それでもなぜトランプは熱狂ねっきょうてき支持しじされるのか 幸福こうふくくには「怪物かいぶつ」を大統領だいとうりょうえらんだりしない

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トランプは病因びょういんではない、病状びょうじょうなのだ。原因げんいんではない、結果けっかなのだ、というのはアメリカを観察かんさつするものにとっては、いまではほぼ常識じょうしきとなっているはずだ。すくなくともアメリカの学識がくしきしゃあいだでは共通きょうつう認識にんしきであろう。ところが、どうも日本にっぽんではそのことがよく理解りかいされていない。

「トランプが民主みんしゅ主義しゅぎ破壊はかいしている」と、よくく。「民主みんしゅ主義しゅぎ」が「アメリカ社会しゃかい政治せいじ」、あるいは「国際こくさい秩序ちつじょ」といった言葉ことばにもえられる。メディアに登場とうじょうする専門せんもん識者しきしゃらの説明せつめいだ。

だが、どこかズレていないか。ぎゃくに、民主みんしゅ主義しゅぎこわれたから、あるいはアメリカ社会しゃかい政治せいじ、そのアメリカ主導しゅどうでつくられた、自由じゆうひらかれたとされる国際こくさい秩序ちつじょまったから、トランプが登場とうじょうしたのではないか。そのトランプだけをちからしのけようとしても、ムダかもしれない。

なぜトランプのような破壊はかいてき存在そんざい出現しゅつげんしたのか、その「生命せいめいりょく」の不思議ふしぎをわれわれは研究けんきゅう」すべきだ山根やまね博士はかせ主張しゅちょうそくしていえば、そういうことになる。あるいは、対症療法たいしょうりょうほうだけしてもムダだ。病因びょういんたなければならないということになる。

「トランプが民主みんしゅ主義しゅぎ破壊はかいしている」というような単純たんじゅんはなしではなく、トランプをしたアメリカのやまいとその原因げんいんさぐらなければはじまらない。トランプという怪物かいぶつかえもどってくる。それはどんな無念むねんいだく、すうおおくの戦死せんししゃの「亡霊ぼうれい」(再来さいらい)なのか。

わすれられた人々ひとびと」に言葉ことばあたえた

2022ねん急逝きゅうせいした、すぐれたアメリカ研究けんきゅうしゃであった中山なかやま俊宏としひろ慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく教授きょうじゅは、トランプの奇矯ききょう行動こうどうばかりにをとられると「その底流ていりゅうきている現象げんしょう見逃みのがしてしまいがちだ」と自戒じかいめて、警鐘けいしょうらしたことがあった。「現象げんしょう深度しんど」にとどかないかもしれない、と。

そして、トランプは「わすれられた人々ひとびと」のあいだにとぐろをいて存在そんざいしていた不満ふまん言葉ことばあたえ、だれもがおもってもみなかった共振きょうしん現象げんしょうこしているとみた(中山なかやま俊宏としひろ理念りねんくにがきしむとき――オバマ・トランプ・バイデンとアメリカ』千倉ちくら書房しょぼう、2023ねん、108-109ぺーじ)。

ページ絶望ぜつぼうくに」の大統領だいとうりょう
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