第だい7回かいさいとう・たかを賞しょうは「ABURA」、新選しんせん組ぐみの内部ないぶ抗争こうそう・油小路あぶらのこうじ事件じけん描えがく時代じだい劇げき

NUMBER 8原作げんさくによる貘ばく九きゅう三さん口くち造づくり「ABURA」が、第だい7回かいさいとう・たかを賞しょうを受賞じゅしょうした。

「ABURA」は幕末ばくまつの京都きょうとを舞台ぶたいに、新選しんせん組ぐみ最後さいごの内部ないぶ抗争こうそうにして日本にっぽん剣術けんじゅつ史しにおける最大さいだいの戦たたかい・油小路あぶらのこうじ事件じけんを描えがくアクション時代じだい劇げき。殺ころされた仲間なかまの遺体いたいを取とり戻もどすために、わずか7人にんの御陵ごりょう衛士えじ（ごりょうえじ）たちが新選しんせん組ぐみに立たち向むかう。同どう作さくはマンガワンにて発表はっぴょうされ、全ぜん3巻かんが刊行かんこうされている。

「BLUE GIANT」シリーズのストーリーディレクターを務つとめ、「風ふうの槍やり」「サラリーマンZ」の原作げんさくを担当たんとうするNUMBER 8は、さいとう・たかを賞しょうにずっと憧あこがれていたと言いう。また、貘ばく九きゅうの絵えを褒ほめられると自分じぶんのことのようにうれしくなると話はなし、「そんな関係かんけいこそが分業ぶんぎょう制せいの美うつくしさだと考かんがえています。さいとう・たかを先生せんせいが築きずいた土台どだいの上うえで、僕ぼくたちはそんな関係かんけいを結むすび、漫画まんが制作せいさくをしています」と共同きょうどう制作せいさくへの思おもいを述のべた。2019年ねんに「タロウ～進化しんかする殺戮さつりく～」でデビューした貘ばく九きゅうは「ABURA」について「画が作づくりにおいては自分じぶんとの戦たたかいでありました」と明あかす。そして読者どくしゃや関係かんけい者しゃへの感謝かんしゃを述のべ「『誰だれかのために』力ちからを出だし切きった作品さくひんです。この賞しょうが、皆様みなさま方かたへの恩返おんがえしとなれば幸さいわいでございます」と語かたった。

池上いけがみ遼りょう一いち、長崎ながさき尚志ひさしら選考せんこう委員いいんからは「ABURA」について迫力はくりょくのある撃剣げっけんシーンや描えがかれる人間にんげんドラマを評価ひょうかするコメントが寄よせられた。受賞じゅしょう作品さくひんのシナリオライターと作画さくが家か、担当たんとう編集へんしゅう者しゃには正賞せいしょうとして「ゴルゴ13像ぞうトロフィー」を進呈しんてい。シナリオライターと作画さくが家かには副賞ふくしょうとして賞金しょうきん50万まん円えんが贈おくられる。なお、授賞じゅしょう式しきは2024年ねん1月がつ16日にち東京とうきょう・三笠みかさ会館かいかんにて行おこなわれるほか、同日どうじつ18時じにはさいとう・たかを劇画げきが文化ぶんか財団ざいだんWebサイト内ないにて最終さいしゅう選考せんこう会かいの会議かいぎ録ろくの公開こうかいを予定よていしている。

「さいとう・たかを賞しょう」は2017年ねんに、「ゴルゴ13」連載れんさい開始かいし50周年しゅうねんを記念きねんして一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじんさいとう・たかを劇画げきが文化ぶんか財団ざいだんが創設そうせつしたマンガ賞しょうで、シナリオと作画さくがの分業ぶんぎょうにより制作せいさくされた優すぐれたコミック作品さくひんを顕彰けんしょうする。第だい7回かいのノミネート作品さくひんには酒井さかい義よし原作げんさくによる林はやしいち「院内いんない警察けいさつ アスクレピオスの蛇へび」、近藤こんどうたかし原作げんさくによるアントンシク「境界きょうかいのエンドフィール」、柴田しばたヨクサル原作げんさくによる沢さわ真しん「HITS -ヒッツ-」、阿久津あくつ拓たく矩のり原作げんさくによる萩尾はぎおノブト「元もと最強さいきょう勇者ゆうしゃの再さい就職しゅうしょく」、瀧たき津つ孝こう原作げんさくによる沢田さわだひろふみ「龍馬りょうまが戦国せんごくをゆく」がラインナップされた。

受賞じゅしょう者しゃコメント

NUMBER 8コメント

誰だれかが貘ばく九きゅう先生せんせいの画がの迫力はくりょくを褒ほめると、僕ぼくは自分じぶんのことよりも嬉うれしくなります。編集へんしゅう者しゃもきっと同おなじだと思おもいます。もしかしたら、貘ばく九きゅう先生せんせいもシナリオのことを褒ほめられたら自分じぶんのことより嬉うれしくなるのでは…。勝手かってが良よすぎるかもしれませんが、そんな関係かんけいこそが分業ぶんぎょう制せいの美うつくしさだと考かんがえています。さいとう・たかを先生せんせいが築きずいた土台どだいの上うえで、僕ぼくたちはそんな関係かんけいを結むすび、漫画まんが制作せいさくをしています。
だから、僕ぼくはずっとこの賞しょうに憧あこがれていました。連載れんさい開始かいし時じ、担当たんとう編集へんしゅうの小林こばやしさんと和田わださんに「さいとう・たかを賞しょうを狙ねらいましょう」と言いったのを覚おぼえています。今いま、受賞じゅしょうの知しらせを聞きき、漫画まんが家か・編集へんしゅう者しゃ・原作げんさく者しゃの三さん者しゃが同時どうじに喜よろこびを叫さけんでいます。さいとう先生せんせい、審査しんさ員いんの先生せんせい方かた、応援おうえんしてくれた読者どくしゃの皆様みなさま…やりました…
ありがとうございます。

貘ばく九きゅう三さん口くち造づくりコメント

この度たびは大賞たいしょうを賜たまわりまして、大変たいへん光栄こうえいでございます。
私わたし自身じしんが「ABURA」の大だいファンであり、脚本きゃくほんを読よんで涙なみだを流ながすこともしばしばありました。編集へんしゅう部ぶの皆様みなさまには、主軸しゅじくと土台どだいをしっかりとコントロールしていただきつつ、ニュアンスのアイデアを柔軟じゅうなんに取とり入いれていただきました。「ABURA」は、このスタッフだから作つくることができた作品さくひんです。
画が作づくりにおいては自分じぶんとの戦たたかいでありました。そんな中なか、励はげみになったのは読者どくしゃの皆様みなさまのお声こえです。
また、取材しゅざいに応おうじていただきましたご関係かんけい者しゃの皆様みなさまのご厚意こういに深ふかく感謝かんしゃいたします。御陵ごりょう衛士えじへの敬愛けいあいや配慮はいりょを直接ちょくせつお伺うかがいできた事ことで、この作品さくひんへの取とり組くみを深ふかくできました。
御陵ごりょう衛士えじの名誉めいよを未来みらいに継つぐことができれば、この上うえなく嬉うれしく思おもいます。
「誰だれかのために」力ちからを出だし切きった作品さくひんです。この賞しょうが、皆様みなさま方かたへの恩返おんがえしとなれば幸さいわいでございます。

小林こばやし翔しょう（「ABURA」編集へんしゅう者しゃ）コメント

新選しんせん組ぐみの悪役あくやくとして描えがかれることが多おおい「御陵ごりょう衛士えじたち」にスポットを当あてた本ほん作さくは、原作げんさくのNUMBER 8先生せんせいと別べつの歴史れきし作品さくひんを制作せいさくしようとした流ながれから、作画さくがの貘ばく九きゅう三さん口くち造づくり先生せんせいと出会であった縁えんで生うみ出だされた作品さくひんです。
貘ばく九きゅう先生せんせいが描えがく「想おもいや痛いたみが伝つたわる表情ひょうじょうや、重厚じゅうこう感かんのある剣戟けんげきシーン」、NUMBER 8先生せんせいが描えがく「それぞれの立場たちばの男おとこ達たちがもつ信念しんねんと生いき様ざま」。そんなお二に人にんの類るいい希まれなる才能さいのうが合致がっちして生うまれた本ほん作さくが名誉めいよある賞しょうを頂いただけたこと、編集へんしゅう者しゃという立場たちばながらとても光栄こうえいに思おもいます。

和田わだ慎まこと平ひらめ（「ABURA」編集へんしゅう者しゃ）コメント

「この男おとこたちを描えがきたい…！」と御陵ごりょう衛士えじたちのストーリーを作つくり上あげていただいたNUMBER 8先生せんせい。毎まい話はなし、美うつくしく壮絶そうぜつな作画さくがを仕上しあげていただいた貘ばく九きゅう先生せんせい。そして共同きょうどう担当たんとう・上長じょうちょうとして熱あつく激はげしくマンガ作づくりをご指導しどういただいた小林こばやし副ふく編集へんしゅう長ちょう。この度たびは受賞じゅしょう、おめでとうございます。
それぞれに凄すさまじい熱量ねつりょうを持もった方々かたがたであり、皆様みなさまだからこそ、極限きょくげんの時ときを生いきた男おとこたちの物語ものがたり「ABURA」を生うみ出だし得えたと感かんじております。この素晴すばらしい作品さくひんに携たずさわらせていただき、誠まことにありがとうございました！

選考せんこう委員いいんコメント

池上いけがみ遼りょう一いちコメント

大政奉還たいせいほうかん後ごの新選しんせん組ぐみ、その組くみを抜ぬけた男おとこたちが、大義たいぎのためにどう生いき、死しぬるべきか、時代じだいを超越ちょうえつして共感きょうかんできるその心情しんじょうを、全編ぜんぺんすさまじい撃剣げっけんシーンの連続れんぞくで描えがかれており、並々なみなみならぬリアルな迫力はくりょくに圧倒あっとうされる。
さらに憎にくしみ合あった者もの同士どうしの清々すがすがしいエンディングがすばらしい。

佐藤さとう優ゆうコメント

歴史れきし的てきには「負まけ組ぐみ」である御陵ごりょう衛士えじと新選しんせん組ぐみに感情かんじょう移入いにゅうして、時代じだいの転換期てんかんきを生いきた男おとこたちの誠実せいじつさを描えがいた真面目まじめな作品さくひん。内容ないようも事実じじつに出来できる限かぎり近ちかづけようとしている。ただし「遊あそび」の部分ぶぶんがほとんどないので少すこし重苦おもくるしい。
画がも斬きり合あいの激はげしい様子ようすを見事みごとに描えがいている。原作げんさくをよく消化しょうかした作画さくががなされている。

長崎ながさき尚志ひさしコメント

短編たんぺんとして作つくったようだがワンシチュエーションという異色いしょくで大胆だいたんな設定せってい。
人間にんげんドラマとしても時代じだい劇げき好すきとしても面白おもしろいと思おもう。
絵えも一見いっけん見みづらいがうまいと思おもう。

やまさき十じゅう三さんコメント

古典こてん的てきな舞台ぶたい“新選しんせん組ぐみ”に切きり込こんだ新あたらしい作品さくひんの誕生たんじょう。原作げんさくの息いきも付つかせぬ展開てんかい、セリフもそういう会話かいわを交かわしただろうなと思おもわせて新鮮しんせん。
作画さくがもフルスロットルで混迷こんめいの時代じだいを逆ぎゃく走はしする。そして辿たどり着つくであろうその哀かなしみは今いまのボク達たちにも届とどくはずである。