず、公衆こうしゅうとしての行動こうどう自律じりつせいたもたれている。

 それにたいして、大衆たいしゅうにおいては、(1)多数たすう人々ひとびとは、たんなる意見いけんにすぎない、(2)支配しはいてきなコミュニケーションは、個人こじん迅速じんそくに、また効果こうかてき反応はんのうすることを困難こんなんにし、あるいは不可能ふかのうにさえするような組織そしきかれている、(3)意見いけん行動こうどうへの実現じつげんは、種々しゅじゅ抵抗ていこうによって統制とうせいされている、(4)大衆たいしゅうは、制度せいどされた権威けんいからの自律じりつせいをまったくもっていない、とした。ミルズは、いかなる様式ようしきのコミュニケーションが支配しはいてきであるかによって公衆こうしゅう大衆たいしゅう区別くべつし、大衆たいしゅう社会しゃかいでは、支配しはいてきなコミュニケーションのかたは、制度せいどされたメディアであり、大衆たいしゅう所与しょよのマス・メディアの内容ないようるだけの存在そんざいであるとした。

川本かわもと かち

大衆たいしゅう特質とくしつ

大衆たいしゅう社会しゃかい状況じょうきょう進展しんてんは、そうしたマス・メディア市場いちばとしての大衆たいしゅうしたのである。大衆たいしゅうは、分散ぶんさんして存在そんざいし、マス・メディアによって間接かんせつてきむすいているてんでは公衆こうしゅう類似るいじしているが、公衆こうしゅう合理ごうりてき判断はんだんおこな理性りせいてき存在そんざいであるのにたいし、ルーズな組織そしきたいで、実質じっしつてき合理ごうりてき思考しこう判断はんだん喪失そうしつした、非合理ひごうりてき情動じょうどうてきてんで、群集ぐんしゅうcrowdと類似るいじしている。「巨大きょだい群集ぐんしゅう」「あたらしい群集ぐんしゅう」ということができる。あたらしい群集ぐんしゅうとしての大衆たいしゅうは、伝統でんとうてき文化ぶんか規範きはんから解放かいほうされ、共通きょうつう目標もくひょう信念しんねん価値かちをもたない、原子げんしされたばらばらの人々ひとびとからなる集合しゅうごうたいとして特徴とくちょうづけられたのである。したがって、仲間なかま意識いしき一体いったいかんなどの心理しんりてき紐帯ちゅうたい(ちゅうたい)をくため、社会しゃかい心理しんりてきには情緒じょうちょてき不安ふあんをもち、支配しはいされやすいという特質とくしつ指摘してきできる。また大衆たいしゅうは、政治せいじ主体しゅたいから客体かくたい転化てんかし、エリート支配しはいされるエリートとして位置いちづけられ、さらには、巨大きょだい経済けいざい機構きこう官僚かんりょうせいのなかで人格じんかく画一かくいつされ、消費しょうひ生活せいかつ余暇よか生活せいかつでも同質どうしつされた存在そんざいとなる。こうして大衆たいしゅうは、権力けんりょく組織そしき機構きこう、さらには人間にんげんから疎外そがいされ、不安ふあんかん孤独こどくかんをもつ無気力むきりょくな「孤独こどく群集ぐんしゅう」としてとらえられる。

川本かわもと かち

大衆たいしゅう意味いみづけ

このように、大衆たいしゅうはマイナスのイメージで意味いみづけられることがおおく、その典型てんけいファシズム理論りろんである。そこでは、大衆たいしゅう愚民ぐみんとほぼ同義どうぎとし、先天的せんてんてき決定けってい能力のうりょく統制とうせいりょくき、非合理ひごうりてき情動じょうどうてき存在そんざいであって、支配しはいされる階級かいきゅうで、パンと娯楽ごらく以外いがいなにものものぞむものではない価値かち存在そんざいとされた。それにたいして、大衆たいしゅうをプラスのシンボルとしてとらえるのがマルクス主義まるくすしゅぎ理論りろんである。マルクス主義まるくすしゅぎ理論りろんでは、大衆たいしゅうは、歴史れきし創造そうぞうする主体しゅたいしゃとしての人民じんみんとほぼ同義どうぎ意味いみづけられ、労働ろうどうとおして社会しゃかい発展はってんさせるはたら人々ひとびとだい多数たすうからなる生産せいさんてき大衆たいしゅう位置いちづけられるのである。そして、大衆たいしゅうは、支配しはい階級かいきゅう圧力あつりょく抵抗ていこうしてみずからの利益りえきまもるために自律じりつてき組織そしき結集けっしゅうする「組織そしきてき大衆たいしゅう」になり、運動うんどう指導しどうされると「革命かくめいてき大衆たいしゅう」に転化てんかするものとしてとらえられるのである。

川本かわもと かち

現代げんだい大衆たいしゅう

どちらかといえば灰色はいいろえがかれた大衆たいしゅうは、現代げんだい社会しゃかいでは知的ちてき大衆たいしゅうへと変化へんかしてきた。社会しゃかい変動へんどう普通ふつう選挙せんきょ確立かくりつ議会ぎかいせい政治せいじ制度せいど平等びょうどう、エリートの変容へんよう所得しょとく格差かくさ縮小しゅくしょう生活せいかつ様式ようしき均等きんとう高等こうとう教育きょういく普及ふきゅう、マス・メディアの発達はったつ多様たようなど、さまざまな社会しゃかいてき状況じょうきょう変化へんかするなかで、大衆たいしゅうを、ぼつ個性こせいてき受動じゅどうてき操作そうさ対象たいしょうとしてのみとらえることができなくなったのである。現代げんだい社会しゃかいにおける大衆たいしゅうは、類似るいじせい同質どうしつせいしめ一方いっぽう批判ひはん能力のうりょくそなえ、個々ここ判断はんだんもとづいて反応はんのうする個別こべつせいつよめてきたといえる。大衆たいしゅうは、政治せいじ経済けいざい社会しゃかいのあらゆる領域りょういきにおいてパワーを発揮はっきするのである。

川本かわもと かち

『C・W・ミルズちょ鵜飼うかい信成のぶなり綿貫わたぬき譲治じょうじやく『パワー・エリート』(1958・東京とうきょう大学だいがく出版しゅっぱんかい)』『D・リースマンちょ加藤かとう秀俊ひでとしやく孤独こどく群衆ぐんしゅう』(1964・みすず書房しょぼう)』高橋たかはしとおるちょ大衆たいしゅうとはなにか』(『岩波いわなみ講座こうざ 現代げんだい思想しそうⅡ 人間にんげん問題もんだい所収しょしゅう・1956・岩波書店いわなみしょてん)』『K・マンハイムちょ福武ふくたけ直訳ちょくやく変革期へんかくきにおける人間にんげん社会しゃかい』(1962・みすず書房しょぼう)』

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん大衆たいしゅう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

大衆たいしゅう (たいしゅう)
mass

社会しゃかい集団しゅうだんのメンバーのうち,指導しどうしゃやエリートをのぞいたのこりの多数たすうひとびと。したがって,いつの時代じだいのどんな社会しゃかい,どんな集団しゅうだんにも大衆たいしゅうはいる。仏教ぶっきょう用語ようごでは,多数たすう僧侶そうりょ多数たすう僧兵そうへい,すべての人間にんげん,すべての生物せいぶつ意味いみしている(みは,だいしゅ,だいす,たいしゅう)。大衆たいしゅうという概念がいねんは,一方いっぽうでは〈人民じんみんpeople〉という概念がいねん同一どういつのものとされ,他方たほうでは〈愚民ぐみんfoule〉というマイナス・シンボルと同一どういつされる。

 マルクス主義まるくすしゅぎにおいて大衆たいしゅうとは,価値かち創造そうぞうしゃ歴史れきし主体しゅたいてき存在そんざいとしてみなされ,社会しゃかい主義しゅぎ革命かくめいになとなる労働ろうどうしゃ農民のうみん意味いみする。しかし,大衆たいしゅう組織そしき集団しゅうだん意識いしきをもたず,つねに動揺どうよう分裂ぶんれつ危険きけんがともなっているため,これに統一とういつ方向ほうこうせいしめすために,前衛ぜんえいとうによる指導しどう必要ひつようとされる。したがって,大衆たいしゅうとは,歴史れきしにおける創造そうぞうてき価値かち実現じつげんする存在そんざいとしてみとめられながらも,現実げんじつには,受動じゅどうてき非合理ひごうりてき存在そんざいとしてあるといわなければならない。

 また,大衆たいしゅう概念がいねんは,群集ぐんしゅうから公衆こうしゅうへ,さらに大衆たいしゅうへ,という連関れんかんでもかんがえられる。コミュニケーションの発展形はってんけいたいけると,会話かいわ演説えんぜつなどのパーソナル・コミュニケーションでむすばれている集団しゅうだんが〈群集ぐんしゅう〉で,手動しゅどう印刷いんさつ印刷いんさつされたせいぜいすうまん程度ていど新聞しんぶんやパンフレットるい読者どくしゃが〈公衆こうしゅう〉,そして現代げんだいのマスコミのが〈大衆たいしゅう〉である。群集ぐんしゅうについての理論りろんとしてル・ボンを,公衆こうしゅうについてはJ.G.タルドげるとするなら,大衆たいしゅうのそれはオルテガ・イ・ガセットであろう。オルテガは,その代表だいひょうさく大衆たいしゅう反逆はんぎゃく》(1930)で,共産きょうさん主義しゅぎとファシズムの政権せいけん奪取だっしゅ眼前がんぜんにしながら,大衆たいしゅう支配しはい時代じだい到来とうらいき,その危険きけんせい可能かのうせいするど指摘してきした。かれ思想しそう根底こんていには,貴族きぞく主義しゅぎ大衆たいしゅう蔑視べっし傾向けいこうがあるが,19世紀せいき発展はってんした資本しほん主義しゅぎ経済けいざい共和きょうわ政治せいじによって大衆たいしゅう水準すいじゅん飛躍ひやくてき向上こうじょうし,その結果けっか過去かこすうせん年間ねんかん支配しはいされつづけてきた大衆たいしゅうが,エリートそう反逆はんぎゃくし,時代じだい主役しゅやくおどることを見抜みぬいていた。社会しゃかい学者がくしゃマンハイムの《変革期へんかくきにおける人間にんげん社会しゃかい》(1935)も,《大衆たいしゅう反逆はんぎゃく》とほぼどう時期じき刊行かんこうされた大衆たいしゅうろん古典こてんである。なお大衆たいしゅう特性とくせいは,エリートとの対比たいひまる。エリートが洗練せんれん高級こうきゅうとみなされれば,大衆たいしゅう粗野そや低級ていきゅうになる(大衆たいしゅう芸能げいのう大衆たいしゅう小説しょうせつ大衆たいしゅう酒場さかば大衆たいしゅう迎合げいごうなど)。ぎゃくにエリートに高慢こうまん浮薄ふはく腐敗ふはいなどの劣性れっせい付与ふよすれば,大衆たいしゅう質朴しつぼく堅実けんじつ健康けんこう存在そんざいとして期待きたいされることになる。
執筆しっぴつしゃ


大衆たいしゅう (だいしゅ)

仏教ぶっきょう儀式ぎしき法要ほうよう)の出勤しゅっきんしゃ全体ぜんたい用語ようご。また一山ひとやま構成こうせいいんである僧侶そうりょ集団しゅうだん意味いみもある。法要ほうよう主宰しゅさいしゃ導師どうしなど)のもとで,声明せいめい(しようみよう)の斉唱せいしょう楽器がっきそうするやく進行しんこうやく随伴ずいはんやくなど種々しゅじゅ役割やくわり分担ぶんたんする。法要ほうよう出勤しゅっきんしゃしょくしゅ(しきしゆう),しゅうそうれつそうなどもほぼ同様どうよう意味合いみあいである。声明せいめい斉唱せいしょうしゃ集団しゅうだんは,さんしゅはな(さんげ)しゅう,梵音(ぼんのん)しゅうたいら(ひら)しゅうなどとしょうすることもある。
衆徒しゅと大衆たいしゅう(しゅとだいしゅう)
執筆しっぴつしゃ

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア大衆たいしゅう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

大衆たいしゅう【たいしゅう】

massの訳語やくごだが,きわめて多様たよう評価ひょうかをともなった多義たぎてき概念がいねん社会しゃかいがく用語ようごとしては公衆こうしゅう対比的たいひてき使つかわれることがおおい。公衆こうしゅうとは利益りえき共有きょうゆうもとづいてみずからの意見いけん表出ひょうしゅつし,討論とうろんとおしての社会しゃかいてき解決かいけつをなし民主みんしゅ主義しゅぎになとされる。それにたいして大衆たいしゅうとは,異質いしつ属性ぞくせい匿名とくめい多数たすうしゃからなる組織そしき集合しゅうごうたいであり,マス・メディアにあたえられる大量たいりょう情報じょうほうと,消費しょうひ社会しゃかい基礎きそづける大量たいりょう商品しょうひん処理しょりする受動じゅどうてき存在そんざいであるとされる。大衆たいしゅう空間くうかんてき散在さんざいし,マス・コミュニケーションとおして間接かんせつてき接触せっしょくをするてんにおいて群集ぐんしゅうとも区別くべつされる。資本しほん主義しゅぎ展開てんかい,または産業さんぎょう進展しんてんにともなって大衆たいしゅう大衆たいしゅう社会しゃかい出現しゅつげんしたとする見方みかた前提ぜんていに,20世紀せいき初期しょきから〈大衆たいしゅう〉の存在そんざい様態ようたいとその性格せいかくについて,たとえば大衆たいしゅう衝動しょうどうせい感情かんじょう表出ひょうしゅつに,非合理ひごうりせい革新かくしんてき性格せいかく両義りょうぎかれるなど,さまざまな議論ぎろん展開てんかいされてきている。また日本にっぽんでは,民衆みんしゅうとほぼ同義どうぎもちいることもおおく,その場合ばあいたとえばマルクス主義まるくすしゅぎ立場たちばからは,現状げんじょう変革へんかくのエネルギーをもつ存在そんざいとされるなどの事情じじょうくわわり,この概念がいねんをさらに複雑ふくざつなものにしている。
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普及ふきゅうばん どおり大衆たいしゅう」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

大衆たいしゅう】たいしゆう

衆人しゅうじん。〔れいつきれい〕(孟春もうしゅんつきや、~(べい)(しし)をとること毋(な)く、たまごをとること毋く、大衆たいしゅうを聚むること毋く、かくくこと毋く、骼(かく)(ざん)を掩(おほ)ひ、(し)(ざんにく)をめしむ。

どおりだい」の項目こうもく

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん大衆たいしゅう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

大衆たいしゅう
たいしゅう
masses

特定とくてい組織そしきされた人々ひとびと集団しゅうだんではなく,無定形むていけい無数むすう人々ひとびと集団しゅうだん政治せいじがく社会しゃかいがく分野ぶんやにおいては,社会しゃかいのエリートそう,すなわち指導しどうしゃそうたいする概念がいねんとして一般いっぱん人々ひとびとすなわち一般いっぱん大衆たいしゅう general publicを意味いみする。公衆こうしゅう mass publicの概念がいねんともほぼおなじである。大衆たいしゅう概念がいねんは,能動のうどうてき自己じこ判断はんだんりょくをもった自立じりつした市民しみんによって形成けいせいされていた「近代きんだい市民しみん社会しゃかい」が,産業さんぎょう革命かくめいによる資本しほん主義しゅぎ社会しゃかい発達はったつならびにマス・コミュニケーション (大量たいりょう情報じょうほう伝達でんたつ) 手段しゅだん発達はったつともなって,バラバラでたがいに匿名とくめいせいをもった多数たすう個々人ここじん集合しゅうごうたいによって構成こうせいされる「現代げんだい社会しゃかい」に変質へんしつしたことで出現しゅつげんしたものである。これには現代げんだい民主みんしゅ主義しゅぎ社会しゃかいのにないとしての有権者ゆうけんしゃである大衆たいしゅう,という肯定こうていてき側面そくめんと,エリートによって操作そうさされ,ある政治せいじてき目的もくてきのために動員どういんされる大衆たいしゅう,という否定ひていてき側面そくめんとがあり,政治せいじがく社会しゃかいがく分野ぶんや論者ろんしゃによって強調きょうちょうするめんことなっている。

大衆たいしゅう
たいしゅう

「だいしゅ」ともいい,そうとぎ Mahasamghaの訳語やくご元来がんらいいちかい僧侶そうりょをいい,衆徒しゅとがく侶,学徒がくとともいった。平安へいあん時代じだい以降いこうしゅとして僧兵そうへいをさすようになり,寺院じいん組織そしきのなかで,これにあたる衆徒しゅとどうしゅおよびぞくへい総称そうしょうするようになった。

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山川やまかわ 日本にっぽんしょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱん大衆たいしゅう」の解説かいせつ

大衆たいしゅう
だいしゅ

しゅうそう衆徒しゅと(しゅと)とも。一山ひとやまいちてら僧侶そうりょ総称そうしょう。とくに平安へいあん時代じだい以降いこう南都なんと北嶺きたみねしょ大寺おおてら所属しょぞくする僧侶そうりょ集団しゅうだんをさし,法体ほうたい(ほったい)の武力ぶりょく集団しゅうだん僧兵そうへい意味いみした。大衆たいしゅう僉議(せんぎ)とよばれる集団しゅうだん討議とうぎをへて,大挙たいきょして発向はっこう強訴ごうそ(ごうそ)におよんだ。強訴ごうそさい延暦寺えんりゃくじ日吉ひよし(ひえ)しゃ神輿しんよを,興福寺こうふくじ春日しゅんじつしゃ神木しんぼくしたてた。

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち大衆たいしゅう言及げんきゅう

衆徒しゅと大衆たいしゅう】より

平安へいあん時代じだい以後いご南都なんと北嶺きたみねなどのしょ大寺おおてら止宿ししゅくして,ろん法談ほうだんとしがく修法しゅほう観法かんぽう専心せんしんした僧侶そうりょ総称そうしょう。〈大衆たいしゅう〉のみの場合ばあいは〈だいしゅ〉とよむ。しょどう管理かんりきょうはな点灯てんとうなどの雑用ざつよう従事じゅうじした行人こうじん(ぎようにん)の上位じょういにあって,行人こうじんとともに寺院じいん大衆たいしゅう集団しゅうだん構成こうせいした。…

大衆たいしゅう文化ぶんか】より

…ある社会しゃかい生産せいさんされ提供ていきょうされる社会しゃかいてき機会きかい財貨ざいか・サービス・情報じょうほう(精神せいしんてきとみ)を,その社会しゃかい構成こうせいする大衆たいしゅうがひろく享受きょうじゅするぜん状況じょうきょうをいう。つまり精神せいしんてきとみ生産せいさん流通りゅうつう享受きょうじゅ過程かていと,その過程かてい社会しゃかいおよび個人こじんたいしてもつ意義いぎふくんでいる。…

暴動ぼうどう】より

計画けいかくてきな,組織そしきをもたない自然しぜん発生はっせいてき集団しゅうだんてき暴力ぼうりょく行使こうしで,初期しょきてき段階だんかい内乱ないらんいち形態けいたいともなる。暴動ぼうどうは,支配しはいされるがわ大衆たいしゅうが,さまざまな不満ふまん正規せいき政治せいじシステムをつうじて解消かいしょうできないとき,事前じぜん計画けいかく明確めいかくなリーダーシップもほとんどないまま,暴発ぼうはつてきおこな暴力ぼうりょく行使こうしである。歴史れきしじょう暴動ぼうどうれい枚挙まいきょにいとまがないが,古代こだいギリシア・ローマの奴隷どれい反乱はんらん中世ちゅうせいヨーロッパの農民のうみん一揆いっき日本にっぽん百姓ひゃくしょう一揆いっきおおくやべい騒動そうどうなどがそのれいである。…

※「大衆たいしゅう」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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